虐殺スレッド乱立騒動
虐殺スレッド乱立騒動とは、2ちゃんねる内で2002年~2003年に掛けて起こったアスキーアートを虐待・虐殺するスレッドが大量に立てられた時期を指す。
概要
2000年には既に固定ハンドル叩き、荒らし用途でAA殺す、苛めるAAが存在していた。
2001年5月頃にビーグルスレッド[1]で発生した虐待・虐殺AAを利用した荒らしを皮切りに、しぃやビーグル、ぃょぅなど可愛い系キャラスレを標的に継続的な荒らしが行われるようになる。2001年秋頃にしたらば掲示板でストーリーを持った作品として虐待・虐殺ネタが書かれる。[2]その結果2001年後期~2002年には虐殺・虐待をネタとしてストーリーAAを挙って作り上げる風潮が生まれた。
じぇのと呼ばれる職人が一般的に虐待虐殺AAの始祖と呼ばれているが、この職人は、虐待虐殺AAによるAA板の混乱が広まったあたりで姿を消したと言われている。
カテゴリ別虐殺されやすいAA一覧より参照
主に「虐殺」されるAAとしては『しぃ』『ちびギコ』『おにーにワッチョイ』『ぃょぅ』『おにぎりワッチョイ』『モララー』『丸耳モナー』『おにぎり』『ののたん』『モナー』『カメモナー・カニモナー』『ジサクジエン』(ほか、『ニダー』、『シナー』、『胴無しモナー』もまれに「虐殺」される)など。
この出来事は未だにAA板利用者の間でも肯定派と否定派に分かれており、たびたび論争の的となっている。
作品の傾向
当初、虐殺スレッドは特定のAA(又はそのAAを好む者)を嫌う一部の厨房による陰湿な嫌がらせが多数を占めていた。ところが2001年頃から徐々にストーリー性のある作りこまれた作品が多くなりスレッド住人の支持も集まるようになった。話の内容は基本的に『被虐キャラのワガママに加虐キャラがキレる』『被虐キャラの行為に仕返しをする』といった因果応報的な作品が多数を占め好まれる傾向がある。その中でも戦争モノの話は圧倒的な支持を得ている。これを見る人に「戦争はいけない」「わがままをするとこういう事になる」などを暗示させる作品が好まれている。他には『理由も無く虐待をする』『おにぎりの代わりに砂利を食わす』など陰湿なイジメ的な作品も多いが、2ちゃんねらーの中には拒絶反応を示す者もおり、好き嫌いが分かれている。リアルAA系(テレビで言うアップのような画像効果は除く)の作品はその性質上、小動物の虐待と写ることが多い事もあって敬遠する人も多く、なかでも「しぃ」の目線から見た日記式の作品は、その内容とリアルさから虐殺賛成派からも「かわいそうだ」との意見が相次いだほどである。
AA別では「しぃ」がもっとも多用される傾向にあり、次に「おにーに」にと続く。以前はちびギコ作品も多かったが、ベテラン職人の引退と共に減少傾向にある。しかし、ちびギコ作品にはいまだにクオリティの高い作品は多い。基本的にちび系のよく生意気な口を聞くAAの虐殺が好まれる傾向にある。
外部の反応
虐待虐殺AAは、AA関連板でこそ肯定派と否定派が存在したが、一般の目からすれば異質かつ嫌悪の対象であった。
AAはFlash作品でもよく使われ、人気のスレのネタがそのままFlashになることも珍しくない。しかし、Flash板のFlash作品製作依頼スレに、虐待虐殺Flashの製作依頼が書き込まれたことがあったが、ほぼ全てがスルーされている。また、そういったFlashを自作したという例も非常に少ない。代表的(というよりこれ以外に存在が確認されていない)な虐待虐殺Flashとして、アブノーマルネタ専門モナー板の管理人の一人であったプラティパスが製作したものがあるが、「ただ画像を拡大縮小してるだけ」「虐待虐殺Flashのうちに入らない」といった評価が多い。また、この時期のモナー板は「2ちゃんねるで一番近づきたくない板」と揶揄されていたこともしばしばあった。
騒動の終了後
2004年以降、しぃ虐殺スレッド乱立事件を機に、騒動は終息に向かったが、乱立事件の報復攻撃など、容認・反対の抗争(虐マタ抗争とも言う)は収まらず、虐殺専用のスレッドでもそれに反対する者がスレッドを荒らしたり、それに反応した賛成派が逆にマターリ系のスレッドをコピペで荒らしたりなどしてお互いのスレッドを荒しあう泥沼の争いとなった。そのため、この争いに嫌気のさした一部住人とAA職人は、2002年に設けられた2ch外部の『アブノーマルネタ専門モナー板』という虐殺を専門とした掲示板に移住する事で対処し、泥沼の争いも一応の終息を迎えた。現在では両者不干渉という事で和解しておりこの議論をすると初心者扱いを受ける事も少なくない。
反対派意見の中にもあるように、騒動の影響で低俗化し、利用者が激減したAAも数多く存在し『しぃ』『モララー』『おにぎり』に関しては虐殺ブーム時期の性格が板全体に広まってしまっており、それ以前の作風と相容れにくくなった。更に同時期に起こった2ちゃんねらーの世代交代で、昔からの古参が大量に抜けたのと同時に大量の新参入者と入れ替わった事で、新参入者が虐殺ブーム時期の性格がそのAAの基本的な設定であると誤解したことが拍車を掛けた原因でもある。
だが2005年に荒らし規制が強化された事によって、虐殺荒らしは激減しAA作品として機能するまでに回復した。
また、虐待虐殺に使われるAAの傾向が本来のAAの設定と大きく異なることから、「このしぃは虐待されるので偽者」「本物のしぃは虐待されない」などといった本物偽者論争もよく繰り広げられた。これについては「AAの設定は職人が自由に決める」という暗黙の了解によって現在は沈静化している。その結果、虐殺ブーム時の低俗化した性格が本来の性格と思われる事もなくなり、話によっては虐殺ブーム以前の性格を取り戻したり、もしくは今までにない斬新なパターンの性格付けが行われたり、低俗化した性格のキャラを元にネタを作ったりする事も多くなった。
しかしこの概念の普及によって、結果的にAAの内面的な要素が形骸化し、単に作品をつくる材料となってしまった。単に作品やストーリーをつくるためだけに使うには十分すぎるくらいAAキャラはできてしまっていたためか、この時期以降AA板で新キャラクターが生まれることはほとんどなくなってしまった。むしろ別板から新しいキャラが登場することが多くなる(やる夫など)。
現在2ちゃんねる内では、虐殺スレは時代遅れとして氷河期に入ったといわれる。上記にあるように2005年に荒らし対策が強化された事で、荒廃したマターリスレ復興が進められたが、『虐殺と荒らしは紙一重』という事で虐殺スレに対する対策がなされなかったために、逆に虐殺スレッドが荒廃してしまう。さらに運営側の関与も指摘され、マターリスレの削除依頼はすんなり通るのに、虐殺スレの削除依頼がまったく通らないという事態が発生し、一部ではマターリスレ再興の為に虐殺スレがスケープゴートされたのではとの意見もある。
また、以前まではよく「特定のAAキャラクターを使って遊ぶ」内容のスレッドが立てられていたが、この時期あたりからほぼ絶滅状態となった(上記のAAの設定に関する概念も影響していると思われる)。
以上のことからこの虐待スレッド乱立騒動はAA板の衰退のきっかけとなった事件であった。