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フランス語の表記は初学者には複雑に感じられるが、規則性が高い。[[英語]]や日本語の[[ローマ字]]表記とはかなり異なるため、フランス語を知らない日本人は字を見てもまず正しく発音できないが、規則を覚えれば容易に発音できる。例えば eau は常にオのような音[IPA:o]で発音する。しかし monsieur (〜さん) は [IPA:mɔ̃.sjœʁ] ではなく [IPA:mə.sjø] であり、faisan ([[コウライキジ]]) は [IPA|fɛ.zɑ̃] ではなく[[IPA|fə.zɑ̃] であるなど、[[イタリア語]]や[[スペイン語]]などに比べると例外が多い。 | フランス語の表記は初学者には複雑に感じられるが、規則性が高い。[[英語]]や日本語の[[ローマ字]]表記とはかなり異なるため、フランス語を知らない日本人は字を見てもまず正しく発音できないが、規則を覚えれば容易に発音できる。例えば eau は常にオのような音[IPA:o]で発音する。しかし monsieur (〜さん) は [IPA:mɔ̃.sjœʁ] ではなく [IPA:mə.sjø] であり、faisan ([[コウライキジ]]) は [IPA|fɛ.zɑ̃] ではなく[[IPA|fə.zɑ̃] であるなど、[[イタリア語]]や[[スペイン語]]などに比べると例外が多い。 | ||
− | + | また、in, im, yn, ym, ain, aim, ein, eim が全て "ɛ̃" になるなど、しばしば異なるつづりが規則的に同じ発音になるため、[[同音異字|同音異字語]]が多い。例えば vin ([[ワイン]]) と vingt ([[20]]) は共に [IPA:vɛ̃] であり、また bleu ([[青]]) とその変化形の bleus, bleue, bleues は全て [IPA:blø] である。このため、書き分けるのは比較的難しい<ref>Ziegler, Johannes C.; Jacobs, Arthur M.; Stone, Gregory O. (1996), “Statistical analysis of the bidirectional inconsistency of spelling and sound in French”, Behavior Research Methods, Instruments, & Computers 28: 504-515</ref>。 | |
=== アルファベ === | === アルファベ === |
2017年3月31日 (金) 23:51時点における版
フランス語(フランスご、フランス語:[IPA:frɑ̃sɛ])はポルトガル語、スペイン語やイタリア語などと同系のインド・ヨーロッパ語族のイタリック語派に属するロマンス語のひとつでフランス発祥の言語。仏蘭西語、略して仏語とも書く。
カナダ(地方自治体ではケベック州とニューブランズウィック州)・スイス・ベルギー・ハイチ・アメリカ合衆国のルイジアナ州・セネガルやコートジボワール、カメルーン、マダガスカル、コンゴ民主共和国など旧フランス領とベルギー領のアフリカ諸国などで公用語になっている(フランス語圏を参照)。国連・ヨーロッパ連合の公用語のひとつ。使用国数は50カ国以上。
ラテン語の口語(俗ラテン語)から変化したフランス北部のオイル語(またはウィ語、フランス語:[IPA:lɑ̃g dɔil])が発達したものといわれている。
目次
方言
ヨーロッパ(フランスとその周辺)
- アンジュー方言
- アオスタ方言(アオスタ語)
- スイス方言
- ノルマンディー方言(ノルマン語)
- パリ方言(フランシアン語)
- ピカルディー方言(ピカルディ語)
- フランシュ・コンテ方言
- ブルゴーニュ方言
- ブルボン方言
- ベリション方言
- ポワトゥー方言
- ロレーヌ方言
- ワロン方言(主にベルギーで話され、ワロン語とも称する)
- ガロ語(ブルターニュ東部)
- ポワトゥー=シャラント方言(Saintongeais、ポワトゥー=シャラント地域圏)
北アメリカ
- ケベック方言(ケベック・フランス語)
- アカディア方言(Acadian French)
- シャック(ニューブランズウィック州南東部のアカディア方言、Chiac、フラングレの一種)
- セント・メアリーズ・ベイ方言(St. Mary's Bay French)
- オンタリオ方言(Franco-Ontarien、オンタリオ州)
