滋賀大阪電車内駅構内連続強姦事件
滋賀大阪電車内駅構内連続強姦事件とは、2006年8月、12月に滋賀県と大阪府の列車内、駅構内で複数の女性が植園貴光により強姦された事件である。
目次
概要
8月
2006年8月3日午後9時20分頃、滋賀県湖南市石部南(当初の報道では大津市坂本)の男性解体工・植園貴光(逮捕時35歳)が、西日本旅客鉄道(JR西日本)北陸本線福井駅を出発した直後の富山駅発大阪駅行き特急「サンダーバード」車内で、大阪市内の女性会社員(当時21歳)の隣に座り「俺はヤクザだ」「逃げると殺す」などと脅し下半身を触るなどしたうえ、午後10時半頃から約30分間にわたりトイレに連れ込み強姦した(新大阪駅で下車した女性から被害届を受けた大阪府警が2007年4月21日に逮捕)。
12月
2006年12月21日午後10時半頃、JR西日本湖西線堅田駅発京都駅行き普通電車の乗客のいない先頭車両で、大津市の女性パート店員(同27歳)を脅し強姦した(滋賀県警が2007年2月13日に逮捕)。
その直後、京都駅で反対方向の電車に乗り換え、午後11時20分頃雄琴駅(現・おごと温泉駅)で下車、女子大生(同20歳)を脅し駅構内の男子トイレに連れ込み強姦した(滋賀県警が2007年1月17日逮捕)。
12月の事件で逮捕されたことがきっかけで、8月の事件に関与していたことが明らかになった。
JR湖西線電車内で女性に乱暴、容疑の男逮捕(2007年2月)
JR湖西線の電車内で女性に乱暴したとして、滋賀県警は2007年2月13日、大津市坂本5丁目、解体工、植園貴光(35)を強姦容疑で逮捕した。
調べでは、植園容疑者は2006年12月21日午後10時半ごろ、近江舞子発京都行きの普通電車の車内で、乗客の女性(27)を「逃げたら殺すぞ」と脅して強姦した。同じ車両には他に乗客がいなかったという。
植園容疑者は、直後の同日午後11時20分ごろ、同市のJR雄琴駅の男性トイレの個室で、女性(20)を強姦してけがをさせたとして、1月17日に強姦致傷容疑で逮捕され、その後起訴されている。
JR特急「サンダーバード」車内で女性に暴行。40人乗客制止せず
大阪府警淀川署は2007年4月21日、JR北陸線の富山発大阪行きの特急「サンダーバード」の車内で2006年8月、大阪市内の会社員の女性(当時21歳)に暴行したとして、滋賀県湖南市石部南、解体工、植園貴光(36)を強姦容疑で逮捕した。
当時、同じ車両には約40人の乗客がいたが、車両の前から3つめの座席だったため大半の乗客は気づかず、少数の乗客も植園にすごまれ、だれも制止できなかった。植園は、2006年12月にも同様に車内や駅構内で女性に暴行したとして2007年1月、滋賀県警に逮捕され、強姦罪などで現在公判中。
調べでは、2006年8月3日午後9時20分ごろ、福井駅を出発した直後に、6両目、前から3番目の座席にいた女性の隣に座り、「逃げると殺す」「ストーカーして一生付きまとってやる」と脅し、繰り返し女性の下半身を触るなどした。
さらに、京都駅出発後の午後10時半ごろから約30分間にわたり、車内のトイレに連れ込み、暴行した。女性はトイレに連れて行かれる途中、声を上げられず泣いていたが、乗客は植園に「何をジロジロ見ているんだ」などと怒鳴られ、車掌への通報もしなかった。
植園は2006年12月21日、JR湖西線の普通電車内で女性(同27歳)に暴行し、さらに大津市のJR雄琴駅で電車を降り、同駅のトイレに女子大学生(同20歳)を連れ込み、暴行した。
JR西日本によると、同社の大半の車両には連結部付近に通報ブザーをつけているほか、トイレにも体調悪化などに備えたブザーを設置。いずれも車掌に連絡が届くようになっている。
