カキ (貝)
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カキ(牡蠣、英名:oyster)とはウグイスガイ目イタボガキ科に属する二枚貝の総称あるいはカキ目もしくはカキ上科に属する種の総称である。海の底の岩から「かきおとす」ことから「カキ」と言う名がついたといわれる。
目次
特徴
食用にされるマガキやイワガキなどの大型種がよく知られるが、食用にされない中型から小型の種も多い。どの種類も岩や他の貝の殻など硬質の基盤に着生するのが普通である。基盤に従って成長するため殻の形が一定せず、波の当たり具合などの環境によっても形が変化するため外見による分類が難しく、野外では属さえも判別できないこともある。このため未だに分類が混乱しているものも少なからずあり、外見に惑わされない分子系統などを使った分類がなされつつある。
英語の"oyster"は日本語のカキよりも広義に使われ、岩に着生する二枚貝のうち形がやや不定形で表面が滑らかでないもの一般を指し、アコヤガイ類やウミギク科、あるいはかなり縁遠いキクザルガイ科などもoysterと呼ばれることがある。
日本での主な食用種
=== マガキ属 Crassostrea ===- マガキ(真牡蠣) Crassostrea gigas(Thunberg,1793)
- 最もポピュラーな種で、日本でカキといえば本種。寒い時期に食べる。大型で夏でも生殖巣が発達しない「3倍体牡蠣」も開発され市場に出ている。広島県、宮城県産が有名。韓国からの輸入品も相当量ある。
- イワガキ(岩牡蠣) Crassostrea nippona(Seki, 1934)
- 「夏ガキ」とも言われる。殻の色が茶色っぽく、マガキに比べて大きいものが流通する。天然物と養殖物の両方がある。
- スミノエガキ (住之江牡蠣) Crassostrea ariakesis(Fujita, 1913)
- 有明海沿岸で食用にされるが、他所へはほとんど出回らない。マガキに極く近縁な種で、殻の表面はやや滑らか。
イタボガキ属 Ostrea
- イタボガキ(板甫牡蠣) Ostrea denselamellosa(Lischke, 1869)
- かつては多く食用にされ、能登半島や淡路島周辺が有名な産地であったが、現在は瀬戸内海地方で僅かに市場に出回る程度で、絶滅危惧種状態。食用のみならず貝殻が最上質の胡粉の原料となる点でも需要であり、本種の復活と養殖技術開発の努力がなされている。
- ヨーロッパヒラガキ Ostrea edulis(Linnaeus, 1758)
- ヨーロッパ原産で、イタボガキに似た外観で輪郭が丸く平たい貝。別名:ヨーロッパガキ。市場ではフランス牡蠣、ブロン、フラットなどとも呼ばれる。日本では宮城県唐桑町の舞根(もうね)などで僅かに養殖され、高級食材としてフランス料理店などに卸される。かつてのヨーロッパ、特にフランスでカキと言えば本種のことであったが1970年代以降、寄生虫などにより激減。需要をまかなうために日本産のマガキを輸入して養殖するようになった。それ以来フランスなどで流通するカキの相当部分は日本由来のマガキであるという。
利用
食材
蛋白質やカルシウム、亜鉛などのミネラル類をはじめ、さまざまな栄養素が多量に含まれるため、「海のミルク」とも呼ばれる。カキフライのような揚げものや、鍋物の具にして食べるほか、新鮮なものは網焼きにしたり生食される。
縄文時代ごろから食用されていたとされ、室町時代ごろには養殖も行われるようになったという。食用の歴史が非常に長く、日本人にはなじみ深い貝であるが、世界的にも広く食用とされる。一般的に肉や魚介の生食を嫌う欧米食文化圏において、カキは例外的に生食文化が発達した食材であり、生ガキはフランス料理における定番のオードブルとなっている。また、生ガキをメニューの中心に据える、「オイスターバー」と呼ばれるレストランも存在する。
カキの喫食と食中毒
古来より喫食されているカキであるが、一方で「あたる」食品(食材)としても知られている。このことは、非加熱状態で貝の身をまるごと喫食される機会が多いこととも関係が深い。
生食用のカキは汽水域で植物プランクトンを豊富に取った牡蠣を紫外線殺菌された海水中で数日間飼育され、またその間絶食状態にすることで無菌状態にする。生食用のカキは数日間エサを与えられないために身が痩せることから、生食する以外の用途では加熱用のものの方が美味い。
食中毒症状を引き起こす原因としては貝毒、細菌(腸炎ビブリオ、大腸菌)とウィルス(特にノロウィルス)がよく知られているが、どの原因も生育環境(海水)に由来するものであり、貝の摂餌行動などによって貝内部、消化器官(中腸腺など)に取り込まれ濃縮されるものである。
