「無所属倶楽部」の版間の差分
| 1行目: | 1行目: | ||
| − | '''無所属倶楽部'''（むしょぞくくらぶ）は、[[ | + | '''無所属倶楽部'''（むしょぞくくらぶ）は、[[帝国議会]]の会派。[[貴族院_(日本)|貴族院]]と[[衆議院]]の双方に存在した。 |
| − | [[滝正雄]]・[[小山松吉]]両名を世話人として、[[後藤文夫]]・[[広田弘毅]]・[[松本烝治]]・[[安井英二]]・[[吉田茂_( | + | == 貴族院の無所属倶楽部 == |
| + | [[1941年]][[4月30日]]より[[1947年]][[5月3日]]の[[日本国憲法]]公布まで存在していた貴族院の[[院内会派]]。 | ||
| + | |||
| + | [[滝正雄]]・[[小山松吉]]両名を世話人として、[[後藤文夫]]・[[広田弘毅]]・[[松本烝治]]・[[安井英二]]・[[吉田茂_(内務官僚)|吉田茂]]・[[千石興太郎]]ら23名によって結成される。政党色の希薄な[[官僚]]出身の[[勅撰議員]]が中心となった会派であったが、広田による[[東郷茂徳]]・[[石黒忠篤]]の勧誘や[[小林一三]]・[[鮎川義介]]などの[[実業家|財界人]]の入会もあって[[1945年]]頃には31名にまで膨らんだ。 | ||
しかし、戦後主要メンバーの多くが[[A級戦犯]]容疑者とされたり、[[公職追放]]の対象とされたために大打撃を蒙る。[[南原繁]]・[[佐々木惣一]]・[[我妻榮]]らの補充議員の加入はあったものの、22名の小会派のまま貴族院の廃止とともに消滅した。 | しかし、戦後主要メンバーの多くが[[A級戦犯]]容疑者とされたり、[[公職追放]]の対象とされたために大打撃を蒙る。[[南原繁]]・[[佐々木惣一]]・[[我妻榮]]らの補充議員の加入はあったものの、22名の小会派のまま貴族院の廃止とともに消滅した。 | ||
| + | |||
| + | == 衆議院の無所属倶楽部 == | ||
| + | [[1945年]][[11月26日]]より存在した衆議院の院内会派<ref name="戦時議会史">『戦時議会史』、538-539頁。</ref>。<!--1946年に実施された第23回衆議院議員総選挙の前には消滅或いは解散したと思いますが、信頼できる情報源により消滅年月日or解散年月日を検証できなかったので衆議院の無所属倶楽部の消滅年月日or解散年月日は記載しません。--> | ||
| + | |||
| + | [[第二次世界大戦]]終戦後の政党復活に伴い、戦前は非合法政党だった[[日本共産党]]が合法政党として再建され、合法[[無産政党]]に所属していた議員により[[日本社会党]]が、[[同交会]]<ref>政党解消後に旧政友会正統派[[鳩山一郎]]系の議員が中心となって結成された院内会派。</ref>に所属していた議員や[[第21回衆議院議員総選挙|翼賛選挙]]で非推薦候補として当選した議員によって[[日本自由党_(1945-1948)|日本自由党]]が、[[大日本政治会]]に所属していた議員<ref>特に翼賛選挙で翼賛政治体制協議会の推薦候補として当選した議員が進歩党結党の中心となった。</ref>によって[[日本進歩党]]が結党されたが、これらのいずれにも入党することを快しとせず<ref name="戦時議会史"/>、敗戦した[[日本]]の[[政治家]]が自らの政治責任を明らかにしない中で政党の再建に進むことは妥当ではない<ref name="戦時議会史"/>、寧ろ衆議院議員は敗戦の責任を負って総辞職すべきであるとの考えを持った92名の議員によって結成される<ref name="戦時議会史"/>。[[中谷武世]]・[[赤城宗徳]]・[[船田中]]・[[小山亮]]・[[今井新造]]・[[中原謹司]]・[[赤木桁平|池崎忠孝]]・[[池田正之輔]]・[[井野碩哉]]・[[永山忠則]]・[[鈴木正吾]]・[[橋本欣五郎]]・[[浜田尚友]]・[[有馬英治]]・[[高岡大輔_(政治家)|高岡大輔]]ら旧[[護国同志会]]の議員<ref name="戦時議会史"/><ref>但し旧護国同志会の議員でも[[木村武雄]]は自由党の結党に、[[杉山元治郎]]・[[三宅正一]]・[[川俣清音]]・[[前川正一]]は社会党の結党に参加した。</ref>、[[蝋山政道]]・[[菅野和太郎]]・[[稲葉圭亮]]・[[永野護_(政治家)|永野護]]ら旧[[翼壮議員同志会]]の議員<ref name="戦時議会史"/><ref>但し旧翼壮議員同志会の議員でも[[宇田耕一]]は進歩党の結党に参加した。</ref>、[[肥田琢司]]・[[岡田忠彦]]・[[津雲国利]]・[[西村茂生]]・[[東条貞]]ら旧[[立憲政友会]]正統派[[久原房之助]]系の議員<ref>但し旧政友会正統派久原系の議員でも[[依光好秋]]は進歩党の結党に参加した。</ref>が中心となり、[[尾崎行雄]]・[[三木武夫]]・[[川島正次郎]]・[[黒澤酉蔵]]らが加わって1945年11月26日付けで会派の結成を衆議院事務局に届け出た<ref name="戦時議会史"/>。 | ||