また、特急など停車駅間が長い列車の場合、車掌が車内巡回を励行している。同社広報部は「引き続き車掌の見回りなどを強化し、乗客の安全確保、防犯対策に努めていきたい。事件を目撃したら通報ブザーを活用してほしい」と話している。
連続強姦男は“昔から性獣”8年前も逮捕。「以前からレイプまがいの行為」
JR西日本の電車内や駅構内で女性を次々とレイプしたとして滋賀県警に強姦で逮捕された大津市坂本の解体工植園貴光。走行中の電車内などで犯行に及ぶ手口には驚くばかりだが、同容疑者を知る関係者らは「昔から同じような事件を起こしていたワル」と口をそろえる札付きの男だった。
滋賀県から大阪府にかけてのJRの電車内などで、犯行を重ねていた植園貴光だが、滋賀県湖南市の実家近くに住む知人は「以前からレイプまがいの行為を繰り返していた」と証言する。
知人によると、植園貴光は九州出身の父親と、地元出身の母親の長男として生まれ、両親と妹の4人で公営住宅で暮らしていた。地元の小、中学校を卒業後、父親の建設業などの手伝いをしていたという。
「17、18歳の女の子の後を付け、家に入る一瞬を狙って押し入っていた。家人がいれば逃げるが、不在なら、わいせつ行為に及んでいた。同じような被害を受けたのは、たくさんいたが、田舎のことなので、みんな警察に届けるのを渋っていた」
また、別の関係者によると、同容疑者は約10年前、隣の家に侵入し、若い女性の部屋に侵入し、パンティーを被って部屋を物色していたところを、女性の家族に見つかったこともあるという。
同容疑者の行動はしだいにエスカレートしていく。1999年6月には、知人女性=当時(20)=を呼び出し、乗用車内でレイプしたとして滋賀県警に逮捕。さらに2003年5月には、JR草津線の駅構内で女性会社員=同)22)=の背中を蹴るなどの暴力事件を起こし、再び同県警に逮捕されている。まさに「琵琶湖の性獣」ともいえる人物であった。
1審・大津地裁(2007年6月)
植園貴光、強姦の起訴事実認める。
JRの特急車内で女性を暴行したとして、強姦罪などに問われた滋賀県湖南市石部南、解体工植園貴光(36)の公判が2007年6月29日、大津地裁(長井秀典裁判長)であり、被告は起訴事実をほぼ認めた。
冒頭陳述で検察側は「被告は女性の隣に座り、暴力団関係者を装って、『殺すぞ、ストーカーのようにどこまでも追うぞ』と脅し、暴行した。女性は、他の客に助けを求めると暴力を受けると考え、泣くだけで抵抗できなかった」などと指摘した。
起訴状などによると、植園被告は2006年8月3日夜、富山発大阪行きのJR特急「サンダーバード」車内で乗客の女性(当時21歳)をトイレなどで暴行した。
植園被告は4月の初公判で、JR湖西線の普通電車内などで女性2人に乱暴した起訴事実を認めていた。この日の被告人質問ではこれ以前にも3件の強姦、強制わいせつ事件を起こしたことを認めた。
検察側の冒頭陳述によると、植園被告は2006年8月3日、乗用車の運転免許取得合宿からの帰りに、金沢駅から大阪行きのサンダーバード50号に乗車。
乗客がまばらな自由席6号車内で、前から3列目の女性の隣に座った。福井駅を出た午後9時20分ごろから、服役を終えたばかりの暴力団関係者を装って「大声出すな。殺すぞ」と脅しながら女性の体を触り、通路を通りかかった他の乗客には「何見とるんじゃ」と怒鳴りつけた。
その後、女性を車内のトイレに連れていき暴行。いったん京都駅で降りようとしたが、間に合わずドアが閉まったため、再び同じ女性を車内の洗面所で暴行した。
