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Microsoft Windows(マイクロソフト・ウィンドウズ)は、米国マイクロソフトが開発及びライセンス販売を行うコンピュータのオペレーティング環境(Windows3.0まで)及びオペレーティングシステム(Windows3.1以降)である。
「Windows」は、これまで同社から出荷された数多くのオペレーティング環境及びオペレーティングシステム (OS) に付けられているシリーズ名である。「Windows 3.0」や「Windows NT」(ウィンドウズ・エヌティー)、「Windows XP」(ウィンドウズ・エックスピー)、「Windows Vista」(ウィンドウズ・ビスタ) などの連続した製品を総じて指し、それぞれの間で改良・機能追加が施されている。
目次
Windowsの特徴[編集]
グラフィカルユーザインターフェース (GUI)を採用し、主に「インテル・アーキテクチャ」と呼ばれるプロセッサを搭載したコンピュータで動作する。APIの統一などによる、ハードウェア抽象化の徹底によりアーキテクチャの異なる機種でもアプリケーションなどが同じバイナリで動作すると考えられたが、実際にはPentium(80x86互換CPU)など特定のアーキテクチャに限られる。そしてWindows NT系においては各種システム向けのコンパイラを利用することで単一のソースコードで全てのアーキテクチャで使うことが可能とされている。ただし、Windows NT系でもWindows 2000以降はインテル・アーキテクチャ系のWindowsしか発売されておらず、検証は出来ない状況にある。パソコン用市場においては、パソコンのセット・部品メーカー、ソフトウェア開発企業がWindowsへの対応と互換性を念頭において製品開発を進めているため、市場におけるコンピュータソフト・ハードとの互換性・対応数はOSの中で最も高い。
店頭のメーカー製パソコンにプレインストール販売することに成功し、パソコンの入門者・初期導入者をユーザーとして得たことから、パソコン用としては世界一の販売数、パソコン市場のOSシェアでは約95%という驚異的な数字を誇る。Windowsの操作法を知るユーザーと対応ソフトウェア・ハードウェアの多さから、サーバーなどパソコン以外の市場においても大きくシェアを伸ばした。
頑ななまでに互換性を重視した設計が特徴で、最新のWindows Vistaであっても、Windows3.1以前に向けて作成されたアプリケーションもネイティブに動作することが多い。UNIXに比べ安定性やセキュリティの面で批判されることが多かったが、近年においては、セキュリティや信頼性・安定性の面でもマイクロソフト社による改善が進み、Windows XP以後は大きなバージョンアップもないため、古くなったパソコンの買い替え需要とともに安定した販売を記録している。
なおマイクロソフト・インテル両社の組み合わせはWindows搭載パソコンの大多数を占め、パソコン市場全体で見ても圧倒的な規模に達するため、特に(俗に)ウィンテルと呼ばれることもある。
歴史[編集]
今でこそグラフィカルなインターフェイスが特徴のWindowsだが、初期のWindows 1.0では、主にMS-DOS上で動くプログラムマネージャーとしての性格が強かった。当時のマシンの解像度の低さから、1.0では現在のようにウィンドウを重ねる機能はなく、タスクの切り替えとともにプログラムを使う必要があった。実際にウィンドウの重ね合わせが可能となったのは後続のWindows 2.0である。メモリ管理も改良された2.0では、パソコンでより多くの複雑なプログラムが動作できるようになった。
Windowsが広まり始めるのは、3.0になってからである。3.0では、インターフェイス、タスク管理、メモリ管理など、各種機能が網羅的に強化された。日本では、当時のDOS/Vブームとともに後継である3.1がブレイクすることになった。サードパーティ製のソフトウェアも徐々に増え、不足していたネットワーク機能などが供給されるようになってきた。
その後、爆発的なブレイクとなった1995年のWindows 95では、32bitに対応し、ほとんどの作業がGUI環境上で行えるようになるなど、本格的な改良が施された。多くの場合、パソコンの普及の年とされるのはこの年である。Windows 95からその後のWindowsシリーズでは、GUIも特に変更されることなく、多くの操作において95のものが基盤となっている。ただし、MS-DOS上でWindowsが動作するという特徴は、下位互換性を意識してそのまま残されている。