| + | |||
| + | 同年12月に、旧護国同志会系の議員や黒澤らが[[日本協同党]]を結党したが<ref name="戦時議会史"/>、協同党の結党に参加した議員は院内では独自の会派を結成せず協同党の結党以前同様無所属倶楽部に所属していた。 | ||
== 参考文献 == | == 参考文献 == | ||
| − | *『議会制度七十年史（6）政党会派篇』（1961年、衆議院） | + | * 『議会制度七十年史（6）政党会派篇』（1961年、衆議院） |
| + | * 中谷武世 著 『戦時議会史』（1974年、民族と政治社） | ||
| + | |||
| + | == 脚注・出典 == | ||
| + | {{脚注ヘルプ}} | ||
| + | {{Reflist}} | ||
== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
| − | *[[無所属クラブ]] | + | * [[無所属クラブ]] |
{{DEFAULTSORT:むしよそくくらふ}} | {{DEFAULTSORT:むしよそくくらふ}} | ||
[[Category:昭和時代戦前の政党・会派]] | [[Category:昭和時代戦前の政党・会派]] | ||
[[Category:貴族院 (日本)の院内会派]] | [[Category:貴族院 (日本)の院内会派]] | ||
2013年12月24日 (火) 23:46時点における最新版
無所属倶楽部（むしょぞくくらぶ）は、帝国議会の会派。貴族院と衆議院の双方に存在した。
貴族院の無所属倶楽部[編集]
1941年4月30日より1947年5月3日の日本国憲法公布まで存在していた貴族院の院内会派。
滝正雄・小山松吉両名を世話人として、後藤文夫・広田弘毅・松本烝治・安井英二・吉田茂・千石興太郎ら23名によって結成される。政党色の希薄な官僚出身の勅撰議員が中心となった会派であったが、広田による東郷茂徳・石黒忠篤の勧誘や小林一三・鮎川義介などの財界人の入会もあって1945年頃には31名にまで膨らんだ。
しかし、戦後主要メンバーの多くがA級戦犯容疑者とされたり、公職追放の対象とされたために大打撃を蒙る。南原繁・佐々木惣一・我妻榮らの補充議員の加入はあったものの、22名の小会派のまま貴族院の廃止とともに消滅した。
衆議院の無所属倶楽部[編集]
第二次世界大戦終戦後の政党復活に伴い、戦前は非合法政党だった日本共産党が合法政党として再建され、合法無産政党に所属していた議員により日本社会党が、同交会[2]に所属していた議員や翼賛選挙で非推薦候補として当選した議員によって日本自由党が、大日本政治会に所属していた議員[3]によって日本進歩党が結党されたが、これらのいずれにも入党することを快しとせず[1]、敗戦した日本の政治家が自らの政治責任を明らかにしない中で政党の再建に進むことは妥当ではない[1]、寧ろ衆議院議員は敗戦の責任を負って総辞職すべきであるとの考えを持った92名の議員によって結成される[1]。中谷武世・赤城宗徳・船田中・小山亮・今井新造・中原謹司・池崎忠孝・池田正之輔・井野碩哉・永山忠則・鈴木正吾・橋本欣五郎・浜田尚友・有馬英治・高岡大輔ら旧護国同志会の議員[1][4]、蝋山政道・菅野和太郎・稲葉圭亮・永野護ら旧翼壮議員同志会の議員[1][5]、肥田琢司・岡田忠彦・津雲国利・西村茂生・東条貞ら旧立憲政友会正統派久原房之助系の議員[6]が中心となり、尾崎行雄・三木武夫・川島正次郎・黒澤酉蔵らが加わって1945年11月26日付けで会派の結成を衆議院事務局に届け出た[1]。
同年12月に、旧護国同志会系の議員や黒澤らが日本協同党を結党したが[1]、協同党の結党に参加した議員は院内では独自の会派を結成せず協同党の結党以前同様無所属倶楽部に所属していた。
参考文献[編集]
- 『議会制度七十年史（6）政党会派篇』（1961年、衆議院）
- 中谷武世 著 『戦時議会史』（1974年、民族と政治社）
