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、つるぎ、けん)は、武器の一種で長い剣身を持つ手持ちの刃物。現代の長剣は儀礼用としてのみ使われる。両刃である点でと区別するが、文脈で刀を意味することもある。

概要[編集]

剣は刃物のうち、武器(ないし武具)として利用するためのもので、機械要素としての(切断するための構造)によって対象を切断したり刺したりするが、刃物としてではなく積極的に鈍器として用いられる場合もあるほか、むしろ損耗しやすい刃は重要視されないものもみられる。素材に関しては、後述するようにその地域で得られる様々なものが利用された。その発達の歴史においては常に最新の素材を利用する傾向も見られる。

ナイフの延長的に短いものでは携帯に向くほか、取り回しの面でも扱い易いことから、間合いが取り易いが屋内など狭い空間では極端に扱い辛いポールウェポンや、発射後に次の準備に際して無防備となる飛び道具の補助的なものに使われることがあり、比較的大きなものでも訓練次第では様々な状況に対応可能なことから、長く広く使われてきた歴史を持つ。またこの剣の扱いに関する武術剣術と呼ばれ、様々に発展している。

ただ、その制作には使用する素材にも拠り一定以上の冶金技術が不可欠であり、また工業が限定的な時代や地域(例えば工芸との区別が曖昧な時代)では量産が難しく、大型のものではコストも高くついたため稀少であったり、訓練においても相応の時間を費やす必要があるなど、所有や運用にも一定以上の社会階層(例えば日本の武士や西欧における騎士など)に許されたものである傾向も見出せる。このため各々の剣にに対する特別の意味付けがあるものも散見され、歴史的記念物として保存されたものや、象徴として装飾されたものが現代に伝わっている。

今日では、戦争の形態が火器(個人装備では)を用いる形態が主流であるため、剣を使う戦闘も銃剣など補助要素的なものに変化し、その中では中世の銃の登場以前に発達した多種多様な刀剣類を見ることは無い。しかし歴史的に権力や武力(いわゆる全般)の象徴としてや、なにがしかのシンボルとして剣のモチーフが登場するほか、フィクションの分野でも歴史的な題材のみならずファンタジーからサイエンスフィクションにまで幅広くその類型が見出せる。

なお兵器としての剣はその立場を縮小してはいるものの、武術としての剣術はスポーツの分野で生き残っており、これらはスポーツ全体から見ても無視できない広がりを持つ分野となっている。


機能と構造[編集]

剣にはこうした切断力や打撃力といった要素のほかに、対象を貫き通す(刺す)ための機能を持つものも多く、この貫通力に特化した剣も存在する一方で、切断力や打撃力とは別に貫通力を高めるための工夫が見られるものも少なくない。また剣の中には血抜き(日本刀でいうところの樋・「血溝」は俗称)が施されているものがある。これは刀身に沿って溝が穿たれ、軽量化に役立った一方で、相手を刺した際に武器が抜けなくなる事を予防するため、血を抜き圧力を下げる一方で引き抜く際に切断面と剣との隙間に空気が入ることで武器を抜きやすくする機能を持つ、この様な構造を持つ物は等にも見られる。

剣が鈍器としての性格を併せ持つのは、こと刃による切断では対象がなどで装甲されている場合に十分な切断力が期待できず、むしろ直接的な打撃のほうが効果的でもあったためである。その一方で、刃が構造としては弱く、激しい戦闘や繰り返しの利用ですぐに変形・刃こぼれしてしまいその切断能力を失ってしまうこともあり、戦争などに使われるような使った後はすぐに手入れできない状況で用いられる剣では、この打撃力を重視したものが主流で、これの補助に良く切れる小型の剣やナイフなどを持つ様式(武術)の発達も見られる。

剣と戦争[編集]

剣による戦闘(白兵戦)では、相手も剣を備えて攻撃に用いるため、これを防ぐ防具としての側面があり、この戦闘において手を守る機能を備える剣も多い。剣は個人対個人が戦う上では、基本的な装備の一つとなる。しかし戦争では、刀剣類のうちでも大型の物は扱いに相応の技量を要求し、一般の者では扱い辛いことや、敵にかなり肉薄した状態でしか使えず、長い訓練を必要とした。さらに装甲を突破して相手を負傷させるには適切な武器の選択とこれを扱う技量を必要とする。白兵戦のうちでも携帯性に優れた剣は他の武器の補助として使い、相手に対し距離を置いて対処できる槍や弓矢などが使えず、また敵味方が入り乱れるような混乱した状況で利用された。

こと中世から近世における戦争において、一般から招集される民兵に剣は扱いにくいものであり、歩兵はまずを基本的な戦闘単位として考え、これらの補助として剣を装備していた。ただ人類の歴史において有史以降にいずれの国家においても剣は戦争に対する備えとして平時より生産と保有が行われたことからも、この武器の信頼性が長らく優位性を保っていたことがうかがえる。

