2007年の日本におけるテレビアニメの放送中止と延期
2007年の日本におけるテレビアニメの放送中止と延期では、2007年に日本で放送中止または放送延期となったテレビアニメについて扱う。2007年はテレビアニメの放送中止や延期が相次いだ年であり[1]、特に『School Days』、『ひぐらしのなく頃に解』、『こどものじかん』の放送中止はいずれも当時起こった殺人や買春といった犯罪による社会的影響をテレビ局側が考慮した結果であり、マスメディアでも取り上げられた。
School Days
School Days#最終話の放送休止 も参照 2007年7月より放送を開始した『School Days』は全12話の予定でテレビ神奈川ほかで放送されていたが、2007年9月18日にテレビ神奈川で放送予定の最終話が放送中止となった。その後、同番組を放送していた他の地上波放送局でも最終回の放送が見送られ、最終回を放送したのはCS放送局のAT-Xのみである。テレビ神奈川は番組に2007年9月18日に京都府京田辺市で警察官が娘に斧で殺害された事件と類似するシーンがあり、社会的な影響を考えたと説明している[2]。
ひぐらしのなく頃に解
ひぐらしのなく頃に (アニメ)#第2期『ひぐらしのなく頃に解』 も参照 2007年7月より放送を開始した『ひぐらしのなく頃に解』は全24話の予定で放送されていたが、東海テレビでは9月27日放送の第11話、テレビ埼玉では10月1日放送の第13話をもってそれぞれ打ち切られた[3]。また、KBS京都でも9月21日に放送予定の11話が延期となり、翌週の9月28日から一部映像表現を修正したうえで放送を再開した[4]。この放送中止・延期について、東海テレビは『School Days』の時と同様、京田辺警察官殺害事件を挙げて、事件を連想させるシーンがあり、視聴者を不快にさせる可能性があったと説明している。また、KBS京都も同様に、「少女が凶器を持っている場面などがあり、地元京都の事件であることなどから、番組を不快に思われる視聴者の方がおられる可能性がある」と説明している[2]。テレビ埼玉は京都の事件だけでなく、長野県でも類似した事件が発生したことを考慮したもので、外部の圧力で放送を止めることはないとした上で、番組自体には過激な暴力的描写は無いものの、原作ゲームソフトの表現と事件には類似性があると説明している[5]。
こどものじかん
こどものじかん#テレビアニメ も参照 『こどものじかん』は2007年10月より、当初千葉テレビ、テレビ埼玉、三重テレビ、KBS京都、AT-Xで放送予定だったが、このうち、テレビ埼玉と三重テレビ、AT-Xでの放送が急遽中止となった[6]。テレビ埼玉では「札幌の小学校教頭の児童買春事件など社会情勢に配慮した」としている[7]。また、AT-Xは視聴年齢制限付での放送に権利者の承諾が得られなかったためであるとしている[8]。
その他の放送中止と延期
この他、2007年に日本で放送中止もしくは延期となったテレビアニメには次のようなものがある[1]。
- アイドルマスター XENOGLOSSIA - 中京広域圏では当初5月17日から東海テレビで放送予定だったが、「諸般の事情により」放送中止となり、中京テレビで放送された[9]。
- 瀬戸の花嫁 - AT-Xで放送予定の第17話がパロディ元の権利者の抗議により放送されなかった[10]。
- 桃華月憚 - BS朝日で9月17日に放送予定の第25話が放送延期となり、翌週9月24日に内容を一部変更して放送された[11]。
- REIDEEN - TOKYO MXでの放送が「放送局の編成上の都合」により、12月25日の第13話をもって打ち切りとなった[12]。
反応
- 『School Days』の放送を中止したテレビ神奈川には約200件の問い合わせが寄せられた[2]。『School Days』の脚本を担当した上江洲誠は、「放送が休止になっていることがたまらなく悔しいです。そして現在、本作を取り巻く状況が大混乱していることが、たまらなく悔しいです」と述べている[13]。その一方で、製作会社のマーベラスエンターテイメントと原作ゲームの製作会社であるオーバーフローは放送休止に関しては沈黙を保ったままである[5]。
- また、この件に関して放送休止の発表直後から、ネット上では当然のごとく批判的意見が飛び交っていたが、AT-Xで最終回が放送された直後から放送内容があまりにも残虐だった事から「事件が無くても地上波では放送が困難」との意見が飛び交うようになり、批判は次第に終息していった。
- 『ひぐらしのなく頃に解』を放送していたサンテレビに寄せられた意見の9割は放送に肯定的なものだった。また、同じく『ひぐらし』を放送していた千葉テレビに寄せられた意見にも放送に肯定的な意見が通常の番組よりも多かった[14]。『ひぐらし』の原作者である竜騎士07は、『ひぐらし』が事件と関連付けられ、放送中止となったことについて「『ひぐらし』と事件は関係ないし、ましてや『ひぐらし』が殺人を産み出したとは思えません」と述べている[15]。テレビ埼玉は『ひぐらし』の放送を中止したことについて、「製作元からも直接事件を連想させるシーンはないということで再考を促されました」と述べている[5]。
