共産党
この項目では、共産党一般について説明しています。日本の共産主義政党については「日本共産党」をご覧ください。 |
共産党(きょうさんとう、英語:Communist party)は、共産主義社会の実現を目標とする政党。
理念
カール・マルクス、フリードリヒ・エンゲルス、ウラジーミル・レーニンらの学説を理論的基礎とする。民主集中制という中央独裁色の強い組織形態であるが、その実質的内容は各国共産党間でちがいがある。共産主義国では、共産党の一党独裁体制を敷いているところが多いが、1970年代以降の西側諸国の共産党は、ソ連共産党と距離をおき、多党制の擁護・議会制民主主義の尊重を積極的に打ち出した。(ユーロコミュニズム)
沿革
「共産党」の名称はカール・マルクスの著書『共産党宣言』にまでさかのぼるが、マルクス没後第一次世界大戦前までは、各国のマルクス主義者は社会党、社会民主党、労働党といった党名を使用していた(あるいは他の社会主義勢力と共にそのような名称の政党に属していた)。なお、当時は「共産主義」と「社会民主主義」はしばしば同意語として扱われていた。
正式な政党名としての「共産党」は、第一次世界大戦とロシア革命の過程で、ロシア社会民主労働党左派のボルシェビキが改めて自らを「共産党」としたことに始まる。大戦後これにならって、各国の社会民主党他の左派が分離して「共産党」を結成するとともに、自らを「共産主義者」「マルクス・レーニン主義者」と規定して「社会民主主義者」と対置した。以後、国によって事情は異なるものの[1]、多くの国で社会民主主義政党(社会党・社会民主党・労働党[2])と共産党が左翼政党の2大勢力となった。
当初はコミンテルンのもとで各国共産党はその支部という形をとっていた。コミンテルン解散後は、基本的に各国の共産党がそれぞれ自立的行動を行っており、第二次世界大戦後は、各国共産党間で、激しい路線対立が起こることもあった。
1956年のスターリン批判と、それに続く中ソ対立に影響されて各国共産党から分裂して形成された政党は、しばしば自らの正当性を主張して分裂前の所属党名をそのまま用いたので、これらの政党を主流派の「共産党」と区別するために、「共産党」に続いてその立場や経緯に応じて「左派」「中国派」「毛沢東主義派」、または指導者や機関紙名等を付した呼称が用いられる。また、これらの政党のうち中国共産党またはアルバニア労働党に近い立場をとった共産主義政党は、「共産党(マルクス・レーニン主義 - 略称ML)」と自称する場合もあった。
各国の共産党
- 現在も存続している党
- 指導政党となっている党[3]
- その他の党
- 日本共産党 - 日本の共産主義政党。1922年に非合法で結成。1945年8月、アジア太平洋戦争で日本が敗戦した後の民主化政策で、合法化され現在に至る。
- ロシア連邦共産党 - ソ連共産党の後継政党。ロシア連邦の野党。
- 共産主義再建党 - イタリア共産党から分裂して設立された。
- イタリア共産主義者党 - 共産主義再建党から分裂して設立された。
- イギリス共産党
- フランス共産党 - フランスの共産主義政党。
- ドイツ共産党 - 略称「KPD」。旧西ドイツを中心に活動。一旦憲法違反として強制的に解散させられるが、略称「DKP」として再結党。ドイツ再統一後は、旧東ドイツの支配政党だった社会主義統一党の後身政党である民主的社会主義党(現在の左翼党の前身)に大半が合流した。
- スペイン共産党 - 社会労働党から分裂した勢力を中心に、1922年3月に結成された。フランコ体制時代は非合法だったが、フランコ死去後の民主化で合法化された。1986年以降は他の左翼諸政党と共に政党連合の「統一左翼」を結成。
- ポルトガル共産党
- アイルランド共産党
- 沿ドニエストル共産党( PCP - PCUS )
- ベラルーシ共産党(KPB)
- ウクライナ共産党
- モルドバ共産党 - モルドバの第1党。
- インド共産党マルクス主義派 - インドの共産主義政党。急進派・左派。
- インド共産党 - インドの共産主義政党。穏健派・右派。
- ネパール共産党統一毛沢東主義派 1995年から2006年まで武装闘争を続ける。2008年4月の制憲議会選挙で第1党となる。
- ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派 - 別名統一共産党。
- ネパール共産党マルクス・レーニン主義派 -ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派とは別の政党。
- ネパール共産党ユナイテッド派
- ネパール共産党 (統一派) - ネパール共産党ユナイテッド派、ネパール共産党統一マルクス・レーニン主義派とは別の政党。
- ブータン共産党マルクス・レーニン・毛沢東主義派
- イラク共産党 - フセイン政権に非合法化されたが、その崩壊により公然化。
- アメリカ共産党 - アメリカ合衆国の共産主義政党
- オーストラリア共産党
- 社会主義人民党 - デンマーク共産党から離党した自主派が結成した政党
- 赤緑連合 (デンマーク)
- フィリピン共産党 - フィリピン共和国の共産主義政党
- スコットランド共産党 - スコットランドの共産主義政党
- チリ共産党 - 1912年に結成されたチリ社会主義労働者党が、翌22年に党名を改称して結成された政党で、チリ社会党と共に「人民連合」を結成、1970年の大統領選挙で、社会党のアジェンデを当選させ、与党入りした。しかし、1973年のピノチェト将軍によるクーデターで非合法化された。その後、1989年に軍政から民政へ復帰したことで合法化されたものの、国会での議席は無い。
- ブラジル共産党
- アルゼンチン共産党
- 台湾共産党
- 存続しているが共産主義を捨てた党
- イタリア共産党 - 西欧最大の共産主義政党として名を馳せた。社民主義を採用して政党名を民主党 (イタリア)に改める。
- サンマリノ共産党 - イタリア共産党にならい、民主主義者党と改称し社会民主主義を標榜している。
- モンゴル人民革命党 - かつてのモンゴル人民共和国の支配政党。
- 現在は消滅した党
- ソビエト連邦共産党 - かつてのソビエト連邦の支配政党。
- ドイツ社会主義統一党- 旧東ドイツの支配政党。
- ポーランド統一労働者党 - かつてのポーランドの支配政党。
- チェコスロバキア共産党 - かつてのチェコスロバキアの支配政党。
- ハンガリー社会主義労働者党 - かつてのハンガリーの支配政党。
- ユーゴスラビア共産主義者同盟- かつてのユーゴスラビアの支配政党。
- ブルガリア共産党 - かつてのブルガリアの支配政党。
- ルーマニア共産党 - かつてのルーマニアの支配政党。
- アルバニア労働党 - かつてのアルバニアの支配政党。
- 台湾共産党 - 1928年、「日本共産党台湾民族支部」として設立。1931年活動停止。上記の台湾共産党とは無関係。
- タイ国共産党 - 1952年以降非合法化。1980年代に全党員に特赦。1990年以降活動が報告されていない。
- インドネシア共産党 - 1965年非合法化。
備考
- 日本では、「共産党」と記述すると日本共産党の略称として用いることが多い。
- 共産党が政治権力を独占している(・いた)国において、またはこのような国の政治状況について述べる場合には、単に「党」と言えば当該共産党を指す場合が多い。