海芝浦駅
海芝浦駅(うみしばうらえき)は、神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)鶴見線(海芝浦支線)の駅。海芝浦支線の終着駅である。JRの特定都区市内制度における「横浜市内」の駅として扱われている。東芝の社員または関係者でないと改札より東芝の構内に入れないが(後述)、海に面しているという特徴から一般客にも人気がある。
本項では、隣接の「海芝公園」についても取り扱うこととする。
歴史
- 1940年(昭和15年)11月1日 - 鶴見臨港鉄道の駅として開業(旅客営業のみ)。
- 1943年(昭和18年)7月1日 - 鶴見臨港鉄道の国有化により国鉄鶴見線の駅となる。
- 1971年(昭和46年)3月1日 - 無人駅となる。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、東日本旅客鉄道の駅となる。
- 2000年(平成12年) - 関東の駅百選に選定される。選定理由は、「近くに鶴見つばさ橋、遠くに横浜ベイブリッジを望むことのできる景観抜群な海に一番近い駅」であることから。
- 2002年(平成14年)3月22日 - ICカードSuica供用開始。
駅構造
単式ホーム1面1線を有する地上駅。終点側の端に改札口があり、自動券売機、簡易Suica改札機のみが置かれている。ホームが海(京浜運河)に面しているという非常に珍しい駅である。ホーム上には一部屋根があり、新芝浦駅同様、駅名標は簡易表示となっている。新芝浦駅から当駅までの路線、当駅の敷地は東芝の私有地となっている。トイレは設置されている。
路線 | 行先 |
---|---|
■鶴見線 | 国道・鶴見方面 |
特徴・駅周辺
東芝京浜事業所の敷地内にあり、駅の出口[1]がそのまま工場の門になっているため、基本的に海芝公園(後述)の利用者や東芝の社員や関係者で社員証か入門許可証を所持している者[2]や許可を受けた者[3]しか駅から出ることができないため、それら以外の者は事実上出られない(厳密には立ち入りできない)。事業所への外訪者は、新芝浦駅で下車し、京浜事業所の正門に回るように守衛から誘導される。このような性質から、朝夕の通勤時間以外の運転本数が極端に少なくなっているが、東芝の都合により土曜・日曜の業務や日中で終業となる際には臨時ダイヤでの運行もある。なお、切符回収箱や簡易Suica改札機・自動券売機が設置されているため、「形式上の」下車や、改札口の出場は可能である。ホームには、切符は守衛前の自動券売機で購入するよう案内する張り紙がされている。
利用状況
2008年度の1日平均乗車人員は3,250人である。無人駅のため、2009年度以降の乗車人員は公表していない。
近年の1日平均乗車人員推移は下記の通り[4]。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1991年(平成 | 3年)4,167 |
1992年(平成 | 4年)4,334 |
1993年(平成 | 5年)4,597 |
1994年(平成 | 6年)4,585 |
1995年(平成 | 7年)4,469 |
1996年(平成 | 8年)4,252 |
1997年(平成 | 9年)4,049 |
1998年(平成10年) | 3,936 |
1999年(平成11年) | 3,676 |
2000年(平成12年) | 3,451 |
2001年(平成13年) | 3,285 |
2002年(平成14年) | 2,670 |
2003年(平成15年) | 2,562 |
2004年(平成16年) | 2,827 |
2005年(平成17年) | 2,905 |
2006年(平成18年) | 2,951 |
2007年(平成19年) | 3,094 |
2008年(平成20年) | 3,250 |
メディアによる紹介
特徴的な要素を持つ駅であることから、メディアで何度か話題に取り上げられた。
テレビ番組でも度々採り上げられ、フジテレビ系列で放送されていた「交通バラエティ 日本の歩きかた」で紹介されたり、NHKの番組「列島縦断 鉄道乗りつくしの旅〜JR20000km全線走破〜」で紹介された際、旅人の関口知宏は本来入れない東芝工場の敷地内に入って説明を受けていた。