- ケイジャン方言(Cajun French)
フランス語系クレオール語
など(French-based creole languagesを参照)。フランス南部で用いられるオック語をフランス語方言とすることもあるが、言語学的には通常別系統の言語として扱う。
他言語との混成言語
音声
子音
両唇 | 唇歯 | 歯音 | 歯茎 | 後部歯茎 | 硬口蓋 | 両唇硬口蓋 | 軟口蓋 | 両唇軟口蓋 | 口蓋垂 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
閉鎖音 | p b | t d | k g | |||||||
鼻音 | m | n | ɲ | |||||||
摩擦音 | f v | s z | ʃ ʒ | ʁ | ||||||
接近音 | j | ɥ | w | |||||||
側面接近音 | l |
なお音素r は音声ʁ を、jはj(接近音、語頭や子音の後の場合)〜ʝ(摩擦音、母音の間または語末の場合)を、それぞれ表す。またリエゾン・エリジオン等の説明において「子音」とは、発音上は存在しない「有音の h 」をも含む。ただし、中国語の固有名詞や英語から入った最新の外来語に含まれる h[h] は発音される傾向がある。
母音
前舌 | 中舌 | 後舌 | |
---|---|---|---|
狭 | i y | u | |
半狭 | e ø | o | |
中央 | ə | ||
半広 | ɛ œ | ɔ | |
広 | a | ɑ |
鼻母音
- : in, ain など。「アン」に聞こえるが、「エン」のつもりで言うとよい。
- (パリなどでは に合流): un
- (やや円唇): an, en
- または : on
鼻母音四つを含んだ句の例として "un bon vin blanc" (おいしい白ワイン)が有名である。
半母音
- w:有声両唇軟口蓋接近音
- ɥ:有声両唇硬口蓋接近音
- j :有声硬口蓋接近音
綴りと発音
フランス語の表記は初学者には複雑に感じられるが、規則性が高い。英語や日本語のローマ字表記とはかなり異なるため、フランス語を知らない日本人は字を見てもまず正しく発音できないが、規則を覚えれば容易に発音できる。例えば eau は常にオのような音[IPA:o]で発音する。しかし monsieur (〜さん) は [IPA:mɔ̃.sjœʁ] ではなく [IPA:mə.sjø] であり、faisan (コウライキジ) は [IPA|fɛ.zɑ̃] ではなく[[IPA|fə.zɑ̃] であるなど、イタリア語やスペイン語などに比べると例外が多い。
また、in, im, yn, ym, ain, aim, ein, eim が全て "ɛ̃" になるなど、しばしば異なるつづりが規則的に同じ発音になるため、同音異字語が多い。例えば vin (ワイン) と vingt (20) は共に [IPA:vɛ̃] であり、また bleu (青) とその変化形の bleus, bleue, bleues は全て [IPA:blø] である。このため、書き分けるのは比較的難しい[1]。
アルファベ
アルファベットのことを、フランス語ではアルファベ (l'alphabet) と呼ぶ。 テンプレート:フランス語アルファベット
各字母の名称
A [ɑ] (ア) | B [be] (ベ) | C [se] (セ) | D [de] (デ) |
E [ə] (ウ) | F [ɛf] (エフ) | G [ʒe] (ジェ) | H [aʃ] (アシュ) |
I [i] (イ) | J [ʒi] (ジ) | K [ka] (カ) | L [ɛl] (エル) |
M [ɛm] (エム) | N [ɛn] (エヌ) | O [o] (オ) | P [pe] (ペ) |
Q [ky] (キュ) | R [ɛʁ] (エール) | S [ɛs] (エス) | T [te] (テ) |
U [y] (ユ) | V [ve] (ヴェ) | W [dublə ve]¹ (ドゥブルヴェ) | |
X [iks] (イクス) | Y [i ɡʁɛk]² (イグレック) | Z[zɛd] (ゼドゥ) |
綴り字記号
- É, é の " ´ ": アクサンテギュ (accent aigu, 鋭いアクサンの意)
- À, È, Ù, à, è, ù の " ` ": アクサングラーヴ (accent grave, 重いアクサンの意)
- Â, Ê, Î, Ô, Û, â, ê, î, ô, û の " ˆ ": アクサンスィルコンフレックス (accent circonflexe, 湾曲したアクサンの意)
