ニート
この項目では、無業者について説明しています。その他のニートについては「ニート (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
ニート(NEET)とは英国政府が労働政策上の人口の分類として定義した言葉で「Not in Education, Employment or Training」の略語であり、日本語訳は「教育を受けず、労働をおこなわず、職業訓練もしていない人」となる(ただしこの訳は日本におけるニートの意味とは多少異なる)。なお、以下では特に断り書きがない限り日本におけるニートの解説である。
目次
語源
1999年にイギリスの内閣府社会的排除防止局(Social Exclusion Unit)が作成した調査報告書BRIDGING THE GAP: NEW OPPORTUNITIES FOR 16-18 YEAR OLDS NOT IN EDUCATION, EMPLOYMENT OR TRAININGに由来する言葉であり、ブレア政権で用いられた政策スローガンの一つ。そのため英国におけるニートの定義は、当該報告書に準じた「16~18歳の教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」とされている。但し、ニートという語は英国を始めとする諸外国では殆ど使用されておらず、類似した分類も普及していない。むしろ近年、欧米では「ニート」について「日本における若年無業者問題を指す語」として認知されつつある(プレカリアートも参照)。
経緯
この言葉は厚生労働省が2004年に発表した労働白書の中で、「労働者・失業者・主婦・学生」のいずれにも該当しない「その他」の人口から、「15〜34歳」までの若年者のみを抽出した人口(若年無業者)が、同年出版された玄田有史の著書において「NEET=ニート」と言い換えられ、以後、マスメディア等を通じて一般にも知られるようになった新語である。
現状
非常に誤用の多い言葉である。そもそもニートとは「○○をしていない」という「状態」を現しているにすぎない言葉であったが、その語義はマスメディアによって歪曲化され、現在では「○○をする意欲が無い」という意味で使われることが一般的となっている[1]。
定義
ニートとは総務省が毎月実施する労働力調査において、15〜34歳までの無業者層に分類された人口を指す言葉であり、政府の公式見解とされる厚生労働省の定義は、これに準じるものである。しかし、その実態について調査をおこなった内閣府は、就業構造基本調査によって得られた統計を基に「ニート」の再定義をおこなったことから、厚生労働省と内閣府の定義には若干の差異がある。
厚生労働省の定義
- 「若者の人間力を高めるための国民会議資料」や平成17年以降の「労働経済白書(労働経済の分析)」では、ニートを「非労働力人口のうち、年齢15歳~34歳、通学・家事もしていない者」としており、平成16年「労働経済白書(労働経済の分析)」での定義(「年齢15~34歳、卒業者、未婚であって、家事・通学をしていない者」)に、
- 学籍はあるが,実際は学校に行っていない人
- 既婚者で家事をしていない人
が追加された。これにより推定数は2002年の48万人、2003年の52万人から、ともに64万人へと上方修正された。
内閣府の定義
- 内閣府の「青少年の就労に関する研究調査」で用いられる定義は、「高校や大学などの学校及び予備校・専修学校などに通学しておらず、配偶者のいない独身者であり、ふだん収入を伴う仕事をしていない15歳以上 34歳以下の個人である」としている。なおこの調査では、家事手伝いについてもニートに含めるとしている。
政府によるニートの二重基準問題
この定義の差異が「二重基準である」との誤解を招き、平成18年3月22日参議院経済産業委員会においても、この問題が取り上げられたが、「政府として厚生労働省の定義を採用している」という旨の答弁がされ、厚生労働省による定義が政府の公式見解であることが確認されている(なお「青少年の就労に関する調査」の報告書中では「内閣府政策統括官(共生社会政策担当)の公式見解を示すものではない」と記載されている)。
