嶽本野ばら
嶽本 野ばら(たけもと のばら、1968年1月26日- )は、作家、エッセイスト。自称「乙女派文筆家」。
本名は同姓に稔明(としあき)。京都府宇治市出身。代表作は『下妻物語』など。
略歴[編集]
幼少時代は読書に否定的な両親のもとで、横溝正史などを隠れて読み育った。大阪芸術大学芸術学部文芸学科中退後、1987年から美術、音楽、演劇などの活動を行う。1992年から1997年まで、関西のフリーペーパー『花形文化通信』にエッセイを連載したのが、デビューのきっかけとなった。1998年、『花形文化通信』での連載をまとめたエッセイ集『それいぬ――正しい乙女になるために』(国書刊行会)を発表し、雑誌などにエッセイを発表して少女たちの支持を集める。2000年、知り合いの編集者のすすめにより初の書き下ろし小説集『ミシン』(小学館)を執筆し小説家としてデビューしたが、その理由はエッセイが作家や著名人によって書かれており、純粋なエッセイストがいなかったため、作家という肩書きを持ったほうがエッセイの依頼が来やすいと考えたためである。2003年、『エミリー』が三島由紀夫賞候補となる。2004年、『ロリヰタ。』が三島由紀夫賞候補となる。同年、『下妻物語』が映画化される。
“乙女のカリスマ”を自称し、周囲からもそう呼ばれる。
2007年9月、新宿歌舞伎町の路上で大麻を所持していたとして大麻取締法違反現行犯で逮捕され、10月に執行猶予付きの有罪判決(懲役8ヶ月、猶予3年)。
その他[編集]
過去に小説家として名前を馳せる前に1度だけ毎日放送で1992年から1994年までに放送されていた関西ローカルの深夜番組「テレビのツボ」に出演したことがある。”赤・青・黄色の三原色”について、この時、赤-主役、青-クール・キザ、黄色-へタレ・笑われキャラ、というテレビにおけるキャラクタのイメージを色彩によって表現するパターンを展開し、司会のぜんじろう・大桃美代子らを感心させていた。
作風[編集]
中原淳一、高橋真琴らの少女文化の後継者を自任しており、ロリィタ趣味、怪奇趣味などを織り込んだ作品を発表している。極端な作風から好みの分かれがちな作家であるが、『下妻物語』はこの作家としてはやや異色な軽快なストーリーが広く人気を博した。
吉屋信子の少女小説をはじめとする日本の少女文化に広く精通しており、作品にそれを生かしていることや、太宰治などの文学作品の影響をうまく消化して現代小説に生かしている点は評価されるが、性描写の乱用、破滅的なストーリーが多いことがよく批判される。
作品[編集]
小説[編集]
- ミシン:2000年10月・小学館
- 鱗姫:2001年3月・小学館
- カフェー小品集:2001年8月・青山出版社
- ツインズ -続・世界の終わりという名の雑貨店-:2001年11月・小学館
- エミリー:2002年4月・集英社
- 下妻物語 -ヤンキーちゃんとロリータちゃん-:2002年09月・小学館
- カフェー小品集:2003年3月・小学館
- デウスの棄て児:2003年7月・小学館
- 鱗姫:2003年9月・小学館
- カルプス・アルピス:2003年10月・小学館
- ロリヰタ。:2004年1月・新潮社
- 下妻物語 -ヤンキーちゃんとロリータちゃん-:2004年3月・小学館
- ミシン2/カサコ:2004年7月・小学館
- エミリー:2005年5月・集英社
- 下妻物語・完 -ヤンキーちゃんとロリータちゃんと殺人事件-:2005年7月・小学館
- シシリエンヌ:2005年12月・新潮社
- ハピネス:2006年7月・小学館
- 変身:2007年3月・小学館
絵本[編集]
- うろこひめ:2004年・主婦と生活社
エッセイ[編集]
- それいぬ -正しい乙女になるために-:1998年5月・国書刊行会(文庫版:2001年3月・文藝春秋)
- パッチワーク:2002年12月・扶桑社
- 恋愛の国のアリス:2004年10月・朝日新聞社
対談集[編集]
- Fetish:2007年3月・宝島社
その他、渋澤龍彦の『黒魔術の手帖』(文春文庫)の解説を手掛けるなど、様々な書籍に寄稿・解説担当を行っている。
外部リンク[編集]
- NOVALA BOX - 公式ホームページ(本人の逮捕・起訴に伴い現在停止中)
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