伯爵カインシリーズ
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伯爵カインシリーズは、花とゆめに連載されていた由貴香織里によるイギリス・ロンドンを舞台にした漫画作品である。
- 忘れられたジュリエット
- 少年の孵化する音
- カフカ-kafka-
- 赤い羊の刻印(全2巻)
- ゴッド チャイルド(全8巻)
の5部作からなる。
目次
ストーリー[編集]
幼少の頃、実父の死により大貴族であるハーグリーヴズ家を継ぎ、幼くして伯爵となったカイン。カインはいつしか危険な「毒」の収集家となる。異母妹のマリーウェザー、彼に仕える執事のリフ、マリーに求婚するオスカーと共に過ごす中、謎の秘密結社「DELILAH(デライラ)」の一員Dr.ジザベル・ディズレーリと再会。彼の裏には組織の総裁であるという、死んだはずの父・アレクシスがいるという。
ストーリーはマザー・グースや『不思議の国のアリス』などに多くモチーフを得ている。
登場人物[編集]
()内はドラマCDの声優。販売CDのキャスト/全サCDのキャストの順で記載。
一人しか記載がないところは共通。
ハーグリーヴス家[編集]
伯爵家[編集]
- カイン・C・ハーグリーヴス(声:石川英郎:幼少期津村まこと)
- 主人公。ハーグリーヴス家の17歳の若き伯爵[1] 。多くの毒のコレクションを持ち、行く先々で殺人事件に関わることから毒の伯爵、呪われた伯爵の異名を取る。その美しい容姿で男女問わず多くの人を魅了させていく。幼いころ父から受けた鞭での虐待の証が背中に痛々しく残っている。その為人に肌を見せるのを極端に嫌う(リフは例外である)。緑色に金色がかった神秘的な瞳を持っている。「カイン」という名前の由来は、聖書に出てくる人類最初の殺人者『カイン』から。
- マリーウェザー・ハーグリーヴス(声:川田妙子/水橋かおり)
- カインの異母妹、10歳。元々は下町で占い師をしていたが、カインと出会いハーグリーヴス家に引き取られる。タロット占いが得意。
- 下町育ちなので根はお転婆。カインに溺愛され、また彼をお兄様と呼び心から慕っている。ピアノが苦手。
本家[編集]
- アレクシス・ハーグリーヴス(声:小杉十郎太)
- ハーグリーヴス家先代当主、カインとマリーウェザーの父。姉・オーガスタに対する愛情のあまり、愛憎入り混じった仕打ちを幼少期のカインに与えていた。その後、カインの反逆にあい、目の前で海に身を投げた。
- 表向きはマリーウェザーの母、アレグラ=デュークと恋仲となりマリーをもうけるが一族の反対にあい、アレグラの後を追い行方不明になったという事になっていた。
- 名前は不明だが、弟が一人いる。またカインの台詞で「伯父様・伯母様」とあり、伯母はオーガスタ以外(当時オーガスターに関する描写ではない)、伯父はアレクシスの兄弟もしくはオーガスタの夫という可能性がある。
- オーガスタ(声:小島幸子)
- アレクシスの姉。他家へ嫁いだ後(名字は不明)にアレクシスと愛し合いカインを妊娠。実弟の子の妊娠という事実に精神を病んでしまった。
- シュゼット
- 『忘れられたジュリエット』で初登場。
- カインの従姉。オーガスタの娘なので、実際はカインの異父姉。自らはハーグリーヴス家の隠された呪いを知らず育っていた。身分違いの男性との恋愛の果て、裏切られ、エメラルドフォレストにより無理心中を図る。
- レノラ・ハーグリーヴス
- アレクシスの妻で法的上のカインの母。義姉のオーガスタを慕っていたが、アレクシスとオーガスタが禁忌の子供をもうけた事から、アレクシスには自分への愛情が無いと錯乱。後に毒を飲む。
分家[編集]
- ニール・ハーグリーヴス
- 先々代ハーグリーヴス家当主(カインの祖父)の妹の息子、つまりアレクシスの従兄弟。聡明なオーガスタを敬愛していた。彼女がカインを身ごもった時、その身を案じ、堕胎を勧める一族を説得しに回った。後にカインの後見人となり、カインを無償の愛で見守る。
- アンドルー・ハーグリーヴス
- アレクシスの弟の息子でカインの従兄弟。父親が二ールと並んでカインの後見人の最有力候補だった。