ただし戦国時代に代表される乱世の頃の剣と、後世や平時における護身用の剣との間には明確な隔たりが存在する。前者は切れ味よりも耐久性が求められ、ここに前述の鈍器としての剣や、あるいは腰に吊って日常的に持ち歩くことを前提としないことから肉厚で重量のある剣が利用され、また装飾などの意匠性を求められることも少なかった。後世の剣は対人でも一人ないし数人を傷付けひるませたり撃退することができれば用を成したのとは異なる。こういった変化は、日本刀でも戦国時代のものと後世のそれとで明確な差異も見られるが、西欧においてもショートソードのような歩兵装備としての剣や扱いに技能を必要とするツーハンデッドソードなどが戦争に使われ、後に銃が発達した以降ではサーベルのような簡略化されそれでも耐久性のある剣が利用されたが、一般の護身用や決闘用ではレイピアなどの更に簡略化されたものが使われた。

剣と刀[編集]

刀剣のうち、片刃のものをと呼び、両刃のものをさして剣と呼ぶのが中国語漢字の字義からは正しい。ただし日本語およびその文化では、広義の「剣」は刀も含めた刀剣類全般を指す言葉として用いられる。これは、日本刀の発明以後、両刃の剣が完全に廃れてしまい、区別する必要がなくなったためである。

特殊な物を除き一般的な刀剣は、突いたり斬ったりするのに一番重要なのは、切先から10〜30cm辺りである。数打ちと言われるような大量生産された物の中には最低限の刃しか付いていない物もある。

木刀や刃引きされた刀(刃をなくし切れない)に対して、「木剣」や、実際に刃を有する刀を「真剣」と称し、また「刀」を用いる武術武道のことを、刀術(『本朝武藝小傳』など極少数の文献にのみ使用される)ではなく剣術剣道と言うことからも「刀」と「剣」という語の関係が透けて見える。これは、日本では、剣から刃先を鋼にする日本刀へ、ほぼ完全に変化した事が大きく影響されていると思われる。

中国では両手に同じ大きさの剣を持つ双剣術と日本刀と同じように一本の剣を持つ単剣術があるが、基本的に片手だけで扱う。両手で扱うものは双手剣として分けられる。

日本で剣と単に呼ぶ場合、剣術・剣の道・剣の技・流派・生き様などを指すことが多く、武器そのものを意味する場合は剣と書いて「つるぎ」と読ませることもある。

歴史[編集]

刀剣の歴史は長いが、旧石器時代以前から狩猟に用いられてきたほどに古いものではない。

新石器時代のアジアやメソアメリカなどは、鋭利に磨かれた黒曜石の刃を木で作った刀身に並べて付けた細石刃を用いた剣などが存在する(マカナ)。同様に、金属の加工や入手が困難であった太平洋地域では、木製の平たい棍棒サメの歯を並べて植えた剣が作られた。なお、純然たる木製の剣もアフリカ地方には存在している。これらも使いようによっては十分に致命的な威力をもつ武器であった。

青銅器時代から金属加工技術の冶金技術の発達により、刃の長い武器、すなわち剣が制作可能になり、使用されるようになった。材料は青銅が用いられていたが、鉄器時代を経てが用いられるようになり、やがて鉄を高温ので精錬したが用いられるようになった。

銃器が発明された頃には、銃が先込め式で一発撃つと再装填に時間がかかるため、外した場合ほとんど無防備になるなど、信頼性を欠くことから、先込め銃と複合させた剣も一時期製造された。

象徴としての剣[編集]

日本の剣参照

剣は、王位の象徴とされることが多く、神話や伝説中では魔法の力を持つなどとされて、名を残している剣も数多い。中でも、アーサー王伝説に登場するエクスカリバーや中世叙事詩『ローランの歌』に登場するデュランダルは有名である。

フィクションでの扱い[編集]

コンピュータゲーム、特にファンタジーや中世が舞台のロールプレイングゲームなどでは剣は最も登場頻度の高い武器であり、ゲーム内ではオードソックスな武器として扱われている。ゲームによっては短剣、長剣、刀(日本刀)に分類され、キャラによっては扱えない種類があるなどの設定がある場合が多い(非力な魔法使いは長剣や刀は使えないなど)。

主な剣の種類[編集]

片刃のもの参照

ここでは、狭義の剣の種類を述べる。

短剣[編集]

日本においては脇差という武器が存在したため、普通の刀の半分程度の長さの刀を短剣と呼ぶ。西洋でも、ショートソードの区分は存在するが、ロングソード以前の短い剣を区別するために後から付けられた名前とされている。

長剣[編集]

未分類[編集]

関連項目[編集]