橘ワタル
橘 ワタル(橘 亘、たちばな わたる)は、畑健二郎の漫画作品及びそれを原作とするアニメ『ハヤテのごとく!』に登場する架空の人物。アニメでの声優は井上麻里奈。
なお、当該作中登場人物の一人である西沢歩については、作中では主に「西沢さん」の呼称が用いられるが、本項では以下「歩」と表記する。
プロフィール[編集]
人物像[編集]
橘財閥の御曹司でナギの許婚。家族構成は父、母(30歳[2])。両親は現在、貴嶋レイと共に海外にて豪遊中。橘財閥エンターテインメント部門「レンタルビデオタチバナ新宿本店」の店長を務め、メイドとしてサキがいつもついている。不況の影響で財閥全体は凋落しており、ワタルの店はグループ企業で最後の生き残り(ただし店の経営自体はマニアックなソフトも揃えていたり、テレビCMを打つ辺りなどから順調な模様)。そのため、歩など店の関係で知り合った人達には御曹司とは思われていない[3]。
ナギとの婚約は三千院家の財産目当てに親が決めたことで、ワタルとナギには全くその気は無く、ナギとの婚約を破棄するために三千院家に匹敵する財産を築こうと努力している。ハヤテも金のために無理に婿入りして借金を返すのは嫌だという意思があるので、こういった面には感心している。三千院家との血縁は無いが、低身長とツリ目という三千院家血縁者と同じ特徴が見られる。
ナギと同じく飛び級で白皇学院に入学した。これは咲夜が飛び級の席を譲ったためだが、現実問題として無理な飛び級をしたので、退学させられないよう猛勉強をしている(このこともあり咲夜には大変感謝しており、ヒナ祭りの際は彼女に様々な出店で奢ったりして、義理深い一面も見せる)。ナギとはケンカしつつも仲が良く、勉強はナギが教えていることからも、よき友人同士ではあることが窺える。店番中にしばしば『Newsweek』など英字雑誌を読んでいるのは英語の勉強の一環でもある。
1年の時はハヤテ・ナギとは別のクラスだったが、2年に進級時にはハヤテ・ナギ・伊澄と同じクラスになる。
性格・能力[編集]
口は悪くへそ曲がりな性格。初登場時は初対面のハヤテを一方的に池に蹴落とす傍若無人ぶりだったが、すぐに面倒見がよく、周りにも気を配れる熱血少年の色合いが強くなっていった。実はものすごい勉強家かつ努力家で、根は優しい。生きることは戦いとし、一年中不機嫌そうな顔をしている。口が悪いため客をもう少し大事に扱うよう、サキに言われたこともある。結構しっかりしており、ダンジョンで無数に仕掛けてあるトラップにかからなかったり、ヒナギクやシスター・ソニアを避難させたり、高尾山では体の弱い愛歌の面倒もみていた。だが、サキ・伊澄・咲夜関連ではぼろを出すことが多い。
図星を突かれれば否定しながら咄嗟に照れ隠しで口汚く反論する癖がある。逆に好きな伊澄の前では優しい口調になる。意外と何でも出来るが、ハヤテには敵わない。ハヤテに指2本で刃物を止められたことやナギや伊澄にひ弱と称されたことから、腕力は年齢相応に見られがちであるが、タマを一撃でふっとばし、またロボのセブンのスピードを上回りサキを助けるなど、常人よりは身体能力が優れているような描写も存在する。いずれにせよ比較対象のハヤテが強すぎるため、正確なところは不明である。
アニメなどに関しては非常にうるさく「ナギに貸して自慢する」ためにヤシガニ(地上波放映版)、ガン○レスの初日公開版、ウルト○セブンの第12話、新ビック○マンの全話ビデオなどの(マニアにとっての)希少ビデオを個人的に集めている。アニメでは天元突○グレン○ガン第4話もコレクション[4]。小説版第1弾では「悪魔の毒々おばあちゃん」にも関心を示しており、カルト映画についても造詣が深いようだ。動画研究部の現部長でもある。(生徒会3人娘に勝手に任命された。彼女たちによるとニコニコのMADも容易に作成できるらしい。)自己宣言によれば「全52話のアニメ一気鑑賞」ができるようだ[5]。
本人は否定しているが、メイドに関しても独自の哲学があり、伊澄にはマニアックだと思われている。
かなりの猫派で、ハヤテから子猫(後のシラヌイ)のことを相談されたときは毒づきながらも店を放り出してペットショップに付き合っていた。アニメ第24話の回想でも、タルタル(声:高橋美佳子)という猫を拾っている[6]。「必殺・年上女殺し」という担当に「ハヤテの必殺技よりワタルの必殺技のほうがスゲーよ」と言わしめた必殺技を持つ[7]。
対人関係[編集]
復讐に失敗し失意のシスターを慰めて以来、彼女とサキの二人との間に知らず知らずの内に泥沼の「三角関係自爆フラグ」を立ている(小説版第1弾ではハヤテ並の鈍感とされる)。付き合いが長いため、伊澄がハヤテを好いていることはすぐに分かった。当初ハヤテには嫉妬を抱いたが、それ以上の進展が無かったためかその後の仲は良好。また数少ない男性キャラだが、彼等を好きになる女性キャラが異なるため、恋愛騒ぎでこの2人が絡むことは無い。むしろ、紳士的で頼りになるためそれなりに憧れている。
ナギとはいつも口喧嘩ばかりしているが、出来の悪い弟として気を掛けられている。普段はナギのことは「ワガママ勝手で自己中心的で漫画バカでガサツで女らしくない滅茶苦茶な奴」だと思っている。勉強の際など2人っきりでいるとたまにいい感じになるのでハヤテに心配されたこともある。これは、根が素直なので普段とのギャップで可愛いように思われるためであるが、結果的にハヤテが釘を刺した形となり、ナギは必死に弁解した。ダンジョンではナギが傷つくのを見たくないような描写があるが、ナギ自身は助けられたくないため、無理を言って断っている。
