御神楽少女探偵団
『御神楽少女探偵団』(みかぐらしょうじょたんていだん)は、ヒューマン及びエルフより発売されたアドベンチャーゲーム(ADV)、及びそのシリーズ作品。2007年2月時点では3作が出ている。
3作目の『新・御神楽少女探偵団』では、キャラクターデザインや声優陣が一新され、性的要素が含まれるアダルトゲームとなっている。
なお、以降繰り返して表記する部分では1作目の『御神楽少女探偵団』を『御神楽』、2作目の『続・御神楽少女探偵団 ~完結編~』を『続・御神楽』、3作目の『新・御神楽少女探偵団』を『新・御神楽』と略す。
目次
作品解説[編集]
大正後期から昭和初期の東京を舞台に「帝都一の名探偵」と言われた御神楽時人と、彼の助手である鹿瀬巴・久御山滋乃・桧垣千鶴の「御神楽少女探偵団」と呼ばれている3人の少女(及び時人の世話係である蘭丸)の周りで次々と起こる難事件を解決していくゲーム。
本編シナリオは、事件編、捜査編、解決編の3つに大きく分類される。
事件編は、御神楽探偵事務所に事件解決の依頼が持ち込まれてから、実際に捜査を行うところまでを描く導入部分。プレイヤーの意思が介入する部分はなく、従ってゲームオーバーもない。
捜査編は、実際の捜査を行い、推理の材料を全て集めるところまでを描くゲームのメイン部分。1つのシナリオは複数のセクションから構成されている。登場人物との会話や現場の調査中に、プレイヤーが事件解決のヒントとなる情報があると思った場面で「推理トリガー」と呼ばれるコマンド(入力回数制限あり)を入力することで、その部分を追及し新たな情報を得ることができる。この推理トリガーの入力が成功すると「推理ポイント」の値が増え、それが一定値に達することでセクションクリアとなる。推理トリガーの入力回数制限はセクションごとに設定されており、残り回数が0になるとゲームオーバーとなる。
解決編は、捜査編で集めた情報を基に、御神楽時人の推理によって事件の真相が解き明かされるシナリオの完結編部分。『御神楽』では事件編と同様にほぼオートデモであったが、『続・御神楽』ではプレイヤーも推理に参加することになり、途中でいくつか捜査編での情報を総合して考察をする必要がある選択肢が出現する。選択を誤ってもゲームオーバーにはならないが、シナリオ終了後の探偵度評価で減点を課されるペナルティがある。
シリーズ作品[編集]
御神楽少女探偵団[編集]
『御神楽少女探偵団』(みかぐらしょうじょたんていだん)は、1998年9月17日にヒューマンより発売されたプレイステーション(PS)用のADV。全年齢対象。
キャラクターデザインは小林明美が担当。
最終話の「猟奇同盟」は前後編のうち前編しか収録されておらず、続編に続くという終わり方となっていたが、発売の時点ではシリーズ物という告知は全くなく、また続編の発売までに1年以上間が開いた。
本作はCD-ROM4枚組で発売されたが、その内の2枚はインターミッションシナリオやミニゲーム、設定資料集などが含まれたファンディスク的な内容(本編のクリア状況により見られる範囲が変化する)で、実際の本編は前半の2枚のみとなっていた。
- 収録されているストーリー
- 「五銭銅貨」(練習シナリオ)
- 「幽鬼郎」
- 「太白星」
- 「夢男」
- 「蘇る夢男」
- 「猟奇同盟」
続・御神楽少女探偵団 ~完結編~[編集]
『続・御神楽少女探偵団 ~完結編~』(ぞく・みかぐらしょうじょたんていだん ~かんけつへん~)は、1999年10月7日にヒューマンより発売されたPS用のADV。全年齢対象。
キャラクターデザインは前作に引き続き、小林明美が担当。
発売直後(同年11月)にヒューマンが和議を申請してゲーム事業から撤退することになったため、市場に出回った本数はさほど多くなく、発売後まもなくでも入手は困難を極めた。そのためか、2000年9月21日にヴィアール・ワンより全く同じ内容で再発売された(廉価版ではない)。
