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箱根小涌園(はこねこわきえん)は、神奈川県足柄下郡箱根町二ノ平および小涌谷にある藤田観光が所有・経営するリゾートである。三井家の別荘地から展開し、複数の登録有形文化財建造物を所有。中華人民共和国各界代表訪日団体および中国要人の訪問拠点である。
目次
概要[編集]
「箱根ホテル小涌園」を筆頭とする宿泊施設3軒と、日帰り入浴/温泉レジャー施設の「ユネッサン」からなり、県道734号線の終点が国道1号に合流(分岐)するY字型交差点の周辺に所在する。交差点付近の標高は約620Mで、小涌谷駅から国道1号で直線距離500m、実際の道路延長では1100mほど離れている。
このほか厳密には小涌園に含まれないが、周辺に藤田観光およびグループ会社が分譲したリゾートマンションの「箱根リゾートマンション」と「ヴェルデの森箱根ヴィラマンション」、リゾート会員向け宿泊施設の「ウィスタリアンライフクラブヴェルデの森」、別荘用分譲地 など一帯の敷地面積は20万坪に及び、箱根におけるリゾート開発地としては有数の業容を誇る。全域が富士箱根国立公園の特別地域であり景観を意識していることと、数十年にわたり個別に施設を開発開業していることで、施設相互の関連が薄く案内看板類は控えめである[1]。
ホテル小涌園前は国道1号に面し、正月の箱根駅伝では実況報道地点となっている。特に日本テレビでは中継所以外で唯一のアナウンサー配置地点となっており、番組内では地名(小涌谷)ではなく施設名の「小涌園」と紹介するが、日本テレビで中継を開始した際、スタッフに宿泊所を提供した感謝によるものである[2]。
小涌園の名称はもともとは所在地の小涌谷温泉に由来するが、藤田観光が各地に展開したリゾートホテルにも小涌園の名称が使用されている。しかし、規模および利用者の多さから単独で小涌園と呼ぶ場合当施設を指すことも多い。
伝統的に労働組合が強い[3]。2009年には連合の支持する連立政権が誕生した直後に民主党の懇親会の誘致に成功し、鳩山由紀夫首相来訪があった。
揮毫[編集]
箱根ホテル小涌園では日中国交正常化以前から中国訪日団体受入を行っており、以来各人の揮毫が保管、編纂され2010年に北京で公開された[4]。 (wikipedia日本語版に記述のある人物で 巴金、老舎、李鵬、廖承志、栄毅仁、鄧穎超など)
沿革[編集]
太字は現存 出典は脚注が無ければ主として藤田観光50年史 ※施設名に冠される箱根および小涌園は一部省略
- 1948年5月 旅館部開業
- 1949年11月 第1号温泉の噴出
- 1955年4月 熱帯植物園・山の遊園地開業
- 1959年4月 箱根ホテル小涌園開業
- 1961年4月 巴金を代表とする中国訪日団の宿舎となる(その後の中国各界代表団体および要人受入の初回)
- 1962年12月 芦ノ湖スカイライン開業
- 1972年7月 こどもの村開業
- 1981年8月 林間学校で訪れた川崎市内4校の小学生と教員431名にのぼる大規模食中毒事件が発生[5]
- 1981年6月 コンベンションパレス開業
- 1981年11月 アイスパレス開業
- 1984年8月 サンシャイン湯〜とぴあオープン
- 1991年8月 従業員食堂と旅館部で320名にのぼる大規模食中毒事件が発生[6]
- 1999年1月 旅館部 湯〜とぴあ館 こどもの村営業終了 7月ニューペガサスイン(現ユネッサンイン)開業
- 2001年1月 ユネッサン開業
- 2006年12月 ホテル小涌園でノロウイルスによる食中毒事件が発生[7]、
- 2007年9月 芦ノ湖スカイラインを売却
- 2007年10月 民主党懇親会場となり鳩山由紀夫首相以下閣僚および議員多数が訪問および宿泊
- 2011年3月11日 東日本大震災とその後の余震、計画停電と重油供給難により4月30日までユネッサンを閉鎖、その後も部分および短縮営業 ホテル小涌園の一部レストラン営業とユネッサンインは閉鎖継続。
※その後、箱根登山電車への給電と同一変電所の地域で計画停電の除外地域となり、節電を中止して全施設の営業を再開している。
施設[編集]
