日本の漫画
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目次
概要
出版科学研究所の発表によると、日本国内で2006年に出版された漫画の単行本は10965点、漫画雑誌は305点存在する。廉価版が1450点含まれるとはいえ、全て読むのはまず不可能だろう。また漫画と漫画雑誌の販売部数は、2006年に販売された出版物全体の36.7%に及ぶ。これほどの巨大な市場を持つ日本はまさに漫画大国である[1]。現在では日本の漫画および日本風の漫画を指す“Manga”や、“Tankōbon”(単行本)といった語は世界各国に広まっている。日本の漫画はアメリカン・コミックスや、フランス語圏のバンド・デシネなどの各国の漫画と比べて、異なる特徴を持っている。また世界的に高い注目度を誇っており、様々な国で翻訳され出版されている。
構成
表現の形式
日本の漫画は普通「コマ・登場人物・背景・ふきだし・音喩・漫符・台詞・その他の技法」から成る。まず一般的なストーリー漫画の表現形式と技法を以下に挙げる。
- 紙面はコマと呼ばれる枠によって分割されており、それぞれが一つの場面を表す。読み手はあるコマを読んだ後、次のコマはどれか判断しなければならないが、順序は明示されずに暗黙の了解とされている場合が多い。例外もあるが、基本的なコマの読み進め方は以下の通り。
- 右から左のページへと読み進める。
- ページ内においては、上段から下段へ向かって読み進める。
- 同じ段に複数のコマが存在する場合は、右から左へ向かって読み進める。
- 隣接するコマとの間の間隔(空白)に明らかな違いが設けられている場合、近いコマを次に読む。
- 次ページに跨っているコマは、そのページの最後に読む。
- コマに番号が振られている場合(一部の4コマ漫画や初期の漫画などに見られる)は、番号順に読み進める。
(この例はふきだしの文が縦書き・ページが右開きの場合。ふきだしの文が横書き・ページが左開きの場合左右が逆になる)
技法
- 登場人物のセリフや思考はふきだしと呼ばれる枠の中に文字で書かれる。フキダシの形や文字の字体により語調を表す。
- 擬音語・擬態語(オノマトペ)が、手書きの書き文字として絵の中に書かれる。細々としたセリフが書き文字で書かれる事もある。
- 漫符と呼ばれる一種の記号を使用して、人物の心理や動作、ものの動きなどを明示的に表現する。
特徴
- プロによる作品は漫画雑誌で連載された後、単行本として刊行されるものが多い。
- 様々な方向性の漫画が揃っている。
- 子供向けと大人向け漫画の間が断絶しておらず、高齢者を除き漫画市場から取り残される年代がない。
- ジャンルが実に多様。
- 地方条例はあっても、政府による表現規制がない(夏目房之介は「世界一ゆるいのではないか」と語る[2])。
歴史
用語の起源
「漫画」という語の起源はよく分かっていない。随筆を意味する「漫筆」が「漫筆画」を経て「漫画」になったとする説と、「漫画(まんかく)」という名のヘラサギの一種から「種々の事物を漁る」意になったとする説がある。『日本近代漫画の誕生』は、「まんかく」が戯画の意味を持たないことを指摘し、前者を支持している。いずれも文章を指す用語が絵を指すように転じたとされる。
日常語として「漫画」という言葉が使われ始めたのは昭和時代からで、それまでは「ポンチ」や「鳥羽絵」、「狂画」、「戯画」などと呼ばれていた。『北斎漫画』が示すとおり、江戸時代から「漫画」という言葉自体は存在したものの、この「漫画」は「戯画的な絵」「絵による随筆」という意味合いが強かった。
『北斎漫画』は絵手本(スケッチ画集)であるが、戯画や風刺画も載っている。北斎漫画は第二次世界大戦後も版行されるロングセラーとなり、幅広い層に愛読された。この影響を受け、尾形光琳の『光琳漫画』などいくつもの戯画風の絵を載せた書籍が「~漫画」というタイトルになっている。明治時代に入っても月岡芳年の『芳年漫画』など、「~漫画」の伝統は失われていない。ただしこれらはまだ「漫筆画」の意味に近く、現代語の「漫画」と同じ意味とは言えない。
