和歌山少年暴行事件
和歌山少年暴行事件(わかやましょうねんぼうこうじけん)は、和歌山県の児童養護施設で女性の非常勤職員が施設に保護されている少年に性的関係を強要した[1]事件である。2007年3月に事件は全国的に報道された。
事件の経緯
被害少年はある刑事事件の被告人の息子であり、この児童養護施設に連れてこられたのは事件で両親が逮捕された時の事であった。問題の女性非常勤職員は2002年1月に同施設に採用された。 性的関係の強要は、少年が中学3年生になった2003年2月、子供8人が就寝していた施設内の部屋で始まった。キス、フェラチオ、セックスという一連の性行為を続けて行っている。行為の後女性は少年に対しこの行為について口止めした。
女性は少年に手紙を書いており、その中で「すごく燃えた」「禁断の恋」としている。妊娠に関して恐怖を抱いた少年がそれについて質問した際には、女性は堕ろすと答え行為は続いた。少年は寝不足に陥ったこともあったという。少年には両親が事件の被告人であるという弱みがあったため、性的関係の強要に対し何ら効果的な反抗は出来なかった。少年へのインタビューによると女性がその弱みを突いて、脅迫まがいの事をする事もあったという。また、女性は少年の機嫌を取るため、CD、菓子、煙草などを与えていた。
やがて、少年の通う高校と児童養護施設の中間にマンションを借り少年の下校を待って、車でラブホテルに連れて行ったり、自宅マンションに連れ込みアダルトビデオを見せたりもした。
さらに、少年によれば女性は他にも4人の少年達と関係を持っていた。性的関係の強要は50回以上に及び、少年が高校3年になる直前の2005年3月頃まで続いたが、少年が姉に被害を訴えたことによって発覚した。
事件発覚後
女性は当初その事実を否定したが「手紙」という物的証拠が存在していたため認めざるを得なかった。その後女性は、双方が愛し合っていたのだと主張し、少年は強制的だったと主張した。この事件について弁護士の奥村徹は「性交又は性交類似行為があれば、児童淫行罪」とブログで述べている。
なお、男子に対する姦淫行為では強制わいせつ罪には問われるものの、強姦罪には問われない。法律の条文上、強姦罪は女子に対する姦淫行為が対象とされているからである。
事件の報告を受けた和歌山県は2005年4月と12月の計2回、児童福祉法に基づき施設を監査・指導した。施設では当時の園長と理事長が責任を取り2006年に辞職。問題となった女性は、和歌山県から2005年6月17日付で保育士資格を2年間停止された。
児童養護施設側は、一番の問題は施設にあると認めるが、県にも責任はあるとする。県子ども・障害者相談センターは職員を雇った施設側、指導する立場の県側双方の責任を指摘する。一方、県子ども未来課は施設側の責任のみだとする。和歌山県内でも責任問題についてははっきりしていない。
獄中の母親はこの事件に対し1000万円の賠償金を要求しているという[2]。
参考文献
- 週刊朝日 2007年3月30日増大号
- 週刊朝日 2007年4月13日増大号