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噂(うわさ)とは、その内容が事実であるかどうかを問わず、世間で言い交わされている話の事。類義語として飛語(蜚語)・ゴシップ・デマ・流言などがあり、それぞれ下項で紹介する。
目次
飛語[編集]
飛語(蜚語・ひご)も、根拠のない無責任な噂を意味する言葉で、流言と合わせて流言飛語(流言蜚語)という四字熟語を構成する。
ゴシップ[編集]
ゴシップ(gossip)とは、巷で伝聞される興味本位の噂話の事を指すが、特にマスメディアにおいては芸能人などのゴシップを、不祥事や醜聞の意味であるスキャンダル(scandal)という表現で伝える事が多い。
デマ[編集]
デマとはデマゴギー(demagoguery)の略で、政治的な目的を持って意図的に流す嘘のことであり、転じて単なる嘘や噂、流言などを指すこともある。前者の意味のデマを用いる人物のことをデマゴーグという。
噂や流言はしばしば(前者の意味での)デマゴギーだったのではないかと捉えられることがある。(陰謀論の項も参照。)
流言[編集]
流言(りゅうげん)とは、正確な知識や情報を得られず、明確な根拠も無いままに広まる噂のこと。風説、流説ともいう。ある一部での話が連鎖的に広まり、それがやがて全体に広がっていく形態を取る。日本での流言の古い歴史は1600年ごろまでさかのぼる。
トイレットペーパー騒動[編集]
日本国内で最も広範に広まった流言に、オイルショックによるトイレットペーパー騒動がある。
1973年11月1日午後1時半ごろ、大阪千里ニュータウンの大丸ピーコックストアの宣伝用の特売広告に、(激安の販売によって)「紙がなくなる!」と書いたところ、突然300人近い主婦の列ができ、2時間のうちにトイレットペーパー500個が売り切れたことから始まった。
当時は第四次中東戦争という背景もあり、原油価格の高騰により紙が本当に無くなるかもしれないという不安心理から、各地で噂が飛び火し、行列が発生したため、マスコミにも大きく取り上げられ、混乱は全国に連鎖的に急速に拡大した。高度経済成長で大量消費に慣れていた人たちが、初めて「物不足の恐怖」に直面したために起こった騒動とも言われている。ただし、原油価格の高騰と紙の価格高騰に関係はあっても、元々が需要増・供給減による価格高騰ではないのでこの流言がなければ過剰な供給不足になる可能性は低かったと考えられる。
豊川信用金庫の流言事件[編集]
1973年、愛知県小坂井町を中心として騒動となった事例。高校生達が国鉄飯田線(当時)の車内で自分達の就職先の話をしていて、「豊川信用金庫」が就職先としてどうであるのかという話で盛り上がっていた。内容は、他の高校生がただからかうだけで「豊川信用金庫は危ないよ」と話していた(金融機関を狙う強盗による物理的な危険性を指しての発言だったらしい。なお、その時点では豊川信金は経営的には安定していた)。この女子高校生の話を本当に鵜呑みしてしまった高校生が、親に就職の相談を持ちかけ、親は豊川信金小坂井支店に預金があったため、急いで預金をおろす準備をした。そして、その行動が町中に広がり、豊川信金は全体として17億円が引き出されて活動が不可能になってしまった。
関東大震災における流言[編集]
1923年9月1日の関東大震災発生後、実際よりも大袈裟な、朝鮮人による略奪や暴徒化に関する流言があった。当時は報道手段が新聞や出版程度しかないため(ラジオ放送開始は大正末期の1925年である)一般市民が最新情報を入手しにくく、流言が広がりやすい環境下にあり、またそれ以前から朝鮮半島出身者が治安上の脅威と考えられていたことによる。詳細は関東大震災の項を参照。
その時に流れた主なうわさを以下に示す。
- "朝鮮人が井戸に毒をいれた"
- "朝鮮人が放火・暴動を起こしている"
- "朝鮮人がクーデターを起こすため海軍東京無線電信所を襲う恐れあり"
など、具体的な情報ではなく、平時ではただの噂で終わるが、震災による混乱と"日頃から「異国人」である朝鮮系日本人に抱いていた恐怖心や憎悪・蔑視"などが重なり虐殺事件へと発展した。
ISILによる日本人拘束事件における流言[編集]
その他の事例[編集]
- 1631年 館林城下において領主大須賀忠次が領土、地位を剥奪された説。発生源は僧侶。
