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== 法定義 == | == 法定義 == |
2020年1月12日 (日) 20:14時点における最新版
不動産会社(ふどうさんがいしゃ)とは、主として不動産の売買、交換、賃貸、管理及び、売買・交換・賃貸の代理もしくは仲介を行う会社のことである。そのうち、自ら開発、分譲を行うものはデベロッパーと呼ばれる。
目次
法定義[編集]
不動産会社が行う業務は幅広く多岐にわたることから、全体を明確に定義する法律は存在しない。
不動産会社を規制する法律のひとつに宅地建物取引業法があり、その第2条2項において宅地建物取引業のことを「宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行なうものをいう。」と定義しており、不動産賃貸業や不動産管理業のみを営む会社については宅地建物取引業者にあたらない。
また、分譲マンションの管理について近年関心が高まっているが、不動産管理業の中でも分譲マンションの管理を業として行う場合には、2000年に施行されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律によって規制される。ただし、賃貸マンションやオフィスビル、商業ビルなどの管理を業として行う場合には、規制の対象とはならない。
事業を規制する法律 | ||
---|---|---|
不動産取引業 | 建物売買業・土地売買業 | 宅地建物取引業法 |
不動産代理業・仲介業 | 宅地建物取引業法 | |
不動産賃貸業 | 不動産賃貸業 | - |
貸家業・貸間業 | - | |
駐車場業 | - | |
不動産管理業 | 分譲マンション | マンションの管理の適正化の推進に関する法律 |
賃貸住宅・オフィスビル等 | - |
業務に付随して、上記以外の各種法律の規制を受ける場合がある。
不動産業界[編集]
不動産業界は飲食店などと同じく参入が比較的容易であることから、中小の個人経営の会社まで含めると非常に裾野の広い業界である。また、不動産専業ではなく建設会社・工務店など施工業者がそのままマンションや建売住宅の分譲を行っているケースや、鉄道事業者や鉄鋼メーカーなど他業種の企業の一部門及び子会社が不動産事業を行っているケースも多く見られる。不動産業全体の売上高は約34兆円(平成19年)で、全産業に占める割合は2.3%。自動車製造業や運輸業、娯楽業などよりも市場規模は小さいが、鉄鋼業や飲食業、印刷業などよりも市場規模は大きい。
市場規模 (一部の産業を抜粋)
産業名 | 売上高 (単位:億円) |
構成比 |
---|---|---|
卸売業 | 4,319,343 | 27.3% |
小売業 | 1,653,518 | 10.5% |
建設業 | 1,350,155 | 8.5% |
運輸業 | 673,608 | 4.3% |
自動車・同附属品製造業 | 663,241 | 4.2% |
電気機械器具製造業 | 493,708 | 3.1% |
娯楽業 | 422,169 | 2.7% |
不動産業 | 370,946 | 2.3% |
飲食業 | 152,174 | 1.0% |
宿泊業 | 73,922 | 0.5% |
全産業 | 15,801,713 | 100.0% |
※資料 : 財務省「法人企業統計調査」(平成19年)より
事業規模・構成比[編集]
小規模の会社が多く、一事業所当りの平均従業者数は、全産業の平均9.7人と比べると非常に少ない。また、事業別の構成比は不動産賃貸業が最も多く、事業所数で約7割、従業員数で約5割を占める。
一事業所当たり 平均従業者数 |
事業所数 | 構成比 | 従業員数 | 構成比 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
不動産取引業 | 建物売買業・土地売買業 | 7.5人 | 18,018 | 5.6% | 20.3% | 135,408人 | 13.2% | 32.6% |
不動産代理業・仲介業 | 4.3人 | 46,987 | 14.7% | 200,580人 | 19.5% | |||
不動産賃貸業 | 不動産賃貸業 | 4.1人 | 48,726 | 13.6% | 70.9% | 178,734人 | 17.4% | 49.4% |
貸家業・貸間業 | 1.7人 | 147,331 | 46.0% | 254,340人 | 24.7% | |||
