第57回NHK紅白歌合戦
第57回NHK紅白歌合戦は、2006年12月31日(JST、以下同じ)にNHKホールで行われた、通算57回目のNHK紅白歌合戦。19時20分~23時45分に生放送された(21時25分~21時30分はニュースのため中断。BShiは別番組)。双方向対応番組。
目次
放送メディア[編集]
- 国内向けには、総合テレビ・BS2・BShi・ラジオ第1放送。
- 海外向けには、NHKワールド・プレミアムおよびNHKワールド・ラジオ日本。ただし、著作権処理や電波運用の関係で、一般視聴者が直接受信できるNHKワールドTVでは放送されなかった。また、ラジオはアジア大陸と東南アジア地域のみが生放送で、それ以外の地域は時差放送となった。
放送まで[編集]
- 9月20日にテーマ「愛・家族~世代をこえる歌がある~」が発表され、「あたたかい紅白」を目指すとコメントされた。
- 11月17日には司会者が発表された。仲間由紀恵は2年連続の[[司会])となった。みのもんたは、前回に続き2年連続出場に意欲を見せ、またシングルCDも発売して「歌手と司会での出場」を公言していた。
- 11月29日には出場歌手が発表された。このうち初出場は12組だった。主な出場者は以下の通り。
- 絢香:初出場。『つながるテレビ@ヒューマン』のテーマ曲を歌っている。
- 秋川雅史:初出場。テノール歌手。「千の風になって」はこの紅白を機に注目される様になる。
- スガシカオ:初出場。『プロフェッショナル 仕事の流儀』のテーマ曲を作詞・作曲し、“Kōkua”としてヴォーカルを務めている。この年は、福耳としても活躍した。
- 今井美樹:初出場。夫でギタリストの布袋寅泰と夫婦で共演した。
- 徳永英明:初出場。脳血管の病気である通称「もやもや病」から寛解した。
- 森昌子:5年ぶりの出場。この回は歌手復帰後の初めての紅白となり、元夫・進一との同時出演だった。
- GAM(松浦亜弥・藤本美貴):2人とも通算3度目の初出場。藤本は同じ出番でモーニング娘。としても出場したが、松浦はこの回はソロでの出場はなかった。
- SEAMO:初登場。同年のヒット曲であるルパン・ザ・ファイヤー、マタアイマショウなどを歌った。
- 出場が有力視されながら本人が辞退または落選した歌手は次の通り。
- 倉木麻衣:前回まで出場していたが、この回は早い時期に辞退した。
- 吉田拓郎:つま恋コンサートがNHKで放送され、出場が有力視されたが「つま恋の通過点が過ぎたから出ない」として辞退した。
- 井上陽水:「今は出る気力がない、今後の紅白の出演を検討する」として辞退した。
- KAT-TUN:この年にブレイクしたが、ジャニーズ事務所の出場枠がSMAPとTOKIOの2枠で固定されているため、出場しなかった。
- Gackt:翌2007年の大河ドラマ『風林火山』に上杉謙信役で出演する為、2004年の第55回以来2年振りの出場が有力されるも、前年同様に辞退した(翌第58回には出場)。
- 桜塚やっくん:一部のスポーツ紙で本人の強い意向により紅組での出場が内定したと報道されたが、落選。応援ゲストとしての登場にとどまった。
- 上杉香緒里:荒川静香のそっくりさんとして注目され、「おんな酒」がヒットしたが、落選した。
- 岩崎宏美:紅白復帰待望論が根強く、一部スポーツ紙に「出場検討中」と出たが、結局「ヒット曲が無い」と辞退した。
- その他、前回出場したAIや一青窈、伊藤由奈、Def Tech、島谷ひとみ、谷村新司(前年はアリス名義)は出場を辞退した。また、Cocco、山本譲二と所ジョージによる民放番組の企画で紅白出場を狙ったユニット「譲二さんと所さん」や、木村カエラがゲストボーカルとして復活したサディスティック・ミカ・バンドらの出場も実現しなかった。Coccoは一部のスポーツ新聞で出場内定が報道されたが、辞退したとみられる。
死亡事故[編集]
- 放送当日の最終リハーサル中に、仲間由紀恵の横に立っていたNHK制作局エンターテインメント番組担当の56歳の男性職員が舞台上で意識を失い倒れるという事故があった。この職員は、翌2007年1月1日に搬送先の病院でくも膜下出血により死亡した。
