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2020年1月10日 (金) 23:18時点における最新版
あやしいわーるどは、かつて日本最大であったアンダーグラウンドサイト群で多数の匿名電子掲示板などから成り立つ。ぁゃιぃわーるどと記載される事も多い。当初の開設者は芝雅之(ハンドル「しば」)。日本インターネット黎明期におけるアンダーグラウンドサイトの嚆矢とされる。
目次
概要[編集]
「あやしいわーるど」とは複数の電子掲示板から成り立っており、多くは背景色が深緑色、文字色が白色という、黒板を模したデザインを踏襲している。取り扱われる話題は、アンダーグラウンド的なネタ(warezや児童ポルノなどの犯罪性の高い物、死体画像やハッキングなど非道徳的なもの)を中心として、さまざまな分野にわたっている。個々の掲示板を開設した者はいるものの、全体を統括する管理者というものは存在しない。初代掲示板の管理人である「しば」氏でさえその全容は把握していなかったといわれ、現在ではすべての掲示板を把握するのは困難である。
1998年、初代掲示板の創設者にして管理人である「しば」氏があやしいわーるどを閉鎖した際に大量の難民が発生し、あめぞう掲示板などに流出した参加者があやしいの文化を外部へ伝えた。 その後、その文化はあめぞうから2ちゃんねるへ受け継がれたため、2chの初期の文化はあやしいわーるどの影響を色濃く受けている。また、日本のインターネットスラングは、あやしいわーるどが発祥であるものが少なくない。ギコ猫などアスキーアートの原型もここで生まれた。
あやしいわーるど住民[編集]
1996年の初代掲示板設立当時、あやしいわーるどは無料レンタル掲示板(デジタルエデン、県人会)を使用していた。その後、海外の無料Webスペースを使用してCGIが設置され、Minibbsスクリプトを使った掲示板へと変化した。一般にMinibbsタイプの掲示板は個人サイト等での簡単な連絡等に向いており、多人数参加型の掲示板には不向きであったが、当時スレッド形式の掲示板スクリプトはほとんど無かったため、Minibbsスクリプトが採用されたと思われる。
現在に至るまでこの形式は変わっておらず、弊害として、掲示板とは名ばかりの、常時多人数が常駐して書き込みをする複数行チャットと化してしまった。チャットであるが故に、同じ話題による書き込みが続く一般的な掲示板と違って、チャットに常駐する人間=あやしいわーるど掲示板に住んでいる人間、という発想が生まれた。あやしいわーるど住民(住人・ぁ民)とはこの発想から生まれた言葉で、あやしいわーるど独自の文化とも呼べるだろう。
現在のあやしいわーるど一覧[編集]
詳細は、それぞれのページを参照。
本店系[編集]
- あやしいわーるど@本店(1999年1月~)
- パソコン通信時代からの利用者が少なからず居り、保守的な存在であるため「しば時代」から続く本流であるとされている。ただし管理人は代替わりしており、現在の@本店をds本店と呼び、それ以前の本店と別に評価する向きもある。
- 本店退避カスタム@***(2006年10月~)※***の部分は時間によって異なる
- @退避本店が@支店となったことにより、新たに本店の退避用掲示板として設立された掲示板である。@本店および@支店とは異なって管理人が高いスキルを持つため、web2.0的な多くのオリジナル要素が付け加えられている。こちらは「退避」と名前に冠されているためか否定的評価は多くない。
リバース系[編集]
- あやしいわーるどII(1999年7月~)
- 通称「ぁぃぁぃ」。かつてはリバース系の最大勢力だった。
- あやしいわーるど@クリスマス島(1999年9月~)
- 通称「クリ島」。あやしいわーるどIIの管理体制に反発した住人が結集して発足。1999年11月より現名称。
- あやしいわーるど@みらい(2000年2月~2005年3月)
- 長期に渡ってリバース系最大勢力を誇ったが、2005年3月に閉鎖。当時を懐かしむ声は少なくない。
- あやしいわーるど@暫定(2002年1月~)
- あやしいわーるど@IIの管理体制に反旗を翻したものたちが建設した。管理人が複数というこれまでにない新しい管理体制で注目を集めたが、運営方針の違いなどによる内部分裂で機能停止、その座をあやしいわーるど@暫定(暫定退避)に譲る。その後は独自路線を歩む。
- あやしいわーるど@暫定 (暫定退避)(2003年3月~)
- あやしいわーるど@暫定(2002年1月~)の一時機能停止に伴い発足。1年近くあとになって、@暫定の機能回復後もメイン掲示板として使用されている。