重要なことは、
- すべて二枚貝であれば共通する要因である
- 貝毒以外は充分に加熱処理することで食中毒を回避できる
という点であり、貝毒以外は「身をまるごと生食」あるいは「加熱が不十分なものをまるごと喫食」した場合にはどの二枚貝でも危険度に何ら差はない。
- 貝毒
- これは貝が捕食する海水中の有毒プランクトンの毒を蓄積することであり、生育海水中の植物プランクトンの種類および貝に含まれる毒を定期的に検査することで対策がとられている(参照:マウスユニット)。有毒プランクトンの発生し易い時期は3月から5月。
- 細菌
- 通常、細菌は海水中に一定数存在するものであり、ごく少量であれば食中毒症状を引き起こすことはない。ただし、気候や水質などによっては細菌が大量に増殖することがあり、そういった時期には十分注意が必要であるともいえる。
- しかし、貝表面や貝内部に取り込まれた細菌は、紫外線照射および殺菌海水や人工海水などを充分に循環させることで、大部分が貝内から排出されることが知られており、対策がとられている。むしろ、残った少量の細菌を増殖させてしまうような環境に放置することの方が危険であると言える。
- 腸炎ビブリオ
- 20℃付近でおよそ10分間に1回と活発に分裂・増殖するが15℃以下では増殖は抑制される。また、経口摂取によって感染症状を引き起こす際には生菌100万個体程度が必要であるとされる。これらのことから、20℃以上の環境に数時間置いておくだけで食中毒を引き起こす可能性が有るといえ、家庭で調理する際には充分に注意されたい。夏期に海水温が20℃を超えるようような時期はやはり原因となりやすい。70度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
- 大腸菌
- 一般的には37℃付近でおよそ30分に1回と活発に分裂・増殖する。紫外線照射および殺菌海水などの循環によって対策が取られている。75度以上1分間の加熱でほぼ死滅するとされている。
- ノロウィルス
- 2000年頃より特に注目されている原因。下水処理場排水が流入する養殖海域で検出されることが多い。抵抗力が弱い場合にはウィルス感染を起こし激しい感染性胃腸炎を引き起こす。2006年現在、ノロウィルス感染力は85℃以上で1分間以上加熱されることにより無くなると考えられていることから、中心部まで充分に加熱すること重要であると言える。厚生労働省や保健所は二枚貝を内臓も含めて食す際には内部まで充分に加熱調理するように、また調理の際に使用した器具の充分な洗浄を呼びかけている。
- なお、ノロウィルスに関する情報として厚生労働省のウェブページ内にノロウイルスに関するQ&Aが用意されているので、こちらも参照されたい。
日本における風評被害
日本では「ノロウィルスと言えばカキ」という間違ったイメージが巷に流れ、特に2006年から2007年にかけて、カキが原因ではないノロウィルス感染報道があるごとにカキの売上が減少すると言った風評被害がカキ養殖業者に打撃を与えた。しかし『ノロウイルスに関するQ&A』によれば、ノロウイルス感染被害の主な原因はカキを含む魚介類ではなく、食事を調理する側の不注意によるものが主であるとされる。このような風評被害に対し、大規模なカキ養殖を行っている北海道、広島県、三重県、宮城県などでは定期的なノロウィルス検出検査を行うとともに、ウィルスが検出された地域のものは加熱用として販売されるか出荷そのものを取りやめるといった対応を取り、消費者に対し安全性をうったえた。
なお、北海道のカキに関しては北海道産カキ安心情報として検査結果などが公開されている。
カキの食べられない月
産卵期にはカキは精巣と卵巣が非常に増大し、食用とはならない。一般にカキとして認識されているマガキの場合は秋~冬にかけてが旬とされており、英名に「R」のつかない月、すなわちMay, June, July, Augustの5, 6, 7, 8月は産卵期であり食用には適さないとされている。ただし、春から夏に旬を迎えるイワガキと呼ばれる種類のカキもあり、それぞれ養殖も盛んであることからマガキに限らないならば通年食べることができる。
料理
カキの殻の表面は剃刀の刃のように薄いものが重なっており、生食の際には軍手などの手袋を用いないと手のひらに無数の傷がつく。 網焼きや生食では身だけでなく汁もともに吸う。多くの人はカキの身にのみ栄養があると考えているが、身が浸されている殻の中の海水を含む汁にも多くの栄養素が含まれていることが知られている。
- 生食