家事手伝いの扱いについて
厚生労働省は、家事手伝いをニートに含まない理由について「自営業者の家族従業員が含まれるため」としているが、内閣府の青少年の就労に関する研究調査企画分析委員長玄田有史は、その実態を把握するため家事手伝いをニートに含め調査を実施している。
フリーターや失業者との相違点
なお、この言葉はしばしばフリーターと混同されることがあるが、フリーターはアルバイト等をしていれば労働者として扱われる(ただし、内閣府の定義では、フリーターの一部にニートが含まれ、厳密に区分けはされていない)。また失業者についても「就業に向けた活動をおこなっている」という点でニートとは区別される。
池上彰のよく分かるニート解説
池上彰「いわゆる”ゴクつぶし”ですね」
池上彰「”人間のクズ”とも呼ばれています」
池上彰「社会の歯車にもなれなかった人ですね」
池上彰「歯車の動きを鈍らせる錆。とも言えるかもしれませんね」
劇団ひとり「彼らは~、なんで、働かないんですか?」
池上彰「難しい質問ですねー」
池上彰「みんなも、ここまで堕ちたらオシマイですよ」
子どもたち「ハーイ!」
池上「30歳を超えても親に寄生している。霊長の恥と考えても間違いではありません。」
土田「え?じゃあ働かずに飯を食ってるってことですか?」
池上彰「はい、土田さん良いところに気付きましたね」
池上「仕事もしてないので税金すら払っていません」
池上「こうニートの人々は生きる価値があるのでしょうかねぇ」
えなり「ニートは普段何をしているんですか?」
池上「いい質問ですねえ!」
池上彰「彼らの多くはネトゲ、2ちゃん、エロゲに人生の貴重な時期を費やしています」
池上彰「もう笑うしかないですねぇ(笑)」
土田「えっ?それって人間っていえるんですか?」
池上「親に寄生してるって意味では虫と同格かもしれませんね。」
上原美優「やっぱり、働かないで食べていけるってことは、すっごいお金持ちなんですか?」
池上「そういう人も一部は居ます。が、大半は扶養者、つまり親御さんですね。その方達が亡くなると生きていけません」
土田「あれ?親死んじゃったら終わりじゃないすか?」
池上彰「いい所に気がつきましたねぇ」
斉藤慶子「女性のニートってテレビで見たことないんですけどいるんですか?」
池上彰「女性のニートは別の名前で呼ばれることが多いですね。皆さんも御存じのはずです」
劇団ひとり「え、、、女性の?あ!家事手伝い!?」
池上彰「ひとりさん……するどいですねぇー」
池上彰「最近、私もニートから批判を受けるようになりました」
池上彰「蚊ほども痒くはないですけどねぇ(苦笑)」
劇団ひとり「でも、それならアルバイトでも始めればいいじゃないですか?」
池上「そう思いますよね!でも、彼らにとってはそんなに簡単な話じゃないんですよ。」
池上「ここが2ちゃんねるという、ニートの人達がよく書き込みをするサイトなんですが」
ひとり「俺もたまに見てますw」
土田「うわっ、文字で絵描いてる」
上原「アニメの絵が多いですね~」
観客席\ウワー…/
池上彰「親に暴行を加えたり、暴言を吐くニートもいるそうです」
一同「え~!?」
池上「彼らは、働かずして大人になった人たちですから、いつまでたっても中身は反抗期の学生と同じなのです。」
池上彰「実に滑稽ですねぇ」
土田「えっ、それじゃあ彼らは何の為に生きてるんですか」
池上「そうですねぇ、この事に関しては様々な意見がありますが、これは私個人の意見ですよ、私個人の意見とすれば彼らは子供達に自分の様な人間になっちゃいけないよ~、と子供に身を持って実感させるために生きているのではないかと」
観客「ああ~」
池上「ニートって恥ずかしいですよね?働かないで親元を離れないなんて自分だったら恥ずかしいですよね? 彼らはそれを自宅警備員とか呼んだりして肯定しているんですよねぇ」
ひとり「結局彼らには何もないから、そうやって誤魔化しているってことですか?」
池上彰「そのとおり!」
えなり「でも、例えば~僕なんかは小さいころから仕事してますから、働かないって感覚はあまり理解できないですよ」
池上「そうなんですねえ。ニートは自分が異常だと気付けないんです!」
池上「現在ニートの方は将来ご両親がお亡くなりになったら生活保護を貰おうとしているんですよ。」