一般にまで広く普及していったWindowsだが、実際の動作中の安定性についてユーザーから疑問に持たれることも多く、ふとした操作から突然青いエラー画面(ブルースクリーン)が表示され、いままでの作業が消えてしまうなどの現象が発生することもあった。その後、後継としてWindows 98、Windows Meが発売されるが、どちらもMS-DOS時代からの16bitコードはそのまま残されたままであった。特にWindows Meは、Windows 95のコードを引き継いだままマルチメディアなど多数の機能を追加したために、多くのシステムリソースを消費するWindowsとして知られることになる。なお、これらはまとめて9x系と呼ばれる。
マイクロソフト社は、これらのWindows 9x系列とは別に、32bit環境で新たなOSの開発にも取り組んでおり、その結果登場したのがWindows NTである。Windows NTでは、Windows 3.1系統のGUIと同一のGUIを採用したが、内部コードはIBMと共同開発したMicrosoft Operating System/2(MS-OS/2)を元に開発が行われた。このため、バージョン3.51まではOS/2 1.xのアプリケーションがネイティヴで動作し、レジストリの修正でHPSFフォーマットのパーティションにもアクセスが可能で、OS/2との混在が出来た。また、バージョン4.0になっても、一部OS/2のエラーメッセージが残っていた。なお、Windows NTがWindows 95系統のGUIを採用したのはバージョン4.0からである。(そもそもNTリリース時に95は存在しなかった)マイクロソフト社は本格的なビジネスユースへの進出を目指してWorkstationとServer版を販売したが、一般での知名度は他の製品に比べ低かった。
その後に登場したWindows 2000は、Windows NTのコードをベースとして作られており、俗に「NT系」と呼ばれる。この時点で、98のコードをベースとしたWindows Meも同時に開発が進められ、販売された。Windowsには、ここまででMS-DOSのレガシーなコードを備え続ける95系と、まったく新たに開発が進められたNT系の2種類が存在していたことになる。
Windows XPでは、主にWindows 2000をベースとしながら、Windows Meにのみ存在した機能を付加し、これまでのWindows向けソフトウェアの実行をエミュレートできる互換機能を付け加えて、Meと2000両方の後継製品として開発された。コンシューマに対応するHome Editionと、ビジネスユースに対応するProfessionalが最初に登場し、それぞれ95-98-MeとNT-2000の領域で、前のOSに替わるものとなった。現在、パソコン市場において最も広く使用されているWindowsはWindows XPである。
その後、サーバー向けに特化して強化されたWindows Server 2003のライセンス販売も開始された。またWindows XP発売以降約5年ぶりとなるOS、Windows Vistaも2006年11月にライセンス販売が開始され、2007年1月30日に一般販売が開始された。
余談ではあるが、Windows 1.0の開発・発表当時ビル・ゲイツ氏は「AT&Tやヒューレット・パッカード、ソニーなど有力メーカーにMacintoshのOSのライセンスをすべきで、私自身も協力を惜しまない」と当時の米アップルコンピュータ社CEOのスカリー氏等に書簡を送っている。スカリー氏自身はライセンスの可能性を模索・検討し、一方ゲイツ氏はWindowsの開発凍結まで視野にいれていたほど本気だったようだが、技術陣の猛烈な反対にあい、提案はご破算となった。この決断は後にスカリー最大の失策とよばれ、もしMac OSのライセンスをおこなっていたならば、現在のパソコンOSの様相は異なる物になっていただろうと推測される。
Windowsの種類[編集]
- MS-DOS系
- Windows 1.0 (英語版は1985年11月18日に発売)
- Windows 2.0 (英語版は1987年12月9日に発売)
- Windows/386 2.0
- Windows 2.1
- Windows/386 2.1
- Windows 3.0 (日本版は1991年1月23日に発売)
- Windows 3.1
- Windows for Workgroups 3.1 (英語版のみ1993年11月8日に発売)
- Windows for Workgroups 3.11
- 9x系
- Windows 95 (Windows バージョン4.0)(日本語版は1995年11月23日に発売)
- Windows 98 (同4.1) (日本語版は1998年7月25日に発売)