観覧者の制限[編集]
この回からNHKホールの観覧者に資格制限を設けた。すなわち、「受信料を支払っている世帯並びに法令に基づいて合法的に支払いを免除されている世帯の家族構成員に限る」とされた。受信料を支払う視聴者との間に不公平感が生まれたことによる措置だった。
この観覧制限は、これまで「NHK歌謡コンサート」など一部の番組で実施されて来たものだが、紅白では初めてとなった。このため、観覧応募件数は36万5,970件と前回(50万3,721件)から3割近い減少となった。今まで1人何通でも応募できたが、今回から1通に限られたことも数字に影響している。
当日のステージ[編集]
- 1998年(第49回)以来8年ぶりの司会となったSMAPのリーダー中居正広は、オープニングで『8年ぶり』と書かれた扇子を披露し、会場を沸かせた。
- 歌手紹介のテロップに「出場回数」および「出身地」の項目が復活した(ただし、4人以上のグループを除く)。また、曲終了時にも小さくタイトルと歌手名が表示された。
- 初登場のアンジェラ・アキがデビュー曲である「HOME」をピアノ弾き語りで歌った。出場者自身によるピアノ弾き語りでの出演はKiroro以来である。その後のコブクロもギター弾き語りで「風」を歌唱した。
- モーニング娘。は、12月10日に新メンバー光井愛佳が加入していたが、光井は出場せず、加入前の8人のメンバーで出場した。
- NHKのトリノオリンピックテーマソング「誓い」を歌唱した平原綾香の応援として、荒川静香が登場した。
- 森昌子の出番では、出産間際だった高嶋ちさ子ら女性ヴァイオニスト12人がヴァイオリン演奏した。
- 白組第二部のトップバッターであったウエンツ瑛士と小池徹平のデュオWaTの歌唱終了後、白組司会の中居正広は台本を無視して、「はい、徹平君、ホラッチョ、どうもありがとうございました」と言った。「ホラッチョ」とは「ほら吹き」のことで、中居が司会を務める『うたばん』(TBS)でウエンツに対しギャグとして使っているあだ名のことである。その後、ウエンツは「うたばん」に出演した際、中居に対し「俺と俺の家族に謝れ!」「NHKで俺を嘘つき呼ばわりでしょ!」と物凄く怒っていた。
- TOKIOのステージ応援には連続テレビ小説『芋たこなんきん』に主演していた特別審査員で女優の藤山直美が登場した。これは、TOKIOのリーダーの城島茂が同朝ドラの中で藤山の役の父親を演じていていた為である。その際、城島と交友の深い司会の中居は、同朝ドラでの城島での写真を紹介し、会場の爆笑を誘った。
- 和田アキ子は2005年10月に亡くなった自身の母への思いを込めて、「Mother」を熱唱した。歌唱終了後、和田は必死で涙をこらえていた。
- 「ありがとう」を歌唱したSMAPは、ピアノ伴奏にのせながら、歌の披露の前に「世界に一つだけの花」を披露した2003年(第54回)と同様に5人でメッセージを送った。
- 前回はトップバッターであった川中美幸がデビュー30周年で初の紅組トリを務めた。
- 北島三郎は「まつり」を歌唱し、実に11回目の白組の大トリを務めた。2006年に芸能生活45周年を迎え、紅白史上最多の43回出場を誇る大御所のメモリアルステージとなった。
- 2006年に死去した宮川泰に代わり、作曲家の平尾昌晃がエンディングでの『蛍の光』の指揮を担当した。
結果[編集]
優勝は白組だった。これで対戦成績は紅組28勝・白組29勝となった。(ちなみに前年も優勝は白組で2年連続同じ組が優勝するのは9年ぶりである。なお白組がリードしたのは第18回以来38年ぶりである。)
審査方法は、前回の方法を踏襲しつつ、それ以前のボールによる最終判定を復活させた。特別審査員が各人1点、第1部終了時点での視聴者投票の結果に基づき、デジタルテレビ審査、ケータイ・ワンセグ審査に各1点、最終審査でデジタルテレビ審査、ケータイ・ワンセグ審査、会場審査に各2点が割り当てられた。また、ボールの総数を偶数である18個とし、紅白史上初の引き分けの可能性も持たせた。
