ユリ
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?ユリ(クロンキスト体系) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
250px Lilium bulbiferum
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種の保全状態評価 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Lilium L.(1753) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ユリ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Lily | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
下位分類群 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ユリ(百合)は、ユリ目ユリ科のうち主としてユリ属(学名:Lilium)の多年草の総称である。属名のLiliumの語源はケルト語の白い花(Li Lium)といわれるが、ラテン語もしくはそれ以前の古い言語に由来するとも言われている。
鱗茎(球根)を有する。茎を高く伸ばし、夏に漏斗状の花を咲かせる。
目次
生態[編集]
アジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から温帯、亜寒帯にかけて広く分布しており、原種は100種以上を数える。
山岳地帯を含む森林や草原に自生することが多いが、数種は湿地に自生する。L. arboricolaは唯一の着生植物である。 一般的に、石灰質でない弱酸性の土壌を好む。
代表的な種に、ヤマユリ、オニユリ、カノコユリ、ササユリ、テッポウユリ、オトメユリなどがある。また、ウバユリ属のウバユリ、バイモ属のクロユリ(どちらもユリ科)などもユリの名で呼ばれる。
文化の中のユリ[編集]
西洋でのユリ[編集]
ユリは聖書にしばしば登場する花のひとつである。新約聖書では「ソロモンの栄華もユリに如かない」と、繁栄の象徴として用いられる(聖書の時代、イスラエルではユリは一般的な花ではなく、このユリはチューリップの事だと考えられている)。
キリスト教においては白いユリ(マドンナリリー)の花が純潔の象徴として用いられ、聖母マリアの象徴として描かれる。天使ガブリエルはしばしばユリの花をたずさえて描かれる。これはガブリエルがマリアに受胎告知を行った天使であることを示す図像学上のしるしである。
クレタ文明の遺跡のひとつであるクノッソス宮殿の壁画にはユリが描かれている。
フルール・ド・リス(Fleur-de-lis)と呼ばれる歴代のフランス国王の紋章は意匠化されたユリの花(アイリスの花という説もある)であり、青地に金で描かれる。フルール・ド・リスはまたフランス王位継承権を要求していた頃のイングランド国王の紋章にも登場する。また、ボスニア・ヘルツェゴビナでは1998年までの国旗と、現在のボスニア・ヘルツェゴビナ連邦の国旗・国章にはボシュニャク人のシンボルとしてフルール・ド・リスがあしらわれる。
東洋でのユリ[編集]
東洋ではユリは食用や薬用に使用される。花の観賞は、日本では前近代にまでさかのぼる奈良の率川(いさかわ)神社の三枝祭(さいくさのまつり)などの例外もあるが、明治30年代頃からである。幕末にフィリップ・フランツ・フォン・シーボルトが日本のユリの球根を持ち帰り、復活祭に用いられるイースター・リリーとして大流行すると、球根は近代日本の絹に次ぐ二番目の主要輸出品として外貨を獲得した。そしていわば逆輸入されるかたちで明治末に鑑賞花として流行した。夏目漱石の「それから」(1909年)には「代助は、百合の花を眺めながら、部屋を掩(おお)ふ強い香の中に、残りなく自己を放擲(ほうてき)した。」(14章7節)とある。輸出用の栽培は主に富士山麓から神奈川にかけて広く行われた。
食用[編集]
日本では、ヤマユリ、コオニユリ、オニユリの3種がその鱗茎(ユリ根)を食用とするため栽培されている。苦みを除くためにあらかじめ軽く煮てから、さつまいもきんとんや雑煮、茶碗蒸しに用いる。
中国ではハカタユリ、イトハユリ、オニユリの鱗片を乾燥させたものを百合干と呼び、水でもどして炒め物にしたり、すりおろしてスープにとろみをつけたり、澱粉の原料とする。
薬用[編集]
オニユリ、ハカタユリ、その他Lilium属の球根は百合(「びゃくごう」と読む)という生薬である。滋養強壮、利尿、鎮咳などの効果があり、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)などに使われる。
画像[編集]
- Liliumpumilumflower.jpg
イトハユリ
- Liliumleichtliniimaximovicziiflower.jpg
コオニユリ
- Liliumsulphureumflower5.jpg
Lilium sulphureum
分類[編集]
ユリ属は以下の亜属に分類される。
- ヤマユリ亜属(Archelirion)
- テッポウユリ亜属(Leucolirion)
- カノコユリ亜属(Martagon)
- スカシユリ亜属(Pseudolirion)
主な原種[編集]
- Lilium amabile
- Lilium alexandrae ウケユリ
- Lilium arboricola
- Lilium auratum ヤマユリ
- Lilium bolanderi
- Lilium bosniacum
- Lilium brownii ハカタユリ
- Lilium bulbiferum
- Lilium callosum
- Lilium canadense
- Lilium candidum ニワシロユリ(マドンナリリー)
- Lilium carniolicum
- Lilium cernuum マツバユリ
- Lilium chalcedonicum
- Lilium columbianum
- Lilium concolor
