放送

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放送(ほうそう)とは、音声映像文字などの情報電気通信技術を用いて一方的かつ同時に不特定多数(大衆)に向けて送信することである。

  1. 広義には公衆に向けて送信される音声等の全て
  2. 狭義には無線・有線によるもの
  • 広義には「通信」に含まれるが、狭義には通信(特定の受信対象者への送信)に含まない対概念である。

ここでは2について詳述する。なお、放送を行う主体とその機器等を合わせて放送局(ほうそうきょく)と呼ぶ。

引用の促音の表記は原文ママ

概説[編集]

放送の地位[編集]

新聞雑誌などの他のメディアと比較して、放送には特殊な位置づけが与えられている。理由の一つは「電波の有限性(利用出来る電波の周波数帯域は限られている。)」というものがあげられる。 また、放送は音声(テレビであれば映像も含まれる。)で情報を伝えるメディアであり、生放送・生中継が出来ることから即効性もある。それゆえ、放送は他のメディアに比較し国民の思想・世論・人格形成などに与える影響が特に強いと考えられている。そこで、放送の中立性をはじめとして青少年の健全育成に配慮し、公共の福祉の為にこれを活用する必要があるとされる。 そのため、日本では放送事業は、放送法により規制され、特に後述する基幹放送総務省(従前は郵政省)より周波数の割当てを受ける免許事業(許認可事項)であり、勝手に行ってはならないとされている。 ちなみに米国では届出制である。 但し最近では、放送技術や受・送信機技術の向上、衛星放送ケーブルテレビの普及等により、「電波の有限性」が規制根拠たりうるのかを疑問視する声もある。

放送事業の区分[編集]

運営する事業者により以下のように区分される。

日本に国営放送は存在しないが、在日米軍(すなわち米国)が運用するAFNがある。 公共放送には日本放送協会(NHK)、放送大学学園独立行政法人地方自治体が実施するエリア放送がある。

「放送」と「放映」の違い[編集]

NHK放送文化研究所は、「放映」はテレビ放送を指す場合と映画を放送する場合とがあり、その範囲がはっきりせず、大抵の場合は「テレビで放送する」という言い方で表現できる [1] としている。 このため、放送用語としては、原則として「放送」を使い「放映」は使わないとしている。

日本の放送[編集]

法令による区分[編集]

根拠となる法律により以下のように区分される。一般的に「放送」という場合、放送法(以下、「法」と略す。)に基づく放送を指す。

放送法による区分[編集]

無線通信によるものは基幹放送一般放送に区分される。また、有線電気通信によるものも一般放送に含まれる。これは、2011年(平成23年)6月30日より施行された改正放送法により制度化されたものである。

放送 - 公衆によつて直接受信されることを目的とする電気通信の送信(法第2条第1号)

  • 基幹放送 - 電波法の規定により放送をする無線局に専ら又は優先的に割り当てられるものとされた周波数の電波を使用する放送(法第2条第2号)
    • 衛星基幹放送 - 人工衛星放送局を用いて行われる基幹放送(法第2条第13号)
    • 移動受信用地上基幹放送 - 自動車その他陸上を移動するものに設置して使用し、又は携帯して使用するための受信設備により受信される事を目的とする基幹放送であつて、衛星基幹放送以外のもの(法第2条第14号)
    • 地上基幹放送 - 基幹放送であつて、衛星基幹放送及び移動受信用地上基幹放送以外のもの(法第2条第15号)

詳細は「基幹放送」を参照

詳細は「一般放送」を参照

著作権法による区分[編集]

  • 放送 - 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信(著作権法第2条第8号)
  • 有線放送 - 公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信(著作権法第2条第9号の2)

基幹放送に係る規制[編集]

放送対象地域[編集]

法第91条第2項第2号に「総務省令で定める基幹放送の区分ごとの同一の放送番組の基幹放送を同時に受信できることが相当と認められる一定の区域」と規定している。 これに基づき施行規則に次のように基幹放送を区分している。

  1. 全国放送
  2. 広域放送
  3. 県域放送
  4. コミュニティ放送
  5. その他の放送

この区分毎に告示基幹放送普及計画で区域が規定され、具体的な周波数は告示基幹放送用周波数使用計画による。

詳細は「放送対象地域」を参照

放送系[編集]

法第91条第2項第3号に「同一の放送番組の放送を同時に行うことのできる基幹放送局の総体」と規定し、 基幹放送普及計画にその数(衛星基幹放送及び移動受信用地上基幹放送に係る放送対象地域にあつては、放送系により放送をすることのできる放送番組の数)の目標 を定めるとしている。 これは、放送対象地域ごとに、地上基幹放送については基幹放送事業者の数を、衛星基幹放送及び移動受信用地上基幹放送については認定基幹放送事業者の数の目標を定めることとなる。 つまり、基幹放送事業に参入できる事業者数を規定するものである。

