不動産会社

提供: Yourpedia
移動: 案内検索

不動産会社(ふどうさんがいしゃ)とは、主として不動産の売買、交換、賃貸、管理及び、売買・交換・賃貸の代理もしくは仲介を行う会社のことである。そのうち、自ら開発、分譲を行うものはデベロッパーと呼ばれる。

法定義[編集]

不動産会社が行う業務は幅広く多岐にわたることから、全体を明確に定義する法律は存在しない。

不動産会社を規制する法律のひとつに宅地建物取引業法があり、その第2条2項において宅地建物取引業のことを「宅地若しくは建物(建物の一部を含む。以下同じ。)の売買若しくは交換又は宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の代理若しくは媒介をする行為で業として行なうものをいう。」と定義しており、不動産賃貸業不動産管理業のみを営む会社については宅地建物取引業者にあたらない。

また、分譲マンションの管理について近年関心が高まっているが、不動産管理業の中でも分譲マンションの管理を業として行う場合には、2000年に施行されたマンションの管理の適正化の推進に関する法律によって規制される。ただし、賃貸マンションやオフィスビル、商業ビルなどの管理を業として行う場合には、規制の対象とはならない。

  事業を規制する法律
不動産取引業 建物売買業・土地売買業 宅地建物取引業法
不動産代理業・仲介業 宅地建物取引業法
不動産賃貸業 不動産賃貸業
貸家業・貸間業
駐車場業
不動産管理業 分譲マンション マンションの管理の適正化の推進に関する法律
賃貸住宅・オフィスビル等

業務に付随して、上記以外の各種法律の規制を受ける場合がある。

不動産業界[編集]

不動産業界は飲食店などと同じく参入が比較的容易であることから、中小の個人経営の会社まで含めると非常に裾野の広い業界である。また、不動産専業ではなく建設会社・工務店など施工業者がそのままマンション建売住宅の分譲を行っているケースや、鉄道事業者鉄鋼メーカーなど他業種の企業の一部門及び子会社が不動産事業を行っているケースも多く見られる。不動産業全体の売上高は約34兆円(平成19年)で、全産業に占める割合は2.3%。自動車製造業や運輸業、娯楽業などよりも市場規模は小さいが、鉄鋼業や飲食業、印刷業などよりも市場規模は大きい。

市場規模 (一部の産業を抜粋)

産業名 売上高
(単位:億円)
構成比
卸売業 4,319,343 27.3%
小売業 1,653,518 10.5%
建設業 1,350,155 8.5%
運輸業 673,608 4.3%
 自動車・同附属品製造業  663,241 4.2%
電気機械器具製造業 493,708 3.1%
娯楽業 422,169 2.7%
不動産業 370,946 2.3%
飲食業 152,174 1.0%
宿泊業 73,922 0.5%
全産業 15,801,713 100.0%

※資料 : 財務省「法人企業統計調査」(平成19年)より

事業規模・構成比[編集]

小規模の会社が多く、一事業所当りの平均従業者数は、全産業の平均9.7人と比べると非常に少ない。また、事業別の構成比は不動産賃貸業が最も多く、事業所数で約7割、従業員数で約5割を占める。

  一事業所当たり
平均従業者数
事業所数 構成比 従業員数 構成比
不動産取引業 建物売買業・土地売買業 7.5人 18,018 5.6% 20.3% 135,408人 13.2% 32.6%
不動産代理業・仲介業 4.3人 46,987 14.7% 200,580人 19.5%
不動産賃貸業 不動産賃貸業 4.1人 48,726 13.6% 70.9% 178,734人 17.4% 49.4%
貸家業・貸間業 1.7人 147,331 46.0% 254,340人 24.7%
駐車場業 2.1人 36,099 11.3% 74,940人 7.3%
不動産管理業 6.6人 28,313 8.8% 185,465人 18.0%
不動産業全体 3.2人 320,474 100.0% 1,029,467人 100.0%

※資料 : 総務省「事業所・企業統計調査報告」(平成18年)より。国・地方公共団体を除く。

大手不動産会社の特徴[編集]

不動産業界は、古くから都心などの一等地を大量に保有していた旧財閥系企業と、沿線の住宅開発などを手がけてきた鉄道系企業が中心に大手を形成している。旧財閥系では丸の内エリアの一等地のほとんどを所有している三菱地所がその典型的な例である。 その他にも商社系・メーカー系・ゼネコン系・金融系企業などがある。


主な大手不動産会社[編集]

時価総額ランキング(2013年12月末時点)順

順位 会社名
1 三菱地所
2 三井不動産
3 住友不動産
4 ヒューリック
5 イオンモール
6 東急不動産ホールディングス
7 飯田グループホールディングス
8 東京建物
9 野村不動産ホールディングス
10 NTT都市開発


主な不動産会社の創業時期[編集]

会社名 創業時期
東京建物 1896年(明治29年) 10月1日
ダイビル 1923年(大正12年) 10月15日
ヒューリック 1931年(昭和6年) 3月27日
三菱地所 1937年(昭和12年) 5月7日
三井不動産 1941年(昭和16年) 7月15日
平和不動産 1947年(昭和22年) 7月1日
住友不動産 1949年(昭和24年) 12月1日
サンケイビル 1951年(昭和26年) 6月11日
東急不動産 1953年(昭和28年) 12月17日
野村不動産 1957年(昭和32年) 4月15日
森ビル 1959年(昭和34年) 6月2日
森トラスト 1971年(昭和46年) 6月10日

主な不動産会社一覧[編集]

日本の企業一覧 (不動産) を参照

以下、デベロッパーとして業を営むもの。これらとは別に不動産流通業(物件の売買・賃借の媒介)やビルメンテナンスマンション管理業を営むものは多数存在する(以下デベロッパーの関連会社として置かれている場合もある)。