途中審査のトラブル(BSデジタル放送のみ)があったが、紅白の票差は拮抗した。しかし、中間のデジタルテレビ審査以外はすべて白が勝ったため、白にボールが大量に入った。それが白勝利の要因となった。
また、優勝司会者への優勝旗授与はNHK番組制作長が行うことが恒例であったが、この年から特別審査員の主格人物が行うことになった(当年は渡辺謙が担当)。
- 紅組:5点~白組:13点
- 中間審査
- ワンセグ・デジタルテレビ審査の投票数(1点) 紅組:8,188票~白組:7,430票
- ケータイ審査の投票数(1点) 紅組:4,446票~白組:6,196票
- 最終審査
- 客席審査の投票数(2点) 紅組:1,178票~白組:1,437票
- ケータイ審査の投票数(2点) 紅組:3,768票~白組:8,528票
- デジタルテレビ・ワンセグ審査の投票数(2点) 紅組:23,440票~白組:27,677票
- 特別審査員の投票(10点) 紅組:4点~白組:6点
司会者[編集]
- 備考は以下の通り
メイン演奏[編集]
- 三原綱木とザ・ニューブリード・東京放送管弦楽団(指揮:三原綱木)
審査員[編集]
- 特別審査員(別記)
- デジタルTV審査員(地上・BSデジタルハイビジョン放送の視聴者)
- ケータイ審査員(携帯電話で審査、15,000名)
- ワンセグ審査員(ワンセグ搭載型の携帯電話で審査、同上)
- ふるさと審査員(デジタルTV審査員・ケータイ審査員・ワンセグ審査員の応募者から抽選で会場に招待された30名)
- 会場審査員(ふるさと審査員を含めたNHKホールの観客全員)
- ※なお、BSデジタルの審査システムにエラーが発生し、中間審査ができなかった。
- ※ワンセグ審査員は定員の15,000名まで集まらなかったからか、放送中まで飛び入り参加が可能であった。この理由として、2006年末の段階ではワンセグチューナーを搭載した携帯電話の種類が少なかったことが考えられる。
出場者[編集]
※カッコ内は出場回数。2006年12月27日に出演順が発表された。
みんなのうた45年!キッズショーの曲目・歌手は次の通り。
- 南の島のハメハメハ大王:松浦亜弥(GAM)、天童よしみ
- 北風小僧の寒太郎:北島三郎、氷川きよし
- コンピューターおばあちゃん:アンジェラ・アキ、hiroko(mihimaru GT)、吉澤ひとみ・高橋愛・新垣里沙・藤本美貴・亀井絵里(モーニング娘。)
- 山口さんちのツトム君:和田アキ子、WaT
- WAになっておどろう:紅白出場歌手
ゲスト出演者[編集]
特別審査員[編集]
- 渡辺謙(俳優):映画『明日の記憶』『硫黄島からの手紙』主演
- 阿木燿子(作詞家):映画『TANNKA 短歌』を初監督、紫綬褒章受賞
- リリー・フランキー(イラストレーター):小説『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』がベストセラー
- 藤山直美(女優):この年下期の連続テレビ小説『芋たこなんきん』のヒロイン・花岡町子役
- 内野聖陽(俳優):翌年の大河ドラマ『風林火山』の主人公・山本勘助役
- 横峯さくら(プロゴルファー):LPGAツアーチャンピオンシップで国内メジャー初優勝
- 田口壮(セントルイス・カージナルス外野手):ワールドシリーズ優勝
- 吉田都(バレリーナ):世界最高峰のイギリスロイヤル・バレエ団で長く活躍
- 鎌田實(医師・諏訪中央病院名誉院長):『鎌田實のいのちの対話』(NHKラジオ第1放送)パーソナリティー
- 瀬戸内寂聴(作家・僧侶):文化勲章を受章
スペシャルゲスト[編集]
演奏ゲスト[編集]
- 上妻宏光(津軽三味線奏者):藤あや子歌唱時に伴奏した。
- ジェイク・シマブクロ(ウクレレ奏者):夏川りみ歌唱時に伴奏した。
- 島健(作曲家・ピアニスト):ゴスペラーズ歌唱時に伴奏した。