土田「それって僕らの税金が使われるってことですよね?」
池上「さすが土田さん。いいところに気が付きましたね。」
上原「(ニートの人達は)働いてないことについてどう思ってるんですか?」
池上「それがですね、自分が働けないのは社会が悪いせいだと思ってるんですよ!(苦笑)」
一同「え~~~~~」
池上「それでは実際に、ニート達の声をご紹介しましょう。」
ニート24歳男性「働いたら負けかなと思ってる」
一同\エー…/
土田「まぁこいつが何に勝ってんだって話ですけどね」
一同\wwwwwwwww/
池上「彼らの多くが、学生時代に家で1人でゲームをすることが多かった、部活動に入っていなかった、異性と触れ合うことがなかった、などの傾向が見られます。現在学生のお子さんにこのような傾向がございましたら親御さんは早めに対策を打たなければなりませんね。」
池上「彼らはゆとり教育を受けている子供達のことをゆとりとか呼んだりして批判しているんですよねぇ」
土田「でも彼らは働いてないじゃないですか。なんでニートの人達ってこう上から目線なんですか?」
池上「さっきも言ったようにニートには内弁慶が多いんですよねぇ。まぁゆとり教育は現在改正されて昔の教育方針のようになっていますがそれでも彼らは批判を続けるでしょうねぇ。」
池上「彼らは、大企業とか、大きなビルで働きたいとか、初任給30万円ほしいとか、口だけ言って何もしないんですよ。」
ひとり「高学歴のニートは何故ニートになってしまったんですか?」
池上「彼らは教科書に出てくる問題は解けても、言われたことは出来るかもしれませんが、自分で考えて行動する力がないのですねぇ。それが就職活動で失敗しているのです。さっきも言いましたが、彼らはまず、人のせい社会のせいにして自分では反省しないのです。」
池上「彼らの多くがアニメやゲームで気を紛らわせて現実からにげてるんですよ。」
土田「あーそういえば前にガンダムの特番で一般のガンダムファンの方に多く出てもらったんですけど、今思えば、そーいう感じの人が多かったかもしれないですねwww」
池上「土田さん今の一言は叩かれますよ~今頃実況は大荒れですねえ。」
土田「ニートと無職って何が違うんですかぁ?何か無職をお洒落にカタカナにしただけみたいなんすけど?」
池上彰「土田さんのように思ってる方もいらっしゃるようですが、明確な違いがあります。無職は怪我や病気、あるいは年齢などで止む無く働けないという人もいますが、ニートはそもそも働く気がないのですよ」
会場「えぇーーーー」
池上「はい、それではニートが働くにはどうすればいいのか、皆さんで考えてみて下さい」
ひとり「ハイ」
池上「ハイひとりさん」
ひとり「あのやっぱり親元にいるから甘えちゃうんと思うんですよね。だから親が払っている携帯電話やインターネットの料金の支払いを取やめて、自分で支払えるように働かせるっていうのは」
池上「うん、いいことはおっしゃってるんですが、以前みなさんもニュースなんかで御覧になったかと思うんですが30歳無職の男性がインターネットの契約を打ち切られ両親を殺害してしまうという事件が起きたんですね」
上原「うわぁ…」
池上「つまり社会に出ずに、家にばっかりいる彼らにとって、インターネットという世界が唯一の居場所と言うことができます」
池上「つまり一度、ニートになってインターネットに依存してしまった所謂“無職ひきこもり”は如何なる事があっても働く事はないのです」
土田「やっぱり今はただモノを調べるだけじゃなくて、ネットゲームや動画投稿サイトなんか何でもありますもんね」
池上「ハイ、彼らは“働く喜び”を知らないまま生涯を終えてしまうと、そういう事になります」
ひとり「でもやっぱり社会とか育ってきた環境にも原因があるんじゃないんですか?」
池上「ひとりさんいい所に気がつかれましたね。確かに、周りの環境にも問題があるケースもあります。物事っていうのは誰かとかどちらかが全部悪いって事は殆どないですから。ただ…」
土田「た~だ~?」
池上「なぜニートになる人とならない人がいるのか、という事も考えてみましょうか」
一同\アー…/
池上「それでは、ニートになりやすい子供の特徴というのを見ていきましょう」
土田「すっげぇテープで隠してるwwww」