- Windows 98SE (同4.1) (日本語版は1999年9月10日に発売)
- Windows Me (同4.9) (日本語版は2000年9月22日に発売)
- NT系
- Windows NT Workstation (3.1 3.5 3.51 及び 4.0) (バージョン3.1の英語版は1993年7月27日に発売)
- Windows 2000 Professional (Windows NT バージョン5.0) (2000年2月18日(日本時間)に初の日米欧同時発売)
- Windows XP (Home ,Professional) (Windows NT バージョン5.1)(2001年11月16日に発売)
- Windows Server 2003 (Windows NT バージョン5.2、サーバ用途向け) (2003年4月24日に発売)
- Windows Vista (Home Basic,Home Premium,Business,Ulitimate) (Windows NT バージョン6.0) (2007年1月30日に発売)
- Windows Server 2008 (2007年若しくは2008年に発売予定)
- Vienna(開発コード名。以前の開発コード名は「Blackcomb」)(2009年頃に発売予定)
- ポケットPC、ハンドヘルドPC、家電、スマートフォン・PDA、組み込み用
- Windows CE
- Windows Mobile
- Windows Mobile software for Portable Media Center(Windows Mobile向けMediaCenterEdition)
- Windows Embedded
- Windows XP
- Windows CE
- Windows NT
- Windows CE
Windowsの主なコンポーネント[編集]
ここではWindowsの基礎部分に当たる主な機能を一部紹介する。
システム変更部分[編集]
- コントロールパネル
- デスクトップ画面やハードウェア管理、アプリケーションソフトウェアの追加及び削除・メンテナンスや通信管理・ユーザー管理などの設定を行う特殊フォルダの名称である。Windows 3.1の頃から存在するWindowsの基礎的なシステム変更を行える場所で、Windows XPからは初期の段階ではカテゴリー別に表示するように工夫された。
- デバイスマネージャ
- ハードウェアの追加後に削除及びメンテナンスを行うための操作環境。Windows 9x系では「システムのプロパティ」内で行っていたが、Windows 2000では管理コンソール画面から行えるようになった。
- 管理コンソール (Microsoft Management Console)
- 以前はサービスプログラムやイベント情報・ディスク管理・ディスクデフラグ等を別々の画面でそれぞれ行っていたが後に管理コンソール画面で統一して行えるようになった。
ユーザーインターフェイス[編集]
全体的なシェルにあたる記事はWindows Explorerにて説明しており、詳細は該当記事を参照されたい。
- スタートボタン
- Windows 95より採用された特殊メニュー。標準的な設定ではデスクトップの左下に「スタート」と表示されている。
- アクティブデスクトップ
- Internet Explorer4.0の頃に追加されたものでデスクトップ画面に対してJPEGやGIF等の画像ファイルやHTMLファイルを埋め込んで表示できるようにする機能。セキュリティ面での問題もある。Windows95 Windows NT4.0に対して適用可能
- タスクバー
- スタートメニューや現在起動しているアプリケーションの切り替え・時計表示を行う機構。通常は画面の真下に横棒の形で表示されている。
- クイック起動バー
- Windows 98以降及びWindows 95・Windows NT4.0にInternet Explorer 4.0のアクティブデスクトップを導入すると有効になる初期状態ではスタートボタンのすぐ隣にあるワンクリック起動式のショートカットバー。初期ではInternet Explorer・Outlook Express・Windows Media Player・デスクトップ表示ボタンが用意されている。ユーザーが独自に追加・削除することができるが、特定のアプリケーションを導入する段階で自動的にショートカットが作成される場合もある。
- マイコンピュータ
