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(くに、こく)

  1. 国家、中央政府
    政治的な国家(state/état)が支配する一定の領域や住民・共同体制度文化などの総体。特に、国家の統治機構である中央政府を指すこともある。
  2. 令制国
    古代の日本での、律令制下の行政単位。律令制が崩壊した後も、受領の支配区分や守護の軍事警察管区として、また地域区分の単位として明治時代初期まで用いられた。現在でも「旧国名」として、都道府県の別名や、都道府県内の地域名として用いられることがある。
  3. 故郷地方
    生まれ故郷や出身地。また、国家に対して、地方を指すこともある。英語の「country」も、国家を指す場合と、地方を指す場合の二つの意味を持つ。
  4. 大地
    例:国つ罪国津神というように用いられるが、「地」の字が充てられることが多い。

(くに)は、現代日本では主に国家(独立国)を意味するが、さまざまな大きさと独立性をそなえた地域を表す言葉である。

日本の国[編集]

近代以前[編集]

日本史においては、古くは『漢書』に表れる奴国などがある。これらの国は、地域としてはのちの相当の広さしかない小地域であったが、政体としてはあるていど独立しており、(原始的とはいえ)国家といえる政体だった。

統一国家としてのヤマト政権が誕生すると、一つの国家という意味よりはむしろ、「国造(くにつのみやつこ)」のように、国家をいくつかに分けた広い地域を意味するようになった。律令制下の令制国で、六十余の国が確定した。

ただし、この他の意味での国の意味が絶えたわけではなく、「三国一」のような表現では、日本全体が一国として扱われていた。

これらとは別に、「大地」「土地」「出身地」に近い意味合いもあった。天津神に対する国津神(くにつかみ)の「国」は、天に対する地を意味し、実際、地の漢字が当てられることもあった。また、「国衆(くにしゅう)」「国替(くにがえ)」などの語では、土地を意味した。

近代[編集]

明治以降になると、国はほとんどの場合国家の意味で使われるようになった。また、「国の政府」(日本国政府)という新たな意味も生まれた。

また、独立国ではない政体や、日本国が承認していない政体に対し、明示的に「国」の使用を避けることがあり、「国と地域」のような表現もある。しかし、国が本来は独立国を意味しないことを考えれば、過剰反応と言える。

令制国は廃止されたわけではないが、事実上、有名無実化した。これを国と呼ぶのは紛らわしくなったため、旧国と呼ぶようになった。

現在でも文脈によっては、出身地の意味で普通に使われる。ただし、旧国ではなく都道府県で考えることが多い。

ヨーロッパの国[編集]

国と訳される英語には、state、nation、countryがある。

  • countryは、ラテン語のcontrata terra(向こう側の土地)が語源で、地理的な国土を意味する。政体の性質を問題にしないため、日本での「国と地域」に相当する使われ方もする。
  • nationは、ラテン語のnatalis(出生)が語源で、土地の住民の総体を意味する。国家の場合は国民のことだが、国家に結びつかない、少数民族・分断民族・流浪民族などにもnationはある。
  • stateは、ラテン語のstatus(土地とその住民への支配権)が語源で、土地とその住民に対する統治権・統治機構を意味する。

いずれも、明確に国家の意味はなく、文脈によっては国家未満、超国家の意味でも使われる。また、具体的な行政区画の名称としてこれらの語を使うこともある。

これらの場合は、country、nation、stateの本来の意味の区別は問題にならない。

empire・kingdom・duchy 等は帝国王国公国等と訳されるが、これらは単に皇帝領地という意味にすぎず、国家の意味はない。西欧社会では、中世封建社会から絶対王政の時代に至るまで、ある国の君主が別の君主の兼任あるいは臣下であることは珍しくなかった。たとえば、インド皇帝イングランド王の兼任であり、インド帝国はイギリスの一部だった。最近の例では、アンドラ大公位はフランス大統領ウルヘル司教が(共同で)就いており、それにより1993年までアンドラ公国は独立国ではなく、フランススペインの共同統治的な地域だった。

republicは共和国と訳されるが、これは民衆による政体という意味で、これも国家の意味はない。たとえば、ロシア連邦(およびソ連)は国内に共和国を持つ。

関連項目[編集]

Wiktionary
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