遺作
提供: Yourpedia
この項目では、一般的な語句について説明しています。同名のアダルトゲームについては「遺作 (ゲーム)」をご覧ください。 |
遺作(いさく)は、死亡した者が残した(遺した)文学や音楽、絵画、漫画、映画などの作品。
概要
作者が生前に世に出す作品として制作し、結果的に発表されないまま死後に遺されたものが遺作である。完成した作品とは限らず、制作途中の状態で作者の死後に発表される未完成作品・絶筆のこともある。未発表の作品や制作途中の作品が複数存在する場合は、すべて遺作と呼ばれることが多い。また「遺作」であることは広告戦略上の売りになるため拡大解釈されることもあり、老いた作者の死後、若年時に制作し発表しなかった作品が発見された場合でも、遺作とすることがある。多くは著作活動について言うが、俳優の最後の出演映画や歌手の最後の録音などについて言うこともある。なお、一般的に、個人的な書き置き、私的なメモや録音、遺筆や遺書、遺言など、作品でないものは遺作に含まれない。
クラシック音楽では、作曲家が生前に作曲はしたものの出版しなかった作品が死後に出版される場合、それらを全て遺作と呼ぶ習慣がある。例えばモーツァルトの『レクイエム』は作曲家最後の作品だが、ショパンの『幻想即興曲』は死の15年も前の作品である。
遺作に関する問題点
制作途中の作品の発表は、作者本人が不在のところで遺族や編集者によって編集や推敲が行われる事となるが、それら行為が作者の意向に背くのではないかという指摘がなされたり、関係者間の意見の相違から議論に発展する事が珍しくない。著作権が絡む場合はより事態の収拾を一層困難とするケースもある。
遺作の例
も参照
- 没年順
- モーツァルト(1756年 - 1791年)『レクイエム』(未完、死後に弟子により完成)
- ゲーテ(1749年 - 1832年)『ファウスト』(作者が死去する直前に完成)
- ショパン(1810年 - 1849年)『幻想即興曲』(作曲者が生前出版しなかった)
- オッフェンバック(1819年 - 1880年)『ホフマン物語』(未完、作曲者の死後補筆され完成)
- ドストエフスキー(1821年 - 1881年)『カラマーゾフの兄弟』(本来は二部構成の予定であったが、第一部の完成後間もなく作者が死去した)
- ブルックナー(1824年 - 1896年)『交響曲第9番ニ短調』(未完・絶筆作)
- マーラー(1860年 - 1911年)『交響曲第10番』(未完・絶筆作)
- 幸徳秋水(1911年)『基督抹殺論』(絶筆作)『死生』(未完・絶筆作)
- 夏目漱石(1867年 - 1916年)『明暗』(未完・絶筆作)
- 宮沢賢治(1896年 - 1933年)『ビジテリアン大祭』『銀河鉄道の夜』(未完・絶筆作)
- 島崎藤村(1872年 - 1943年)『東方の門』(未完・絶筆作)
- バルトーク(1881年 - 1945年)『ヴィオラ協奏曲』(未完、シェルイ・ティボールにより補完)
- 太宰治(1909年 - 1948年)『グッド・バイ』(未完・絶筆作)
- 坂口安吾(1906年 - 1955年)『麓』『復員殺人事件』『織田信長』(未完作)、『狂人遺書』(絶筆作)
- 和辻哲郎(1889年 - 1960年)『自叙伝の試み』(未完・絶筆作)
- ヘミングウェイ(1899年 - 1961年)『海流のなかの島々』『エデンの園』『ケニア』(生前未発表)
- 吉川英治(1892年 - 1962年)『新・水滸伝』(未完・絶筆作)
- 三島由紀夫(1925年 - 1970年)『天人五衰 豊饒の海4』(小島千加子『三島由紀夫と檀一雄』に詳しい)
- 川端康成(1899年 - 1972年)『たんぽぽ』(未完・絶筆作)
- 舟橋聖一(1904年 - 1976年)『源氏物語』『太閤秀吉』(未完・絶筆作)
- 檀一雄(1912年 - 1976年)『火宅の人』(担当は同じく小島、病床で口述筆記にて完成、のちNHK特集でも番組製作)
- 柴田錬三郎(1917年 - 1978年)『復讐四十七士』(未完・絶筆作)
- 小林秀雄(1902年 - 1983年)『正宗白鳥の作について』(絶筆作)
- 石川淳(1899年 - 1987年)『蛇の歌』(未完・絶筆作)