本作では、解決編の中で捜査編で集めた情報についてプレイヤーに問う選択肢が登場。御神楽時人の推理・解明を見るだけだった前作とは違い、プレイヤーも推理に参加することとなった(選択肢を間違えてもゲームオーバーにはならないが、シナリオ終了後にペナルティがある)。また、前作では前説とムービーのみに声が当てられていたが、本作では事件編・解決編においてもフルボイスでの演出が実現している(当初は全編フルボイスの予定であったが、容量などの都合で捜査編はボイスなしとなった)。
本作も前作同様CD-ROM4枚組だが、本作では4枚すべてが本編ディスクとなっている。
- 収録されているストーリー
- 「猟奇同盟」(前作に収録されているものと同じ)
- 「続・猟奇同盟」(「猟奇同盟」の後編)
- 「蜃気楼の一族」
- 「暗闇の手触り」
- 「生き人形」
- 「さ・よ・な・ら」
- 外伝「八角邸事件」(このシナリオのみ漫画家の高橋葉介がキャラクターデザイン)
新・御神楽少女探偵団[編集]
『新・御神楽少女探偵団』(しん・みかぐらしょうじょたんていだん)は、ヌードメーカーの開発の下、2003年12月26日にエルフより発売されたWindows98/Me/2000/XP用のADV。
キャラクターデザインは前作までの小林明美に代わり、さめだ小判が担当。
本作は性的要素が含まれるアダルトゲームであるが、家庭用ゲーム機で最初に発売されたシリーズの続編がアダルトゲームになるというのは殆ど例がなく(逆のパターンは割とある)、ゲームファンを驚かせた。ヒューマンの倒産によって入手が困難になりつつあった前2作『御神楽』『続・御神楽』の移植版も同時収録されている(但し「猟奇同盟」は『続・御神楽』にのみ収録。また「八角邸事件」は未収録)。
- 収録されているストーリー
- 「殺サレルベキ男」
- 「呪香」
- 「百舌」
主題歌[編集]
- オープニング『ためらいびと』(かとうあつき)
- エンディング『路地裏ノ景色』(水樹洵)
シリーズの主な登場人物[編集]
声優はPS版を担当した声優を挙げている。『新・御神楽』の声優は非公開につき記載しない(PS版の面々ではない)。また、登場人物の年齢は『御神楽』のもの。
- 御神楽時人(みかぐらときと) (声:津田英祐)
- 30歳。「帝都一の名探偵」と異名を持つ男だが、着ている服の蝶ネクタイが曲がっていても気にしないほど生活には無頓着である。一度事件が起こると天才的な推理力を発揮し、数々の難事件を解決に導く。『続・御神楽』に於いて出生の秘密が明らかになる。その後は突如失踪。それから2年後という設定の『新・御神楽』で、中国・大連にいるところを発見される。
- 鹿瀬巴(かのせともえ) (声:水樹洵)
- 17歳。長野県出身。カフェー『山茶花』で女給として働いている時に御神楽時人と知り合い、そのまま助手となる。その性格は明朗快活で、3人の少女の中では一番の行動派。スカートの下に懐中鉄砲のホルスターを付けている。22人の兄弟がいる。
- 久御山滋乃(くみやましげの) (声:高夏子)
- 18歳。東京都出身。新聞で時人の活躍を知り、半ば押しかけ同然の形で助手となる。華族の令嬢と言う事もあってそちらの方の情報網は広い。見かけによらず大藤流柔術の使い手であり、背負い投げで相手を倒す事もある。
- 桧垣千鶴(ひがきちづる) (声:松来未祐 ※『御神楽』では本名の「松木美愛子」名義)
- 17歳。神奈川県出身。助手の中では最古参(彼女が助手となった経緯は不明)。日本画家の広川千景の弟子だが、小説家としての腕もかなりのものを持っていて、新聞の懸賞に入選した事もある。
- ランドルフ丸山 / 蘭丸(らんどるふまるやま / らんまる) (声:深見梨加)
- 12歳。元々孤児だったが時人に拾われ、時人の事務所に住み込みで身の回りの世話をしている。一瞬少女かと思うほどの美少年で、「夢男」「蘇る夢男」事件では女装して潜入捜査を行った。その金髪から外国人の血が混ざっていると思われるが、詳細は不明。