- Ä, Ë, Ï, Ö, Ü, Ÿ, ä, ë, ï, ö, ü, ÿ の " ¨ ": トレマ (tréma, 分音記号)
- Ç, ç の " ¸ ": セディーユ (cédille)
合字
Œ, œ は o と e の合字である。この組み合わせが単母音で発音される語では、o と e は必ずこのように繋げて書かれる。通常は œu で [IPA:œ] を表す。
- sœur [IPA:sœʁ] (姉、妹)
- œnologie [IPA:e.nɔ.lɔ.ʒi] (醸造学) - ギリシア語起源の語では、οι から転写された œ が と発音される。
Æ, æ は a と e の合字であり、ラテン語由来の少数の語で使われる。
- cæcum [IPA:se.kɔm]
文法
単数 | 複数 | |
---|---|---|
一人称 | je chante | nous chantons |
二人称 | tu chantes | vous chantez |
三人称 | il chante | ils chantent |
- 動詞は主語の人称・数などに応じて活用する。例えば chanter (歌う)の現在形は右表のように活用する。詳しくはフランス語の動詞を参照すること。
- 名詞に性(男性・女性)がある。名詞の性に合わせて、冠詞・動詞の過去分詞・形容詞に男性形・女性形がある。
- 形容詞・冠詞は性・数によって変化する。
- 基本的に後置修飾である。例えば「赤ワイン」は "vin rouge" (vin: ワイン、rouge: 赤い)。
- 代名詞の中に、英語にはない en と y がある。詳しくはフランス語の人称代名詞を参照すること。
敬称
- Monsieur(モンシュル)(男性)(氏)
- Madame(マダム)(既婚女性)(女史)
- Mademoiselle(マドムワゼル)(未婚女性)(嬢)
国際機関等とフランス語
フランス語が長年外交用語として使われてきたことから、現在でも国際機関等の中には、事実上の国際語である英語とともに、フランス語にも公用語の地位を与えているところが少なくない。国際連合(アラビア語・スペイン語・中国語・ロシア語も)、国際オリンピック委員会 (IOC)、国際サッカー連盟(FIFA、スペイン語・ドイツ語も)、国際電気通信連合(ITU、スペイン語も)、万国郵便連合(UPU)、列国議会同盟、イスラム諸国会議機構(アラビア語も)、アフリカ連合(AU、アラビア語・ポルトガル語も)、北大西洋条約機構 (NATO)、国際標準化機構 (ISO) などが、英語と同様にフランス語も公用語として採用している。
公式名称もフランス語である団体も多い(以下の団体など)。 理由としては、ヨーロッパ大陸に英語を公用語とする国がないことや、フランス政府の熱心な国際機関への働きかけがあることが挙げられる。
- F1を開催している国際自動車連盟 (FIA; Fédération internationale d'automobile)
- 国際モーターサイクリズム連盟 (FIM; Fédération internationale de motocyclisme)
- 国際サッカー連盟 (FIFA; Fédération internationale de football association)
- 国境なき医師団 (MSF; Médecins sans frontières)
関連項目
- フランス語の文法
- フランス語の疑問文
- フランス語の否定文
- フランス語の人称代名詞
- フランス語の動詞
- フランス語の限定詞
- フランス語の数詞
- アンシェヌマン
- エリジオン
- リエゾン
- 無音のh・有音のh
- フランス語圏
- フランコフォニー
- 古フランス語、中期フランス語(fr:Moyen français)
- ラテン語
- ロマンス語
- 英語
- Wiktionary:フランス語の索引
- 実用フランス語技能検定試験
- 日本語におけるフランス語由来の外来語
外部リンク
- 日仏辞典 - Dictionnaire Japonais/Francais
- Ethnologue report for French
- Canadian Statistics – Population by knowledge of official language, by provinces and territories (2001 Census)
- 東外大言語モジュール(フランス語)