- 手塚治虫(1928年 - 1989年)『ネオ・ファウスト』『グリンゴ』『ルードウィヒ・B』(未完・絶筆作)
- 池波正太郎(1923年 - 1990年)『仕掛人・藤枝梅安 梅安冬時雨』『鬼平犯科帳 迷路』(未完・絶筆作)
- アイザック・アシモフ(1920年 - 1992年)『ファウンデーションの誕生』(他に死後に出版された作品がある)
- 松本清張(1909年 - 1992年)『神々の乱心』『江戸綺談 甲州霊嶽党』(未完・絶筆作)
- 司馬遼太郎(1923年 - 1996年)『濃尾参州記』(街道をゆくシリーズ 未完・絶筆作)
- 藤子・F・不二雄(1933年 - 1996年)『T・Pぼん』(未完・絶筆作)、『ドラえもん・のび太のねじ巻き都市冒険記』(絶筆、藤子が残したメモを基に、藤子プロアシスタントのむぎわらしんたろうが執筆し完成させた)
- 山村美紗(1934年 - 1996年)『龍野武者行列殺人事件』『在原業平殺人事件』(絶筆、死後西村京太郎によって続きが執筆され、出版された)
- 多田かおる(1960年 - 1999年)『イタズラなKiss』(未完・絶筆作。死没から15年後にアニメ化された際に、構想メモをもとに補完された)
- 深作欣二(1930年 - 2003年)『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』(未完、死後に息子の深作健太により完成)
- 吉田直(1969年 - 2004年)『トリニティ・ブラッド』(未完・絶筆作)
- リチャード・カールソン(1961年 - 2006年)『それでも小さいことにくよくよするな!』他
- 栗本薫(1953年 - 2009年)『新・魔界水滸伝』『グイン・サーガ』(未完・絶筆作。『グイン・サーガ』は栗本の遺志により五代ゆう及び宵野ゆめによって継承され、続刊中である)
- 臼井儀人(1958年 - 2009年)『クレヨンしんちゃん』(未完・絶筆作。死後は臼井のアシスタントらが継承し、遺稿を発表した後、以後は『新・クレヨンしんちゃん』として続刊)
- 戸部けいこ(1957年 - 2010年)『光とともに…』(未完、残されたネームを元に生前親交のあった漫画家の河崎芽衣が執筆の上完成させた)
- 青山景(1979年 - 2010年)『よいこの黙示録』(未完・絶筆作)
- 中島徹(1963年 - 2011年)『玄人のひとりごと』(未完・絶筆作)
- 土田世紀(1969年 - 2012年)『かぞく』(未完・絶筆作)
- 西ゆうじ(1953年 - 2013年)『あんどーなつ』『華中華』(未完・絶筆作)
- いわしげ孝(1954年 - 2013年)『上京花火』(未完・絶筆作)
- ヤマグチノボル(1972年 - 2013年)『ゼロの使い魔』(未完、生前に完成されていたプロット に基づき、志瑞祐が執筆の上完成させた。なお志瑞の代筆が明かされたのは完結後である)
- 佐渡川準(生年非公表 - 2013年)『あまねあたためる』(未完・絶筆作)
- 風間やんわり(1977年 - 2013年)『食べれません』(未完・絶筆作)
- 山崎豊子(1924年 - 2013年)『約束の海』(未完・絶筆作)
- 藤原ここあ(1983年 - 2015年)『かつて魔法少女と悪は敵対していた。』(未完・絶筆作)
- 高井研一郎(1937年 - 2016年)『総務部総務課山口六平太』(未完・絶筆作)
- デヴィッド・ボウイ(1947年 - 2016年) 『★』 (作者が死去する二日前にリリース)
- 武田日向(1978年 - 2017年)『異国迷路のクロワーゼ』(未完・絶筆作)
- 狩撫麻礼(1947年 - 2018年)『リバースエッジ 大川端探偵社』(未完・絶筆作)
- 土山しげる(1950年 - 2018年)『野武士のグルメ』『荒野のグルメ』『勤番グルメ ブシメシ!』(未完・絶筆作)
- 佐藤タカヒロ(1976年 - 2018年)『鮫島、最後の十五日』(未完・絶筆作)
- 鬼八頭かかし(生年非公表 - 2019年)『たとえ灰になっても』(未完・絶筆作)
- 荻野真(1959年 - 2019年)『孔雀王ライジング』『孔雀王-戦国転生-』(両作とも死去の直前に最終回を完成させ、死後に掲載ないし出版が予定されている)