- 標準設定の場合は左上の真上または二番目に用意されているパソコンの形をしたアイコンがある。開くと接続・認識されている記憶装置(フロッピーディスクドライブ、ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ)やコントロールパネルを開くことができる。Windows 3.1までは特定のドライブにアクセスするにはファイルマネージャを利用するかMS-DOSプロンプト等で直接コマンド入力をする必要があった。
- マイネットワーク
- Windows 95・Windows 98・Windows NT4.0では「ネットワークコンピュータ」と呼ばれていた。開くと接続されているLANやネットワーク環境の内容を確認・設定変更が行える。
- マイドキュメント
- 元々はMicrosoft Office 97導入の際にショートカットで作成された文書などのファイルを保管するフォルダの名称だが、Microsoft Windows 98からは特殊フォルダの形態で新たに追加されることになった。マイドキュメントとして機能させるフォルダは任意で選ぶことができるため、再セットアップを簡略化する為に初期設定とは別のディレクトリを指定させることも可能である。
- ごみ箱
- 不必要になったファイルを一時的に待避しておく特殊フォルダ。ごみ箱から一度捨てた(待避した)ファイルを再利用することも可能であるし、完全に削除してしまう事も可能である。
- ファイルマネージャ
- 現在のWindows Explorerに相当するファイル管理ツール。Windows 3.1の頃まで存在した。ディレクトリ内部をツリー状態の項目から選択して内容を表示する機能だった。
- フォルダウィンドウ
- アプリケーションやフォルダ等を表示している四角い枠。ごく一般的なアプリケーションやフォルダであれば右上端に予め3つのボタンが用意されている。ウィンドウをタスクバーに収納(隠す)する最小化ボタン、ウィンドウを画面最大に表示する最大化ボタン、一度最大化した画面を元の大きさに変更する元のサイズに戻すボタン、ウィンドウを消去する閉じるボタンで構成される。
スタートボタン[編集]
スタートボタンをクリックすると登録されているプログラム一覧や履歴・検索・システム設定・特定のファイル名を指定して実行させる機能・ヘルプ・システム終了処理などが選べる。Windowsを象徴する重要な部分でWindows XPからはメニュー一覧が2分割されるような仕組みに変更されている。
- プログラムメニュー
- 登録されているアプリケーションを展開して項目を選ぶことにより特定のプログラムを起動できる。Windows 3.1まではスタートメニューの概念が無かったため、プログラムマネージャと呼ばれる特殊フォルダから順次内部を展開していく要領が取られた。プログラムメニューはプログラムマネージャをメニュー化で対処したものと考えて良い。Windows XPで2分割表示にしている場合には「すべてのプログラム」と表示される。
- 最近使ったファイル
- 履歴として最近使用したファイルがアプリケーションの種類を問わずに自動的に登録される。ユーザー側が記憶させないようにすることや登録された履歴情報を手動で削除することも可能である。
- 設定
- コントロールパネルやネットワーク、プリンタの設定などが行える項目。Windows 3.1まではメインと呼ばれる特殊フォルダ内にコントロールパネルやプリンタの設定項目が用意されていた。
- 検索
- 基本的にはコンピュータ内のファイルやフォルダを検索する項目であるが、バージョンや外部アプリケーションの追加導入によっては内容が変化する場合もある。
- ヘルプ(ヘルプとサポート)
- ヘルププログラムを起動する。オンライン機能を利用してマイクロソフトのサポートサイトから追加情報を入手できる場合もある。
- ファイル名を指定して実行
- 直接ファイル名を指定するか、ディレクトリ名を入力して起動する方法である。Windows 3.1の場合はスタートメニューが存在しないため、「メイン」フォルダの「アイコン」メニューより選ばなければならない。
- Windowsの終了(シャットダウン)
- シャットダウン(終了処理)を行う項目でWindowsを終了してコンピュータの電源を切っても構わない状態にするには(システムの停止等が原因でやむを得ず強制的に電源を切断する場合を除いて)必ずこの項目で終了処理を実行する必要がある。同様にこの項目内で再起動や省電力モードへの切り替え、ユーザーの切り替えが行える。Windows 9x系では「Windowsの終了」であるがWindows NT系では「シャットダウン」と表示されることが多い。また、最近のパソコンは終了処理が終わると自動的に電源が切れることが多い。(Windows搭載マシンの仕様に依存する。電源スイッチが自動的にニュートラルへ戻らないものは自動的に電源を切れない。)
