愛野美奈子
愛野 美奈子(あいの みなこ)は、武内直子作の漫画作品『美少女戦士セーラームーン』に登場する架空の人物。TVアニメ版で声を演じた声優は深見梨加で、実写版では小松彩夏が演じた。
人物[編集]
セーラーヴィーナスに変身する。セーラーVの正体でもある。愛野美奈子及びセーラーヴィーナスとしての初登場は第33話『最後のセーラー戦士ヴィーナス登場 』だが、セーラーVとしては既に第1話から登場している。即ち実質上、最初のセーラー戦士でもある(第1話でうさぎが変身能力を手にする以前から既に活躍の噂が流れていたため)。
港区芝公園(麻布十番に近い実在の地名)の近辺に住み港区立芝公園中学校に通う帰国子女。うさぎより明るい金髪ロングに赤い大きなリボンが特徴。成績はやはりうさぎ並みに良くないが、運動神経は抜群で体育だけは好成績(なお、本人はバレーボール部に所属)。高校はうさぎたちと同じ十番高校へ進学した。原作、およびアニメではアイドルを目指す陽気な爆走少女。諺を引用しては間違える(「杏より梅が安い」←「案ずるより生むが安し」、「春眠赤土を耕す」←「春眠暁を覚えず」等)のがお約束である。登場初期は戦闘歴の長さからお姉さん的な側面も多く描かれたが、徐々にうさぎ同様の「明るいおバカ」キャラへと戻っていった。容姿だけでなくキャラも被った(さらには戦士としての技の属性も被っている)こともあってか、似たものコンビとしての演出例も多い。家族は原作・アニメともに登場しないが、後述する『コードネームはセーラーV』中では、両親との3人暮らし。
主人公のうさぎとキャラが被っているのは、美奈子は元々本作の原案となった同作者による読切作品『コードネームはセーラーV』の主人公キャラであるため。本作の好評を受け、そちらも本作前史として連載化された。作品世界統合の為、単独で行動していた経歴が本作一話から伏線として張られている。差別化のために強調されるようになったうさぎとの顕著な差異が「異様に前向きな姿勢」と「変身前から常人離れした身体能力」であり、類似を逆手に取ったのが原作の「影武者」の設定である。アニメ版において、キャラクターデザイナーは「どちらが月のプリンセスなのか」と気を持たせる演出に備えて美奈子の瞳をうさぎと同じ指定にしたが、ヴィーナス登場の次回にプリンセスの発現が描かれ、この工夫は生かされなかった。
流石プリンセスの影武者を勤めるだけあって体力もあるのか、「セーラームーンS」ではユージアルに背後から不意討ちという形でピュアな心の結晶を抜き取られた際、気絶しないでそのまま結晶を抱きかかえ、公園からビル内部の駐車場まで全力疾走してみせる、という離れ技を披露した(第109話を参照)。案外、全セーラー戦士の中で最強の意志の強さを持っているのかもしれない。
実写版では余命いくばくも無いスーパーアイドルで、愚直なまでに前世からの使命を果たすことに忠実な少女となっていて、終盤には病死している。アニメ・原作の人物像とは明らかに異なっており、「原作の設定を無視した」と一部ファンの間で憤慨された。 名前を音読すると「びなす」になり、ビーナス、ヴィーナスに近くなる。
セーラームーンSSではホークスアイとタイガーズアイの二人によって夢の鏡を覗き込まれた。その際、二人に「こ、この子すごいわ!」と言われた。その後アルテミスの声で目覚めた後、怒りが頂点に達した美奈子は二人がかりで施された封印を自力で破ってセーラーヴィーナスに変身。この封印、普通は自力で破るのは無理らしい。アルテミスも「怖えーっ!!」と絶句するほど非常識な力を時として発揮する。やはり戦士としての経験・いざというときのパワーは、他の戦士の追随を許さないほど高いようだ。
なお、彼女は『コードネームはセーラーv』の主人公であり、1995年には原作に忠実な形で『コードネームはセーラーV』のOVA化(全4巻予定)が一時発表されたが、諸般の事情によりこのOVA化が取り止めになった経緯がある。その後実写版のオリジナルビデオでセーラーvが主役の作品が製作された。
プロフィール[編集]
- 年齢:14〜16歳
- 身長:156〜160.5cm
- 誕生日:10月22日
- 誕生石:オパール
- 星座:天秤座
- 血液型:B型
- 好きな色:赤、黄色
- 好きな食べ物:カレー、ラーメン、ギョーザ
- 苦手な食べ物:しいたけ
- 好きな教科:体育
- 苦手な教科:数学、英語
- 趣味:アイドルの追っかけ(青田買い)
- 特技:遊ぶこと
- 嫌いなもの:ママ、おまわりさん
- 将来の夢:アイドル
セーラーヴィーナス(セーラーV)[編集]
金星を守護星に持ち、かつてはセーラーVとして活躍をしていた愛と美の戦士。マークは「♀」。 月のプリンセスのガーディアン、内部太陽系セーラー戦士のリーダーにして、プリンセスの影武者。 第4部原作ならびに『コードネームはセーラーV』では金星のプリンセスの城としてマゼランキャッスルという城を持っている。
決め台詞は「愛の天罰、落とさせて頂きます!」。使われることは少なかったが、ジュピターと比較すればまだ使用されていたほうであった。イメージカラーは黄色ないし橙色。