現代人と同じ意味で「漫画」という語を使い始めたのは明治時代の今泉一瓢(いまいずみ いっぴょう)である。一瓢は1895年10月31日、風刺画を中心とする『一瓢漫画集初編』を出版、"caricature"または"cartoon"の訳語として「漫画」を用いている。なお、"cartoon"と"comic"の訳語として「漫画」を使用したのは、北澤楽天が最初である。[3]
漫画という語は大正時代に中国に輸出され、また manga のつづりでヨーロッパ語圏でも通じる日本語の一つになった。ヨーロッパ語圏では、"manga" は日本の漫画のみを指す言葉である。[4][5]
日本の漫画の歴史
詳細は日本の漫画の歴史を参照。
中世~近世
滑稽な絵という意味での「漫画」は、平安時代の絵巻物・『鳥獣人物戯画(鳥獣戯画)』が日本最古であると言われている[6][7]。他にも絵巻物には漫画的な表現がみられ、現代の漫画に繋がる要素を含んでいる。
その後印刷技術の発達と町人文化の興隆を背景に、江戸時代に戯画や浮世絵が生まれた。幕末最大のベストセラー、『北斎漫画』は特に有名で、この中には鼻息を表す線が描かれるなど、「漫符」の古い形が既に見られるほか、公家や武士を諷刺する絵が含まれている。こうした諷刺画はこの時代だからこそ生まれ、後の漫画につながっていくが、「絵を用いた権力批判」の始まりをたどるのは資料不足により難しい。
江戸末期~大正
1862年には、漫画雑誌の『ジャパン・パンチ』が横浜居留地で発行され、人気を博した。この影響で日本の新聞も漫画を掲載するようになり、時事的テーマを扱う漫画を指す「ポンチ」という言葉が流行語となった。開国したことで欧米の諷刺雑誌を入手できるようになり、これらを模倣することで日本の漫画は発展していった。
1877年には明治時代を代表する漫画誌『團團珍聞(まるまるちんぶん)』が創刊された。日本初の連載漫画は、『團團珍聞』に連載された田口米作の『江の島鎌倉長短旅行』(1896年)で、特定のキャラクターによる一貫したストーリーを描いた最初の漫画でもあった。
北沢楽天は1905年に『東京パック』を創刊するなど、日本における風刺漫画の発展に大きく貢献した。また楽天が1928年から『時事漫画』で連載した『とんだはね子』は、日本で最初の少女を主人公とした連載漫画であり、少女漫画の先駆的作品である。
岡本一平は、1915年に日本初の漫画家団体である東京漫画会(後の日本漫画会)を設立した。岡本は東京朝日新聞において『人の一生』(1921年)などの漫画漫文を連載し、後の日本におけるストーリー漫画の原型を作り上げた。それまでは専ら風刺の手段と見なされていた漫画が、大衆娯楽として認識されていく過程において、岡本の活動は大きな役割を果たした。
1923年に執筆された織田小星作・樺島勝一画の『正チャンの冒険』や、麻生豊の『ノンキナトウサン』以降から、現代の漫画に通じるコマ割りやフキダシといった表現手法が定着し始める。
昭和戦前~戦後期
1932年には、近藤日出造、横山隆一、杉浦幸雄ら二十代の若手漫画家により、新漫画派集団が結成された。新漫画派集団の作家達は毛筆ではなくペンによる描画をその特徴とし、欧米のナンセンス漫画に触発された日本独自のナンセンス漫画を主要な作風としていた。新漫画派集団は楽天や一平、その弟子達を凌駕する人気を獲得し、新漫画派集団の作家達は、後に第二次世界大戦後の漫画界の中核を成す存在となっていった。
1930年代には、講談社の『少年倶楽部』他の子供雑誌で連載された『のらくろ』『タンクタンクロー』『冒険ダン吉』などの子供向けの人気漫画が単行本化され、ベストセラーとなった。