- あやしいわーるど@qwerty(2005年3月~)
- あやしいわーるど@みらい(2000年2月~2005年3月)の後継として発足。現在のリバース系最大勢力。参加住人の精神年齢の低さから、2ちゃんねるを忌み嫌いながら最も2ちゃんねるに雰囲気が似ている皮肉な掲示板。
その他[編集]
- あやしいわーるどメイソ掲示板(1998年9月~)
- 現在、最も古くから存在するあやしいわーるど掲示板。
- りみくす@くりすます島(1999年5月~)
- テーマに特化した話題を行うための私書箱型掲示板。
- あやしいわーるど@iRC(2000年4月~)
- 匿名IRCチャンネル。
参考リンク
- 投稿統計 Strange Over View退避
掲示板の形態[編集]
現在の2chに代表される中央集権型管理システムを持った掲示板は日本の官僚システムや中央サーバが全ユーザーの管理を行うファイル共有ソフトWinMXと酷似しており、特定の話題についての検索や話の流れを追うことはすばやく行えるが、中央にダメージがあったときに全体が麻痺する。そのため現在の2chは完全な自治と完全なログに守られた空間であり、もはや自由な匿名掲示板とは言い難い。
それに対しあやしいわーるどは、初代管理人であった「しば」氏の引退後は特に、複数の管理人が独自に運営する複数の掲示板の集合体となり、それぞれの管理人の個性が反映された掲示板を利用者が好みで選べる形式へと変貌した。いってみれば無政府状態や中央サーバを持たずにP2Pによってネットワークが形成されるファイル共有ソフトWinnyと同じ構造を持っており、政府の陰謀や局地的な核爆撃にも耐えられる形態をなしている。そのためあやしいわーるどは、最後のときまで匿名掲示板としての役目を果たすことができる。
さらに、現在においては、あやしいわーるどは掲示板の総称ではなくブランドというべき存在になり、掲示板の運用形態は各管理人の裁量によるところが大きくなっている。4大掲示板であるII、qwerty、本店、暫定はおおよそ後者ほど管理がゆるやかになるといえる。
II(ぁぃぁぃ)は、ほとんどのIPアドレスからの接続をブラクラへとリダイレクト転送していたため、あやしいわーるど以外のコミュニティの人には、ブラクラとしてしか認識されていないことすらあり、あやしいわーるど=ブラクラといった誤った認識が一部で広まっているのも事実である。
このような大手があるにもかかわらず、あやしいわーるどはあくまでもブランドとしての存在であるために、今でも新興掲示板がぽつぽつ誕生してはつぶれていく。
2ちゃんねるとの対立[編集]
2ちゃんねるの規模があやしいわーるどに比べてあまりにも巨大になり過ぎたため、ギコ猫やツンデレなど、あやしいわーるど発祥のマスコットや各種アスキーアート、スラングなどを「2ちゃんねる発祥」だと誤解する者が多くなり、こうしたことから「パクリ文化で成り立った上に、あやしいわーるど発祥の文化を我が物顔で語るな」といった住人の憤慨が絶えない[1]。
よって現在でもあやしいわーるどでは2ちゃんねるに関する話題はタブー視されていることは否めない。 "2ch"や"2ちゃんねる"といった文字列の投稿に制限をかけているという徹底した板も存在する。 唯一、あやしいわーるど@暫定(暫定退避)では2ちゃんねるに関連する一切の話題を制限しておらず、むしろ推奨傾向にある。
実情は、当時のあめぞう、あやしいわーるど難民がその文化をそのまま持ち込み2ちゃんねる上などで展開したため起きたようだ。これを知らない新規ユーザーが「自らの発明である」と広言したところに、この対立の深い根があるように思われる。
コミュニティとしてのあやしいわーるど[編集]
あやしいわーるどには、掲示板以外にもさまざまなコミュニティが存在する。主なものとしては、iRC(あやしいわーるど@iRC)やメーリングリストがあげられる。基本的にあやしいブランドは誰でも自由に使用できるため、さまざまな人が「あやしい」の名のもとに気軽にコミュニティを開設・運営している。
あやしいブランドの名を持つコミュニティの最大の特徴は、規律がないことである。掲示板に限らず日本のインターネットコミュニティでは、投稿の作法から始まって言葉遣いにいたるまで多種多様なルール・制約をユーザー同士で制定し、それをお互いに遵守すること自体がコミュニティの目的の1つとなっているが、あやしいのコミュニティでは基本的にそのような制約は存在しない。例えばネットゲームのコミュニティでも、日本のネットゲームコミュニティでよく見られるような、「対戦ではこういった戦略は使わない」などのルールや縛りは存在せず、各自が好き勝手に動いている。
