京成金町線
金町線(かなまちせん)は、京成高砂駅と京成金町駅を結ぶ、京成電鉄の鉄道路線。全線が東京都葛飾区内を走行する。
概要
営業キロ2.5kmの路線で、密集した住宅街に囲まれている。唯一の中間駅である柴又駅は、「柴又帝釈天」「葛飾柴又寅さん記念館」「矢切の渡し」などの最寄駅であることから、地元住民の利用に加えて柴又帝釈天への参拝客や、映画『男はつらいよ』関係地を巡る観光客の利用も多い。 京成高砂駅で京成本線・成田空港線(成田スカイアクセス)・北総線、と改札外で接続し、京成金町駅でJR常磐線(各駅停車)金町駅に駅外で接続する。
映画『男はつらいよ』でも、映画シーンの中でこの路線が多く登場した。主演の渥美清死去後の1996年8月には「ありがとう寅さん」、1998年8月には「おかえり寅さん」のヘッドマーク付き電車が、2008年には映画『男はつらいよ』公開40周年を記念したラッピング電車が運行された。2010年7月5日より、葛飾区のPRとして『男はつらいよ』および『こちら葛飾区亀有公園前派出所』のラッピング電車が運行されていたが[1]、ともに運行を終了している。
路線データ
- 路線距離:2.5km
- 軌間:1435mm
- 駅数:3駅(起終点駅含む)
- 複線区間:なし[注 1]
- 単線区間:全線[注 1]
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 保安装置:C-ATS(2010年7月3日に1号型ATSから変更)
- 最小曲線半径:160m
- 最高速度:75km/h
なお、当路線は東京都内の標準軌の路線としては、全区間・一部区間を含めて唯一の単線である[注 2]。京成高砂駅 - 柴又駅間は緩いカーブが続くが、柴又駅 - 京成金町駅間の柴又街道と併走する区間は直線であり、線形が良い。
運行形態
京成高砂駅付近の金町線高架化が完成した2010年7月5日に行われたダイヤ改正より、金町線は終日京成高砂 - 京成金町間の折り返し運行となり、京成高砂駅では他の路線と改札も分離した高架専用単式1面1線ホーム(5番線)を発着に使用し、平日朝夕は10分間隔、日中は15分間隔で運転されている。2012年10月21日のダイヤ改正時点では、平日ダイヤで89往復、土休日ダイヤで75往復が設定されている[2]。全線単線のため、早朝・深夜をのぞいて、元々複線区間の終点であった柴又駅で列車交換を行うダイヤとなった。
すべての列車が普通列車で、4両編成で運行される。
京成高砂駅の金町線高架化前は、日中は線内折り返しの普通列車が京成高砂駅の地上にあった島式の4番線ホーム(金町線専用ホームではなく、京成本線や北総線も発着していた)を利用して、20分間隔で運行され、通勤・通学時間帯のラッシュ時は10分間隔の運行となっていた。また京成本線京成上野駅と直通する列車が設定されていた。また少数ながら、押上線押上駅と直通する列車の設定もあった。本線・押上線に直通する列車は、全区間にわたって各駅に停車する普通列車として運転された。
臨時列車
現在他社線乗り入れはないが、1987年から1998年までの大晦日の終夜運転時に限り、京急線からの普通列車が都営浅草線・押上線を経由して京成金町まで4両編成で直通運転をしていた。長期に亘り運転をしていながら「金町」の方向幕を用意せず、サボを吸盤で先頭車に貼り付けていた。運行車両は京急旧1000形、1500形であったが、1998年のみ京急600形で運転された。
2009年の6月30日には青電塗装の3300形リバイバルカラー車両を用いた「京成創立100周年記念列車」が運行された。このときの種別は「特急」であったが金町線内は各駅に停車している。金町駅到着後は回送電車となり高砂検車区まで回送された。
金町線では、毎年1月の正月三が日と、7月の「葛飾納涼花火大会」で臨時列車を運転し、前者は日中10分間隔(2010年までは、通常20分間隔 2011年は、通常15分間隔)、後者は夜間10分間隔(通常は10 - 20分間隔)に増発される。