ひとり「こんなにあるんだ…」
池上\ペラーン/「・運動部に入っていない」
池上\ペラーン/「・一人でする趣味が好き」
池上\ペラーン/「・家にこもりがちである」
ふかわ「ちょっとー、ボク結構危なかったじゃないですかー!」
一同\wwwwwwwwwww/
池上\ペラーン/「・周りを見下している」
池上\ペラーン/「・「続ける」事が苦手である」
土田「クラスに一人はいたなー」
土田「今ニートの人はこれからどうすればいいんですかね?」
池上「今のニートの方には先はありません。今後ニートを生み出さないことが大切なんですねぇ」
池上「彼らの中にも少数ながらこのままじゃいけない、どうかしなきゃと外に出ることから初めてコミュニケーション能力を磨き、今じゃアルバイトではありますが立派に仕事をしてる人もいるのですが、ここが問題なんです。」
ひとり「え?これのどこに問題があるんですか?」
池上「最初に言った通りこれは少数の人の例なんですが、他のニートの方は『こいつにできたなら、まだ自分も大丈夫』と思い込んでしまい。結局行動することを先送りにしてしまうんです。」
土田「完全に悪循環ですね。」
調査
ニートの人口を算出する調査としては、以下のものが使用されている。
- 労働力調査
- 労働力調査とは、毎月1回、およそ4万世帯を対象とした調査で、ニートは基礎調査票の5項「月末1週間(ただし12月は20~26日)に仕事をしたかどうかの別」という設問の「仕事を少しもしなかった人のうち」「その他」に該当する人で、かつ15~34歳までの人となり、2006年の各月の平均は約62万人と推計されている。
- 就業構造基本調査
- 就業構造基本調査とは、5年に1回、およそ44万世帯を対象(2002年)とする標本調査で、過去1年間の国民の就業状態を調査する目的で行われる。内閣府の平成17年青少年の就労に関する研究調査では、この就業構造基本調査を特別集計し、ニートの規模を推計している。
類型
内閣府の調査では、ニートを非求職型と非希望型に分類している。前者は、就業を希望するものの具体的な就職活動等行動を起こしていない者のことで、後者は就業自体を希望していない者のことである。
非求職型
非求職型の定義は『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明しながら、求職活動はしていない個人』であり、就業構造基本調査の調査項目において『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、「何か収入になる仕事をしたいと思っていますか」に「思っている」を選び「その仕事を探したり開業の準備をしたりしていますか」には「何もしていない」を選んだ個人』としている。
非希望型
非希望型の定義は『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、就業希望を表明していない個人』であり、『無業者(通学、有配偶者を除く)のうち、「何か収入になる仕事をしたいと思っていますか」に「思っていない」を選んだ個人』としている。
備考
なおニートの分類としては他に、ヤンキー型、ひきこもり型、立ちすくみ型、つまずき型、の4種類に分類できるという言説もあるが、これは一部の研究者が、対象者51名(うち31名はフリーター)という小規模な調査を基に分類したものであり、私的な見解という見方が強い。
規模
内閣府の定義によるニートの総人口は、1992年から2002年までに約18万人増加している。しかしそのうちの大半は非求職型のニートであり、非希望型のニートについては殆ど増減が見られない。
変遷
年 | 失業者 | ニート | |||
---|---|---|---|---|---|
非求職型 | 非希望型 | ||||
1992 | 638.9 | 256.6 | 0.7% | 411.7 | 1.2% |
1997 | 993.3 | 291.1 | 0.8% | 425.4 | 1.2% |
2002 | 1,284.6 | 425.7 | 1.3% | 421.5 | 1.2% |
出典:「青少年の就労に関する研究調査 表2-1-2」(内閣府)