駐車場業 | 2.1人 | 36,099 | 11.3% | 74,940人 | 7.3% | |||
不動産管理業 | 6.6人 | 28,313 | 8.8% | 185,465人 | 18.0% | |||
不動産業全体 | 3.2人 | 320,474 | 100.0% | 1,029,467人 | 100.0% |
※資料 : 総務省「事業所・企業統計調査報告」(平成18年)より。国・地方公共団体を除く。
大手不動産会社の特徴[編集]
不動産業界は、古くから都心などの一等地を大量に保有していた旧財閥系企業と、沿線の住宅開発などを手がけてきた鉄道系企業が中心に大手を形成している。旧財閥系では丸の内エリアの一等地のほとんどを所有している三菱地所がその典型的な例である。 その他にも商社系・メーカー系・ゼネコン系・金融系企業などがある。
主な大手不動産会社[編集]
※時価総額ランキング(2013年12月末時点)順
順位 | 会社名 |
---|---|
1 | 三菱地所 |
2 | 三井不動産 |
3 | 住友不動産 |
4 | ヒューリック |
5 | イオンモール |
6 | 東急不動産ホールディングス |
7 | 飯田グループホールディングス |
8 | 東京建物 |
9 | 野村不動産ホールディングス |
10 | NTT都市開発 |
主な不動産会社の創業時期[編集]
会社名 | 創業時期 | |
---|---|---|
東京建物 | 1896年(明治29年) | 10月1日 |
ダイビル | 1923年(大正12年) | 10月15日 |
ヒューリック | 1931年(昭和6年) | 3月27日 |
三菱地所 | 1937年(昭和12年) | 5月7日 |
三井不動産 | 1941年(昭和16年) | 7月15日 |
平和不動産 | 1947年(昭和22年) | 7月1日 |
住友不動産 | 1949年(昭和24年) | 12月1日 |
サンケイビル | 1951年(昭和26年) | 6月11日 |
東急不動産 | 1953年(昭和28年) | 12月17日 |
野村不動産 | 1957年(昭和32年) | 4月15日 |
森ビル | 1959年(昭和34年) | 6月2日 |
森トラスト | 1971年(昭和46年) | 6月10日 |
主な不動産会社一覧[編集]
日本の企業一覧 (不動産) を参照
以下、デベロッパーとして業を営むもの。これらとは別に不動産流通業(物件の売買・賃借の媒介)やビルメンテナンス・マンション管理業を営むものは多数存在する(以下デベロッパーの関連会社として置かれている場合もある)。
- 旧財閥直系
- 鉄道系不動産会社(開発は鉄道会社本体の不動産事業部門が手がけるが、住宅の販売・媒介業務は不動産事業子会社に分担している例が多い)
- 総合商社系(伊藤忠商事以外の大手商社は自社の不動産部門でデベロッパー事業を営んでいる)
- メーカー系不動産会社
- ゼネコン系不動産会社
- 金融系不動産会社
- 平和不動産・野村不動産・オリックス不動産・ヒューリック(旧日本橋興業、みずほ銀行・みずほコーポレート銀行、旧富士銀系、芙蓉総合開発と合併)・興和不動産(みずほコーポレート銀行、旧興銀系)・日本土地建物(みずほ銀行、旧第一勧銀(勧銀)系)・中央不動産(みずほ銀行、旧第一勧銀(第一銀)系)・日新建物(みずほ銀行、旧第一勧銀(勧銀)系)・清和綜合建物(みずほ銀行、旧第一勧銀(第一銀)系)・銀泉(三井住友銀行、旧住銀系)・京阪神不動産(三井住友銀行、旧住銀・住友系)・京阪神興業(三井住友銀行、旧神戸銀系)・神戸土地建物(三井住友銀行、旧神戸銀系)・陽栄(三井住友銀行、旧太陽銀系)・室町殖産(三井住友銀行、旧三井銀・三井系)・ホウライ(三井住友銀行、旧三井銀(十五銀)系)・栄泉不動産(ゴールドマンサックスグループ・住友生命、元住友系)・丸の内よろず(三菱東京UFJ銀行、旧三菱銀・三菱系)・千歳興産(三菱東京UFJ銀行、旧三菱銀系)・綜通(三菱東京UFJ銀行、旧東銀系)・新東昭不動産(三菱東京UFJ銀行、旧東海銀系)・東洋不動産(三菱東京UFJ銀行、旧三和銀系)・オークラヤ住宅(三菱東京UFJ銀行、旧三和銀系)・安田不動産(損保ジャパン・明治安田生命ほか旧安田財閥系各社)・新星和不動産(大林組・日本生命・みずほコーポレート銀行ほか、設立母体が旧日本生命系(旧星和住宅・星和地所・新星開発))・第一ビルディング(第一生命保険)・相互住宅(第一生命保険)・大星ビル管理(日本生命・大林組・旧UFJグループ(旧三和グループ))・星光ビル管理(日本生命・大林組・旧UFJグループ(旧三和グループ)・大栄不動産(埼玉りそな銀行、旧埼玉銀行系))