- 1719年1月? 大阪にて夜までに蕪を食べないと死ぬ説。蕪が売れに売れ騒ぎに。
- 1813年 江戸にてそばを食べると死ぬ説。蕎麦屋が困る。
- 1873年11月28日から発布された徴兵制の文の中の血税の意味の勘違いから血税騒ぎ(徴兵制度に対する暴動)が起こる。各地で警察と衝突し流血の惨事が起こる。
- 1891年 西郷隆盛生存説。いるいない派で騒ぎに。鍬、カマで切りかかる事件まで発生、後の大津事件の遠因の一つともいわれている。
- 1910年 ハレー彗星有毒説。彗星が通過する間に空気を確保するためとして、自転車のチューブが爆発的に売れる。このことは漫画『ドラえもん』にネタとして使用されている。
- 1923年9月(関東大震災直後) 朝鮮人暴動の噂。内務省警保局の在日朝鮮人に対する警戒電報を報道機関が報じたのがきっかけ。関東にて発生。朝鮮人、中国人、社会・共産主義者への暴行・殺人事件へと発展する。実際には混乱に乗じて凶悪犯罪を犯し警察官もしくは憲兵によって逮捕・射殺された日本人もいる。死傷者は在日本大韓民国民団によると6000人以上、国側は、朝鮮総督府による弔慰金の人員から830人としている。
- 1945年 「赤飯とらっきょうを食えば爆弾に当たらない」など、爆弾よけの噂が日本で流行。
- 1969年 ポール・マッカートニー死亡説
- 1973年 オイルショックでトイレットペーパー騒動。
- 1978年 伊豆大島近海地震発生の4日後の1月18日午後、静岡県知事の出した「マグニチュード6程度の余震があり得るので注意」の情報が、「午後4~6時に震度6の大地震発生」という緊急地震予知情報(警報)に流言化し、静岡県全域で住民が避難したり、防災用品を買い出しに走る等の「パニック」騒ぎになった。
- 1980年代 イラン人(中東系人種)グループによる日本人夫婦襲撃・レイプと被害者自殺の噂。
- 1986年 『ドラえもん』が「実は全て植物人間である野比のび太が見た夢だった」という内容の最終回を迎えるという噂が流れる。
- 1993年 甲府信金OL誘拐殺人事件における被害者の父親共犯説。
- 1995年1月19日前後(阪神・淡路大震災直後) 関西で亀岡市を震源地とする震度7の地震が起こるとの噂。
- 1995年 全国で『サザエさん』が終わるという話が流れる。また、「最終回の内容」とされるもの(サザエさん一家を乗せた飛行機が海に墜落し、サザエ・カツオなどそれぞれ名前が示した姿に変わり、海に還るなど)も同時期に噂として広まる。なお、当時サザエさんは日曜日と火曜日(過去の再放送)の週二回放送しており、火曜日の放送は実際に1997年に終了した。
- 1996年9月 志村けん死亡説。
- 1998年 インターネット上に公開されていた「僕が考えたドラえもんの最終回」という創作小説がチェーンメールなどを通じて事実上の最終回であると称され、次々にデマが広がった。
- 1998年10月中旬頃 宮城県で「もうすぐ大地震が来る」とのデマが中学生を中心に広がった。このことは地元紙の『河北新報』にも取り上げられた。子供だけでなく、医療関係者などからも行政機関に問い合わせが来たという。
- 2003年 佐賀銀行倒産メール事件。
- 2004年 新潟の地震の後福井でも地震が起きるという噂
- 2005年 福岡県で地震が起きるというチェーンメールが出回り、ニュースでデマに惑わされないよう呼びかけられるという事態にまで発展した。また、和歌山県でも「11月3日に大震災が起こる」という噂が県内全域に広まり、県民が騒然となった。この騒ぎで役所に問い合わせが殺到した他、ホームセンターなどで防災グッズが飛ぶように売れた。
- 2005年 フィリピンで旧日本兵の生存者が発見されたとの噂が流れ、マスコミ各社が報じた。大半のマスコミは未確認情報として慎重な扱いに終始したが、中には本人の手書きメモが存在するとの噂を掲載した新聞もあった。
- 2008年「愛知県岡崎市で9月13日にマグニチュード8.6の地震が起こり多数の死者が出る」という内容の噂がインターネットなどを通じて広まったが、結局何も起こらなかった。自称予言者のブラジル人、ジュセリーノ・ダ・ルースによる“予言”が広まったことによる。
- 2009年2月5日 芸人のスマイリーキクチが女子高生コンクリート殺人事件に関与していたという噂を信じ、ブログのコメントを炎上させ、18人の男女が警視庁に名誉棄損で、1人が脅迫で書類送検された事件。