年齢階層別の推移については以下のとおり、15~19歳までの若年層が18万人から12万人に減少する一方、30~34歳までの中年層のニート人口は12万人から23万人へと倍増している。
年\年齢 | 15~19歳 | 20~24歳 | 25~29歳 | 30~34歳 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1992 | 176.8 | 1.8% | 215.6 | 2.2% | 158.8 | 1.9% | 117.2 | 1.5% |
1997 | 149.2 | 1.8% | 228.7 | 2.4% | 211.2 | 2.2% | 127.3 | 1.5% |
2002 | 114.5 | 1.6% | 240.9 | 3.0% | 264.0 | 2.8% | 227.9 | 2.4% |
出典:「青少年の就労に関する研究調査 表2-1-2」(内閣府)
また、第一生命経済研究所は、国立社会保障・人口問題研究所の人口推移の推計値と、1990年~2000年のニート比率のトレンドが続いていくことを前提に、「雇用対策が講じられなければ、2015年にニートは109.3万人に達する。一方雇用対策を講じれば、2005年をピークに、2015年には79.5万人と徐々に減っていく」とのレポートを出している[2]。
なお厚生労働省の調査では、ニートは2002年以降4年連続で64万人という水準で推移しており増加傾向は見られない。また2006年には62万に減少している。
参考
ニートは若年者だけの問題と思われがちだが、35~49歳の中年層のニート(正確には中年層の純粋無業者)は、増加率ではむしろ若年層を上回っており、状況はより深刻である。しかし定義上35歳以上はニートとされないために、支援策等は講じられておらず、自殺や社会保障費の増加などが懸念されている。(出典:青少年の就労に関する研究調査 中年無業者の実情)
実態
求職活動をしていない理由(非求職型)
非求職型のニートが「就業に向けた活動をおこなわない理由」で最も多いのは「病気や怪我の療養のため」で全体の4分の1を占めている。しかし「不況の影響で求人が無い」「雇用のミスマッチ」など、社会的な要因によるものも多く、1992年から2002年まで一貫して増加傾向にある。
年\理由 | 求人がないため | 希望の求人がない | 能力に自信がない | 病気や怪我のため | 家事や育児のため | 介護や看護のため | 急ぐ必要がない | それ以外の理由 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1992 | 16.2 | 6.3% | 22.7 | 8.9% | 21.6 | 8.4% | 64.0 | 25.0% | 14.4 | 5.6% | 8.5 | 3.3% | 45.0 | 17.6% | 63.7 | 24.9% |
1997 | 26.7 | 9.2% | 31.5 | 10.8% | 27.9 | 9.6% | 68.1 | 23.4% | 16.5 | 5.7% | 9.7 | 3.3% | 37.5 | 12.9% | 72.9 | 25.1% |
2002 | 53.4 | 12.5% | 40.8 | 9.6% | 42.3 | 10.0% | 104.0 | 24.5% | 13.8 | 3.2% | 9.5 | 2.2% | 49.2 | 11.6% | 112.1 | 26.4% |
資料出所:青少年の就労に関する研究調査 求職活動をしていない理由別(内閣府)
就労経験
ニートは引きこもりと混同されやすいため、就労経験が無いと思われることが多い。しかし内閣府の調査によると、就労経験が無い者は非求職型の38.0%、非希望型の70.1%(いずれも2002年)という水準に止まっており、就労経験のある者も少なくない。(出典:青少年の就労に関する研究調査 今までに何か仕事をしていたことがない割合)
職業観
性別\職業 | 製造・生産 | 建設・労務 | 運輸・通信 | 営業・販売 | サービス業 | 専門・技術 | 管理的職業 | 事務的職業 | その他の職 | こだわらず |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
