雨乞い

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雨乞い(あまごい)とは、日照り(干ばつ)が続いた際にを降らせるため行う呪術的・宗教的な儀礼をいう。祈雨(きう)ともいう。雨乞いは、農耕民・狩猟民・牧畜民を問わず、世界各地で見られる。当然、熱帯乾燥地域で特に盛んに行われる。


日本の雨乞い[編集]

日本でも各地に様々な雨乞いが見られる。大別すると、山野で火を焚く、神仏に芸能を奉納して懇請する、禁忌を犯す、神社に参籠する、類感(模倣)呪術を行うなどがある。

山野、特に山頂で火を焚き、太鼓を鳴らして大騒ぎする形態の雨乞いは、日本各地に広く見られる。神仏に芸能を奉納する雨乞いは、近畿地方に多く見られる。禁忌を犯す雨乞いとは、例えば、通常は水神が住むとして清浄を保つべき湖沼などに、動物の内臓や遺骸を投げ込み、水を汚すことで水神を怒らせて雨を降らせようとするものや、石の地蔵を縛り上げ、あるいは水を掛けて雨を降らせるよう強請するものであり、一部の地方で見られる。神社への参籠は、雨乞いに限らず祈祷一般に広く見られるが、山伏修験道の行者など、専門職の者が行うことも多い。類感呪術とは、霊験あらたかな神水を振り撒いて雨を模倣し、あるいは火を焚いて煙で雲を表わし、太鼓の大音量で雷鳴を真似るなど降雨を真似ることで、実際の雨を誘おうとするタイプの呪術である。このタイプの雨乞いは、中部地方から関東地方に多い。

文献に見える最古の雨乞いの例は、『日本書紀皇極天皇元年(642年)の条の記述である。

  • 戊寅。羣臣相謂之曰。随村々祝部所教。或殺牛馬祭諸社神。或頻移市。或祷河伯。既無所効。蘇我大臣報曰。可於寺寺轉讀大乘經典。悔過如佛所訟。敬而祈雨。
  • 庚辰。於大寺南庭嚴佛菩薩像與四天王像。屈請衆僧。讀大雲經等。于時。蘇我大臣手執香鑪。燒香發願。
  • 辛巳。微雨。
  • 壬午。不能祈雨。故停讀經。
  • 八月甲申朔。天皇幸南淵河上。跪拜四方。仰天而祈。即雷大雨。遂雨五日。溥潤天下。〈或本云。五日連雨。九穀登熟。〉於是。天下百姓倶稱萬歳曰至徳天皇。

これによると、7月25日から蘇我蝦夷が雨乞いのため大乗経を輪読させたが、微雨のみで効が見られなかったので同29日にやめさせた。しかし、8月1日に皇極天皇が天に祈ると、突如大雨が降り、天下万民は共に天皇を称えたとある。 この記述以前にも、平安時代に編纂された仏教史書『扶桑略記』には、推古天皇33年(625年)の条に、高麗僧恵灌に命じて雨乞いの儀式を行わせたという記述がある。

これらの記事以前より、雨乞いは広く行われていたものと見られる。

参考文献[編集]

  • 『雨乞習俗の研究』高谷重夫、1982年、法政大学出版局
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