- カティーナ
- レノラの妹でカインの(法的の)母方の叔母。性格は極めて厳格。
クロムウェル家[編集]
ハーグリーヴス家の遠戚。
- レナード・クロムウェル
- クロムウェル家当主。本家・分家含めた一族の反対を押し切り日本人の瞳子と結婚した為一族と疎遠になる。
- 瞳子・クロムウェル
- 元は日本人の旅芸人一座の一人。ロンドンへ渡航してきた際、レナードと出会い結婚。日本人というだけで上流社会から迫害され、心労がたたり治療の為入院。その際アビゲイルの嫌がらせによって自殺。マダム・バタフライと呼ばれる。
- アビゲイル・クロムウェル
- レナードの後妻で元々は彼女が婚約者だった。入院した瞳子を自殺に追い詰める。
- ルキア・クロムウェル
- レナードと瞳子の娘。母親似のハーフで和服をモデルにしたドレス(ゴスロリ風?)を着ている。目の前で母が自殺、それに伴う降霊会で幽霊憑きになっていた。
- エミール・クロムウェル
- アビゲイルの連れ子。ルキアの義弟で、ルキアを慕っている。オカルトが趣味。
- ソフィー・クロムウェル
- レナードの母でルキアの祖母。日本人の瞳子を快く思わず、元婚約者のアビゲイルと手を結び瞳子を追い詰める。アレクシスに逆らえず、彼に命じられカインをクロムウェル家へ呼び寄せる。
カインと関わる者[編集]
- オスカー・ゲイブリル(声:吉田孝)
- ゲイブリル男爵家の長男。20歳だが、長身で歳にしては老け顔である。自身の怠慢により婚約者を事故で失い、やけになっている所を大学の教授をぶんなぐって退学になり、実家を勘当されている。その亡き婚約者似のカインを慕っており、マリーに求婚する。
- アレグラ・デューク
- 夫であるバージェスの暴力から逃れる為に各地を渡り、その際ハーグリーヴス家のメイドとして雇われる。その際アレクシスと恋仲となりマリーウェザーを儲けるが、ハーグリーヴス家に妬まれ、またバージェスの手が伸びてきた事により逃亡。10年後に発見された際に娘を守る為に自殺。
- ドミニク・クレハドール
- クロムウェル家の事件で知り合った霊媒師。かつて様々な予言でヨーロッパ中の社交界を巻き起こした。金儲けが趣味。元はフランスの没落貴族。
- アレクシスを「閣下」と呼ぶ。アレクシスに「デライラ」への入会を誘われている(入会時に約束される地位は魔術師)。
『DELILAH-デライラ-』[編集]
先々代ハーグリーヴス家当主であったアレクシスの父により作られた医学同好会が元。その後天才児・アレクシスの登場によって次第に変貌を遂げ、最終的に秘密結社組織「デライラ」となる。
アレクシスを頂点にタロットカードの名称を取った支配階級に分かれており、大アルカナ・小アルカナと使役階級のトランプの三構成を取る。ただし、本来の身分について貴族・医者・平民と混在しており、場合によっては貴族の上に平民がつく。組織は己の欲望に忠実であることを旨に、医学と魔術を融合した体制を取る。
大アルカナは22枚、小アルカナは56枚、トランプは53枚が上限だが、実人数がこれに当てはまるかは明記されていない。
イギリスを中心に、ヨーロッパ各地に広がりを見せ、その強大な力は各国の政界・社交界・軍部にまで及ぶ。
【カードマスター】[編集]
- アレクシス・ハーグリーヴス
- デライラの当主。自殺していたと思われていたが、10年後にカインの前に姿を現す。
【大アルカナ】[編集]
構成員にはタロットカードの大アルカナの名称が与えられる。大アルカナへは「再生の儀」と呼ばれる儀式を乗り越えた者だけが昇進できる。
- ジザベル・ディズレーリ(声:三木眞一郎)
- カードは「Death」。
- 本職は外科医で26歳。灰色の長髪が特徴。
- デライラにおいて表向きはアレクシスの養子として存在していた。アンセル・アレンの偽名をもってカインに近づき、以降事あるごとにカインの精神を切り刻むがごとく振舞う。人間に対し一切の絶望を抱いているが、その反面動植物に対し惜しみの無い愛情を向けるなどのむけるなどの反比例した内面を持つ。他界した二人の姉がいた。
- 養子として扱われているが、その実はアレクシスが戯れに玩んだ女性との間に生まれた子であり、カインにとっては異母兄となる(9歳年上)。