男性 | 12.2 | 7.4 | 4.7 | 4.7 | 16.9 | 36.1 | 1.2 | 8.8 | 11.7 | 102.8 |
女性 | 10.4 | 1.2 | 0.4 | 8.3 | 39.8 | 35.2 | 0.1 | 30.1 | 7.6 | 85.0 |
合計 | 22.6 | 8.6 | 5.1 | 13.0 | 56.7 | 71.3 | 1.3 | 38.9 | 19.3 | 187.8 |
資料出所:青少年の就労に関する研究調査 資料・希望する仕事の種類別構成比(内閣府)
ニート増加の原因を、若年層における職業観や就労観の低下に求める意見は多く、講じられる対策もそれを前提としたものが多い、しかし2002年現在の統計によると、ニート(非求職型)の約半数は具体的な職業に就くことを希望しており、44.2%は職業にこだわらず就労したいと回答している。
男女比
内閣府の調査(2002年)によると、ニートの男女比率は男性が48.4%(41万人)、女性が51.6%(43.7万人)とほぼ半々となっており、過去10年間の調査と比較しても大きな変化は見られない。(出典:就業構造基本調査・男女別推定人口)
家庭環境
年 | 非求職型 | 非希望型 | ||
---|---|---|---|---|
300万円未満 | 1000万円以上 | 300万円未満 | 1000万円以上 | |
1992 | 29.1% | 15.3% | 21.6% | 21.5% |
1997 | 27.0% | 17.7% | 28.1% | 22.9% |
2002 | 31.8% | 12.9% | 37.6% | 14.4% |
資料出所:内閣府 青少年の就労に関する研究調査 世帯年収(内閣府)
ニートは裕福な家庭に属していることが多いという意見がある[3]。世帯の年収をみると、1997年までは所得1,000万円以上の世帯の中では、非希望型の世帯の割合が高かった。これが2002年になると状況が変わり、非希望型の割合は低くなった。
- 「その意味では,家庭が裕福であるために,無理に就職を望む必要がなかったことから非希望型を選択した個人も多かったということは,97年までは少なからず事実であった」
- 「非希望型において1,000万円以上の経済的に裕福な世帯が抜きん出て多いという特徴は,2002年の時点では,すでに消失している」[3][4]
年収300万円未満の世帯をみると、1992年時点では非求職型が多かったが、2002年には非求職型の31.8%、非希望型の37.6%と非希望型が急増した。非希望型は全体の割合と比べても2倍以上の値となっている。このため、非希望型において中身が変化していることが指摘されている[4]。
なおニート本人の年収は100万円未満が約57%で半数以上を占め、100~300万円は約31%、それ以上は約2.5%である。また親との同居率は、非求職型が83%、非希望型は73%となっている[4]。
増加の要因
就職氷河期
ニートが増加したとされる1990年代後半から2000年にかけて、バブル崩壊とそれにともなうリストラによる失業者の増加、さらに団塊ジュニアや女性の社会進出など、人材の供給が過剰となる要因が重なり、若者の就職は非常に困難な状況にあった。またこの頃から年功序列制度が崩壊し、代わって成果主義を導入する企業が増えたことから労働環境が悪化し、新入社員の離職率が高まったと言われている。こうした状況は2003年頃まで続き、ニート増加の一因になったと言われている(就職氷河期も参照)。
なお、2004年頃からは企業の採用行動が活発化し、現在では求人難が叫ばれるようになっている。しかし多くの企業は新卒や実務経験者などで人材を確保する意向のため、履歴書に空白期間のあるニートの就職は極めて困難な状況にある。
参考
年 | 1993 | 1994 | 1995 | 1996 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