- 諸星大二郎(もろぼしだいじろう) (声:石井康嗣)
- 46歳。警視庁捜査一課の警部。時人の良き理解者であり、事件発生の際には捜査に協力している。
- 栗山刑事(くりやまけいじ)
- 諸星警部の部下。諸星警部の目を盗んで仕事をサボる事もしばしば。
- 守山美和(もりやまみわ) (声:深見梨加)
- 26歳。山形県出身。時人の事務所がある守山ビルの持ち主で、守山ビル1階の「守山美術」で美術商を営んでいる。時人の憧れの女性。『続・御神楽』の「さ・よ・な・ら」では、彼女が美術商になった秘密が明らかになる。
- 藤堂弥三郎(とうどうやさぶろう)
- 「守山美術」で美和の使用人として働いている男性。
- マスター
- 巴が勤めているカフェー「山茶花」のマスター。本名不明。超が付くほどの無口で、本編中に二言以上喋る事はまずない。
- 平田権六(ひらたごんろく)
- 浅草にある見世物小屋の座長。怪しげなものを好み、世間で話題になるものがあると、すぐに真似をして自分の見世物小屋で公開しようとする。実は弟がいる事が『続・御神楽』で明らかになる。
- 河村須美子(かわむらすみこ) (声:かとうあつき)
- 浅草にある劇場「日本館」の人気オペラ歌手。『御神楽』の「太白星」で御神楽探偵事務所の所員と知り合い、『続・御神楽』の「生き人形」では事件解決に繋がるヒントを与えてくれる。
- 常盤省吾(ときわしょうご) (声:神谷明)
- 『続・御神楽』から登場した猟奇同盟の主宰であり、時人の最大のライバル。「猟奇同盟」は政財界にまで関係者がいる、という組織であるが、詳細は不明。「続・猟奇同盟」で一度逮捕されるものの、『新・御神楽』で大連に出現する。なお、「時人とは大学の同級生だった」という台詞があるが、真偽のほどは不明。
- 野上糸(のがみいと) (声:土屋亜有子)
- 『続・御神楽』の「蜃気楼の一族」で、小野寺家のメイドを務めている少女。やがて小野寺家をクビになるが、『新・御神楽』の「呪香」では、伊福部家のメイドとなって再登場する。
- 森松警部補(もりまつけいぶほ)
- 『新・御神楽』に出てくる大連関東庁の刑事で、時人の捜査に協力する。
- 川場警部補(かわばけいぶほ)
- 大連関東庁の刑事で、森松警部補の同僚。
- 久御山多聞(くみやまたもん)
- 45歳。久御山滋乃の父親で子爵。滋乃が探偵事務所に勤めることを許すほど、進歩的な考えの持ち主。
- 久御山静斗(くみやましずと)
- 久御山滋乃の兄で大連の関東庁に勤めている。彼が妹の滋乃に「御神楽時人らしき人物を大連で見かけた」という手紙を送ってきたことから、『新・御神楽』の物語が始まる。
関連作品[編集]
ライトノベル[編集]
大林憲司によってノベライズされたライトノベル作品が、ファミ通文庫から3作発表されている。なお、ストーリー内容はゲーム本編とは違うオリジナルのものになっている。更に作を重ねる可能性があったようだが、ヒューマンの倒産に伴ってシリーズ中断という形になった。
表紙や挿絵は、『御神楽』『続・御神楽』のキャラクターデザインを務めた小林明美が担当。
- 各巻タイトル
- 御神楽少女探偵団・帝都女給乱舞
- 御神楽少女探偵団その二・地獄蝶
- 御神楽少女探偵団その三・大和鬼人譚
DVDドラマ[編集]
『御神楽少女探偵団 ~ありし日の御神楽少女探偵団事務所~』のタイトルで、2000年10月25日にケンメディアから発売された。
DVDの内容は、AM神戸(ラジオ関西)で放送されたラジオドラマ(画面にはイメージイラストを表示)を中心に、PS版を担当した声優へのインタビューやゲーム本編ムービーの高画質版を収録したもので、いわゆるアニメ作品ではない。
18禁OVA[編集]
『御神楽探偵団』(みかぐらたんていだん)のタイトルで、2004年にピンクパイナップルから発売された。全3巻。『新・御神楽』の内容をアニメ化したものである。
なお、タイトルから『少女』が消えているのは、ビデ倫の倫理規定に合わせたため。
- 各巻一覧
外部リンク[編集]