これらの新聞や雑誌で連載された主流漫画とは別に、駄菓子屋やおもちゃ屋の店頭で販売される2~3色刷りの薄い漫画本が存在した。これらの安価で粗雑な漫画本は赤インクの多用から、赤本と呼ばれた。これらの赤本では、初期の芳賀まさをや阪本牙城といった作家が原稿を描いていた。
日本が第二次世界大戦に参戦すると、情報局による規制や用紙不足により、日本の漫画産業は一時期衰退を余儀なくされた。第二次世界大戦後には、ディズニーやフライシャー兄弟の影響を受けた手塚治虫が映画的な構図と漫画固有の記号性を合わせ持った表現技法を「新宝島」で定着させ、手塚の手法は日本漫画のデファクト・スタンダードとなった。
昭和戦後
戦後は貸本漫画が安価な漫画供給形態の1つとして定着し、1950年代までは主流となっていた。1959年、史上初の週刊漫画雑誌週刊少年サンデー・週刊少年マガジンがそれぞれ創刊され、1963年には『週刊少年キング』が、68年には『週刊少年ジャンプ』、69年に『週刊少年チャンピオン』が追って創刊、少年誌5大誌時代に突入。このころになると漫画雑誌の創刊が相次ぎ、貸本漫画は急速に衰退していくこととなる。
手塚治虫を筆頭とし、1960年代は石森章太郎、赤塚不二夫、藤子不二雄らの作品が大ヒットした。また、さいとう・たかをの登場により、これまで子供の読み物とされてきた漫画に劇画など大人向けの作品が登場し、購買層の拡大につながった。
1980年代ごろから日本漫画が海外へ輸出されるようになり、新たなファンを獲得していった。これには、以前から日本のアニメが海外で放送されて高い人気を得ていたことが大きく貢献している。
平成以降
時代の変化に合わせて取り扱う漫画のジャンルも拡大し、発刊される雑誌も大幅に増え、情報雑誌と複合した漫画雑誌も生まれてきた。同人誌や2次創作、アンソロジー、ウェブコミック(ウェブ漫画、インターネット上で公開する漫画)の文化も発展し、また、メディアミックスの関係性も強くなってきた。一方で、古くから続いてきた雑誌が休刊になったり、表現の自由との関係性も強くもなってきている。インターネット上でネタにされたことにより有名になった漫画も出てきた。
評論
漫画作品自体の発展に比べ、評論は比較的未発達の分野である。日本では1960年初頭から漫画を評論の対象とする事が行われ始めた。それは一部の貸本漫画への大きな社会的な批判に始まる(白土三平の忍者武芸帳を筆頭に有害図書問題として新聞・PTAなどに取り上げられた)。その批判に対するファンによる反発・異論の多さから徐々に寸評が増え始める。1970年頃からは梶井純、石子順造、鶴見俊輔らによって詳細な評論が出始める。一時はブームの観さえあった。しかし専門の評論家や批評の場もまだ少なく、文学や音楽、映画に比べると大きく見劣りし、評論の手法も確立されているとは言い難い状況が続いた。1990年代に夏目房之介が、漫画のコマや描線と「漫符」と名付けられた漫画特有の記号的表現に注目して分析する独自の分析手法を開拓し、漫画学の模索が始まった。現在では夏目の他、石子順(石子順造とは別人)や村上知彦、呉智英、長谷邦夫、藤本由香里ら数名の活動の他に、大塚英志、いしかわじゅんらサブカルチャー畑の研究者や実作者によって批評が行われる事もある。その一つの背景として、これまで読み捨て状態にされてきたため、データベースの不備が著しく、作品を目にする事自体に困難が伴う場合が少なくないという状況がある。日本マンガ学会は2001年に設立され、現在データベースの整備など、評論の土台を固める作業に取り組んでいる。別項漫画評論も参照。
分類
ここでは一般の納得が得られるように、様々な観点から漫画を分類する。
対象読者による分類
作品の主な対象となる読者の年齢や性別という観点では、次のように分類される。
- 幼年向け漫画(幼児向け漫画)
- 児童漫画(小学生向け漫画)
- 少年漫画(小学生〜高校生中心の漫画)
- 少女漫画 (小学生〜高校生、一部大人の女性向けの漫画を含む)