なお、このような小規模なコミュニティを円滑に開設し、運営、活動、消滅できるように、あやしいわーるどではREMIXという掲示板作成システムが広く利用されている。REMIXは掲示板参加者が好きなトピック(話題)ごとの掲示板を自由に作成でき、書き込みが増えれば常時REMIX上で閲覧できるが、人気がない板はやがて消滅するという、トピック形式による掲示板のシステムをあやしいわーるどに応用したものである。例えば海外製ネットゲームCounter-Strike(CS)やAge of Empires(AoC)などには「CS班」「AoC班」などの掲示板が作られ、それぞれにコミュニティが存在し、各々が適当に活動を行っている。
あやしいわーるどにおける感情表現[編集]
あやしいわーるどグループでは ヽ(´ー`)ノ という顔文字が著しく多用され、これを「まったり」と呼ぶ。 派生語としてマターリ、マタリ。喜怒哀楽の喜・楽に属する投稿には必ずと言って良いほど、文末で用いられてきた。 近年行われたログサルベージの結果、1995年8月26日にセンターネットという草の根BBSの「ゲストさん一言2号館」へ書き込まれたヽ( ´ー`)ノ が発祥と考えられている。 その翌月から出現したゲストのハンドル名「あれれ」氏が複数回用いている事などから、最初の書き込み主は彼ではないかと推測されるが、もはや立証する手段はない。 尚、2006年現在は ヽ(´ー`)ノ から両手を排除した (´ー`) の使用率がもっとも高くなっている[2]。
あやしいわーるどのソウルフード[編集]
外食チェーンである餃子の王将があやしいわーるど住人共通のソウルフードとなっていることに異を唱える者はあまり居ない。2000年ごろからあやしいわーるどIIを中心に盛んに話題となり、現在でも多くの貧乏学生を魅了している。 深夜帯など、低調時(投稿が少ない状態)には「将」「王」「の」「子」「餃」といった文字を順番に一文字ずつ投稿し、本人の投稿のみでこれが連続するとミッション完了という余興も存在する。 さらに忘れてはならないのが、あやしいわーるど公式スナックとして名高いキャベツ太郎(通称:キャベシ太郎)である。良心的な値段・質・量、コミカルなキャラクター、駄菓子の持つサブカル的雰囲気などが相まってネタとしての魅力を引き立たせ、爆発的な人気を呼んだ。あやしいわーるど内のネタ投稿としてはもちろんのこと、写真をアップロードするときにも、ネタのアクセントとして被写体に含まれることも多い。
萌えホーダイ[編集]
共通行事として「萌えホーダイ」がある。 あやしいわーるど@ふぁみーるが発祥であり、現在はII、qwertyで行われている。 早朝の7時55分~8時05分の間、対象となる人物・キャラクター・事象に対し「萌え!」「萎え!」「死ね!」などの感情を表明する投稿が集中的に行われる。
例)「ファンシーララはヒロインの棒読みっぷりが萌え」
あやしいわーるどグループを含む、古来から存在するネットワークコミュニティにおいては古くから喜怒哀楽の喜・楽に属する感情の多くを「萌え」という言葉で表現する傾向が強く、世間一般に認知されている「萌え」とは若干違ったニュアンスとして捉えれているので注意が必要。
アングラとあやしいわーるど[編集]
Warez[編集]
有料ソフトウェアや音楽ファイル等をネットワークを通じて不正にネットユーザー同士が交換・取得する事を一般にWarezと呼ぶが、この言葉が海外から伝わってきた日本のインターネット創成期において随一のアンダーグラウンド系掲示板と呼ばれ、日常的にハッキング等について書き込みが行われていたあやしいわーるどにおいても、Warezは地下活動的活動の1つとして多く話題にされた。
しかし現在のあやしいわーるどにおいては、一部の利用者が設置したWinMXサーバーやftpサーバーの利用によるWarezが小規模に行われる程度である。現在でも、Warez関連の書き込みに対する利用者の反応は他の掲示板に比べると寛容であるが、かつてのように日常的な話題としてWarezについて書き込まれることはあまりない。
ただし、これはあやしいわーるどだけの傾向ではない。あやしいわーるどに限らず、現在の日本のウェブでは、Warez文化がかつてのように盛況を極めておらず、アンダーグラウンド全盛期に比べれば、WarezのWebPageはほぼ皆無と言っていいほどに少ない。つまり、日本のWarezの中心はウェブから他へ移る形で発展しているといえる。
荒らし[編集]
1997年頃のあやしいわーるどにおいては、ハッキング等の話題の他に、掲示板荒らしについての話題も多かった。その中から、特に掲示板荒らしに興味を持つゲスッと称するグループが派生し、数多くの掲示板を荒らし回った事もあった。