- 布袋寅泰(ミュージシャン・ギタリスト):今井美樹歌唱時に演奏した。
- 寺島良一、小林哲:渚のオールスターズのバックバンド。
- 青山純、小澤正澄、鈴木英俊、渡辺直樹:上木彩矢及びOLIVIAのバックバンド。
応援ゲストなど[編集]
- ウルトラ兄弟:鳥羽一郎の応援でバックで旗を振っていた。
- Berryz工房・℃-ute:例年通り、ハロー!プロジェクト勢のGAM&モーニング娘。でバックダンサーを務めた。
- カントリー娘。:同上および香西かおりのバックダンサーを務めた。
- ベッキー:「みんなのうた45年!キッズメドレー」の司会を務めた。
- 岡村隆史(ナインティナイン):「みんなのうた45年!キッズメドレー」にサプライズゲストとして登場。得意のブレイクダンスを披露した。
- 『めちゃ×2イケてるッ!』「日本一周、10周年 健康の旅スペシャル」(2007年1月6日・3月10日放送)の一部として出場。2001年~2005年に放送されていた『ナイナイの夢と笑いが丸い地球を救うのだ!!』(日本テレビ)が放送されないことから実現した。
- 高見のっぽ(ノッポさん):みんなのうたから『グラスホッパー物語』を発売した。また、「みんなのうた45年!キッズメドレー」に出演した。
- 塚本高史、安田美沙子:美川憲一及び玉木宏の応援で登場した。
- 真島茂樹:美川憲一が歌った「さそり座の女 2006」の振り付けを行うと共に、自身も応援で曲終盤に登場した(翌第58回の美川の出番にも登場)。
- 釈由美子、パトリック・ハーラン(パックンマックン)、松本和也アナウンサー:『英語でしゃべらナイト』出演(松本アナは翌第58回で総合司会)。
- キャイ~ン、ほしのあき:「2006スーパーレビュー」の進行役を務めた。
- ダイノジ、戸田恵梨香、堀北真希、石田未来:「2006スーパーレビュー」に登場した。
- 桜塚やっくん:小林幸子の応援。仲間に「ヤスオさん」と本名をバラされてしまっている。
- ザ・たっち、三瓶:シャ乱Qの応援。テレビ朝日で放送されていた、「ドラえもんSP」の生放送の出演後に急いで駆けつけた。
- 半井小絵(気象予報士):『NHKニュース7』のお天気キャスター。途中、気象情報を会場から伝えた。また、WaT、w-inds.とも共演した。
主要スタッフ[編集]
所属部署と担当番組は放送当時のもの
- セットデザイン:中川泰宣(デザインセンター)
- 美術チーフプロデューサー:田中伸和(同上)
- 編成:大鹿文明
- プロデューサー:石原真(「ポップジャム」プロデューサー)
- チーフプロデューサー:吉田豊久(「NHK歌謡コンサート」チーフプロデューサー)
- 演出:石上滋基(第54回NHK紅白歌合戦音響効果、第55回NHK紅白歌合戦チーフディレクター、「NHK歌謡コンサート」「ポップジャム」「ミュージック・エクスプレス」演出)
視聴率・裏番組[編集]
地上波アナログ・デジタル総合テレビでの視聴率は、関東地区で第1部が30.6%(前回35.4%)、第2部が42.9%(前回42.9%)となり、第1部はワースト記録タイとなり、第2部は前年と変わらなかった。また、関西地区でも第1部が28.5%で過去最低タイ、第2部が40.0%だった。
ただし、上記の数字にはBShiとBS2の視聴率はカウントされず、全体でどれだけの人々が紅白を視聴したかは正確に把握されていないのが実情である。報道に対して番組責任者は「相当数の方にお楽しみ頂けたと考えている」とコメントした。
歌手別視聴率は昨年に続いてSMAPが最も高く、登場時にすでに47.1%、1分後には1.2%上回る48.3%を記録し、そのまま歌い終わるまで48%台をマークした。過去10年では歌手別最高視聴率をマークした回数はSMAPが最多である。第2位は倖田來未の47.3%だった。
なお、番組の著作権や出場歌手の版権などの事情もあり、前年と同様に総合テレビの再放送は行われなかった。
裏番組としては、TBSの『K-1 PREMIUM 2006 Dynamite!!』は第2部が関東地区では14.8を記録した。