- 青年漫画(高校生以上)
- 女性漫画 - 大人の女性を対象とする漫画。 ヤング・レディースを含む。
- 家族漫画‐子供、もしくは子供がいる家族を対象とした漫画。
以上の分類は、あくまで一般的と思われる便宜上の分類に過ぎない。例えば青年漫画を女性が読むこともあるし、少年漫画を大人が読むこともある。
題材による分類
作品の題材という観点では、次のように分類することができる。 映画や小説に見られるような題材は、すべて漫画の題材にもなりうると言える。
- ギャグ漫画 - 荒唐無稽で、笑いを目的とする漫画。4コマ漫画は、本来コマ割りそのものの事を指すが、その内容については殆どがギャグ漫画に分類される。また1990年代以降は、ギャグ漫画から派生した不条理漫画も一つのジャンルとして確立している。
- 萌え漫画 - 萌えを重点とした漫画。ただし定義ははっきりとしていない。近年は4コマによく見られる。
- 風刺漫画 - 現実の社会や政治を風刺することを目的とする漫画。主に新聞や週刊誌などの情報発信源にて、著名な人物(政治家、芸能人、スポーツ選手など)を作者がデフォルメして描いているものが多い。
- 学習漫画 - 何らかの知識を学習することを目的とする漫画。学校の教材などにも使われる。
- コメディ漫画 - 笑いを大きな目的とはするものの、ギャグ漫画に比べてストーリー性を持ち、実世界に近い物語であるものを指す。
- 恋愛漫画 - 恋愛を題材とした漫画。少女漫画の大半がこれにあたるとも言える。
- スポーツ漫画 - スポーツを題材とする漫画。根性を物語の核に据えるものはスポ根漫画と呼ばれ、1970年代に一世を風靡した。現実的なスポーツを題材にした作品、漫画として現実をやや誇張した作品、現実からは大きく逸脱した作品など様々。
- アクション漫画 - 独自のアクションや戦いを題材にした漫画。人間以外(妖怪、宇宙人、サイボーグなど)を相手にする作品も多い。
- 格闘漫画 - 戦いや格闘技を題材とする漫画。少年誌や青年誌向け。
- 学園漫画 - 学校を舞台とし、学生・生徒を中心とした漫画。
- ヤクザ漫画 - アンダーグラウンドな世界やハードボイルドな世界を描き、ヤクザ同士の抗争などを題材とする漫画。
- 政治漫画 -政界(政治家)を題材とする漫画。
- 経済漫画 - 経済を題材とした漫画。
- サラリーマン漫画 - サラリーマンの仕事や生活を描いた漫画。
- 医療漫画 - 医者・コ・メディカルを主人公とした、医療を題材とする漫画。
- 料理・グルメ漫画 - 料理、料理人、食材など食に関することを題材とする漫画。多くの場合は料理人同士が料理の腕前を勝負するストーリーに展開し、現実の世界に影響を与え、料理の鉄人やビストロSMAPなどの料理テレビ番組の原点にもなっている。また、実際の料理に活用できるようにレシピとしての役割を果たしている漫画もある。
- ホラー漫画 - 恐怖感をあおることを目的としている漫画。グロテスクな描写で視覚的に恐怖感を表現する場合が多いが、スト-リー展開のみで表現される事もある。ブラックなユーモアを盛り込んだ、ギャグ・コメディ漫画に近いものもある。
- SF漫画 - SFを題材とする漫画。昔は科学冒険漫画と呼ばれていた。
- ファンタジー漫画 - 現実とは異なった世界を舞台とする漫画。剣と魔法の冒険物が特に多い。
- 推理漫画 - ミステリーを題材とする漫画。
- 音楽漫画 - 音楽・楽器を題材とした漫画。当然ながら漫画からは音が聴こえないのでセリフや擬音だけでは表現に欠けるため一般的になり難いジャンルであったが、近年はメジャーなジャンルの一つとして確立しつつある。
- 冒険漫画 - 冒険を題材とした漫画。少年漫画の王道である。
- 歴史漫画 - 歴史を題材とした漫画。史実に完全に忠実に描かれた場合は学習漫画の域を越えない為、娯楽の為の漫画表現として、史実とは別のフィクションが加わる事が多い。