アプリケーション[編集]
- Microsoft Internet Explorer
- Microsoft Outlook Express
- Windows Media Player
- Windows ムービーメーカー(Me、XP、Vista)
- メモ帳
- ワードパッド
- Microsoft Paint(通称「ペイント」。Windows 3.1までは「ペイントブラシ」と呼ばれていた)
- 電卓
- クリップボード
- 外字エディタ
- コマンドプロンプト(MS-DOSと操作性が似ているが、MS-DOSアプリケーションとの互換性は低い。端末ウィンドウ。)
- エクスプローラ(Windows Explorer)
- ハイパーターミナル(簡易通信ソフトウェア)
- リモートデスクトップ、リモートアシスタンス(XP、2003のみ)
- システムの復元(障害時に以前の環境を復元できる。Me、XP、2003のみ。)
- スキャンディスク(Windows 95等の9x系列のみ。NT系列は機能が簡略化されたチェックディスクが付属する。)
- デフラグ
- リソースメーター
- サウンド レコーダー
- CDプレーヤー(95、98、NT、2000)
- Windows Calendar(3.1及びVista以降)
- Windows セキュリティセンター(XP SP2以降)
- Windows Update(98以降)
- 標準添付のゲーム(ソリティア・ハーツ・フリーセル・マインスイーパ・チェスタイタン(チェス)・Windows 3Dピンボール・スパイダーソリティア・マージャンタイタン等)
Windows全体の出荷本数の推移[編集]
- 1987年11月 - 100万本突破
- 1992年2月 - 900万本(業界推定)[1]
- 1992年4月 - 1000万本突破
- 1995年 - 1億本突破
- 1997年 - 2億本突破
- 1999年3月 - 3億2430万本
Windows上のセキュリティに関して[編集]
Windowsについては、他のOSに比べセキュリティーホールが悪用されることが多い。理由として、シェアが大きく初心者からビジネスユーザーまで様々なユーザーがいることから、クラッカーの標的にされやすいこと、OS自体にセキュリティーホールが出現しやすい構造上の問題があるなどの原因が指摘されている。Windowsパソコンに侵入するコンピュータウイルスを駆除するために作られたアンチウイルスソフトウェアの種類も多く、多くの場合メーカー製パソコンに対してプレインストールされている。
2001年の "Nimda" 騒ぎ以降、2003年の"MSBlast"など、コンピュータウイルスやワームの被害は連続して発生しており、最近ではスパイウェアが問題になっている。Windows内の要素では、標準で搭載されているInternet Explorer(ウェブブラウザ)やOutlook Express(メーラー)にセキュリティーホールが発見されることが多い。マイクロソフト内の体質を原因と挙げる経済学者もいる。
またWindowsにセキュリティーホールが多発する理由に、Windows APIの設計の問題がある。WindowsAPIはオブジェクト指向を取り入れて、カーネル側オブジェクトを保持している構造体(クラスである場合もある)をハンドル値とし、ユーザープロセスに渡す。このため、ユーザーAPIから渡されたハンドル値が不正であったり、別のハンドルが指すオブジェクトにすりかえてしまうと、保護されたカーネル空間というセキュリティを突破して、不正なアクセスをカーネル側で実行させることができてしまう。この問題はNT4.0時代にあらゆるAPIで存在しう得ることが発覚し、カーネル空間以外の場所に存在するオブジェクトを参照しないようセキュリティ修正が加えられた。しかし、その修正でもオブジェクトのすり替えは可能であり、似たオブジェクトを作るAPIを利用してセキュリティを突破することが可能であると証明された。現在のバージョンではセキュリティ上重要なAPIではオブジェクト自身のアドレスではなく、そのオブジェクトを識別する値をユーザープロセスに渡し、不正なオブジェクトへのすり替えが出来ないように修正された。しかし、この修正はパフォーマンスに影響を与える事から普段頻繁に使われるAPIでは行われていない(例えばディスプレイコンテキストにはセキュリティ修飾子が無く、ウィンドウステーションによって一括管理する簡易セキュリティで代用されている)。このため、特権の昇格やカーネル内での任意コード実行といったセキュリティーホールの報告が散見される。
Service Pack[編集]