総数 | 40 | 42 | 45 | 40 | 42 | 46 | 48 | 44 | 49 | 64 | 64 | 64 | 64 | 62 |
注:定義変更に伴い、2001年以前と2002年以降の値は接続しない
資料出所:人口減少下における雇用・労働政策の課題(厚生労働省)
厚生労働省の統計によると、ニート人口は2002年に前年の49万人から64万人へと急増している。これは、ニートの定義「非労働力人口のうち、就業、就学、または職業訓練を受けていない15歳から35歳までの未婚者」に「不登校」や「家事を行わない者」が付加されたためで、2002年とそれ以前の数値は接続しない。
問題点
ニートの増加が過去の就職氷河期と関係の深いことは前述の通りだが、この2つの問題はマスコミの偏向報道によって切り離され、単に個人の資質や能力の問題として議論される傾向にある、そのため講じられる対策も教育的な手法に重点が置かれ、的外れな対策に多額の公費が投入される事態となっている。また雇用主も、履歴書に空白期間のある者をニートと看做すようになり、「ニート=怠け者」といった先入観から不採用としたり、差別的な待遇をおこなう事例が増えつつある。(社会的排除も参照)
偏見と差別
若年層における無業者の増加は、海外では「労働経済問題」または「若年失業者問題」として議論されることが一般的である。しかし日本では「失業率の悪化」という観点が見落とされ、若者の意識の変容(職業観や就労観の低下)に原因を求めたために、家事手伝いや過年度生といった従来は受容されていた無業者に対しても批判的な目が向けられるようになった、また一部のテレビ局で精神疾患や発達障害の者に対する差別を助長する放送をおこない問題となった。要出典
利権
ニート支援に関連する諸々の対策は利権の温床となりつつあり、各省庁や地方自治体では自立支援を名目とした予算の争奪戦が展開されている。例えば厚生労働省が推進する若者自立塾は、初年度(平成17年)の予算が約9.8億円であったが、大幅な定員割れを起こしているにもかかわらず、翌年の予算は倍増され、その配分も極めて不明瞭な状態にある(ニート利権も参照)。
誤解
ニートは「働く意欲が無い者」あるいは「ひきこもり」などと混同されている場合が多い、しかし前述の定義に該当する者であれば、理由の如何に関わらずニートに分類される、したがって進学・留学準備、資格取得準備、家業手伝い、療養、結婚準備、介護・育児、芸能芸術プロ準備、などの状態にあっても定義上はニートに分類される。趣味・娯楽、特に何もしていない場合も同様である。(出典:青少年の就労に関する研究調査 各タイプの現在の状況)
対策
内閣官房
内閣官房(再チャレンジ担当室)は、ニートやフリーターに対する公務員採用枠の確保や、再チャレンジに協力的な企業に対する表彰制度、また税制面での優遇措置などを検討している。
厚生労働省
厚生労働省の対策として筆頭に挙げられるのが若者自立塾である。この施設は3~6ヶ月の期間、合宿形式での集団生活を行い、職場体験やワークショップを行うもの。費用は一部自己負担(10-40万円)となる。厚生労働省の目標は、卒業生の7割が、半年後までに就業することとしている(ちなみに、2006年3月1日時点の卒業生に占める就業者(アルバイトを含む)の割合は、約48%[5])。
一定の効果はあるとする一方で、若者自立塾を運営するNPO法人からは「まだまだ試行錯誤の段階であり、期間延長等の更なる改善をすべき」と意見があがっている[5]。
文部科学省
文部科学省はニート増加の原因が、若者の職業観・就労観の低下にあるとの判断から、キャリア教育に重点を置き、生徒が学校を離れ1日〜5日の期間、地元のスーパーや保育所などで就労体験をする職場体験や、総合的な学習の時間を利用した予防授業などの対策を推進している。
海外の状況
欧米においても「教育機関に所属せず、雇用されておらず、職業訓練に参加していない者」は存在するが、「ニート」或いは類する語での分類・定義付けはされておらず、その概念も普及していない。その原因の一つは「ニート」という分類が1999年当時社会問題となっていた「社会参加困難者」(被社会的排除者)の一部に過ぎないものであることが挙げられる。欧米における「社会参加困難者」は人種・宗教・言語による差別・格差問題の色が濃く、日本での若年無業者問題と同列に扱うことは困難である。英国の「ニート」の定義付けは将来的な「社会参加困難者」を予測する分析としての意義はあったが、総合的な「社会的排除対策」が行われる中で「ニート」という分類自体は重要視されなかった。