- 動物漫画 - 動物を題材とした漫画。動物の生態を忠実に表現した漫画は少なく、擬人化させたギャグ漫画の場合が多い。
- 世紀末漫画 - 世界の崩壊もしくは崩壊後の荒廃した世界を描く漫画。
- 戦争・戦記漫画 - 主に兵器を利用した(戦車や銃など)本格戦闘シーンや軍事戦略を中心に据えた漫画。
- 実験漫画 - 漫画の手法そのものを主な題材とし、実験的表現を追求するために描かれたもの。
- その他 - 、エッセイ漫画、釣り漫画、育児漫画、 麻雀漫画、パチンコ漫画など。
なんらかのキャラクター性を確立することができれば、どのようなテーマでも漫画の題材とすることは可能であるから、このような分類に意味があるかは疑問が残る。また分類が難しい漫画がある一方で、複数のジャンルにまたがるものも少なくない。
表現形式による分類
外見上の表現形式による分類は比較的明快である。いくつのコマをセットとして話題を展開するかによって、多くの漫画は次のように分類される。
- コミック(1ページが数個のコマで分割され、そのようなページ数枚で話題が展開されるもの)
- 1ページ漫画(ミニストーリーが1ページ内で完結するもの)
- 4コマ漫画(4コマが1セットとなって話題が展開されるもの)
- 一コマ漫画(1コマの中で話題が展開されるもの)
単行本や雑誌など出版形式によらない配布形式による分類
作品がいくつの「話」で構成されるかによって分類することもできる。
- 続きもの(作品が数話に渡って展開されるもの)
- 読み切り(1話だけで作品が完結するもの)
画材
紙と鉛筆さえあれば漫画を描くことは可能であるが、一般的に読まれるものは様々な画材を用いて描かれている。最近ではパソコンが用いられるために物理的な原稿が存在しない場合もある。
- 基本的な画材
- 原稿用紙 - 普通の紙でもよいが目安の線がひいてあるので便利
- 鉛筆・消しゴム - 下書き用
- つけペン Gペン・丸ペン・スクールペン・カブラペン
- ミリペン
- 製図ペン・カラス口 - 主に枠線用
- インク・墨汁
- ホワイト - 修正以外にも効果などに使用
- 筆・筆ペン
- スクリーントーン
- カッター - トーンを切る・削るなど
- 定規・雲形定規・テンプレート
- カラー原稿のための画材
- その他
漫画賞
漫画を対象とした賞は、文学を対象とした文学賞に比較すると驚く程少数である。作品に対しての評価を賞という形で表現したもの、漫画家の業績を評価するためのもの、新人の発掘を目的にしたものなどがある。
※以下各雑誌による公募新人賞
- 手塚賞(少年ジャンプ)
- 赤塚賞(少年ジャンプ)
- 小学館新人コミック大賞(小学館。児童部門/少年部門/少女・女性部門/青年部門)
- ちゃお漫画家スクール
- なかよし新人まんが賞
- りぼん漫画賞 りぼん漫画スクール(集英社)
- 白泉社アテナ新人大賞(花とゆめ・別冊花とゆめ・LaLa・MELODYの4誌合同)
- ちばてつや賞(モーニング)
- 四季賞(アフタヌーン)
- イキマン(月刊IKKI)- 賞金は出ないが、トップの作品は必ず掲載される
その他多くの漫画雑誌が新人賞を実施している。
新人賞の抱える問題
新人の発掘を目的とした新人賞だが、漫画産業の発展という立場から見ると問題があると『マンガ産業論』は指摘している[8]。
- 新人賞に応募する者はたいていその雑誌の読者であるから、連載している漫画家に影響を受け、作風が似通ってしまう。
- 商業誌はあくまでも即戦力を求めているのであり、斬新で実験的な漫画でなく人気が出る漫画が入選する。
- 応募者がどうしてもマイナー誌でなくメジャーな人気雑誌に偏る。
- 新人賞を受賞しデビューしても、編集者によって作風が矯正させられる場合がある。
そして出版社・編集者が新人漫画家を「実力主義」の名目で使い捨てにせず、先行投資として大切に育成するべきと主張している。