- カサンドラ・グラットストン
- カードは「The Hierophant」。
- 本職は慈善事業家の貴族。34,5歳。司祭長として「再生の儀」を執り行うなど、組織内で実質的なナンバー2の地位にいた。人の心を覗き見、また催眠術によって操ることが出来る能力を持つ。
- セレス・ヘレーナ・オクタヴィア
- カードは「Justice」。
- 職業は不明だがドクターと呼ばれているため医学関係者と思われる。凶眼(evil eye)と呼ばれる眼力の持ち主で、常に目を隠していた。
- アウル
- カードは「The fool」。誰の配下でもなく、事の成り行きを最後まで見守る役目を負う。
- 天才バイオリニスト。その白髪から「アウル(「白梟」の意)」と呼ばれた。
- 『Tower』
- カードは「The Tower」。
- アレクシス直属であり、カインの動向を探る為普段は身を潜めている。
- Dr.ゼノピア
- カードは「The Hermit」。
- 脳移植の研究をしている老医師。
【小アルカナ】[編集]
- グリフォード
- カードは「剣のエース」。
- 職業は棺桶屋。母親は貴族の屋敷でメイドをしていたが、当主との浮気を疑った妻によって盗みの罪を着せられ投獄させられた。
【トランプ】[編集]
- カシアン
- カード不明。ジザベル直属の部下。実年齢35歳だが、先天的異常により12歳で肉体の成長が止まってしまった。脳の感覚運動野の発達が著しく、優れた運動能力を持つ。親にサーカス団に売られた後、団長と団員を殺し脱走。警察の目をかいくぐっていたところをアレクシスに拾われ、デライラの一員となる。
その他[編集]
- ミケイラ
- シュゼットの細胞から作られた屍人形。特殊な毒を仕込んだタランチュラを用い、虫と心を通わせることができる。赤い髪を持ち、体中に包帯を巻いている。カインに執着とも言える激しい愛情を抱いている。
年齢[編集]
本作品内でアレクシスが姉オーガスタに思いを寄せていたのは明記されているが、当時オーガスタは他者と結婚しており、カイン出産直後に精神を病んだ事からオーガスタの娘・シュゼットはアレクシスが手を出す前に夫との間に生まれたことがわかる。
それとは別に、アレクシスが愛人との間にジザベルを作ったのはカインが生まれるまでの身代わりであると述べている。しかしこの表記について、アレクシスがオーガスタに手を出す前は、多少なり冷酷な一面があるとは言え普通人であり、時系列においてはオーガスタに思いを遂げる約18年前にジザベルが生まれている為(公式の表記では、ジザベルは28歳・カインは18歳。ジザベルがカインの存在を知ったのは10歳の頃)、実験体とは何なのか、何故愛人と子供を作らねばならないのか等の矛盾が生じる。[2]
時系列において、アレクシスがかかわった子供の年齢順はジザベルの長姉→ジザベルの次姉→ジザベル→カインとなり、カインの異父姉シュゼットは「従姉」という記述からカインより年上だが、上記設定においては年齢がジザベルの次姉(作中で判明する回想録+10年)と同世代かやや下になるという計算になるため、初期と後期ではカイン・シュゼットの年齢の設定が変更または矛盾している。
連載時期[編集]
劇中に登場する毒[編集]
作品初期の段階では、作者によるオリジナルと思われる毒が多く登場したが、中期以降は実在の毒を用いている。
脚注[編集]
- ↑ 年齢については連載初期と後期で変動した可能性あり
- ↑ ジザベルが母から女の子として育てられていたのは、アレクシス自身が愛人との間に男の子を望み、女の子は不要としていた可能性があり、二人の姉についてもアレクシスの娘の可能性がある。その為この『二人の姉』については生誕はシュゼットよりも先になる。
ドラマCD[編集]
- カフカ(1999年4月21日発売)
収録
・カフカ
- 切り刻まれ食べられたミス・プディングの悲劇(1999年11月17日発売)
収録
・切り刻まれ食べられたミス・プディングの悲劇
・捩れた童話
- God Child(2002年花とゆめ応募者全員サービス)
収録
・捩くれた小さな家
・少年の孵化する音