三浦市
三浦市(みうらし)は、神奈川県南東部、三浦半島最南端に位置する市である。
地理・自然
三浦半島の先端、横須賀市の南に位置する。三方を海に囲まれ、西岸は相模湾、東岸は浦賀水道(東京湾)、南岸は太平洋に面し、南端部には城ヶ島が浮かぶ。
市域の大部分は標高40-60mの台地で、その間に小さな谷戸が入り組んでいる。平地は少ないが標高の高い山は無く、最高峰は神奈川県最低峰でもある岩堂山となっている。起伏に富み、水田に適した低地が少ない。そのため、台地上には野菜畑がつくられ、低地の多くは住宅地として利用されている。大きな河川が少ないこともあり、水田は約3%と少ない[1]。
三浦市付近の地盤は地殻変動により隆起を続けている。三崎町内陸にある「諸磯の隆起海岸」は第三紀凝灰岩の崖にある穿孔貝が作った穴が残る遺跡で、国の天然記念物に指定されている。平安時代、江戸時代、大正時代の大地震により地層のずれが4段に分かれており、古い地層を観察することができる。
海岸は岩場が多く砂浜は比較的少ないが、北東部の金田湾沿岸には三浦海岸と呼ばれる浜が続き、西部にも三戸海岸など小規模な砂浜が見られる。城ヶ島や、東部の金田漁港から東端の剱崎、南端の三崎漁港を経て西部の小網代湾に至るまでの海岸線には離水海岸に特有の海食崖や海岸段丘が多く見られる。
西部の小網代湾には干潟が残り、湾に注ぐ小川とその背景にある雑木林(休耕田跡)を合わせ一体的な自然環境を今に留めている。そのため、これらを「小網代の森」として保護しようという運動が起きている。
歴史
古くから人の居住があり、市内から縄文時代・弥生時代の遺跡が発掘されている。平安時代後期から鎌倉時代、室町時代、戦国時代初期まで三浦氏の支配のもとにあった。
1590年に徳川家康が関東へ入った際に三浦半島も領地となり、すでに港として発展していた三崎は天領とされた。その後も漁港である三崎を中心に発展してきた。
現在、東京近郊でこれらの古く情緒ある町並みが残っていることから、映画やドラマなどのロケがよく行われている。また、2004年に他校と統合して廃校になった県立三崎高校跡地(2007年に三浦市が取得)は学校を題材としたCM・ドラマ・映画のロケ地として人気がある。
年表
- 1870年(明治3年):城ヶ島灯台が設置される。
- 1881年(明治14年):ニュージーランドの石炭船「ウェリントン号」が三戸にて難破。
- 1889年(明治22年)4月1日:町村制施行により三浦郡三崎町、南下浦村、初声村が発足。
- 1901年(明治34年):浦賀から三崎までの乗合馬車が開通。
- 1913年(大正2年):三崎町に電灯がともる。
- 1934年(昭和9年):三崎町に水道が開通。
- 1940年(昭和15年)4月1日:南下浦村が町制を施行。
- 1955年(昭和30年)1月1日:三浦郡三崎町、南下浦町、初声村(はっせむら)の2町1村が合併、市制施行。広域地名を採用し三浦市となる。当時の人口は約5万1000人。
- 1960年(昭和35年)4月16日:城ヶ島大橋が開通。
- 1966年(昭和41年)7月7日:京急久里浜線が三浦海岸駅まで開業。
- 1974年(昭和49年)4月23日:長野県須坂市と姉妹都市提携。
- 1975年(昭和50年)4月26日:久里浜線が三崎口駅まで延伸開業。
- 2009年(平成21年)9月:三崎の仲崎・花暮地域に伝わる小正月の伝統行事「チャッキラコ」がユネスコ世界無形文化遺産に登録される。
人口
漁業・農業が産業の中心だったことから、就業、教育面で横須賀市や京浜地区への流出が著しく、昼間人口は少ない。また、居住人口は1996年を境に減少に転じ、推定値で現在5万人を下回っている。神奈川県内では南足柄市に次いで2番目に人口の少ない市である。
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三浦市と全国の年齢別人口分布(2005年) | 三浦市の年齢・男女別人口分布(2005年) |