また、書物にも取り上げられている。笙野頼子の芥川賞受賞作『タイムスリップ・コンビナート』は「誰だかよくわからない人」からの電話で呼び出されて電車に乗って海芝浦駅へ向う様子を描写したものである。鉄道紀行文作家・宮脇俊三は、『時刻表2万キロ』の旅で初めてこの駅を訪れた後、「どこか旅へ行ってみたいが遠くへ行く時間のない人は、海芝浦駅へ行ってみると良い」とたびたび書いていた。西村京太郎は『運河の見える駅で』という題名で小説を書いている。内容は、日曜日に海芝浦駅を訪れたカップルが事件に巻き込まれる、というもの。
2012年公開の『僕達急行 A列車で行こう』では、小玉健太とその父が鉄工所について話しているときのシーンに使われた。
2014年に放送されたアニメ『RAIL WARS!』の第3話では作中にて事件が発生した場所として先述の特徴的な要素がトリックとして採用された。
海芝公園
海芝公園(うみしばこうえん)は、海芝浦駅に隣接する私設公園[5]。東芝京浜事業所が敷地の一部を使用し、運営・管理している。入園無料、開園時間は9時 - 20時30分。駅舎とホームの間に出入口がある。
東芝が当駅の待合客に憩いの場を提供したい[6][7]との考えから、敷地の一部を整備し「海芝公園」と名づけ、1995年(平成7年)5月に開園[8]し、一般客に開放している。その後、清涼飲料水の自動販売機も置かれるようになった。
2003年(平成15年)3月、東芝のグループ会社である東芝プラントシステムが開発したマイクロ風力発電システム「ウインドフラワー」の商用一号機が設置され稼動している[9]。
2006年(平成18年)5月、横浜市が2005年(平成17年)に提唱した「京浜の森づくり末広地区協働緑化宣言」に同社が賛同したことによる活動の一環として、海芝公園の拡張整備を行った[7][10][11]。
2007年9月の台風9号で大きな被害を受けたため一時閉鎖されていたが、2007年10月20日より再開されている。
この場所からの眺望は、東京湾が一望でき鶴見つばさ橋[12]など見晴らしがよいこともあり、地域住民の散歩・見学の場となっていたり[10][11]、小学校の写生に使用されたり[11]、2000年代においては女性・カップル・家族連れにも人気のある場所となっている[3][13]。
夜景の眺めもきれいと評判であり格別であるが、公園発着の交通手段が鶴見線のみであるため、当駅発の最終電車には十分注意する必要がある。2010年12月4日時点での平日ダイヤ時は22時29分、土休日ダイヤ時は公園の閉園(20時30分)から25分後の20時55分が当駅発の最終電車であるため、夜景見物で公園を訪れた際は、閉園後は速やかに鶴見駅方面に向かう必要がある。
なお、元日は初日の出を拝む客のために、始発電車の到着時に開園する。
検索ソフトの対応
ジョルダンから発売されている経路検索ソフト「乗換案内 時刻表対応版」では当駅の構内図が表示できるようになっている。
駅名の由来
東芝の前身の「芝浦製作所」と、この駅が海に接していることから名づけられた。
隣の駅
- 東日本旅客鉄道
- ■鶴見線(海芝浦支線)
- 新芝浦駅 - 海芝浦駅
脚注
- ↑ 引用エラー: 無効な
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タグです。 「gate
」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません - ↑ 降りられない駅! @nifty 2004年9月
- ↑ 3.0 3.1 海の上の終着駅 - 日経トレンディネット L-Cruise 2006年10月23日
- ↑ 横浜市統計ポータルサイト「JR在来線(乗車人員、一日平均)」
- ↑ 海芝公園1 - 横浜市市民局
- ↑ 平成17年度産業公害総合防止対策調査 ~閉鎖性水域の海域別対策検討調査(東京湾)~/報告書概要版(2)PDF 関東経済産業局 2006年(平成18年)3月
- ↑ 7.0 7.1 各グループ会社・事業場の活動:東芝京浜事業所 東芝公式サイト
- ↑ 東芝 京浜事業所 サイトレポート情報PDF [リンク切れ]
- ↑ 「ウィンドフラワー」独自開発のマイクロ風力発電装置の販売を開始 東芝プラントシステム 2003年(平成15年)4月18日
- ↑ 10.0 10.1 Report No.12 株式会社東芝 京浜事業所[リンク切れ] 横浜市 環境創造局 2008年5月22日
- ↑ 11.0 11.1 11.2 京浜事業所環境報告書 2008年度PDF 東芝公式サイト
- ↑ 【湾岸プロムナード】出られない駅(鶴見線・海芝浦駅)[リンク切れ] - MSN産経ニュース 2009年5月22日
- ↑ 電機連合の仲間たち 第8回 東芝労働組合 京浜支部[リンク切れ] - 電機連合 神奈川地方協議会 2008年11月17日