ビニ本
ビニ本(びにぼん)とは、立ち読み防止等のためにビニールの袋で包装し、店頭では内容が見られないポルノ写真本。主に自動販売機やアダルトショップで売っている本を指す。1980年代頃まで主流であった日本のアダルト商品の一形態。ただし、同様の流通形態を取る裏本は含めないことが多い。
歴史[編集]
ビニ本のルーツは、1975年頃に日本の古書店や特価図書店で発売されていたグラフ誌にある。
1980年代に薄い下着から透けて女性器・陰部がうっすらと見える写真が掲載されるようになり、一般新聞、TVでも大きく取り上げ一時期ブームとなった。当時のビニ本はA4版52ページが主流で、裸体の女性が単独で大開脚などのポーズを取るスタイルのものが多かった。
その後、性交をテーマにするビニ本も出版されたが、これは裏本の版に半透明黒色の修正印刷が上書きされたものであり、裏本の表バージョンとでもいえるものであった。このようにして、各種ビニ本が咲き乱れる時代が続いた。
しかしながら、80年代半ばにアダルト専業の大手書店が取り扱いを中止したことに加え、本来非合法であった筈の裏本が一般に普及していくのに伴い、次第に下火になっていった。とはいえ、自動販売機,専門店販売用本等として細々と生き残ってはいる。
ビニ本と裏本[編集]
「裏本」との対比では、「ビニ本は、性器のはっきりとした露出やあからさまな性行為写真はなく、性器は下着や半透明素材で覆われているもの」であるのに対し、「裏本は、性器の露出や性行為の描写を含むもの」とされる。歌舞伎町で茶色の封筒に入れられ販売されていた事から「茶封筒本」と呼ばれていた時期もあった。
「ビニ本」は合法非合法のボーダーラインを狙っていたのに対し、その後登場した「裏本」は非合法を覚悟の上での故意的な姿勢を打ち出しており、その点で「ビニ本」と「裏本」は明確に区別される。ただし、だからといって「ビニ本」に分類されるものが確実に合法的な存在であったというわけではなく、「違法性の阻却」を狙ったものというよりは、「違法性の軽減」を狙ったものと評価すべきであろう。その先に、「違法性の無視」を前提とした「裏本」が誕生したということのように思われる。
関連する文献など[編集]
南伸坊のエッセイ『さる業界の人々』(1981年)にはブーム時のビニ本業界の様子が描かれている。