■紫色 ― 三浦市
■緑色 ― 日本全国 |
■青色 ― 男性
■赤色 ― 女性 }} |
三浦市(に相当する地域)の人口の推移 テンプレート:人口統計/14 | |
総務省統計局 国勢調査より |
行政
平成13年度からスタートした「第4次三浦市総合計画(三浦ニュープラン21)」では、2025年の将来像を「人・まち・自然の鼓動を感じる都市 みうら」としている。
歴代市長
県の機関
姉妹都市・提携都市
国内
海外
地域
地域区分
市役所周辺を除き、合併前の町村名が地名の頭についている。
- 三崎町
- 三崎町小網代、三崎町諸磯、三崎町六合、尾上町、海外町、天神町、東岡町、白石町、三崎、城山町、諏訪町、栄町、原町、岬陽町、向ヶ崎町、宮川町、晴海町、三崎町城ヶ島
- 初声町
- 初声町入江、初声町高円坊、初声町下宮田、初声町三戸、初声町和田
- 南下浦町
- 南下浦町上宮田、南下浦町菊名、南下浦町金田、南下浦町松輪、南下浦町毘沙門
教育
小学校
中学校
- 初声中学校
- 上原中学校
- 南下浦中学校
高等学校
- 神奈川県立三浦臨海高等学校
- 神奈川県立平塚農業高等学校(初声分校)
大学・短期大学
市内には存在しない。
- 大学関係施設
- 東京大学地震研究所油壷地殼変動観測所
- 東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所
- 法政大学三浦セミナーハウス
産業
農業
就業人口は2,172人(2010年現在)[2]。水田は少なく、三浦ダイコンやスイカなど、畑作が中心である。主な作物の生産量はキャベツ39,100トン、大根75,900トン、スイカ12,100トンなどとなっており、首都圏への野菜供給地となっている[1]。
漁業
市内にある三崎漁港は遠洋漁業の拠点であり、日本有数のマグロ水揚げ港である。 市内の漁船数690隻、年間漁獲金額129億2994万円(2003年11月調査)となっており、漁船の約8割が三崎漁港に属する。就業人口は432名(2010年現在)[2]であり、昭和40年代と比べて激減している。一方、三崎魚市場は取扱高50,742トン、取扱い金額408億720万円(2005年)と規模が大きく、三浦市の漁業は自ら漁を行う形態から市外の漁獲が集積する形態に移行してきていることが読み取れる。
三浦市松輪で一本釣り漁で漁獲されるサバは松輪サバと呼ばれ、高級食材として扱われている。
商業
- 商店街
- 郊外型店舗・スーパーマーケットチェーン
- 主な書店・CD、DVDショップ
交通
鉄道
市域の北西部を通過しており、中心部には乗り入れていない。三崎口駅から油壺駅(仮)まで延伸する計画があるが、用地買収が難航し実現のめどは立っていない。
バス
道路
観光
名所・史跡
- 北原白秋の詩碑・歌碑
- 「城ヶ島の雨」詩碑
- 「見桃寺」歌碑
- 城ヶ島大橋
- 城ヶ島灯台
- 剱埼灯台
- 諸磯貝塚
- 海南神社
- 和田義盛旧里碑
- 神明白旗神社
- 朝盛塚
- 新井城址
- 三浦荒次郎義意の墓
- 三浦道寸義同の墓
- 三浦義村の墓
- 三崎城址
- 和田城址
- 見桃寺(桃の御所)
- 本瑞寺(桜の御所)
- 大椿寺(椿の御所)
- 三浦海岸の河津桜並木 小松ヶ池
- 毘沙門洞窟弥生時代住居阯群 (神奈川県指定史跡)
天然記念物
- 諸磯の隆起海岸(国の天然記念物)
- 漣痕(波調層)(神奈川県指定天然記念物)
- 城ヶ島のウミウ、ヒメウ及びクロサギの生息地(県指定天然記念物)
- 三浦市海外町(かいとちょう)のスランプ構造(県指定天然記念物)
レジャー
- 関東ふれあいの道(首都圏自然歩道)
- 三浦・岩礁のみち(神奈川県1番コース)
- 油壺・入江のみち(神奈川県2番コース)
- 荒崎・潮騒のみち(神奈川県3番コース)※横須賀市を含む
- 京急油壺マリンパーク
- 城ヶ島
- 三浦マホロバ温泉
海水浴場
- 和田長浜海水浴場
- 三戸海水浴場
