正社員
正社員(せいしゃいん)とは、正規雇用で企業に雇われた、労働者の事。正規職員とも。いわゆる会社員とは、普通正社員の事を指し、総合職・一般職などの区分がある場合はそれを全てひっくるめてそう呼ぶ。アルバイトや派遣社員、契約社員と言ったいわゆる非正規雇用で雇われた非正社員と区別するために用いられる言葉。企業や業界によってはプロパーとも呼ばれる。日本固有の概念であるため、英語を始めとする諸言語でもそのままen:Seishainと表記することが多い。ただし諸外国においても、期限の定めのない雇用とある雇用、フルタイムの雇用とパートタイムの雇用といった区分がないわけではない。
正社員の特徴[編集]
- 雇用期間:期間を定めず、定年まで雇われる事が多い。
- 賃金:加齢とともに賃金があがる形態(いわゆる年功序列)が多い。
- 昇進・昇格:加齢に伴い、ある一定の年齢になれば一定の役職に就ける場合が多い。また、総合職、一般職などの区分がある場合は総合職が最も昇進・昇格のスピードが速い。
- (非正社員に比べて)労働組合への加入率が高い。
- 長年一つの会社に所属することを期待され、会社からの恩恵を非正社員より受けているため、会社の不祥事や企業犯罪には閉口することが多い。
正社員の変容[編集]
バブル経済と呼ばれた1990年頃までは上記で述べた特徴を満たす事が多かったが、バブル崩壊に伴い、様相が変わっている。不況により人件費の削減が叫ばれるようになった事、終身雇用・年功序列への批判、成果主義の賞賛、リストラという概念の広がり(リストラの本来の意味等は、リストラを参照)等から、正社員を特徴付けていた雇用期間や賃金形態の仕組みは多様化していった。 その結果、リストラによる正社員の解雇、加齢に伴う賃金上昇や昇進・昇格を抑えて仕事の成果を賃金や昇進・昇格に反映させる、といった現象が見られるようになった。労働組合についても加入率の低下が言われている。また、正社員の採用自体も抑制される傾向にある。
行き過ぎた既存の形態の変更については異論も存在し、終身雇用は長期雇用によって企業の技能・士気を高水準で維持できるという経済合理性の評価や(詳しくは終身雇用を参照)、成果主義の見直し(例えば、1993年に初めて成果主義による賃金体系を導入した富士通は、2001年4月に制度を見直している)といった動きも出ている。
しかし、中小企業の従業員は大企業よりも身分が不安定で給与が安い傾向がみられ、正社員でありながら福利厚生制度がほとんどない場合もある。昨今は成果主義の導入や、昇進につれて給与が上がらないのに仕事量が倍増する管理職など、正社員とはいえ収入が安定しないケースも出てきている。サービス残業が常態化したため時給制の非正規社員より時間当たりの報酬が少ない正社員も珍しくはない。健康面でも前述のサービス残業、名ばかり管理職、リストラによる仕事量の増加により体を壊して休職や辞職する正社員が増えている。
あたかも正社員の求人を出しておき、内定の連絡後、出勤初日に契約社員の雇用契約書を出す会社が急増している。
このような会社では、雇用契約書上では明らかに契約社員であるのに「この人は正社員です」と公共機関へすら主張・喧伝する。就業前に雇用契約書を提出しない企業は信用に足る企業では無いと考えた方が良い。またこのような会社では社員のモチベーションが異様に低く、人の出入りが激しい事、サービス残業の強要、違法行為の無言強要等の違法行為が常態化している事が特徴である。
名ばかり正社員[編集]
名ばかり正社員(なばかりせいしゃいん)とは、非正規雇用とあまり変わらない労働条件・環境で雇われた、正社員の事[1]。周辺的正社員、なんちゃって正社員とも呼ばれる[2]。賃金については低賃金であり[1]、定期昇給やボーナスの両方かいずれかがなく、中には最低賃金以下となるケースもある[2]。
NPO「POSSE」の調べによると、60時間/週以上の労働時間の比率が「周辺的正社員」で38%、「中心的正社員」で26%なのに対し、月収20万円以下の比率では「周辺的正社員」で53%、「中心的正社員」で19%と、「周辺的正社員」の長時間労働、低賃金の傾向が表れている[2][3]。
脚注[編集]
関連項目[編集]
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