放送区域[編集]

基幹放送局の開設の根本的基準第2条第1項第15号に、 「一の基幹放送局(人工衛星に開設するものを除く。)の放送に係る区域であつて、中波放送超短波放送テレビジョン放送マルチメディア放送超短波音声多重放送又は超短波文字多重放送を行う基幹放送局については、次に掲げる区域」 と規定している。 以下、周波数帯ごとの基幹放送局に対し規定が続く。

詳細は「放送区域」を参照

マスメディア集中排除原則[編集]

多くの者が表現の自由を享受できるようにするため、少数の者により複数の基幹放送事業者が支配されることが無いように、基幹放送の業務に係る表現の自由享有基準に関する省令により出資は規制される。 但し、認定放送持株会社の子会社による基幹事業放送者に対しては基幹放送の業務に係る表現の自由享有基準に関する省令の認定放送持株会社の子会社に関する特例を定める省令に特例が規定されている。

詳細は「マスメディア集中排除原則」を参照

外資規制[編集]

基幹放送が影響力の大きいメディアであることをかんがみ、基幹放送事業者、認定放送持株会社並びに基幹放送局提供事業者への外資規制が設けられている。

  • 特定地上基幹放送事業者 - 外国人が業務を執行する役員に就任すること及び5分の1以上の議決権を保有することを制限(電波法第5条第4項)。
  • 認定基幹放送事業者 - 外国人が業務を執行する役員に就任することを制限。認定地上基幹放送事業者にあっては、加えて5分の1以上の議決権を保有することを制限(法第93条第1項第6号)。
  • 認定放送持株会社 - 外国人が業務を執行する役員に就任すること及び5分の1以上の議決権を保有することを制限(法第159条第2項第5号)
  • 基幹放送局提供事業者 - 外国人が代表者に就任すること、役員のうち3分の1以上を占めること及び3分の1以上の議決権を保有することを制限(電波法第5条第1項、通常の無線局と同じ規制)。

これに抵触した特定地上基幹放送事業者または基幹放送局提供事業者に対して、総務大臣は改善命令や電波法第75条第1項に基づく無線局免許の取消しの処分を行わなければならない。但し無線局免許の残存期間中はその状況を勘案し、免許を取り消さないことができる(電波法第75条第2項)ため、抵触しても必ずしも取消しになるとは限らない(当然ながら、その状況下での免許更新はできない。)。

同様に、これに抵触した認定基幹放送事業者または認定放送持株会社に対しては、総務大臣はその認定を取り消すことができる(法第104条、第166条第1項第1号)としている。

これらを防ぐための防衛措置として、外国人からの株式の名義書換請求を拒否することを認めている(法第116条、第125条、第161条)。

なお一般放送事業者に関してはこのような規定がなく、基幹放送事業を兼業している、あるいは無線局免許を受けている場合を除き、外資支配を理由とした事業者登録の抹消、若しくは業務の停止処分を受けることはない。

放送法令適用外の放送[編集]

ビル内、事業所内、学校内などに備え付けたスピーカーに、有線一斉送信をして呼出しなどを行う単一の構内に完結する自営有線電気通信設備(構内放送)やこれに類似する車両・船舶・航空機内の有線電気通信設備(車内放送等)は、原則として放送法の適用除外となり有線一般放送の登録・届出を要しない。 但し、有料放送業務や協会放送受信契約締結義務など、放送法令において「除外の除外」条項を設けている場合や、有線電気通信法における有線電気通信設備、消防法における非常用放送設備などの他法令による規制あるいは基準が設けられている事がある点に注意を要する。 また一部に無線を用いても免許不要局の範囲であれば、電波法に基づく無線局の免許も不要である。

なおAFNは、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う電波法の特例に関する法律に基づき日米地位協定に定めるところによる。

諸外国の放送[編集]

関連項目[編集]

コンテンツ[編集]

放送方式など[編集]

災害関連[編集]

衛星・デジタル関連[編集]

有線系[編集]

マスコミ・放送倫理[編集]

制作関連[編集]

その他[編集]

脚注[編集]

  1. 「放映」と「放送」の使い分け ことば(放送用語) 2000年10月1日
  2. 博士も知らないニッポンのウラ』 30 「超天才Dr.苫米地英人の「洗脳」秘録 苫米地英人」