伊澄に好意を持っているが、自分の立場の情けなさで伊澄に振り向いてもらえないと思っている(ハヤテが自分のことを「甲斐性がない」というのとほぼ同じ)。また、自分の気持ちを伝えようとしないため周囲からは「ヘタレ」という評価が固まってしまっている。また、伊澄が聞いているのに気づかず、ナギに向かって「伊澄のことが好きなんだから!!」などと言ってしまった。冗談といって逃げたが、それに対して伊澄は「良かった」などと言われていることから、ほぼふられた状態におちいっている。 その伊澄には、初めはナギのことを好きだと思われていたり、後にワタルにとって神出鬼没状態になったり、メイド趣味だと思われたり、さらに咲夜が好きで押し倒したとか思われたりと、散々である。もっとも、ナギとも本当は仲が良いし、サキも少し意識しているし、咲夜に冗談で魅惑され「バカ丸出しやな」と突っ込まれたり[8]しているため、全て完全に否定できない。
白皇学院は本来飛び級の枠3人で、ナギ、伊澄、咲夜が入るはずであったが、咲夜がワタルのことを考え辞退したことで入ることが出来た。このため、咲夜に対しては頭が全く上がらない(しかしおそらく彼女にその自覚は無い)。だが咲夜自身もワタルの持ち前の熱血性を評価しており、ラブコメ風のかなり良い雰囲気になったこともある。咲夜がワタルを慰めるシーンはハヤテが白皇の試験に不合格になったときマリアに慰められたシーンとポーズが完全に一致するためインスパイアあるいは定着した慰めポーズと見られるが、咲夜のスタイルと行動のため胸当てと言っても良い。 咲夜に対して上記のように誘惑され心が揺れ動いたこともある。アニメ第51話で飛び級を譲られたことに対して赤面しながらお礼を言い、「咲夜のためにビックな男になる」とほぼ告白と思える発言をしていることなどから感謝以上の想いをもっていると思われる。
サキに好かれており傍から見れば非常に仲がいいが、ワタルは普段は好きかどうかと問われれば否定している。ハヤテとナギが兄妹のような感じであるのと正反対で姉弟のようなイメージが強い。だが、サキのためには当たり前のように命を懸けられる。サキが見合いをした際は不機嫌になり、伊澄のことは放り投げたようにしたため、それまでワタルの本命は伊澄だと思っていたナギに微妙に呆れられた(アニメ第29話ではハヤテが「男の子の好きにはいろんな意味がある」と解釈している)。さらに、この際ハヤテが滅茶苦茶な読唇術の誤読をしたことで激怒し、サキをある程度意識するようにはなった。だが、その後ワタルのメイド趣味が露見する形となり、元々潔癖症なサキに本能的に警戒されている。
ナギと違って交友関係が広いが、それはレンタルショップの店長を子供なのに務めているという異様な光景にみんな声をかけ、いつの間にか仲良くなってしまうため。本編ではあまりに普通すぎて描写が無いが、第7巻のおまけページにて西沢姉弟がどうやって知り合ったのかについて描写されている。歩に好きな人がいることは知っているが、ハヤテだとは知らない模様である。一樹とも交友があり、ナギのことをしばしば話していたが、どこが良いのか分からない様子である。ワタルにしてみれば弟のほうが姉よりマトモだという。
備考[編集]
- 名前は違うが外観も性格も基本設定もほぼ同じで読み切りを2本製作している。このため、プロフィールで作者から「もっとも描きやすい主人公キャラ」と称されている[9]。
- 第1回人気投票では9位だが、男性としての人気はハヤテに次いで2位で、作者からは「貴重な男キャラ」、またハヤテの性格から「トップテン唯一の男性キャラ」と称されている[9]。また、秋葉原エンタまつり2007で行われた「ハヤテのごとく!キャラクター人気投票in秋葉原」では、16位とかなり順位を落とす結果になった[10]。
- 歩の呼び方は原作は二人称で「お前」しか使用されてないが、小説版第1弾では「一樹の姉ちゃん」になっている。
- アニメで放送されたワタルとサキの執事通信によると、ワタルは2007年11月21日発売の貴嶋サキと歌うキャラクターソングをレンタルビデオ店橘の公式イメージソングに決めたようである。
以上で作品の核心的な内容についての記述は終わりです。
脚注[編集]
- ↑ 原作のみの設定。単行本巻末プロフィールや公式ガイドブックには1991年生まれとは記載されていないが、作中時間および誕生日から生まれた年が分かる。
- ↑ バックステージVol.22 2005年3月16日
- ↑ 一樹に至っては「ワタル」と呼び捨てにされているが、再登場した際には君付けになっていた。
- ↑ 声優繋がりのネタと思われる。ちなみにDVDvol.10のメニュー画面でもこの作品について熱く語っていた。
- ↑ 数字の上ではおよそ21時間アニメを見続けられることになる。
- ↑ ナギが5歳の時に死んだ紫子が側にいたため、ワタルが5歳以下の時のことである。
- ↑ バックステージVol.62 2006年1月18日
- ↑ 第10巻巻末おまけ漫画「ウソをウソと見抜けない人は…」より。
- ↑ 9.0 9.1 バックステージVol.113 2007年1月10日
- ↑ ハヤテのごとく! 公式サイト内の最終結果発表
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