しかしながら当時のあやしいわーるど利用者は、荒らし行為に対して傍観者的な立場を取り、ゲスッが荒らしている掲示板を見に行く事はあっても、自らは荒らし行為に荷担しないというスタンスの者が多かった。もっとも、ゲスッが荒らした掲示板には、ゲスッの運営するサイトのURLと共にあやしいわーるどのURLも併記され、荒らされた掲示板の利用者があやしいわーるどに苦情を書き込みに来ることもあった。苦情を言いに来た者がそのままあやしいわーるど利用者になってしまったという笑えない話も数多い。
また「しば」氏の運営によるあやしいわーるどが閉鎖し、現在のような「ブランド体制」に移行した背景には、ゲスッの中心的存在であり、掲示板荒らしの花形でもあったアリス・リデルがあやしいわーるどを攻撃し、「しば」氏にあやしいわーるどからの撤退を求めた事件がある。あやしいわーるどが生み出した掲示板荒らしの弊害を、あやしいわーるど自体もまた受けてしまったのである。
掲示板スクリプト[編集]
いくつかのレンタル掲示板を渡り歩いた後、Web裏技のMiniBBS(簡易掲示板)を改造した「しばスクリプト」を利用していた。 しかしアングラかつ匿名掲示板ゆえに掲示板荒らしが多発したために投稿コード、Refererチェックなど防御力を高めた「くずはすくりぷと」に置き換わってきた。
掲示板荒らしの多くはDukeと呼ばれるソフトウェアによって行われている。決して、荒らし犯人がブラウザ操作を連続で行っているわけではない。
あやしいわーるどの歴史は掲示板とDukeの戦争史でもあった。くずはすくりぷとが防御力を高めれば、Dukeは必ずそれを超える方法を身につけてきた。くずはすくりぷとの改良は各板の管理人とそれを援助する人々によって行われ、DukeはゲスッやiRCによって改良され続けてきた。リファラ弾きは「GabriDuke」に、投稿コード導入は「えみる時計」によってゲスッに攻略された。スクリプト戦争では常に荒らし側に主導権があったと言える。
それでも、掲示板が運営し続けられたのはなぜか。それは荒らしという行為が逮捕例が無いとはいえ、かぎりなく犯罪に近い行為であったことと無関係ではない。すなわち各板の管理人は警察への通報を常に匂わせることで、レベルの低い荒らしを跳ね除けてきたのである。一方、荒らし側は常に細心の注意を要求されてきた。例えば、荒らすテキスト内に管理者に対する脅迫的文章が無いか、サーバーに対する負荷は営業妨害の疑惑をおこさないかなどである。実際、法・判例の知識が要求される事件も多々あった(アリス・リデル名誉革命など)。
2005年現在の情勢では、くずはすくりぷとが圧倒的優位な状況である。Ⅱ管理人AGStarの支配頃から、掲示板へのproxy経由のアクセスを許可しない手法(串制限)が取られたからである。(それ以前は、串制限弾きは管理人の技術不足の証、アンダーグランドにあるまじき行為、というぁ界世論があり、管理サイドは串制限を選択できなかった。)
この串弾きは、管理者が常にproxyリストを更新しないといけないという永続的欠点があった。AGStarはそれを個人の人力で解消していたようだが、この欠点を解決する技術は意外にも2ちゃんねるで開発された。それはBBQである。しかもBBQをあやしいわーるどに紹介したのは事もあろうにアリス・リデルであった。
アリス・リデルはiRCと共にREMIXを攻撃、一時的に閉鎖させたがその際アリスが作った待避所(アリスはqwertyの空白であるとして素性を隠し、ソーシャル目的で作ったらしい)では、荒らし避けにDSBLとBBQが使われていたのである。
以降の掲示板は全てBBQ、またはそれ相当の串制限を導入しているため、リモートホストアドレスが.jpでないものは書き込みできない場合がほとんどである。ただし現在のくずはすくりぷともスクリプトレベルではDukeに攻略されているため、たまに荒らしがあることもある。その際の荒らしの生IPの扱いについては各板の管理者のみが知るであろう。2005年においては、iRCのVVS氏による「ちりりDuke」、iRC開発部による「暫定Duke」が、りみくす、本店、暫定退避、qwertyの各板に使用されたと言われている。
外部リンク[編集]
リンク集[編集]
資料・参考[編集]
脚注[編集]
- ↑ ただし、あやしいわーるど発祥とされる文化の中にも、それ以前のBBS(パソコン通信など)や同人誌などの文化を継承したもの、それらをベースとして発展したものも少なくない、という点は理解しておく必要があるだろう。歴史は繰り返すのである
- ↑ あやしいわーるど@本店のみ、両手が付いたヽ(´ー`)ノの使用率が高い