- その他企業グループ系列不動産会社
- 外資系不動産会社
- 独立系不動産会社
- マンション系ゼネコン(デベロッパー兼務)
- マンション専業デベロッパー
- 賃貸アパート専業デベロッパー
- 事業分野特化型(投資運用など)の不動産会社
- 上記分類に属さない大手・中堅デベロッパー
不動産バブル[編集]
2002年からの好景気(いざなみ景気)の長期化により、大都市圏のオフィスビルの空室率や失業者率が低下し、個人では団塊の世代の大量退職・住宅ローンの貸出金利が低く推移したこと、不動産(オフィス・商業施設・住宅・リゾート)に対する需要が増加した事に加え、J-REIT(証券化)や特定目的会社という新たな資金調達手段が登場したことにより不動産投資マネーが飛び交うようになり、大型物件の開発や既存不動産の売買が相次ぐなど不動産関連企業の収益や新規参入が増加するといった活況を呈し、「不動産バブル」と言える状態となっていった。
しかし、2007年8月にサブプライム問題が発生。2008年9月の世界金融危機が追い打ちをかけ、金融機関や投資家がデベロッパー向け投融資を急激に縮小させたことから上場会社・地域の有力会社を問わず倒産する企業が相次ぎ、不動産会社に連鎖して中小ゼネコンの倒産も発生している[1]。2010年に入っても不動産不況は終わりを見せず、上場企業や地域の有力デベロッパーの経営破綻が相次いだ。
主な倒産企業[編集]
サブプライム問題発生以降に倒産した上場不動産会社および主な非上場不動産会社は以下の通り。下記各社の負債総額は帝国データバンクおよび東京商工リサーチ調べによる。
- 2008年
- 2月
- 3月
- 5月
- 6月
- 7月
- 8月
- アーバンコーポレイション(東証1部、民事再生) 2008年8月
- 創建ホームズ(東証1部、民事再生) 2008年8月
- 連鎖で新井組(民事再生、2008年10月)。
- 新井組への焦付が発生した山﨑建設が2008年10月に会社更生法の適用を申請(前掲済)。
- 連鎖で新井組(民事再生、2008年10月)。
- セボン(負債総額621億円、民事再生) 2008年8月
- 9月
- 10月
- エルクリエイト(JASDAQ、破産) 2008年10月
- ニューシティ・レジデンス投資法人(東証REIT市場、民事再生) 2008年10月
- ノエル(東証2部、破産) 2008年10月
- 康和地所(負債総額143億円、民事再生) 2008年10月
- ダイナシティ(JASDAQ、民事再生) 2008年10月
- 11月
- 環商事(負債総額158億5000万円、破産) 2008年11月
- モリモト(東証2部、負債総額1615億2000万円、民事再生) 2008年11月
- 12月
- 2009年
- 1月
- みどり建設興業(負債総額19億円、破産) 2009年1月
- トップハウス(負債総額76億円、破産) 2009年1月
- 中央興産(負債総額48億円、破産) 2009年1月
- 連鎖でグループ企業の中央都市開発(破産、2009年1月)、中央商事(破産、2009年1月)。
- ランドクリエーション(負債総額15億円、破産) 2009年1月
- 日本クリエイト(負債総額30億円、破産) 2009年1月
- 東新住建(JASDAQ、負債総額491億円、民事再生) 2009年1月
- クリード(東証1部、負債総額650億円、会社更生) 2009年1月
- ジョー・コーポレーション(負債総額90億円、民事再生) 2009年1月
- 章栄不動産(負債総額292億円、民事再生) 2009年1月
- シックス(負債総額50億円、破産) 2009年1月
- 連鎖でグループ企業のシックスサービス(破産、2009年1月)、シックスエージェンシー(破産、2009年1月)。
- エス・シージャパン(負債総額43億円、破産) 2009年1月
- ミヤビエステックス(負債総額205億5400万円、民事再生) 2009年1月
- 栄泉不動産(負債総額580億円、民事再生)
- 富士ハウス(負債総額358億円、破産) 2009年1月
- 連鎖でグループ企業の日京(破産、2009年1月)、サニー(破産、2009年1月)。
- 2月
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ 新興不動産会社ピンチ サブプライムの影響で破綻相次ぐ[リンク切れ]産経新聞、2008.7.19