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− | 竜を描く場合、最高位である五本指の竜(五爪の竜)は、中国の[[皇帝]]しか使うことが出来なかったという説がある。この説によるとこれは[[中華思想]]が元にあり、皇帝の威厳を保つ役割もあったとされる<ref></ref>。もっともこの説には反証として例外も多く確認されている。例えば京都の天龍寺にある天井画の龍は5本爪である。 | + | 竜を描く場合、最高位である五本指の竜(五爪の竜)は、中国の[[皇帝]]しか使うことが出来なかったという説がある。この説によるとこれは[[中華思想]]が元にあり、皇帝の威厳を保つ役割もあったとされる<ref>{{ Citation |
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勿論現在はそのような取り決めはなく、誰でも自由に描くことができる。 | 勿論現在はそのような取り決めはなく、誰でも自由に描くことができる。 | ||
2018年5月8日 (火) 23:51時点における最新版
龍は、この項目へ転送されています。歴史漫画については龍-RON-をご覧ください。 |
この項目では、中国由来の伝説生物について説明しています。西洋の伝説生物については「ドラゴン」をご覧ください。 |
竜(りゅう、りょう、テンプレート:ピン音)は中国の伝説上の生物である。古来神秘的な存在として位置づけられてきた。
旧字は「龍」だが字としては「竜」のほうが古く、甲骨文字から使われている。荘厳にするため複雑にしたのが「龍」である。「龍」は今日でも広く用いられ、人名用漢字にも含まれている。
ドラゴンの訳語として「竜」が用いられるように、巨大な爬虫類を思わせる伝説上の生物全般を指す場合もある。さらに、恐竜をはじめとする化石爬虫類の種名や分類名に用いられる saurus (ギリシア語でトカゲの意)の訳語としても「竜」が用いられている。このように、今日では広範な意味を持つに至った「竜」であるが、本項では、中国の伝説に起源を持つ竜を説明する。
概要[編集]
竜は神獣・霊獣であり、『史記』における劉邦出生伝説以来、中国では皇帝のシンボルとしてあつかわれた。水中か地中に棲むとされることが多い。その啼き声によって雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔すると言われる。
「竜に九似あり」とされ、角は鹿、頭は駱駝、眼は鬼(注:中国で言う「鬼」は幽霊のこと)あるいは兎、体は大蛇、腹は蜃(この場合の蜃は蛤ではなく蛟の意)、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似るという。また口辺に長髯をたくわえ、喉下には一尺四方の逆鱗があり、顎下に宝珠を持っていると言われる。秋になると淵の中に潜み、春には天に昇るとも言う。
十二支に各々動物が当てはめられた際、唯一採用された伝説上の生物である。後漢の王充『論衡』言毒篇に「辰為龍、巳為蛇。辰、巳之位在東南」とあるのが、確かめられる最も古い記述である。なぜ辰だけが想像上の動物になったのかはいまだに議論の的であり、定説がない。
ワニ学者の青木良輔は、竜の起源は、古代に長江や漢水に実在したワニの一種(マチカネワニ)であり、寒冷化により絶滅した後、伝説化したものだと主張している[1]。これは現在残っている竜の図像の歴史的変化からも窺えるとのことである。
インドの竜[編集]
竜の起源は中国だが、インドの蛇神であり水神でもあるナーガの類も、仏典が中国に伝わった際、「竜」「竜王」などと訳され、八部衆の一として組み込まれた。そうした関係から、仏教伝来以後の中国の竜もまた、蛇神ナーガのイメージから多大に影響を受けたことは想像に難くない。たとえば道教における竜王は、ほとんどインドのナーガラージャと同じ性質を持つ。ちなみに日本でヒンドゥー教など他の聖典や文学などを翻訳する場合でも、それらインドの神格を「蛇」ないし「竜」とするのが通例となっている。
竜にも善悪あり、法行・非法行竜があるとされる。また竜には、1つに熱風熱沙に焼かれる苦悩、2つに住居を悪風が吹きさらし宝を失い衣が脱げる苦悩、そして3つ目に金翅鳥(こんじちょう、迦楼羅)に食される苦悩があるとされる(ただし阿耨達池に住む竜王にはこの苦悩はない)。
仏教では、釈迦が生誕した際に2匹の竜が清浄水を潅ぎ、成道時に7日間の降雨を身に覆って守護した、また仏が毒龍を降伏させたり盲竜を治癒させるなどの多くの説話がある。また法華経提婆達多品では、8歳の竜女の成仏が説かれている。