- カキの殻を合わせ目からナイフ状のヘラを差し込み、貝柱を切断してこじ開け、身をつまみ出して食べる。生ガキとも呼ぶ。レモン汁、食酢等を使った酸味のある調味ダレを添えることもある。
- 網焼き
- 殻のままカキを網の上で焼き、殻が開いてから食べる。
- カキフライ
- カツレツの手法によって生のカキに小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてからパン粉をつけて、油で揚げる。
- カキの天ぷら
- 中国広東省などでは、厚めの衣をつけた天ぷらが好まれている。
- 牡蠣の土手鍋
- 土鍋の内側の周囲全体に味噌を厚く塗ったなかに、カキやその他の具材を入れ、味噌が溶け出してから食べる。
- カキご飯
- カキの煮汁でご飯を炊き、炊き上がったところでカキを混ぜ数分ほど蒸らしてつくる。
- カキ鍋
- 季節の具材とともに煮る鍋料理の一つ。
- カキ入り卵焼き(蚵仔煎 オーアチエン)
- 台湾や中国福建省、広東省の一部で一般的な料理で、お好み焼きのように平たく焼いてから、甘い味のたれをかけて食べる。
- カキ粥(台湾語:蚵仔粥 オーアティオッ)
- 台湾、広東省(特に汕頭市、香港などで好まれるメニューのひとつ。カキのむき身を米の粥に入れ、揚げたネギ、広東セロリ、コリアンダーなどを添えたもの。
- カキスープ(台湾語:蚵仔湯 オーアトゥン)
- 台湾などではショウガの味を利かせたカキのすまし汁にも人気がある。
食材以外
- カキ油
- カキ油(オイスターソース)は中華料理の重要な調味料。中国マカオのものが著名。
- 干しガキ
- 干しガキ(蠔豉、ハオチー)は中国広東省で製造、使用されている調味用食材。カキのむき身を塩ゆでしてから日干しにしたもので、うま味を出すのに使われる。
- 貝殻
- 貝殻は牡蠣(ボレイ)といい、焼成してから粉砕した粉は日本薬局方に「ボレイ末」として記載の生薬である。制酸、鎮静、解熱などの作用があり、安中散、桂枝加竜骨牡蠣湯、柴胡加竜骨牡蠣湯などの漢方薬に使われる。また薬用以外に天然炭酸カルシウム(牡蠣灰などとも呼ばれる)として、消しゴムの添加剤などの工業用や食品添加物、砂糖精製用助剤などに利用することも行われている。
- 養殖
- 海苔の養殖などに貝殻が利用される場合もある。
- 海水の浄化
- 水を綺麗にする効果があるといわれ、現在実験中である。
産地
日本の2001年における生産量は37000トンで、内訳は広島県56.0%、宮城県15.0%、岡山県12.0%、兵庫県4.2%、岩手県4.0%、その他9.0%となっている(「漁業・養殖業生産統計年報」・むき身換算)。同年の輸入量は14892トンであり、輸入量の93%を韓国からのものが占めていた。
北海道厚岸町のシングルシード(蛎殻を砕いたものに各一匹の幼生を付着させて育てたもの)のカキ「カキえもん」、三重県の「的矢カキ」、広島県の3倍体のカキ「カキ小町」など、各産地ごとにブランド化した牡蠣を売り出すなど、新しい動きもみられる。特に三重県の的矢牡蠣は生食かき養殖技術発祥の牡蠣である[1]。
香港郊外の流浮山は牡蠣の焼き物などの料理が有名な養殖地であったが、近くの深圳の工業化によって、海水の汚染がひどくなり、衰退している。
言語
派生義
日本語のアクセント
植物のカキ(柿)とは同音だが、共通語ではアクセントの位置が異なる。カキ (貝) の場合はカキであり、これは「夏季」「夏期」「下記」「火気」「花器」「火器」「花卉」等の熟語などとも同じ。他方、カキ(柿)はカキである(それぞれ太字にアクセント)。
漢字
「蠣」だけで牡蠣の意味を表す。しかし実際には「牡」の文字も用いて「牡蠣」と表記する。これは一般に貝は雌雄で色の異なる部分(サザエであれば「ふんどし」と呼ばれる部分)があり、白い物が雄と考えられていたのに対し、牡蠣は全身が白い(緑色をした牡蠣もあるがこれはえさの違いによるもので、あまり一般的ではない)ことから「牡しかいない貝」と誤解されたことに由来する。
実際に牡蠣の生殖巣においては精巣と卵巣がいりまじっていることもあり、その区別は肉眼では不可能で、顕微鏡を使用しなければならない。
中国語では「牡蠣」(ムーリー)も使われるが、専門用語的であり、口語では「蠔」、簡体字で「蚝」(ハオ)が用いられる。
閩南語や台湾語では「オーアー、台湾語仮名 オヲ15pxアア15px」と別の語が使われる。中国大陸では「蚝仔(蠔仔)」と表記し、台湾では同音の旁を使った「蚵仔」という方言字が作成された。
色
カキの身のような色として、生牡蠣色がある。
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