- 横堀海水浴場
- 胴網海水浴場
- 荒井浜海水浴場
- 大浦海水浴場
- 金田海岸海水浴場
- 三浦海岸海水浴場
美術館・博物館
- 白秋記念館
祭・イベント
- 初日の出(1月)
- 三浦七福神めぐり(1月)
- 城ヶ島水仙まつり(1~2月)
- 三浦海岸桜祭り(2~3月)
- 三浦国際市民マラソン(3月)(ホノルルマラソンの姉妹レース。10kmレース完走者から1名、ハーフマラソン完走者から2名抽選でホノルルマラソンへ派遣される。)
- 食の神フェスティバル(4月)
- 道寸祭り 笠懸(5月)
- クサフグの産卵(5~7月)
- 海南神社八雲祭(6月)
- みさき白秋まつり(7月)
- 海南神社 夏の例大祭(7月)
- 三浦海岸納涼まつり花火大会(8月)
- みうら夜市(8月)
- 城ヶ島すすき祭り(9月)
- 三崎港町まつり(10月)
- ウミウ・ヒメウの飛来(11~3月)
- 白秋展(11月)
- 酉の市(11月)
- 三浦三崎マグロ争奪将棋大会(12月)
- 年末三崎まぐろ祭ビッグセール(12月下旬)
- 三浦海岸どっとこいセール(12月下旬)
伝統芸能
- チャッキラコ(1月) 1976年5月4日に重要無形民俗文化財に指定、2009年9月30日にユネスコ世界無形文化遺産に登録。
- おんべ焼き(1月)
- いなりっこ(2月)
- 海南神社 夏の例大祭 行道(お練り)獅子(7月)
- 三戸のお精霊流し(8月) 1978年6月23日に神奈川県無形民俗文化財に指定。
- 菊名のあめや屋踊り(10月) 1976年10月19日に神奈川県無形民俗文化財に指定。
- 海南神社 面神楽(11月)
三浦市を描いた作品
文芸
- 城ヶ島の雨(1913年、北原白秋) - 北原白秋が城ヶ島居住時代に執筆した詩。後に奥田良三や藤山一郎など著名な歌手が相次いでこの詩を歌っている。また映画化もされている。詳しくは城ヶ島を描いた作品を参照していただきたい。
- 城ヶ島の春(1935年、牧野信一)
- 松本たかしの俳句(1935年) - 島内に詩碑が所在する。
- 「三浦半島記」街道をゆく(1998年、司馬遼太郎)
- ぼくはうみがみたくなりました(2002年、山下久仁明) - 自閉症の青年と看護学生の交流を描いた青春小説。本作の目的地が城ヶ島。2009年映画化。
映画
- 城ヶ島の雨(1950年、大映)
- 城ヶ島の雨(1959年、大映)
- 亀は意外と速く泳ぐ(2005年、ウィルコ)
ドラマ
- 月曜ドラマスペシャル - 「三浦海岸魚河岸物語」 TBS(1991年)
- おとなの夏休み - 日本テレビ(2005年)
- 泣くな、はらちゃん - 日本テレビ (2013年)
漫画
- ヨコハマ買い出し紀行(1994年~2006年、芦奈野ひとし) - 主人公が居住する「カフェ・アルファ」が市内西部の岬に所在するという設定。ほかに小網代の森、城ヶ島、岩堂山、三浦海岸など市内各所が描かれている。
- カブのイサキ(2007年~、芦奈野ひとし)
アニメ
- ヨコハマ買い出し紀行原作漫画をアニメ化。
- ラーゼフォン(2002年、フジテレビ系列) - TOKYO JUPITER外縁の街として第3話にて登場。
- らき☆すた(2007年、独立UHF局) - 第6話の「夏の定番」で三浦海岸が登場する。また第13話 - 第15話と第17話の実写EDは城ヶ島で撮影されたもの。
- 鉄のラインバレル(2008年~2009年、CBC、TBS) - 原作漫画とは設定が異なり、アニメ版では三浦市が舞台である。
ゲーム
- トロと休日(2001年、ソニー・コンピュータエンタテインメント) - 三崎の下町が主な舞台である。
- Train Simulator Real THE 京浜急行 (2002年、音楽館)
- 俺の彼女はヒトでなし (2010年、ホエール) - スタッフ公式サイトで、本作の舞台は三浦市であると明言されている[3]。
出身有名人
脚注
外部リンク
- 行政
- 観光