戦闘においては中途半端な設定となっていた。元来の設定は「単独でやっていけるほど」、つまり内部惑星戦士最強のバランスファイターだが、「バランス」の演出は困難で、セーラージュピターやセーラーマーズのように突出した攻撃力を強調する演出がされることも、セーラーマーキュリーのようにブレイン的な存在でもなかったため、戦闘シーンでは埋もれてしまっていた。それでも登場当初はリーダーらしく戦闘において他の戦士への指示を行ったりと指揮官としての役目を担っていたが、戦士自身としては牽制役である事が多く、決め手となる存在で無かった事は否めない。必殺技も他戦士のように、水・炎・雷といった自然界に存在するものではなく、エネルギー体中心の抽象的なものであったため、イメージ的に攻撃力の強さにはつながることがなく、メインの武器であるヴィーナス・ラブ・ミー・チェーンで敵の武器を奪うなどするといった描き方が中心だった。
- 備考
- ヴィーナス=ローマ神話のウェヌス、ギリシャ神話のアフロディーテは美と愛欲の女神であり、美奈子の姓が「金野」ではなく「愛野」であること、技「ラブ・ミー・チェーン」「ラブ・アンド・ビューティ・ショック」がまずここから取材されている。「クレッセント」は本来三日月の意であるが、内惑星は満ち欠けするので、金星にも「クレッセント」が存在する。このことを発見したガリレイは、当時の教会の弾圧を警戒し、研究仲間への手紙に「愛の母がダイアナの真似をしている(=金星が月と同様満ち欠けの挙動をするという地動説の新たな証拠を発見した、の意)」と暗号化した追伸として書き送った。技「クレッセントビーム」と「セーラーヴィーナスは月のプリンセスの影武者」との原作の設定はこの天文現象と故事から取られている。紋章(惑星記号)はヴィーナスが持つ手鏡を図案化したもの。なお原作のセーラーVは手鏡(コンパクト)を使ってクレッセントビーム&ブーメランや愛のクレッセント・シャワーを放っていた。
セーラーヴィーナス(セーラーV)の必殺技[編集]
- クレッセント・ビーム(原作、アニメ、実写全てに登場。実写ではヴィーナス・ビーム。第一期以降。ただし原作では「セーラーV」時代のみ使用)
- ティアラの宝玉から出した三日月形のエネルギーを指先に集中して攻撃。技のスピードではセーラー戦士中一番。変則技としてクレッセントビーム乱れ撃ちがある(アニメ第四期141話)。
- クレッセント・ビーム・シャワー(第二期)
- 一度放ったクレッセントビームを拡散乱射して広範囲を攻撃する。クレッセント・ビームと違い、相手の動きを封じつつダメージを与える技になっている。
- ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン(原作漫画、アニメ、実写全てに登場。アニメでは第二期以降)
- クレッセントビームのエネルギー波動をハート形のチェーンに変換する。攻撃だけでなく重い物を動かしたり相手を牽制したりもできる。原作では、腰に付けているチェーンにエネルギーを纏わせて攻撃する。
- ヴィーナス・ラブ・アンド・ビューティ・ショック(第四期より)
- 投げキッスからハート形のエネルギー光球を無数に飛ばす。原作はバラの花若しくはハート型がモチーフのラブ・ミー・チェーンでの攻撃。
- クレッセント・ブーメラン(原作セーラーV、実写。実写ではクレッセント・カッター)
- 幻の戦士セーラーV時代から愛用する真実を映し出すコンパクトで相手を切り刻む。ゾイサイトにはこれで止めをさした。
- 愛のクレッセント・シャワー(原作セーラーV)
- ヴィーナス・アイアン・マッスルパンチ(原作セーラーV)
- ヴィーナス・サルファ・スモーク(原作セーラーV)
- ヴィーナス印蚊取り線香台風(タイフーン。原作セーラーV)
- どこからともなく蚊取り線香(かゆみに効くジフェンヒドラミン配合)を召喚し、そのニオイをパワーに乗せて放つ。
- ヴィーナス・百億ボルト・ロックン・ルージュ(原作セーラーV)
- 新アイテム(この回しか使わなかったけど)ヴィーナスマイクを用い、新曲を歌うアイドルのつもりでウェーブを放つ。
- ローリングスクリュー・セーラーVパンチ(原作セーラーV)
- クレッセント・スーパー・ビーム(原作セーラーV)
- コンパクトを開いての必殺ビーム強力版。スーパーが付くのは憧れの斉藤センパイにキスされて舞い上がり、本人曰く『ターボ全開バリバリ』だからだろう。
- クレッセント・スレンダー・ビーム(原作セーラーV)
- コンパクトを開いての必殺ビームの……ダイエット話版。技名はただのノリであろう。
- セーラーVキック(原作セーラーV)
- ただのキックです。話によってはキックキックと連発される。
- セーラーVチョップ(原作セーラーV第16話)
- Vちゃん式もみだしセーラーVチョップ(原作セーラーV)
- ダイエット話に登場したチョップ技。
- ローリング・ハート・バイブレーション(原作第一期、実写)
- 両腕からハート型のエネルギーを発生、渦と震動で回転させ放つ。実写版では第46話に登場。最強妖魔を吹き飛ばし、その勢いでクイン・メタリアを分離させる威力を持っていた。
- ヴィーナス・ウインク・チェーン・ソード(原作第三期)
- 光のチェーンを剣化させて相手目掛けて投げつける。
- ヴィーナス・ラブ・アンド・ギャラクティカ・ショック(原作第五期。鎖の形が異なっている)
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