日本の竜[編集]
様々な文化とともに中国から伝来し、元々日本にあった蛇神信仰と融合した。中世以降の解釈では日本神話に登場するヤマタノオロチも竜の一種とされることがある。古墳などに見られる四神の青竜が有名だが、他にも水の神として各地で民間信仰の対象となった。九頭竜伝承はとくに有名である。灌漑技術が未熟だった時代には、干ばつが続くと竜神に食べ物や生け贄を捧げたり、高僧が祈りを捧げるといった雨乞いが行われている。有名なものでは、神泉苑(二条城南)で弘法大師が祈りを捧げて善女竜王(清瀧権現)を呼び、雨を降らせたという逸話がある。
日本国内には、京都の相国寺、日光東照宮の薬師堂、長野県の妙見寺など3箇所の寺院で「鳴竜」などと呼ばれる仕掛けがある。これは堂宇の天井に大きな龍の絵が描かれており、この真下で拍子木を打ったり拍手をするとパァァーンと響き、それが竜が鳴いているように聞こえるものである。かつて青森県にも竜泉寺にこの鳴竜があったが焼失して現在はない。
竜の指[編集]
竜を描く場合、最高位である五本指の竜(五爪の竜)は、中国の皇帝しか使うことが出来なかったという説がある。この説によるとこれは中華思想が元にあり、皇帝の威厳を保つ役割もあったとされる[2]。もっともこの説には反証として例外も多く確認されている。例えば京都の天龍寺にある天井画の龍は5本爪である。 勿論現在はそのような取り決めはなく、誰でも自由に描くことができる。
竜にちなんだ比喩・言葉[編集]
- 竜は帝王の象徴とされるため、帝王にまつわるものには「竜」がつくことが多い。「竜影」(帝王の姿)、「竜顔」(帝王の顔)、「袞竜(こんりょう)」(帝王の衣服。「袞竜の袖にすがる」といえば帝王に助けを求めるという意味になる)、「竜袍(りゅうほう、ロンパオ、longpao)」(清朝の皇帝の着る黄色の緞子の着物)。
- 「竜」は偉大な動物とされるため、漢字文化圏では人名によく使用される。
- 鯉の滝昇りは、鯉が滝を上ると竜になる登竜門という中国の故事伝承にちなむ。
- 中国では、恐竜など大型動物の化石は竜の骨(竜骨)と信じられ、長く漢方の材料として使用された。
- 竜のあごには一枚だけ逆さになった鱗があり、これに触ると必ず殺されるという。詳しくは逆鱗を参照。
- 風水における気の流れは竜脈と称された。
- 日本列島はその形状から竜と称されることがあり、例えば「日本沈没」(小松左京)では物語終盤の日本が沈没する節に竜の死というタイトルを付けている。同じく小松左京による自己パロディ作品「日本漂流」では、日本列島の下には本当に竜がいてそれをうっかり突いたために日本が世界中を泳ぎ回る。Archultragigantonamasaurus nipponicus という名が与えられていた。
- 黄河は古来よりその形状から竜に喩えられた。
- 中国の古琴や和楽器の箏は、竜に見立てられており、「竜角」、「竜尾」、「竜眼」など多くの部分が竜の体の部分にちなんだ名称で呼ばれる。
- 将棋で竜とは飛車が成った駒である竜王の略称。ちなみに角行の成ったものは竜馬(りゅうま)だが、こちらの略称は馬(うま)。
- 麻雀では三元牌を竜に喩えることがある(三元牌は英語でDragon tiles)。またドラは三元牌を「ドラゴン」と呼んだことに由来したもの。
- 日本の漫画作品「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」に登場する架空の剣術「飛天御剣流」はその剣の動きを竜に見立てており、登場する技は竜にちなんだ名前が付けられている。(「龍槌閃」「九頭龍閃」「天翔龍閃」他)
名前の一部に竜を持つ生物[編集]
竜(りゅう、あるいはたつ)の名を持つ生物を挙げる。特にタツノオトシゴはその形があまりにも魚らしくなく、顔立ちが竜に似るとして、辰年の干支の絵柄としても使われることが多い。
- タツノオトシゴ・タツノイトコ
- リュウノヒゲモ
- タツノツメガヤ
各種の竜[編集]
参考文献[編集]
- ↑ 青木良輔 (2001) 青木良輔 [ ワニと龍 - 恐竜になれなかった動物の話 ] 平凡社 2001 978-4582850918
- ↑ 宮崎市定 (1995) 宮崎市定 龍の爪は何本か [ 中国文明論集 ] 岩波書店 1995 978-4003313312 343-344
関連項目[編集]
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