- Lilium davidii
- Lilium distichum
- Lilium formosanum タカサゴユリ
- Lilium grayi
- Lilium hansonii タケシマユリ
- Lilium henryi キカノコユリ
- Lilium humboldtii
- Lilium iridollae
- Lilium japonicum ササユリ
- Lilium kelloggii
- Lilium kelleyanum
- Lilium lancifolium オニユリ
- Lilium ledebourii
- Lilium leichtlinii コオニユリ
- Lilium leucanthum
- Lilium longiflorum テッポウユリ
- Lilium maculatum スカシユリ
- Lilium majoense
- Lilium maritimum
- Lilium martagon マルタゴンリリー
- Lilium medeloides クルマユリ
- Lilium michauxii
- Lilium michiganense
- Lilium monadelphum
- Lilium nanum
- Lilium neilgherense
- Lilium nepalense
- Lilium nobilissimum タモトユリ
- Lilium occidentale
- Lilium oxypetalum
- Lilium pardalinum
- Lilium parryi
- Lilium parvum
- Lilium pensylvanicum
- Lilium philadelphicum
- Lilium philippinense
- Lilium polyphyllum
- Lilium pomponium
- Lilium pumilum イトハユリ
- Lilium pyrenaicum
- Lilium regale リーガルリリー
- Lilium rosthornii
- Lilium rubellum オトメユリ
- Lilium rubescens
- Lilium sargentiae
- Lilium souliei
- Lilium speciosum カノコユリ
- Lilium sulphureum
- Lilium superbum
- Lilium wallichianum
- Lilium wardii
- Lilium washingtonianum
- Lilium wenshanense
- Lilium xanthellum
ユリの品種[編集]
欧米ではユリの品種改良の歴史は新しく、19世紀に日本や中国からヤマユリやカノコユリなどの原種が紹介されてからである。日本では、江戸時代初期からスカシユリが栽培されてきた。現在ではさまざまな色や形の品種が作り出され、世界中で愛されている。
ユリの園芸品種[編集]
1964年に英国王立園芸協会によって定められた園芸分類に基づくと、次のように分類される。また、これらは交雑親に基づいて分類されているため、花の形などには非常にばらつきがある。
アジアティック・ハイブリッド[編集]
アジア原産のユリを中心に交配された品種群でエゾスカシユリ、イワトユリ、ヒメユリ、イトハユリ、マツバユリ、オニユリなどを親とする。丈夫で、栽培も容易。香りはない。また日向を好む。一般的にこのグループはスカシユリと総称されることが多いが、本来のスカシユリの特徴(花弁の基部が細く、間が透けて見える)を持たない物も多い。代表的な品種にエンチャントメント、コネチカットキングなどがある。
ロンギフローラム・ハイブリッド[編集]
タカサゴユリや日本原産のテッポウユリなどをもとに作られた品種群で、この2種の交雑種は新テッポウユリと呼ばれ、実生1年で開花することから切り花に利用されている。
マルタゴン・ハイブリッド[編集]
マルタゴンリリー、タケシマユリ、クルマユリなどを親とした品種群。 日本では一般的でない。
トランペット・ハイブリッド[編集]
中国原産のキカノコユリ、リーガルリリー、ハカタユリなどを中心とした品種群。
オリエンタル・ハイブリッド[編集]
ヤマユリやカノコユリ、タモトユリなど森林のユリを交配して作られた品種群で日陰を好む。アジアティック・ハイブリッドほど丈夫ではないが、香りのある優雅で華麗な花が魅力である。「カサブランカ」が有名であるが、カサブランカを生み出す交配で主要な役割を果たしたトカラ列島口之島原産のタモトユリは、皮肉なことに自然状態ではほぼ絶滅してしまっている。
その他の交配種群[編集]
近年では組織培養などの技術によりLAハイブリッド(ロンギフローラム・ハイブリッドとアジアティック・ハイブリッド)、LOハイブリッド(ロンギフローラム・ハイブリッドとオリエンタル・ハイブリッド)、TOハイブリッド(トランペット・ハイブリッドとオリエンタル・ハイブリッド)などの品種群が作られている。
栽培方法[編集]
植栽時期は10-11月。5-8月ごろ開花する。
病気にかかって球根が腐りやすいため排水のよい清潔な土に植えつける。球根の上にも根が出るので地表から最低球根1個分以上は下の土に植える。加湿に弱いので梅雨の時期の病気に気をつける。また極度の乾燥を嫌うので気温が高い時期は気をつける。
増殖には種子をまいて実生を得る。球根の鱗茎を挿す鱗茎挿し。木子ができるものは木子を植えるなどがある。しかしどの方法も栽培して増殖するには時間がかかるので、最近は組織培養して増殖したものも増えてきた。組織培養による増殖では、特に花糸など花器を材料に用いた組織培養は球根を掘る必要がないので、野生の希少種を増殖する場合によく用いられる。
ユリ属以外のユリ[編集]
- ウバユリ属 Cardiocrinum
- ウバユリ C. cordatum
- バイモ属 Fritillaria
- クロユリ F. camtschatcensis
- チゴユリ属 Disporum
- チゴユリ D. smilacinum
関連項目[編集]
参考文献[編集]
- 牧野富太郎「植物知識」講談社学術文庫
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