千代田区立九段中等教育学校
テンプレート:日本の中等教育学校 千代田区立九段中等教育学校(ちよだくりつくだんちゅうとうきょういくがっこう)は、公立の男女共学の中等教育学校。
目次
概要[編集]
第一東京市立中学校が起源の東京都立九段高等学校を前身とする東京23区の区立初の中高一貫校。教育理念は「個性的自立 Be Yourself!」。
英語と数学の4段階に分かれた習熟度別授業や、早稲田アカデミーと提携した習熟度別土曜講座を実施し、生徒一人ひとりの習熟度に応じた授業編成できめ細かな指導を行っている。2009年度より完全週6日制となり、土曜日の休みはなくなる予定。
校歌は作曲が山田耕筰、作詞は与謝野鉄幹である。東京都立九段高等学校の校歌に手を加えた。
入学試験は、千代田区在住者のA区分80名と、区外のB区分80名がある。A区分で受験するには出願の3ヶ月以上前から千代田区に住民登録し居住している事が条件となっている。九段中等の開校により、それまで低かった千代田区立中学への入学率が上昇した。
沿革[編集]
前身の東京都立九段高等学校は、関東大震災による学校不足を背景に、1924年に第一東京市立中学校として東京市により創立された。初代校長の成田千里は、徳体三位一体の新教育を理想とし、大正デモクラシーの気風を引き継ぎ、他校とは一線を画した独自の自由、かつ「至大荘」に代表される質実剛健な校風を生んだ。制服は府立五中などと共に、当時としては画期的な背広であった。国立栄養研究所の指導のもとで、学校給食が出されていた時期もあった。進学面では旧制一高へ多数の進学者を輩出した。
戦後も東大への進学者数は2桁を常態としていたが、学校群制度の制定によって校風の異なる日比谷や三田と群を組むと、長い低迷期に突入し、都立高校の地盤が崩れると共に、進学実績や校風に於いても停滞した感は否めなかった。
長らくの低迷から脱却を図るため、校風や行事、伝統などを引き継ぐことを約束に2006年に千代田区立九段中学校と統合する形で中高一貫校化。現在の中等4~5年生が九段中学校からの編入、中等1年生~3年生が入学試験を経ての入学生である。
教育[編集]
カリキュラム[編集]
朝の「おはようスタディ」では、外国人留学生とのイングリッシュシャワーと朝読書が週替わりで実施されている。脳を活性化させ、授業を効率よく進める狙いがある。
- 通常授業の最大の特徴は徹底した能力別授業であり、前期課程の英語と数学では4段階の習熟度別授業が展開される。後期課程はほとんどが4クラス又は2クラス展開になる。
- 「放課後スタディ」を週3回実施。コンピューターを利用した独自のプログラムにより、基礎から発展まで学習することができる。現役大学生もサポートする。
- 外国人講師や留学生により「放課後英語サロン」が開かれている。
- 後期課程では、隔週で土曜日授業が実施されている。通常は1コマ50分で6時限授業ある。前期課程では、下記の「土曜予備校講座」が実施されている。
- 年15回、土曜日には早稲田アカデミーによる「土曜予備校講座」が行われ、習熟度に応じた1コマ90分で2時限の授業講座を受ける。(前期課程)
- 長期休業中には夏期講習・冬期講習・春期講習が実施されるほか、夏季には勉強合宿も実施する。
- 中等5年生の前期までに受験で必要な全てのカリキュラムを修了し、残りは受験対策に費やされることになっていたが、実際はそれ以上にカリキュラムが早く進んでいるため、約2年間が受験対策に使われる予定である。
九段自立プラン[編集]
千代田区には在外公館や大手企業、大学、官公庁が集中しており、その地域性を活かした「九段自立プラン」が実践されている。6年間の一貫したキャリア教育であり、コミュニケーション能力や情報活用能力を養うことを目的とする。学習内容は「都市文化」、「環境」、「福祉」、「伝統文化」、「国際理解」など多種多様で、中等6年次にはその集大成として卒業研究に挑む。
学校行事[編集]
