水島宏明
水島 宏明(みずしま ひろあき、1957年10月21日 - )は、日本のジャーナリスト、批評家、大学教授、元テレビディレクターおよびプロデューサー。北海道札幌市出身。
上智大教授、宿泊トラブルに「逆ギレ」記事 大炎上で削除(2018年8月)[編集]
ホテルの予約トラブルに関する不満を訴えた、上智大学文学部教授でジャーナリストの水島宏明氏(60)のウェブ記事が物議を醸している。自らの落ち度もあってのトラブルにもかかわらず、相手のホテルや予約サイトを「2度と使うことはない」と名指しで批判したことに、ネット上で「逆ギレにしか見えない」などとする声が相次いでいる。
水島氏は2018年8月20日、
「泊まってないのに高額請求!? 旅行サイトの落とし穴 体験記」
と題した記事をYahoo! ニュースの「個人」カテゴリへ寄稿した。記事によれば、水島氏は上智大の担当ゼミナールの合宿で、学生12人を連れて東日本大震災の被災地を1週間にわたって取材した。その際、岩手県釜石市にある「ホテルルートイン釜石」に宿泊したという。水島氏は当初、旅行予約サイト「エクスペディア」を使って、同ホテルを学生も含めて計13人分予約していた。だが、その後に予定が変わり、自らの分を除いた学生の予約はキャンセルすることに。これが、思わぬトラブルの引き金となった。本人はキャンセル料が発生する以前の段階で、不要な予約を全て取り消したと思い込んでいた。しかし、宿泊後にホテル側から、計13人分のキャンセル料の支払いを求められてしまったというのだ。いったい、何があったのか。結論から言うと、水島氏は「エクスぺディア」上で同じホテルを「二重予約」していたのだ。記事ではその経緯を、次のように説明している。
「確かに私は自分のIDでログインしたサイトでは学生の分はキャンセルしていた。しかし、その前に『ゲスト』としてログインしていたのだという。確かに電車の中でスマホから予約したような記憶がおぼろげながらある。
(中略)
さらにその際にスマホで自分のメールアドレスを入力した際にアルファベットが間違っていたため、メールが届かず、そのまま失念してしまったらしい」
水島氏は記事で、二重予約をしてしまった自らの落ち度を認めつつも、「こんなことがあっていいのだろうか?」とホテル側の対応を疑問視する。実際、予約に利用したエクスペディアのカスタマーサービスに電話をし、「ホテルにも落ち度があるのではないのか。納得できない」などとも告げたという。
こうした交渉の結果、水島氏が支払うキャンセル料は宿泊代の50%になった。ちなみに、ホテルルートインの宿泊約款を見ると、当日キャンセルの違約金は通常であれば宿泊代の80%、いわゆる繁忙期の場合は100%だった。つまり、結果的に見れば水島氏は得をしたわけなのだが、それでも本人は予約サイトやホテル側の対応に強い不満を抱いたようだ。記事中では、両者の名前をわざわざ太字で記して、
「私自身は、この名前がつくものをもう今後2度と使うことはないだろう」と主張。また、「旅行サイトもホテルも、杓子定規で細かい客のニーズに対応できないところは淘汰されるべきだろう」とも書いていた。
さらに、今回の出来事を受けて、水島氏が読者向けにまとめた「教訓」のくだりでは、
「予約した後で、予約前日や前々日などのメール連絡を頻繁に送ってくるサイトを選ぶ(『じゃらん』などと違って、エクスペディアはそんなことはなかった)」「責任がホテルにあるのか旅行サイトにあるのか、曖昧な物言いをするホテル(今回のルートイン釜石のようなところ)や旅行サイトは絶対に避ける」との記述も。なんと、自らとトラブルになった相手の名前を記載し、利用を避けるよう読者へと促していたのだ。
なお水島氏は、記事中に予約サイトやホテルの実名を出した理由について、「(ホテル側は)日頃からダブルブッキングを防ぐようなやり方を工夫すべきではないのだろうか。だからこそ、今回はあえて旅行サイト名と、ホテル名について、実名で記事を書くことにした」
もちろん、水島氏はコラムの中で「突き詰められれば私に非がある話だ」「個人的なトホホの話でしかない」と自分の落ち度も認めている。とはいえ、自らのSNSではなく「Yahoo!ニュース」というメディアを使って、ホテルや予約サイト側の対応を名指しで批判した水島氏の姿勢には、違和感を抱くネットユーザーが続出。今回の記事を告知した当人のツイートには、