この日の公判では被告人質問も行われ、植園被告は「仕事がうまくいかず酒に逃げ、同じ犯行を繰り返してしまった。世間の人には迷惑をかけた」と述べた。
弁護側は「植園被告が、16歳のときのバイク事故で負った脳挫傷が原因で欲望を抑えられなくなり、犯行につながった可能性がある」と情状鑑定を請求し、採用された。
植園貴光を鑑定へ(2007年7月)
「自分の家族が同じことされたら、相手をぶち殺す」
JR北陸線の特急車内で女性に暴行したとして強姦罪に問われた解体工、植園貴光(36)=滋賀県湖南市=の公判が2007年7月20日、大津地裁で開かれ、長井秀典裁判長は脳の障害が犯行に影響したとする弁護側の請求を受け、10月末までに植園被告の情状鑑定を実施することを決めた。
この日の公判で植園は、検察側から「自分の家族が同じ被害に遭ったらどうするか」と質問され「自分に引け目はあるが、相手をぶち殺す」と答えた。
被害者の女性を「殺すぞ。ストーカーになるで」と脅したことについては「あまり記憶にない。冗談ぽく言ったつもり」と述べた。
弁護側は6月の前回公判で、植園被告は16歳の時に起こした交通事故で脳に障害があり、犯行はその影響があると主張していた。
起訴状などによると、植園は昨年8月3日夜、富山発大阪行きのサンダーバード車内で、乗客の女性の隣に座り「大声出すな」などと脅して胸や下半身を触った上、車内の男子トイレに連れ込んで乱暴した。
植園貴光に懲役25年を求刑(2007年11月)
JRの特急電車内などで女性を暴行したとして、強姦罪などに問われた滋賀県湖南市石部南、解体工植園貴光(36)の論告求刑公判が2007年11月30日、大津地裁(大崎良信裁判長)であった。
検察側は「多数の乗客がいる中で犯行に及ぶなど、社会を震撼させる過去に類を見ない凶悪な犯行」として、懲役25年を求刑した。判決は2008年1月17日。
論告に先立ち、弁護側が請求し、地裁が認めた情状鑑定の鑑定人に対する証人尋問が行われた。弁護側が「(16歳の時に起こした)交通事故の後遺症で衝動が抑えにくく、犯行に影響した」と主張した点について、鑑定人は「後遺症よりも、薬物や性格による影響が大きい」とした。
1審大津地裁・植園に懲役18年判決(2008年1月)
滋賀県湖南市石部南、解体工植園貴光(36)の判決公判が2008年1月17日、大津地裁であり、大崎良信裁判長は懲役18年(求刑・懲役25年)を言い渡した。
判決によると、植園被告は2006年8月3日夜、JR北陸線の特急車内で、20歳代女性に「大声を出すな。殺すぞ」などと脅し、車内のトイレに連れ込んで乱暴。同年12月21日夜には、JR湖西線の普通電車内と雄琴駅のトイレで女性2人を暴行した。
この事件を機にJR西日本は、車掌らの車内巡回を強化。非常通報ボタンを周知するため、大型のステッカーを在来線の全約5300車両に張ったり、駅構内に防犯カメラを増設したりする再発防止策を講じた。
2審・大阪高裁も懲役18年(2008年5月)
解体業、植園貴光(37)の控訴審判決公判が5月29日、大阪高裁で開かれた。
古川博裁判長は「欲望を満たすための犯行で酌量の余地はなく、性犯罪への常習性は極めて顕著」と述べ、懲役18年(求刑・懲役25年)とした1審・大津地裁判決を支持、被告側の控訴を棄却した。
判決理由で古川裁判長は「公共性が高い電車内のトイレでの犯行で、社会的衝撃を与えた。一般予防の見地からも厳しく処罰されるべき」と非難、被告側の量刑不当の主張を退けた。
関連項目
- 犯罪行為を見てみぬ振りする大衆の傍観的行為が決して現代社会や日本人に限るものではなく普遍的なものであるという事例