- 九段キャリア10
- 通称「キャリア教育講演会」・「キャリア講演会」。年10回実施される。各界で活躍する著名人が呼ばれる。
- HR合宿
- 中等1年時に実施。2泊3日である。
- 勉強合宿
- 毎年中等生は一つの学年を除き全学年行う。第4学年は至大荘行事のため行われない。夏期休業に入り、一週間以内に実施される。前期課程は2泊3日、後期課程は4泊5日の自由参加となっている。
- 関西課題探求合宿
- 中等2年時に実施。班ごとにテーマを持って調査活動を行う。これも同様2泊3日となる。
- 英語合宿
- 中等3年時に実施。3泊4日の間、様々な経験を通して英語漬けの日々を過ごす。
- 至大荘行事
- 中等4年時に勝浦市で実施する4泊5日の遊泳教室。九段高校以来の伝統行事である。男子は濃いエンジの六尺褌、女子は濃紺のスクール水着の上に黄色の腰ひもを付けて行う[1][2][3]。
- オーストラリア留学
- 中等2年時に実施。希望者の中から選ばれた生徒がオーストラリアでホームステイを行う。選ばれる人数は20人前後。期間は1週間。
- オーストラリア研修旅行
- 中等5年時に全員実施。期間は5日となる。
- 雅楽教室
- 中等2・3年時に実施。宮内庁式部職楽部で管弦や舞楽を学ぶ。
- 文化祭
- 9月に実施される。同時に東京都立九段高等学校の「九段祭」も行われる。
- 体育大会
- 5月に実施される。縦割りホームルームでは上級生の指導による応援や歌の掛け声合わせが行われる。
- 学習発表会
- 3月に実施される。総合学習の発表や、各学年による学習を交えた劇、各部活による発表が行われる。
部活動[編集]
勉強と部活の両立をさせるため、1人1つは部活動に入ることとなっている。部活動の数は序々に増加している。また、以下の3つの条件を満たしていれば、部活動を新設できる。
- 活動場所が確保できること
- 顧問が就けること
- 部員が5人以上であること
現在活動を行っている部活は以下のとおり。
運動部 | 文化部 |
---|---|
剣道部 | eco研究会 |
サッカー部 | 演劇部 |
水泳部 | 家庭科部 |
卓球部 | 合唱部 |
ダンス部 | 茶道部 |
テニス部 | 書道部 |
バスケットボール部 | 新聞部 |
バドミントン部 | 吹奏楽部 |
バレーボール部 | 美術部 |
野球部 | 文芸部 |
ラグビー部 | マルチメディア研究部 |
陸上競技部 | 万事(よろず)部 |
ロック部 |
校舎設備[編集]
- 1F:事務室、図書室、来客用男女・多機能トイレ
- 2F:職員室、校長室、印刷室、保健室、女子更衣室、カウンセラールーム
- 3F:1年教室、小教室
- 4F:2年教室、小教室
- 5F:3年教室、視聴覚室、男子更衣室
- 屋上:ベンチ、ソーラーシステム
4年教室、校庭、体育館、音楽室、美術室は東京都立九段高等学校のものを借用している。2008年1月までは、千代田区立富士見小学校のものも借用していた。
環境への取り組み[編集]
他に、ソーラーパネル付近にビオトープが置かれており、eco研究会によってクロメダカの飼育・稲の栽培を行われている。
交通[編集]
- 鉄道
- 都営バス
主な出身者[編集]
その他[編集]
- 開かれた学校を目指しており、気軽に行けるよう職員室はガラス張りである(新校舎)。
- 経済ドキュメンタリー番組の『ガイアの夜明け』では、「スーパー公立校」として紹介された。
- 中等5年生からは、医学部進学を希望している生徒を選抜した「医療系特別クラス」を設置予定となっている。
- 前期3年間の終了時には、『卒業式』の変わりに『前期終了式』がある。
- あくまで中等教育学校なので、前期課程終了と共に他の学校へ受験・進学することは原則的には禁じられている。
外部リンク[編集]
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