「いやこれ明らかに、管理しきれなかった自分のミスでしかないでしょ。エクスペディアとホテルは悪くない」「全然笑えない...ただのクレーマーだろ」「うーん、自分が間抜けなだけなのに、ホテル名出す神経がもう」といった批判的な反応が続出。さらには、水島氏が「二重予約」をしたのがホテルの繁忙期にあたるお盆期間だったことから、
「客のミスなのにお盆の掻き入れ時に半額しか入らず、名前晒されるホテルが可哀想」と同情的な声も目立っていた。こうした批判が相次いだことを受けてか、今回の水島氏のコラムは、22日19時までに削除されている。
水島氏に名指しで対応を批判されたホテルを運営するルートイングループの広報室は23日夜、次のようにコメントした。
「皆様の私共へのご配慮に心より御礼を申し上げます。この度の件については、見解の異なる点もございますが立場や心境が違えばやむを得ぬ面もあると理解しております。尚、お部屋代のご請求に関しましては、繁忙期であることに加え、13名様のご予約であったこと、そして実際に再販売の機会を損失したなどの状況から、繁忙期における当日の不泊・キャンセルの場合として100%のキャンセル料金の対象とさせていただきました。しかしながら、ご宿泊をいただいたことやご心情に配慮させていただき、熟慮のうえ、50%に減額といたしました。このたびの弊社の対応に、結果としてお客様にご納得いただけなかったことは誠に残念に存じます。私共といたしましては、さらなる論争に至ることも本望ではなく、誠に恐れ入りますが、これ以上のコメントは差し控え、仕舞といたしたく存じます。何卒、お汲み取り頂ければ幸いに存じます」
エクスペディア側にも本件に関する取材を依頼したが、回答は「お客様個人の情報に関わることですので、弊社からのコメントは控えさせて頂きます」だけだった。
今回の記事を書いた水島氏は、日テレ出身のジャーナリスト。同局のドキュメンタリー番組「NNNドキュメント」ではチーフディレクターを担当していた。日テレ退社後の16年4月、上智大文学部新聞学科の教授に就任。大学公式サイトによれば、専門分野は「テレビ、ウェブ等のジャーナリズム論、貧困とメディア」。また、12年にスタートした「ブラック企業大賞」では、企画委員も務めている。学生に「ジャーナリズム」を教える立場の人間が、今回のような記事を執筆・公開した意図はどこにあるのか。上智大を通じて水島氏本人へ取材を依頼したが、
「本件に関する取材には応じない」とのことだった。
略歴[編集]
北海道札幌北高等学校、東京大学法学部卒業後、1982年に札幌テレビ放送(STV)に入社。記者、NNNロンドン特派員、同ベルリン特派員などを歴任。ディレクター時代の1987年、札幌市白石区の母子家庭で母親が生活保護の申請をさせてもらえず餓死した事件を知り、生活保護制度の問題点をまとめたルポルタージュ『母さんが死んだ―しあわせ幻想の時代に』や、准看護婦制度の問題点を問うた『天使の矛盾』を手掛た。
2003年に日本テレビ放送網へ移籍し、同局のドキュメンタリー番組『NNNドキュメント』ではチーフディレクターを務める。2007年、定住する住居がなく、寝泊まりする場としてインターネットカフェを利用するホームレスの人々を取材、『ネットカフェ難民 漂流する貧困者たち』と題して放送した。2006年4月からは朝の情報番組『ズームイン!!SUPER』に解説委員(新聞・解説担当)として出演する。2008年には『芸術選奨文部科学大臣賞』の放送部門を受賞。
2012年に日本テレビを退社、同年から2016年まで法政大学社会学部メディア社会学科で教授を務める。2016年4月からは上智大学文学部新聞学科で教授(テレビ、ウェブ等のジャーナリズム論、貧困とメディア)を務めている。この他、日本のブラック企業の頂点を決める『ブラック企業大賞』では企画委員を務めている。
著書[編集]
単著[編集]
- 『母さんが死んだ―しあわせ幻想の時代に ルポルタージュ「繁栄」ニッポンの福祉を問う』(ひとなる書房、1990年。のち新装増補版2014年)ISBN 978-4894642041
- 『ネットカフェ難民と貧困ニッポン』(日本テレビ放送網、2007年)ISBN 978-4820300069
共著[編集]
- 『テレビはなぜおかしくなったのか 〈原発・慰安婦・生活保護・尖閣問題〉報道をめぐって』(金平茂紀、永田浩三、五十嵐仁と共著)(高文研、2013年)ISBN 978-4874985014
編著[編集]
- 『想像力欠如社会』(水島ゼミ取材班著)(弘文堂、2018年)ISBN 978-4335950391