- 2014年8月 平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害被災地において、韓国人窃盗団による空き巣犯罪が広がっているという噂がネット上で流布され、広島県警がこれを否定するコメントを出した。また、マスメディア関係者による食料買い占めのデマも広まった[1]。
流言の発生条件[編集]
流言の発生は、「情報の重要さ」と「情報の不確かさ」(嘘と本当の間に極大値を持つ)の積で与えられるとされる。
- どうでもいいこと(重要性低)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生はない。
- 大切なこと(重要性高)が嘘に決まっているあるいは本当に決まっている(不確かさ極小)なら、流言発生は噂話や伝言に留まる。
- 大切なこと(重要性高)が嘘か本当か分からない(不確かさ極大)ときに、流言が発生する。
更に、流言が発生するにはある条件を満たしているとより広がりやすくなる傾向があるとされる。 噂が広がる要因のひとつに“話をする人”が挙げられる。その人に信用がある、又は情報をよく知っているなどの条件が重なれば、聞き手はそれが本当であると信じてしまう(検証せずに鵜呑みにしてしまう)、次々と伝播してゆく。さらに、「これはためになる」と思い込むことから、良かれと思って(=善意で)自分の周囲の人や知人に広く伝播させてしまう傾向が強い。パソコン通信時代、「LHAにウイルスが混入」「○○地方から当たり屋グループが」「輸血で必要なためB型Rhマイナスの人を探しています」などといった書き込みが伝播したこともある。いずれも善意の情報を装ったものであり、のちのチェーンメールのプロトタイプとも言える。
流言の伝えて、受け手側の心理的な要因として、「不安」と「批判能力」も重要である。一般に、人々の不安が高い状態(例:災害発生直後など)では、流言に対する被暗示性が高くなり、流言は受け入れられやすくなり、また伝達されやすくなる。また、受け手側でも、不安が強い人ほど流言を信じやすくなるという傾向がみられる。一方、流言を受け取っても、批判能力の高い人の場合には、他の情報源にあたってチェックするなどの情報確認行動をとることにより、真偽を見分け、流言の伝播を食い止めることができる。1938年10月にアメリカでラジオドラマ放送をきっかけとして起こったパニック騒ぎでは、批判能力の低い人ほど、「火星人襲来」を事実と勘違いしてパニックに陥りやすかったという調査結果が報告されている。
また、社会的情勢が不安定である場合、噂が広がり易いとされる。例えば、石油ショック・不況といった何らかの社会情勢の不安定化、大地震などといった天変地異、伝染病の流行などがその契機になると見られており、人間の、危機や不安に対する自己防衛本能、最悪の場合を想定してそれに備えようとする本性との関連が指摘される。
ゲームの噂[編集]
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テレビゲームに於いては、実際に裏技と呼ばれる隠れ要素が存在していることや、プレイヤー同士の虚栄心から裏技に関する事実無根の噂、いわゆるウソ技が多く生まれる傾向がある。中には、ファミマガ等のTVゲーム雑誌に紹介され、全国区で伝播した噂も存在する。
- ファミコンのゼビウスに出てくる板状の倒せない敵「バキュラ」にミサイルを256発当てると倒せるという噂。
- ゲームのデモ画面は「最初のプレイがデモ画面として流れる」という噂
- ファミコンソフトたけしの挑戦状のプロデューサー死亡説(同ゲームの攻略本を製作したスタッフがあまりのクレームの多さに担当者は「死んだ」と対応し、それがプロデューサー死亡とすり代わって広まった)
- ポケットモンスター(初代シリーズ)では実際のバグ技と共に多くの噂が存在した(152番目、153番目のポケモン、隠しフィールドの存在等)。
- スーパーファミコンソフトファイナルファンタジーVで、紋章を集めて海底のある場所へ行くと隠しジョブが出現するという噂
- プレイステーションソフトファイナルファンタジーVII「水中呼吸マテリア」でエアリス復活説(なお、CDの交換でバグらせ、イベント後もエアリスを使う裏技は実在する)
