成功報酬型広告
成功報酬型広告、アフィリエイト・マーケティング、アフィニティ・プログラム、アソシエイト・プログラム、アフィリエイト・プログラムとは、特にインターネットのWWW上における広告形態をさし、ある広告媒体のウェブサイトに設置された広告によってウェブサイトの閲覧者が広告主の商品あるいはサービス等を購入し、生じた利益に応じて広告媒体に成功報酬を与える一連の形態をさす用語。単にアフィリエイト(Affiliate)、縮めた形でアフィリ、アフィと呼ばれることが多い。
目次
概要[編集]
これらは、広告提供者がアフィリエイト・プログラムを提供する広告企業であるアフィリエイト・サービス・プロバイダ(以下、広告企業)に依頼して広告を出す場合と、eコマースやサイバーモールなどインターネット上で商品やサービスを提供する企業ないし、それら電子商店のシステムを提供している企業そのものが設置している広告形態の2種類に大別される。
これらでは、広告掲載者を特定する識別子がURL中に埋め込まれており、リンククリック時に識別子が広告企業に送信され記録される。そうして実際に売上が出た際には広告掲載者に成功報酬が支払われる。これら広告企業には大小さまざまな企業が存在するため列挙は割愛するが、各々の広告リンク設置により成功報酬を望む側は、それら広告企業側と契約する形でバナー広告、ブログパーツを設置、それぞれのリンクへと誘導する。
アフィリエイトの歴史[編集]
1996年7月頃、カクテルパーティーでAmazon.comの創業者ジェフ・ベゾスが、ある女性に「自分のサイトで離婚に関する本を売りたいんだけど」と持ちかけられたのをヒントにしたのがはじまりであるとされているが、Amazon.com以前にCybereroticsというアダルトサイトがクリック報酬型のアフィリエイトを始めた最初か初期のサイトの1つだというのが、広告関係者やアダルト業界のコンセンサスである。
アダルトサイトを除けば、1994年11月にBuyWebというプログラムを立ち上げたCDNOWが、最初のクリックスルー方式のアフィリエイトを導入したウェブサイトである。
日本では2000年頃から比較コンテンツを作り情報としてアフィリエイト広告を見せ、検索エンジンを導線とするといった現在の主流となっているアフィリエイトメディアの掲載手法が確立される。アフィリエイトの母国である米国にはない手法が日本では広まったおかげで、2004年以降アフィリエイト配信会社が複数社上場するといった世界では稀なほどアクション報酬型のアフィリエイト広告が普及している。2004年頃から商品リンクと呼ばれる、商品が掲載されているページやカテゴリに直接誘導できる広告リンクの登場により、これまでの申し込み・相談・資料請求など(リード案件)と呼ぶからEC案件にも一気にアフィリエイト広告が広がっていった。
アフィリエイト稼業の実態[編集]
「簡単にお小遣いが稼げる」という謳い文句で会員を集める広告企業は多いものの、2005年に一般のネットユーザー1万825人にアンケートを取った結果、アフィリエイト利用者の7割の月収は1000円以下、9割の月収は5000円以下と、子供のお小遣いにも満たないケースが多数で、毎月3万円以上稼いでいるアフィリエイト利用者は全体の2%以下に過ぎない実態が浮き彫りになった。なお、2008年にアフィリエイトマーケティング協会の会員を中心にした中~上級のアフィリエイト利用者126人にアンケートを取った結果、月に5万円以上の収入を得ていると回答したのは36%となっており、稼げるアフィリエイト利用者と稼げないアフィリエイト利用者が二極化しているともいえる状況である。
アフィリエイト収入「月3万円以上」は2.4%、8割が「1000円未満」[編集]
日本アフィリエイト協議会は2013年7月2日、「アフィリエイト市場調査2013」の結果を公表した。
調査は5月に実施し、ホームページやブログを保有している1765人からの回答を集めたもの。
このうち、アフィリエイト広告を掲載している「アフィリエイトサイト運営者(アフィリエイター)」は500人で全体の28.3%だった。アフィリエイト歴は「5年以上~10年未満」が20.2%と最も多く、次いで「1年以上~2年未満」と「2年以上~3年未満」が14.6%で同率。運営しているアフィリエイトサイトの数は、平均3.08サイトだった。