Windowsは発見されたセキュリティーホールなどの不具合に対して、修正パッチが頻繁にリリースされている。これらの修正パッチの集成やセキュリティ強化機能の追加をパッケージとした、Service Pack(サービスパック)と呼ばれる追加ソフトウェアがリリースされることがある。Service Packは、略してSPと呼ばれることもある。また、Service Releaseと命名されている場合もわずかにある。
あらかじめ、Service Packが適用されていないWindowsのインストール用CDに含まれている、i386フォルダ内のファイルにService Packを適用する、スリップストリームという方法がある。これにより、元のインストールCDからのインストール後にService Packを適用するという手間が省け、インストール直後の脆弱性をある程度、回避できる。
Service Packを適用することによってセキュリティの強化、新機能の追加などのメリットを得られる。ただし、システムに若干の改変を加えるために、一部のアプリケーションの動作に支障をきたすなど問題を引き起こすこともある。また、特定のサービスパックのバージョンに依存するソフトウェアも存在する。これらの問題から特に企業においては適用されないこともあるが、マイクロソフトは強く適用を推奨している。
殊に、Windows XPのService Pack 2には「Microsoft Windows XP SP2セキュリティ 強化機能搭載」という正式名称が付けられている。これには、マイクロソフトはセキュリティに力を入れていなかったという従来の方針を転換し、今後はセキュリティを最重要課題として、ユーザーの印象を変えていくという意味合いがある。
Windowsに関係する資格[編集]
マイクロソフト認定プロフェッショナル[編集]
マイクロソフト認定プロフェッショナル(Microsoft Certified Professional、MCP)はシステムエンジニアを対象にした資格制度で、オペレーティングシステムは勿論、Windows ServerやSQL Server、セキュリティ、ネットワークといったWindowsでのネットワーク設計・構築・運用・保守や、Visual Studioを使ったアプリケーションの開発を主眼に据えた試験を行っている。 50科目以上用意されているMCPの科目のうち、どれか1科目に合格すればMCPの認定を受けることができるが、複数の科目に合格することにより、MCPの上位資格の認定を受けることができる。ただし、各上位資格ごとに合格しなければならない科目が定められている。
2005年現在、認定を受けることができる上位資格は以下のとおり。
- マイクロソフト認定デスクトップサポートテクニシャン(Microsoft Certified Desktop Support Technician、MCDST)
- マイクロソフト認定システムアドミニストレータ(Microsoft Certified Systems Administrator、MCSA)
- マイクロソフト認定システムエンジニア(Microsoft Certified Systems Engineer、MCSE)
- マイクロソフト認定データベースアドミニストレータ(Microsoft Certified Database Administrator、MCDBA)
- マイクロソフト認定アプリケーションデベロッパー(Microsoft Certified Application Developer、MCAD)
- マイクロソフト認定ソリューションデベロッパー(Microsoft Certified Solution Developer、MCSD)
※なお、MCSAとMCSEにはMessagingとSecurityのスペシャリストカテゴリが用意されている。
2005年11月、MCPプログラムの資格体系が大幅に改定されることが発表された。この資格体系は今後発売される製品に順次適応されていく予定である。 2006年1月よりアメリカ合衆国でSQL Server 2005とVisual Studio 2005に対応した試験が開始され、日本では2006年4月より開始されている。
資格体系改定により新設された資格は以下のとおり。
- マイクロソフト認定テクノロジースペシャリスト(Microsoft Certified Technology Specialist、MCTS)
- マイクロソフト認定ITプロフェッショナル(Microsoft Certified IT Professional、MCITP)
- マイクロソフト認定プロフェッショナルデベロッパー(Microsoft Certified Professional Developer、MCPD)