- ファミコンソフトドラゴンクエストIIIでは、エンディング終了後の隠しダンジョンに、ごく稀に「カンダタクロス」「オルテガソウル」といったモンスターが出るという噂があった(元ネタは某ドラクエ関連サイトに寄せられたガセネタである)
- プレイステーション2ソフトドラゴンクエストVIIIで、錬金釜で「あぶない水着」が作れるという噂があった
有名人の噂[編集]
ブルース・リー[編集]
- ブルース・リーが死亡した際、様々な噂が流れた
- 「司法解剖の際に大量のマリファナが検出された」や「筋肉を引き締めるために200ボルトの電流を体に流したための感電死」「マフィア説」など
- 実際には、背中の古傷のために長年使っていた痛み止めとその晩に使用した鎮静剤の副作用と言われている。
テレサ・テン[編集]
- テレサ・テンが死亡した際にも、様々な噂が流れた
- 「麻薬中毒」や「マフィア暗殺説」「エイズによる死」など
- 2007年6月にテレビ朝日系列で放送された「テレサ・テン物語」では、気管支炎による発作で亡くなったとされている。
志村けん死亡説[編集]
- 1996年ごろにコメディアンの志村けんが死亡したとの噂が流れた。
- 様々な情報が流れ出ているが一番有力なのが「群馬県内のゴルフ場で死亡した」「宇都宮の病院で死亡、49日を過ぎるまで公表しない」であると思われる。実際には、都内で同姓同名の男性が死亡してそれがいつのまにか「コメディアン志村けん死亡」にまで発展してしまった。ダウンタウンDX内にて高木ブーにより説明されている。
- 志村けん#死亡説も参照のこと。
ディエゴ・マラドーナ[編集]
- 2007年4月27日、アルゼンチン国内でディエゴ・マラドーナが地方紙に「意識不明の状態に陥った」と掲載され、さらにマラドーナが死亡したと噂が切り替わり国中がパニックになり追悼番組が準備される事態となり、アルゼンチン政府が事情聴取を行う事態にまで発展してしまった。
- 結局、マラドーナが腹痛で入院しただけだと病院側が記者会見を行い事態は一気に収束した。
サモ・ハン・キンポー[編集]
- 2007年12月9日分の中国網視台(チャイナネットTV)の報道でサモ・ハン・キンポーが2007年12月8日夜に急死したと報道される事態が発生した際、中国・香港はおろか世界中で様々な噂が流れた。
- 因みに2日後にサモ・ハン本人が中国の新聞の電話取材に応え、健在である事が判明した(無論誤報に対し激怒していた)[1]
俗言[編集]
- 「噂をすれば影がさす」と言えば、ある人の噂をすると当人がそこに現れるという現象(噂をされた側は呼ばれた自覚がない)。発端は『東海道中膝栗毛』のセリフからとされる。似た様な俗言として「噂をされるとクシャミが出る」というものがある。これらの俗言からも、噂をするという事は何らかの力を発揮するものだと捉えられていた。中国にも同様の現象をいう「曹操の噂をすると曹操が現れる」ということわざがある。
その他[編集]
- 「噂」はコンピュータプログラムの動作不良の原因となる文字(通称「ダメ文字」)の一つ。¥記号参照。
- 証券取引法に風説の流布での処罰規定がある。
- 戦前の日本では国家を揺るがすような噂をしたものは法により処罰された。現在では、日本はもちろん、世界でも単なる噂だけでは処罰されることは少なく、中国、韓国、東南アジア(タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、シンガポールなど)、南アメリカ、アフリカなどで処罰の対象となるのみである。
関連書籍[編集]
- 広井脩 『流言とデマの社会学』 文春新書 文藝春秋 ISBN 416660189X
- 川上善郎 『うわさが走る』情報伝播の社会心理 セレクション社会心理学 (16) サイエンス社 ISBN 4781908403
- 早川洋行 『流言の社会学』形式社会学からの接近 青弓社ライブラリー 青弓社 ISBN 4787232088
- 佐藤達哉 『流言、うわさ、そして情報』うわさの研究集大成 現代のエスプリ別冊 至文堂 ISBN 4784360123
関連項目[編集]
- 都市伝説
- 豊川信用金庫事件
- 風評被害
- 風説の流布
- 韓国起源説
- プレスター・ジョン
- モラル・パニック
- 小泉訪朝における空白の10分間事件
- プロパガンダ
- ペルソナ2 - RPG。噂を流すことでその噂の内容を現実化させる「噂システム」がある。