不動産バブル[編集]

2002年からの好景気(いざなみ景気)の長期化により、大都市圏のオフィスビルの空室率や失業者率が低下し、個人では団塊の世代の大量退職・住宅ローンの貸出金利が低く推移したこと、不動産(オフィス・商業施設・住宅・リゾート)に対する需要が増加した事に加え、J-REIT証券化)や特定目的会社という新たな資金調達手段が登場したことにより不動産投資マネーが飛び交うようになり、大型物件の開発や既存不動産の売買が相次ぐなど不動産関連企業の収益や新規参入が増加するといった活況を呈し、「不動産バブル」と言える状態となっていった。

しかし、2007年8月にサブプライム問題が発生。2008年9月の世界金融危機が追い打ちをかけ、金融機関や投資家がデベロッパー向け投融資を急激に縮小させたことから上場会社・地域の有力会社を問わず倒産する企業が相次ぎ、不動産会社に連鎖して中小ゼネコンの倒産も発生している[1]2010年に入っても不動産不況は終わりを見せず、上場企業や地域の有力デベロッパーの経営破綻が相次いだ。

主な倒産企業[編集]

サブプライム問題発生以降に倒産した上場不動産会社および主な非上場不動産会社は以下の通り。下記各社の負債総額は帝国データバンクおよび東京商工リサーチ調べによる。

2008年
  • 2月
  • 3月
  • 5月
    • 近藤産業(負債総額323億円、破産) 2008年5月
      • 連鎖で林建設工業(富山市、民事再生、2008年6月)、ゼファー(民事再生)。
  • 6月
  • 7月
    • ダイドー住販(負債総額248億円、民事再生) 2008年7月
    • 興大(負債総額55億円、破産) 2008年7月
    • ゼファー(東証1部、民事再生) 2008年7月
      • 連鎖で北野組(北海道、破産、2008年7月)。
    • キョーエイ産業(JASDAQ、民事再生) 2008年7月
    • 丸美(負債総額220億円、民事再生) 2008年7月
    • ハウジング大興(負債総額138億円、民事再生) 2008年7月
    • マツヤハウジング(負債総額267億円、民事再生) 2008年7月
  • 8月
    • アーバンコーポレイション(東証1部、民事再生) 2008年8月
    • 創建ホームズ(東証1部、民事再生) 2008年8月
      • 連鎖で新井組(民事再生、2008年10月)。
        • 新井組への焦付が発生した山﨑建設が2008年10月に会社更生法の適用を申請(前掲済)。
    • セボン(負債総額621億円、民事再生) 2008年8月
  • 9月
    • エフ・イー・シー(負債総額130億円、民事再生) 2008年9月
    • ランドコム(東証2部、負債総額310億、民事再生) 2008年9月
    • シーズクリエイト(東証1部、民事再生) 2008年9月
    • リプラス(東証マザーズ、破産) 2008年9月
      • 連鎖で子会社のリプラス・チャイナ・アセットマネジメント(破産、2008年11月)。
    • Human21(JASDAQ、民事再生) 2008年9月
  • 10月
  • 11月
    • 環商事(負債総額158億5000万円、破産) 2008年11月
    • モリモト(東証2部、負債総額1615億2000万円、民事再生) 2008年11月
  • 12月
    • ウエスト・ハウス(負債総額70億円、特別清算) 2008年12月
    • フレッグインターナショナル(負債総額257億1300万円、民事再生) 2008年12月
    • ダイア建設(東証2部、負債総額300億円、民事再生) 2008年12月
    • 山田木材(負債総額45億円、破産[1]) 2008年12月16日
2009年
  • 1月
    • みどり建設興業(負債総額19億円、破産) 2009年1月
    • トップハウス(負債総額76億円、破産) 2009年1月
    • 中央興産(負債総額48億円、破産) 2009年1月
      • 連鎖でグループ企業の中央都市開発(破産、2009年1月)、中央商事(破産、2009年1月)。
    • ランドクリエーション(負債総額15億円、破産) 2009年1月
    • 日本クリエイト(負債総額30億円、破産) 2009年1月
    • 東新住建(JASDAQ、負債総額491億円、民事再生) 2009年1月
    • クリード(東証1部、負債総額650億円、会社更生) 2009年1月
    • ジョー・コーポレーション(負債総額90億円、民事再生) 2009年1月
    • 章栄不動産(負債総額292億円、民事再生) 2009年1月
    • シックス(負債総額50億円、破産) 2009年1月
      • 連鎖でグループ企業のシックスサービス(破産、2009年1月)、シックスエージェンシー(破産、2009年1月)。
    • エス・シージャパン(負債総額43億円、破産) 2009年1月
    • ミヤビエステックス(負債総額205億5400万円、民事再生) 2009年1月
    • 栄泉不動産(負債総額580億円、民事再生)
    • 富士ハウス(負債総額358億円、破産) 2009年1月
      • 連鎖でグループ企業の日京(破産、2009年1月)、サニー(破産、2009年1月)。
  • 2月
    • K’sコーポレーション(負債総額36億円、民事再生) 2009年2月
    • ホリウチコーポレーション(負債総額38億2600万円、破産) 2009年2月
    • 日本綜合地所(東証1部、負債総額1975億円4900万円、会社更生) 2009年2月
      • 連鎖でグループ企業の日綜不動産(会社更生、2009年2月)、日綜ハウジング(会社更生、2009年2月)。
    • ニチモ(東証2部、負債総額757億円、民事再生)、2009年2月13日

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. 新興不動産会社ピンチ サブプライムの影響で破綻相次ぐ[リンク切れ]産経新聞、2008.7.19

外部リンク[編集]