「ヒトラーのキンタマ」の版間の差分
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「ヒトラーのキンタマ」(Hitler has only got one ball、ヒトラーにはひとつしかキンタマがない)とはケネス・アルフォード作曲『ボギー大佐』に下品な歌詞を付けた歌である。第二次世界大戦中のイギリス軍兵士の間で広まった。歌詞はドイツの指導者を揶揄する四行詞であるが、さまざまなバリエーションがある。
目次
[非表示]起源[編集]
アイルランド系イングランド人の情報筋にして広告業のドノー・オブライエンの自伝『Fringe Benefits』によると、この歌の起源はドノーの父でやはり広告代理店業であったトビー・オブライエンが、1939年8月にイギリスのプロパガンダとして書いたものとしている。
この主張するところによるとオリジナル版は「ゲーリングのキンタマは1つだけ」という行で始まり、ヒトラーは小さいのを2つ持っていたと続く。ほとんど全ての後の版では、これは逆になっている。
全ての版でヒムラーは「sim'lar (似たようなもの)」という言及が共通している。オリジナルとその後の一部の版では、最後の行はゲッベルスは「no balls (タマ無し)」という巧みな言葉遊びで終わっている。これらのバリエーションは、オブライエンの版が非常に早い時期のものであるという説を強力に支持する。
オブライエンの主張は確証されていないが、より知名度が高い「ヒトラーのキンタマは一つだけ」で始まる歌詞の作者も特定されていない。この歌詞または音楽に著作権を主張する試みも知られていない。
歌詞[編集]
どの版も『ボギー大佐』の曲に乗せて歌う。
トビー・オブライエンのオリジナルとされる版[編集]
Göring has only got one ball
Hitler's [are] so very small
Himmler's so very similar
And Goebbels has no balls at all!
ゲーリングのキンタマは1つだけ
ヒトラーのはすごく小さい
ヒムラーのもほとんど同じ
そしてゲッベルスはタマが無い
バリエーション[編集]
バリエーション1 (最もよく知られたもの)[編集]
Hitler has only got one ball,
Göring has two but very small,
Himmler is rather sim'lar,
But poor old Goebbels, has no balls, at all.
ヒトラーのキンタマは1つだけ
ゲーリングのは2つあるがすごく小さい
ヒムラーのもだいたい同じ
哀れなゲッベルスにはタマが無い
(1行目はone left ball, one brass ball, one big ballになっているものもある。「V」に登場したのはほぼこの版と同じ)
諸メディアにおけるヒトラーのキンタマ[編集]
この歌は諸メディアで頻繁に現れている。
- 1957年の映画『戦場にかける橋』中の有名な『ボギー大佐』のカットではこの歌詞は登場していない。あまりに下品であると考えられたためである。しかし、連合軍の捕虜が歌っているのが『ヒトラーのキンタマ』であることは映画を見たイギリス人なら歌がなくても察することができるのである。
- 「It Ain't Half Hot Mum」と「Goodnight Sweetheart」の中では、この歌詞そのものは出てこないが明らかにそれをほのめかしている。前者では特務曹長がバンドが最後のコンサートを終えたことを嘆いて『ボギー大佐』の曲をハミングし、「歌詞がどんなだかは誰だって知っとる!」と言う。
- トマス・ピンチョンは彼の小説『V.』で歌詞を引用し、マルタのイギリス軍砲兵に歌わせている。
- ベット・ミドラーは彼女のコンサートフィルム『Divine Madness』で、この歌詞を歌っている。
- イギリスのテレビのシチュエーション・コメディ『Allo Allo!』でこの歌詞が登場した。
- チェコ映画『ダーク・ブルー』(2001年)に登場。
- アメリカの小説家ジョン・ノウルの小説『A Separate Peace』を映画化した1972年の映画で歌われた(小説中ではこの歌は登場しない。映画中の曲も『ボギー大佐』ではない)。
- 2000年、Vertigoのミニシリーズ『Adventures in the Rifle Brigade』で登場。後続のミニシリーズ『Operation Bollock』では失われた睾丸が物語の中心的なプロットデバイスになっている。
- 2003年、イギリスのビール・スピットファイアの広告「ボトル・オブ・ブリテン」で登場。第三帝国の制服に身を包んだヒトラーの写真に「Spot the ball (タマを探せ)」というキャプションが添えられていた。この広告は、印刷メディアの「Spot the ball」コンペティション(ボールだけ修正で消してあるサッカーの試合のある瞬間の写真を読者に見せて、ボールのある位置を当てさせる企画)と掛けている。