アフィリエイト収入の面では、「月3万円以上」が全体の2.4%にとどまり、約8割は「1000円未満」だった。
なお、月3万円以上の収入があるアフィリエイターの属性を分析したところ、「1年以上のアフィリエイト経験があり、平均6.3サイト(ブログ含む)を運営、毎日約3.1時間をアフィリエイト活動に費やし、レンタルサーバーや独自ドメイン、商品購入などに毎月5000円前後の経費をかけている」という平均像が浮かび上がったとしている。
アフィリエイト報酬の種類[編集]
アフィリエイトによって得られる報酬は主にクリック報酬とアクション報酬の2つがあり、クリック報酬は、バナー、テキストリンク等の、アフィリエイトタグのクリックされた回数によって、報酬が決まり、アクション報酬では、広告出稿者が任意に成果地点を設定できる。
アフィリエイトの問題点[編集]
アフィリエイトは商品情報を伝達する優れたシステムである一方でいくつかの問題を抱えている。まず、宣伝と記事の境があいまいとなり、一方的な宣伝を消費者が宣伝と気がつかないうちに読んでしまう恐れが大きい。
検索サイト関連[編集]
販売収益の一定割合がアフィリエイト側の収益となることが、大げさまたは不正確な表現を用いて購買を促すインセンティブとなりうることも問題をはらんでいる。現実にアフィリエイトを行うサイトが無数に存在することや、その媒体がブログなど入れ替わりが早いものが中心であることから、明らかな詐欺や薬事法違反などがあった場合にもその取締りは困難である。このような問題点に対し、業界団体である日本アフィリエイト・サービス協会はガイドラインを出し、適切なアフィリエイトプログラムの運用を呼びかけている。
検索エンジンサイト各社ではプログラムにより作られた、内容に意味の無い文章だけのアフィリエイト広告を表示するためだけのページや、プログラムを利用した単語の繰り返し、アフィリエイト広告だけが載っているようなページを意図的に弾く仕組みを構築している。プログラムにより作られた内容に意味のない文章だけのブログもあり、それらは「スパムブログ」、または「スプログ」などと呼ばれている。このスプログは、制作を簡易にするツールが販売されており、1ユーザで幾重ものスプログが作られるようになり、物量で収入を稼ぐ悪質なケースに陥っている。
検索エンジンサイト・グーグルでは、アフィリエイトを行っているからといって、サイトを検索エンジンのインデックス(登録)から弾くことはないが、内容のないスパムブログ等は検索エンジンにインデックスしないと公式に表明している。
詐欺的サイトへの誘導関連[編集]
情報商材を中心に広告主と呼ばれる広告出稿側の不正が存在し、具体的な広告掲載側の不正行為として、以下のようなケースが挙げられる。
- 商品、サービスが成約したにもかかわらず、基準が満たされないなどの理由で報酬としてカウントされない、報酬として認められる基準が高すぎる、あるいは明記されていないケースもある。
- 報酬としてカウントされたあと、その報酬が支払われない。
また、アフィリエイトバナーの中にはコンピュータが危険な状態であるとの虚偽のメッセージを表示して詐欺的ソフトウェアを押し売るといった問題も発生しており、高額な報酬や豪華な景品を出して広告掲載者を募っていたケースもあるという。また、いわゆる情報商材の中には現実的ではない方法論や、支払った金額に見合わない幼稚な内容、他者の著作物の丸写し、あからさまに内容に難があるような方法論すらやり取りされているが、こういった詐欺的な内容では、「引っかかった側」が損失分を取り戻そうと更にその情報商材の拡散に加担する場合もあり、アフィリエイトを通じて被害の拡大も懸念されている。
著作権侵害に関する問題点[編集]
違法なダウンロードサイトの運営者は、違法な配信でアクセス数を稼ぎ、アフィリエイト広告で収入を得ているケースが多い。そのため、2012年12月3日には、日本音楽著作権協会(JASRAC)と日本アフィリエイト協議会は、アフィリエイト広告サービス提供事業者(ASP事業者)と連携して、アフィリエイト広告収入を目的とする違法音楽配信サイトに対して広告の掲載停止と広告料の支払停止を行う方針を発表した。