使用車両
- 3300形
- 前述のとおり、主に『男はつらいよ』、『こちら葛飾区亀有公園前派出所』ラッピングの編成が使用されていたが、『男はつらいよ』の3320編成は2013年2月15日をもって運用を離脱した。
- 3500形
- このほか、1999年2月中旬から8月上旬の間、3600形3668編成が暫定的に4両編成での営業運転で入線した。
歴史
京成金町線の起源は、柴又 - 金町間で人が車両を押して動かす人車軌道を運行していた帝釈人車鉄道である。1897年(明治30年)に日本鉄道により金町駅が開業し柴又帝釈天への参詣者が増加した。その交通の便を図ろうと1899年(明治32年)に帝釈人車鉄道が設立され、同年内に柴又 - 金町間で営業を開始した。線路は全線複線で、折り返しのため柴又駅・金町駅の終端部はループ線になっていた。客車は1両6人乗りで64両あり、通常1人で押していたという。1907年(明治40年)には帝釈人車軌道と社名を改めた。
1909年(明治42年)、成田山や柴又帝釈天の参詣客輸送を目的に、京成電気軌道(現在の京成電鉄)が設立された。京成電気軌道は、帝釈天を通り金町への路線を計画していたが、ルートが重なる帝釈人車軌道では軌道特許を京成電気軌道へ譲渡することに決め、1912年(明治45年)に譲渡した。
同年、京成電気軌道は後に押上線・本線の一部となる押上 - 市川(現在の江戸川)間と、支線として曲金(現在の京成高砂) - 柴又間を開業させた。翌1913年(大正2年)には柴又 - 金町間の人車の運行を終了し、単線電化で柴又 - 金町間を延伸して電車の運行を開始した。
2006年(平成18年)12月、京成電鉄は2010年(平成22年)7月の成田空港線開業に伴う踏切遮断時間増加防止策として[3]、本線高架化を待たずに金町線のみ京成高砂駅付近を高架化する計画を発表した[3]。高架化工事は2010年7月5日に完成した。
年表
- 1899年(明治32年)12月17日 - 帝釈人車鉄道(1907年(明治40年)から帝釈人車軌道)柴又 - 金町間開業。軌間610mm。
- 1912年(明治45年/大正元年)
- 1913年(大正2年)
- 1931年(昭和6年)11月18日 - 高砂駅を京成高砂駅、金町駅を京成金町駅に改称。
- 1945年(昭和20年)2月20日 - 全線を軌道法による軌道から地方鉄道法による鉄道に変更。
- 1959年(昭和34年)11月17日 - 全線を軌間1435mmに改軌。
- 2009年(平成21年)6月30日 - 京成創立100周年記念列車として3300形リバイバルカラー車による京成金町行臨時特急を運行。
- 2010年(平成22年)
駅一覧
駅番号 | 駅名 | 駅間キロ | 累計キロ | 接続路線 | 線路 |
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KS10 | 京成高砂駅 | - | 0.0 | 京成電鉄: 本線・ 成田空港線(成田スカイアクセス) 北総鉄道: 北総線 |
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KS50 | 柴又駅 | 1.0 | 1.0 | ◇ | |
KS51 | 京成金町駅 | 1.5 | 2.5 | 東日本旅客鉄道:常磐線(各駅停車)(金町駅) | | |
脚注
出典
注釈
参考文献
- 白土貞夫「帝釈人車軌道 客車に関するノート」
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』2004年12月号 No.755 p74 - p79、p104
- 池口英司「大手私鉄のローカル線めぐり2 京成電鉄金町線 京成高砂 - 京成金町」
- 交友社『鉄道ファン』2005年5月号 No.529 p135 - 139