箱根ホテル小涌園[編集]
吉村順三設計で1959年竣工開業のホテル。
小涌園では現存する最も古い施設で複数回の増築経て現在の客室数は220。開業当初は外国人専用ホテルであった経緯から、現在でも外国人利用率が高く、JTBの訪日外国人向けツアー「サンライズツアー」の定宿となっている。日中国交正常化以前から中華人民共和国要人の往来があり、伝統的に中国人VIP客の受け入れがあった[8]。玄関口での従業員による五星紅旗での歓迎も時折見られる。全室国内のBS放送は視聴できないが、中国語放送の東方衛視は視聴可能、藤田観光本体の方針[9]でCCTV(中国中央電視台)も聴取可能とする予定で、グループ全体での中国人への販売強化の方針とも重なり、中国人の箱根における重要な観光拠点となっている。旅館部終了後は大衆化し高稼働低価格化路線。近年では欧米・中国のみならず台湾人と韓国人のツアー客の利用も急増している。全室に温泉引湯がある。露天風呂のある大浴場せせらぎの湯は日帰り利用が可能。国道1号面に開業時はドライブインであった別棟があり、現在は周辺では唯一のコンビニエンスストアであるファミリーマート箱根小涌園店を開設している。開業時より維持された庭園で自生の蛍が鑑賞可能である。ユネッサンとは別に屋外プールもあり夏季のみ営業。
藤田観光グループで販売した近隣のマンションの権利に同ホテルの通行、食事や入浴の優遇特典が付属することや、客室のみの増築も行われているためレストラン、駐車場や大浴場のキャパシティが相対的に小さく、素泊予約でホテル内で食事ができない案内、二食付予約でチェックイン時に夕食座席の確保ができないこと、大浴場の洗い場の行列待ちなどが見られる。玄関先に小段差がある設計で電動車椅子でのホテル入場は不可能である。
コンベンションパレス[編集]
婚礼宴会場およびセミナーや学会向け会議室の3階建て別棟。箱根町の中心にあるため町関係の行事も行われる。エレベーターやエスカレーターの設備はない。駐車場はホテルと共用。
ユネッサン[編集]
箱根小涌園(旅館部)(後述)跡地に2001年1月1日に開業した温泉テーマパーク。
屋内プール施設の「ユネッサン」ゾーンは、同ジャンルのスパリゾートハワイアンズと同じく水着着用で、ウォータースライダー付きのプール、死海を超える塩分量で体が浮く浮遊風呂、ドクターフィッシュを入れた足湯がある。屋外の「湯〜とぴあ」ゾーンでは、従来忌避されてきた飲食物を利用した[10]、コーヒー風呂・緑茶風呂[11]・日本酒風呂[11]・ワイン風呂五右衛門風呂・炭風呂[11]といった変わり風呂がある。
これとは別に、男女別で裸で入浴する大浴場と露天風呂といった日帰り入浴施設の「森の湯」と、岩盤浴施設がそれぞれ独立した建物にあり、これら単体での利用も可能である。「ユネッサン・湯〜とぴあ」利用者は「森の湯」の利用も含まれている。FM横浜でのCM放送があり、「ON泉OFF呂」を代表に季節あるいは新浴場開設ごとに考えられた宣伝広告文コピーが発表される。
B&Bパンシオン箱根[編集]
箱根小涌園の女子寮を客室に転用したホテル。リゾートでは珍しいシングルルームが主体のB&B(ベッド・アンド・ブレックファスト)形式で、低料金が特徴。
シャトルバス[編集]
各施設間を朝9時から夜21時(平日は19時)頃までユネッサンキャラクターデザインの無料シャトルバスが約20分間隔で巡回している。B&Bパンシオン箱根のみ1.2kmほど離れているが、残りの3施設は隣接しており徒歩での移動も可能。混雑時には増便のうえ一般車両も投入される。白ナンバーの送迎バス扱いのため国道上である路線バス小涌園バス停での乗降は出来ず、路線バスとの相互の乗換にはユネッサン前かホテル小涌園前への移動が必要となっている。
以前営業していた施設[編集]
箱根小涌園(旅館部)[編集]
1948年開業、1998年に営業終了の旅館。経営母体藤田観光の椿山荘と並ぶフラッグシップであった。長期間の営業効果で、箱根小涌園と言う場合は旅館単体のことを指すことが一般的となったため、現在でも箱根ホテル小涌園の宿泊でありながら旅館跡地にあるユネッサンに向かってしまう利用客や、カーナビがユネッサン側を案内してしまう事例が見受けられる。 旅館内にさまざまな娯楽施設を設け、専属の歌手他エンターテイナーが所属し、施設内からのテレビ番組のショー中継も行われるなど居ながらに観光や娯楽が満たされる手法で高度経済成長期における温泉観光の定番として一世を風靡した。