- BBCテレビのコメディー番組『Alas Smith and Jones』中のある回でメル・スミスとグリフ・ライズ・ジョーンズが戦争の頃を回想し、その時代の歌を歌う。スミスは「White Cliffs of Dover」や「We'll Meet Again」感傷的に歌うが、ジョーンズが「ヒットラーのキ……」と歌い始めたときにそれを止める。
- BBCテレビのコメディー番組『Two Point Four Children』では(バーバラ・ロットが演じる)おばあさんが友人との会話の中でゲッベルスに言及し、「タマが無かったんですって?」と質問する。
- BBCテレビのシチュエーション・コメディ『The New Statesman』の登場人物が冷凍保存されたヒトラーの性器を目撃したとき、「しかし1つしかないじゃないか!」と驚いて叫ぶ。
ヒトラーの睾丸は本当に一つだけだったのか?[編集]
戦後すぐに行われたとされるソ連によるヒトラーの死体解剖によると、ヒトラーは単睾丸であったと主張している。しかし大部分の歴史家はこの言及をプロパガンダとして退けている。この解剖は1970年頃になって初めて公開されたものである。しかしその一方、記録によるとヒトラーは1916年にソンムの戦いで負傷しており、一部の情報源では彼の負傷は鼠径部だったとしている。第一次世界大戦中のヒトラーの中隊長は、性病検査のときにヒトラーには睾丸が1つしかないことが見つかったと言っている。ロバート・G・L・ウェイトは著書『The Psychopathic God: Adolf Hitler』(1978年)でこの証拠の正確さを認めている:
子供時代以降のヒトラーの心理的成長にとって相当に重要な問題であるから、ここで一旦本題を措いて、総統の睾丸問題について考察しよう。ここで、イギリス歩兵はボギー大佐の一行目について全く正鵠を得ていたと断言できるが、最後の行については明らかに間違っている。すなわち、ゲッベルスの6人の子供が養子か代理母か、考えたくも無い「Gott mit uns」型の神の仲裁でもない限りである。
赤軍病理学者によるヒトラーの死体解剖は明瞭な結果を得た:
左の睾丸は陰嚢、鼠蹊部の精索、小骨盤腔のいずれの中にも発見できなかった。
この問題について、1970年代初期のイギリスの雑誌ニュー・ステーツマン誌の投書欄で数週間に渡り議論が行われたことがあるが、すべての投書がソ連の解剖を本当だと受け止めていた。ある者は、イギリスの情報部がヒトラーが単睾丸だったことを発見し、ヒトラーを一層怒らせるために歌にしたのではないかと主張した。また、それはただの偶然の一致だという者もおり、さらにナポレオンについても同様の歌があったと主張する者すらいる(この主張はたぶん嘘)。英語圏の話者は「ゲッベルス (Goebbels)」を正しく発音できず、「ゴーボールズ」のように発音するため、これが「ノーボールズ (no balls)」の着想を呼んだのだと言うものもいる。(この一連の投書は、不法入国者が拘留されているとされる状況についての問題提起と、ヒトラーの睾丸より重要な問題があるという指摘の投書により、ある意味終息した)
不幸にして、ソ連のヒトラー解剖は真実と取ることはできない。なぜなら、ヒトラーの自殺後、死体は完全に焼却されており、医師が分析できないほどわずかしか残っていなかった。いわんや、さような小さな部位に言及できる道理がないのである。
コメット[編集]
一方、アメリカ合衆国では「ボギー大佐マーチ」の替え歌は「コメット」(en:Comet (song))がよく知られている。これは、北米で販売されているコメットという家庭用粉末クレンザーの有害性を歌詞にしている。
この歌の中で嘔吐について言及されているが、これは伝統的なコメットについて言えば理にかなっている。というのは、この製品の使用上の注意には、飲み込んだときに吐くことについて何も書かれていないからである。多くのコメットブランドの製品(風呂場用洗剤スプレーなど)の注意書きには、「飲み込んだ場合には、中毒救急センターか医師の指示があるまで吐かせないでください」と書かれている。
「コメット」の歌詞にはさまざまなバリエーションがあるが、最も普通の版では次の通りである:
Comet—it makes your mouth turn green.
Comet—it tastes like Listerine (or Gasoline or Kerosene)
Comet—it makes you vomit
So eat some Comet and vomit today.
コメット、口が緑になる
コメット、灯油の味がする
コメット、飲んだら吐く
今日もコメット飲んでゲロ吐こう
日本での状況[編集]
日本においては、1963年にNHKみんなのうたで「口笛吹いて」のタイトルで中原光夫作詞によるヒトラーとは無関係なオリジナル歌詞のマーチとして放映されたため、中高年層には原曲の「ボギー大佐」の歌詞として、この中原光夫版歌詞が定着している。 ただし、現在では若年層を中心に無意味な替え歌の歌詞が広まっており、「サル・ゴリラ・チンパンジー」など霊長類の動物名を列挙されることが多い[1][2]。
出典[編集]