「韓国の青年雇用」経済協力開発機構(OECD)報告書(2007年)
OECD は、韓国の青年(15-29歳)の6人に1人が「ニート」で、割合はOECD加盟国の平均を大きく上回っていると指摘。[1]
- 就業率(2006年)
- 韓国:27.2%
- OECD加盟国平均:43.0%
- ニート占有率
- 15-24歳
- 韓国:11.7%
- OECD加盟国平均:12.0%
- 15-29歳
- 韓国:17%
- OECD加盟国平均:12.0%
- 15-24歳
OECDは韓国にニートが多い理由について、「兵役で就職が遅れ、大学卒業後にも就職しない若者が多いため」と報告。
関連書籍
- 『ニート』玄田有史 他 幻冬舎 ISBN 434440825X
- 『「ニート」って言うな!』本田由紀 他 光文社 ISBN 4334033377
- 『不安定を生きる若者たち』乾彰夫 他 大月書店 ISBN 4272350242
事件
2006年 | 11月 | 6日 | 愛知県知多郡美浜町の戸塚ヨットスクール(校長:戸塚宏)に入所した訓練生の男性(25)が、施設から逃亡を図り、3日後、水死体で発見された。 |
2006年 | 4月 | 18日 | ひきこもりの若者らを支援する名古屋市北区のNPO法人アイメンタルスクール(代表:杉浦昌子)の施設に入所した無職の男性(26)が、職員らの暴行による外傷性ショックで死亡した。 |
公人の発言
※肩書はいずれも発言時。
- 「経済が低迷し、若者を社会に送り出せなかった時期がある」(谷垣禎一財務相)2006.4.26
- 「その気になれば、いくらでも仕事はあるはずなのに働こうとしない」(小泉純一郎総理)
- 「一度自衛隊にでも入って、サマワみたいなところに行ってみてはどうか」(武部勤自民党幹事長)
- 「ニートなんて格好いいように聞こえるけど、みっともない。無気力・無能力な人間のことです。」「今、ニートなんて、ふざけたやつがほとんどだよ」「フリーターとかニートとか、何か気のきいた外国語使っているけどね、私にいわせりゃ穀つぶしだ、こんなものは。」(石原慎太郎東京都知事)
- 「ニートとは就職活動もしない、また就職してから生かせる勉強もしないという無気力、無関心状態に陥ってしまった若者のことの総称で、生きる気力もないのに親が毎日御飯を出している。そういうことを社会問題にして認め出している風潮自体が、ニートを増長させている。」(池田佳隆 日本青年会議所会頭)2006.6.7
- 「若者に農業に就かせる「徴農」を実施すれば、ニート問題は解決する」(稲田朋美衆議院議員)2006.8.29
関連項目
- 静岡の腐った生ゴミ
- フリーター
- 引きこもり
- 家事手伝い
- パラサイトシングル
- 就職氷河期
- 格差社会
- 失業
- 社会的排除
- プレカリアート
- 労働経済学
- キャリア教育
- 俗流若者論
- ニート利権
- 社内ニート
- ネオニート
- 徴農制度
- 社会不適応者
- プータロー
- 落ちこぼれ
- 学歴難民
- だめ連
- ネトゲ廃人
- 高等遊民
- 待ち組
- 中年ニート
- 大人ニート
- 就職難
施設
人物
脚注
- ↑ 政府の見解としては、第162回衆議院予算委員会第7号(2005年2月7日)では、尾辻秀久厚生労働大臣(当時)が、「働いておらず、教育も訓練も受けていない者」としており、「働く意欲のない者か?」という質問に対し、「ニートの定義は先ほど答えたとおり。若者にもさまざまいて、意欲のある者もいたりする」と答えている
- ↑ 第一生計研究所 もっとも有効なニート対策は若年雇用のミスマッチ解消(2005年6月8日)
- ↑ 3.0 3.1 青少年の就労に関する研究調査 4.所得階層との関連
- ↑ 4.0 4.1 4.2 青少年の就労に関する研究調査 4.所得階層との関連
- ↑ 5.0 5.1 2006年4月16日付 読売ウィークリー
外部リンク