箱根小涌園サンシャイン湯〜とぴあ[編集]
上記旅館部に付属した日帰り利用主体の大規模温泉レジャー施設。ユネッサンの原型ともいえ、建物や温泉の一部(コーヒー風呂やワイン風呂等は湯〜とぴあ当時から存在)をユネッサンが開業後も引き継いでいるが、ポリネシアン風呂など現存しないものもある。
こどもの村[編集]
アスレチックや季節営業のプールを持つ遊園地(現在は閉園している)
芦ノ湖スカイライン[編集]
他の施設とは別の芦ノ湖畔西側静岡県境にある一般有料道路。1962年開業、2007年に株式会社NIPPOコーポレーション(現・NIPPO)に営業譲渡された。現在は同社の100%出資子会社である芦ノ湖スカイライン株式会社により経営が行われている。
ユネッサン イン[編集]
旧:箱根小涌園ニューペガサスイン
箱根小涌園(旅館部)の修学旅行向け別館であったペガサス館をユネッサン開業に合わせ改装し単独で営業を開始したホテル。ユネッサンとは建物同士が陸橋で結ばれており、宿泊者はユネッサンを無料で利用できる。2008年6月1日に「箱根小涌園ニューペガサスイン」から現在の「箱根小涌園ユネッサン イン」に名称が変更された。
2014年10月16日の朝食営業をもって営業休止。同時に、渓谷露天風呂(通称:湯〜とぴあ)及び、25メートルプールのエリアも休止された。
交通[編集]
車
- 東名高速道路御殿場インターチェンジから国道138号または小田原厚木道路・西湘バイパス箱根口インターチェンジから国道1号経由
- 20万坪の敷地に散在する全施設を含め半径2km程度の範囲がすべて同地番(二ノ平1297)である。また平成19年(2007年)に箱根町域の電話番号が桁増(0460-N-NNNN→0460-8N-NNNN)されたため、カーナビでの住所地番や電話番号検索機能は対応しないことがあり、施設名で検索するのが有効である。
路線バス
- ※箱根フリーパスでの伊豆箱根バス乗車は不可である。
- 小涌園バス停、ユネッサン前バス停
- ユネッサンイン バス停、ヴェルデの森バス停
鉄道 ※小涌谷駅からの徒歩による案内は所要時間および距離の点から記載がない。
- 歩道が無く路側帯のみの区間もあるほか、冬は路面凍結する場合もあるため、歩行には注意が必要。小涌谷駅バス停が駅舎から国道1号に出た所にあり、ここから小涌園まで乗車する場合は3分弱で到達する。このバス便はすべて箱根湯本駅から直行しており当初から箱根湯本でバスに乗車した方が速く乗換もない。
脚注[編集]
- ↑ 例:国道1号を東京方面から登った場合最初の施設はファミリーマートとホテル小涌園であるが、ホテル敷地沿道に車で確認できるユネッサンへの距離や入場、進行方向の表示はない。
- ↑ http://www.sapporobeer.jp/hakone/cm_01_sakata.html
- ↑ 小川栄一自伝
- ↑ http://japanese.china.org.cn/jp/txt/2010-05/26/content_20123046.htm
- ↑ 日本経済新聞1981年8月5日夕刊11面 縮刷版145ページ
- ↑ 朝日新聞1989年8月29日31面 縮刷版1207ページおよび1265ページ
- ↑ 神奈川新聞2006年12月3日
- ↑ http://www.j-cfa.com/news/2010/0525.html
- ↑ http://www.cctvdf.com/j/hotel/pdf/fujitakankou.pdf
- ↑ 2011年1月放送のピラメキーノの企画による取材で、緑茶風呂については緑茶成分入りの入浴剤のみ用いて、本物の茶葉は使用していないことが明らかにされている。
- ↑ 11.0 11.1 11.2 (2004-06-11) [ 茶の湯・酒の湯・炭の湯 ] 日本経済新聞 日本経済新聞社 東京都 35 首都圏経済・東京 [ arch. ]