試験はパソコンを使い、ラジオボタンやチェックボックスといったHTMLのフォームで正解を選択する形式―CBT(Computer Based Testing)であるが、科目によって選択方式・ケーススタディ方式・シミュレーション方式・CAT方式といったように出題形式が異なっており、受験者にはより詳細な知識や十分な経験が問われることになる。
本資格は一部の科目を除きシステム管理・運用を対象にしたものであるが、IT資格の中では比較的知名度が高く受験者が多い為、様々な理由によりスキルの低い受験者でも合格できる場合がある。それが合格率の向上に反映され、試験の難易度を押し上げ、試験に特化した学習が必要であり能力が正しく反映されない、資格本来の目的から逸脱しているといった指摘がある。その為、頻繁に問題を変更する、暗記では対処できないシミュレーション問題を導入するなどの対策が採られている。
マイクロソフト認定アソシエイト[編集]
マイクロソフト認定アソシエイト(Microsoft Certified Associate、MCA)は日本のみで実施されている資格制度で、MCPが技術者向けの資格であるのに対し、MCAは営業職向けの資格ともいえる。
開始当初は合計3科目が実施されていたが、2004年4月の改定で1科目追加され、現在計4科目が実施されている。全科目に合格するとMCA Masterの資格を得ることができる。また、近年では新人研修にMCAプログラムを利用している企業が増えて来ている。
マイクロソフトオフィシャルトレーナー[編集]
Office2003まで
マイクロソフトオフィシャルトレーナー(Microsoft Official Trainer、MOT)は、MCAと同様日本のみで実施されている資格制度で、パソコンインストラクターを対象にしている。
Office 2000までのMOTでは、認定試験としてCBTによる2種類の筆記試験・オペレーション試験・インストラクション試験・デモンストレーション試験と、計5つの試験を1日で全て実施するというものであった。また以下のような特徴があった。
- 筆記試験は加減方式で採点される。正解は+2点、誤答は-2点となる。なお無回答の場合は0点のままで減点はされない。
- 筆記試験は100点満点中80点以上で合格。80点以下の場合は試験終了となり、後の試験を受験することができない。
- オペレーション試験は100点満点中80点以上で合格。ただし難易度は高め。
- インストラクション試験とデモンストレーション試験は共に50点満点で、両方の試験で合計80点以上で合格。ただし、両方とも40点以上獲得しなければならない。
このような制約があったことから、難度の高い試験であった。さらにMOTの上位資格として、MOT+Access、MOT+Outlookといった資格も用意されていた。
Office 2002 (Office XP)から試験内容が改定され、以下の条件を満たすことでMOTの認定を受けることができる。
- Microsoft Office Specialist (MOS)に合格 ※1
- MOT Essentials (CBTによる筆記試験)に合格 ※1
- Train the Trainer for MOT (講習会)の受講 ※2
- ※1.MOTレベル:全セクションで正解率50%以上の正解。
- ※2.すでにMOTを取得している場合、受講は不要
Excel・Word・Access・PowerPointの計4製品の認定があり、Microsoft社としては、主に女性の取得を想定している。要出典 2005年9月、MOTの上位資格としてMOT Expertが新設された。
Office2007から
Office2007に対応するMOT2007から更にそのシステムが代わり、「各アプリケーションごとの認定」から「Word,Excel,Powerpointに関する認定」になる。
これに伴い、認定の形式も代わった。
- Word,Excel,Powerpoint各アプリでのMCAS(Microsoft Certified Application Specialist・マイクロソフト認定アプリケーションスペシャリスト)合格
- インストラクション認定研修受講+課題合格
- スキル認定研修+課題合格
この3つが必須になる。Office2007から操作インターフェースが大幅に刷新されたため、既存MOT取得者もすべて受け直しが必要になる。(MOTExpertのみ一部例外有り)
脚注[編集]
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
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