- 宝島社が2008年に発行した『このアニメがすごい! 2008』では一連の放送中止・延期を「2007年アニメ7大ニュース」の1つに挙げた。同書では「放送チェックが強化されていることもあるが、話題作りのためきわどい内容のアニメが多くなっていることも一因であろう」と分析している[1]。また、昼間たかしは『2007-2008 マンガ論争勃発』の中で、「何か事件があるたびに、反論することもなく頭を垂れてきたテレビ局のあり方も再考する時期に来ているのではないか」とテレビ局の姿勢を批判している[5]。
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 『このアニメがすごい! 2008』、p.44。
- ↑ 2.0 2.1 2.2 (2007-09-27) 「スクールデイズ」「ひぐらしのなく頃に解」 アニメ休止は「過剰反応」? J-CASTニュース 2007-09-27 [ arch. ] 2008-06-22
- ↑ ひぐらしのなく頃に解製作委員会 (2007-10-24) ひぐらしのなく頃に解製作委員会 「ひぐらしのなく頃に解」東海テレビ放送打ち切りにつきまして ひぐらしのなく頃に解公式サイト 2007-10-24 [ arch. ] 2008-06-21
ひぐらしのなく頃に解製作委員会 (2007-10-05) ひぐらしのなく頃に解製作委員会 「ひぐらしのなく頃に解」放送休止に関しまして ひぐらしのなく頃に解公式サイト 2007-10-05 [ arch. ] 2008-06-21 - ↑ (2007-09-21) <おことわり>「ひぐらしのなく頃に解」放送休止について KBS京都 2007-09-21 [ arch. ] 2008-06-21
(2007-09-21) <おことわり>「ひぐらしのなく頃に解」放送再開について KBS京都 2007-09-21 [ arch. ] 2008-06-28 - ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 昼間たかし「ひぐらし・スクイズ・都産貿」『2007-2008 マンガ論争勃発』、p.133。
- ↑ (2007-10-11) テレ玉及び三重テレビを楽しみにしていてくれた皆様へ こどものじかん公式ブログ(ウェブ魚拓) 2007-10-11 [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ (2007-10-11) こどものじかん:テレビ埼玉が放送取りやめ 札幌の教頭児童売春事件に配慮 まんたんウェブ 2007-10-11 [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ (2007-10-11) 『こどものじかん』に関するお問い合わせについて AT-X公式サイト(ウェブ魚拓) 2007-10-11 [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ (2007-04-27) 「アイドルマスター XENOGLOSSIA」東海地区放送中止に関するお詫び アイドルマスター XENOGLOSSIA公式サイト 2007-04-27 [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ () 「瀬戸の花嫁」第17話アニメシアターX(AT-X)放送中止に関するお詫び 「瀬戸の花嫁」アニメオフィシャルサイト [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ 夜行 (2007-09-19) 夜行 BS朝日オンエアに関するご案内 「桃華月憚」アニメ公式 制作ブログ 桃月鬼瓦版 2007-09-19 [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ REIDEEN製作委員会 (2007-12-25) REIDEEN製作委員会 「REIDEEN」TOKYO MX 放送終了につきまして REIDEEN公式ホームページ 2007-12-25 [ arch. ] 2008-06-21
- ↑ 上江洲誠 (2007-09-26) 上江洲誠 きみの帰る場所。 天才アホマゲドンBLOG・上江洲誠公式 2007-09-26 [ arch. ] 2008-06-22
- ↑ 渋井哲也 () 渋井哲也 『ひぐらしのなく頃に解』 放送する理由・しない理由 オーマイニュース [ arch. ] 2008-06-22
- ↑ 渋井哲也 (2007-11-09) 渋井哲也 放送中止騒動 竜騎士07さんインタビュー(上) オーマイニュース 2007-11-09 [ arch. ] 2008-06-22
参考文献
- 『このアニメがすごい! 2008』、宝島社、2008年。
- 永山薫・昼間たかし編・著『2007-2008 マンガ論争勃発』、マイクロマガジン社、2007年。