近年の動向・漫画雑誌の売上と単行本の売上
2000年代頃から、新たな漫画雑誌の創刊が多くなされてきている。また、それと同時に休刊になってしまった漫画雑誌も増えつつある。その中には、古くから続いたものも多く含まれる。
近年、漫画雑誌の売上は減少を続けているが、漫画単行本の売上は年によって増減はあるがほぼ横ばいである。 1995年には漫画雑誌の販売金額は3557億円であるのに対し、単行本の販売金額は2507億円であったが、漫画雑誌の売上は減少が続き、2005年には漫画雑誌の販売金額が単行本のを下回った。 雑誌の売上は低下したが、単行本にはアニメ化などのメディアミックスされた作品を中心にヒット作が生まれている。
雑誌を読まなくなりメディアミックスで作品を知るケースが増えたため、単行本の売上は維持されているといわれている。 [9] [1]
用語
- タチキリ
- ネーム
- ベタ
- 白抜き
- 黒い背景に白で何かを描く事。心情の表現や印象を強めるために使われる。
- 成年向けマンガではモザイクの代わりに使われる
- ブチヌキ
- コマ割りを無視して人物を描く事。空間的・時間的な広がりを表したり、印象を強めるために使われる。
- めくり
- ページをめくる際の短い時間を利用して、読者に印象を与える手法。つまり、最後のコマで場面を一旦切り、ページをめくった次のページの一コマ目に重要なシーンを入れる事で、そのコマを強調する。
- 見開き
- 左右2ページを広げる事。マンガの手法としては、その2ページにコマを一つだけ描く事で、そのコマを強く強調する。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 (2007) [ 2007出版指標年報 ] 全国出版協会・出版科学研究所 2007 ISBN 978-4-9901618-4-2
- ↑ 『マンガ 世界 戦略』 18-19頁。
- ↑ 美鈴 () 美鈴窪田 視覚伝達メディアとしての尾竹国観の「ポンチ」 PDF 「表現文化研究」第2巻第1号2002年度 神戸大学表現文化研究会 11-30 [ arch. ] 7月23日
- ↑ () Definition of manga Merriam-Webster Online [ arch. ] 10月13日
- ↑ ドイツ語版ウィキペディア「Manga」、スペイン語版ウィキペディア「Manga」など
- ↑ () 日本漫画の源流をたずねて第2回 PDF 京都国際マンガフォーラム [ arch. ] 7月23日
- ↑ () 明治の息吹 -漫画・諷刺画から- 国立国会図書館 [ arch. ] 7月23日
- ↑ 『マンガ産業論』 200-202頁。
- ↑ (2006-12-12) いまコミックはどうなっているのか コラム 出版科学研究所 2006-12-12 [ arch. ] 10月4日
関連項目
- 漫画家 - 手塚治虫
- 漫画雑誌 - 休刊 - 廃刊
- 漫画情報誌
- 漫画評論
- MAG
- 原作
- イラストレーション
- 劇画
- アニメ
- キャラクター - キャラクターデザイン
- 同人誌 - 同人誌即売会・コミックマーケット
- 漫画喫茶
- ビジネスコミック
- 活字離れ
参考文献
- 伊藤剛 『テヅカ・イズ・デッド ひらかれたマンガ表現論へ』 NTT出版、 2005年、ISBN 4757141297
- 清水勲 『日本近代漫画の誕生』 山川出版社、2001年、ISBN 4634545500
- 中野晴行 『マンガ産業論』 筑摩書房、2004年、ISBN 4480873465
- 夏目房之介 『マンガ 世界 戦略』 小学館、2001年、ISBN 4093873364
- 小学館漫画賞事務局編 『現代漫画博物館1945-2005』 小学館、2006年、ISBN 4091790038