鳴り物応援
鳴り物応援(なりものおうえん)とは、日本及び大韓民国、台湾の野球をはじめとして日本国内における主なアマチュアスポーツ競技場における集団的応援活動で見られる応援形態である。
概況
日本のプロ野球では、外野席で何本かトランペットを吹き、主に1個の太鼓や笛を叩いて応援するのが主である。その周りにファンが陣取りメガホンなどを叩いて応援するスタイルである。内野席では鳴り物の演奏が禁止されている球場もある。スターティングメンバー発表後の1-9、攻撃時、アウトコール、勝利後の二次会で行われる。
韓国、台湾では内野席で応援する(外野席で応援する球場も存在する)。コールでの応援が中心で、「ガンドラム」というスティック状のものが日本のメガホンなどにあたる。台湾でもトランペットを使った応援がある。 日本の球場では近隣住民への配慮から、一部の球場を除き22時以降の鳴り物応援は自粛する事になっている。
※アマチュアスポーツにおける鳴り物応援の発生過程および概況については応援団などの関連記事を参照の事。
歴史
楽器演奏を伴う応援の発生・誕生は日本国内ではアマチュアスポーツの競技場における応援導入がはしりになっており、それがプロスポーツの応援・観戦現場に次第に波及したもの。その意味では鳴り物応援、特に日本国内でのその発生過程を探る上では、アマチュアスポーツからの影響を無視出来ない経緯があるが、波及後は相互に影響を受けながらも概ねそれぞれ独自の発展をしてきた。ただし、単に鳴り物を利用して音を出す事で競技の応援に利用するという事に限定する場合は、プロスポーツ、アマチュアスポーツそれぞれの現場での発生過程が見受けられる[1]。
プロ野球における鳴り物応援は、1952年に岡田正泰が家庭のフライパンを叩いて応援したのが始まりではないかとされる。 但し、大きな流れとしては以下の状況に集約されているといってよい。1960年頃から大学野球(中でも東京六大学野球の応援形態の影響を強く受けた)高校野球における吹奏楽部の応援が広まっていたが、1975年に広島東洋カープが突如コンバットマーチを鳴らすという応援をはじめた。これがトランペットを利用した鳴り物応援の始まりである。1978年には山本浩二に別の応援歌が流されるようになる。これが選手別応援歌の始まりとされる。また後に衣笠祥雄にも応援歌が作られ、次々と広がっていった。他球団も追随し、「プロ野球応援歌学会」によると1989年には全12球団で使用が確認されたという(詳しくは広島東洋カープを参照のこと)。
当初は他の曲を流用(テレビ番組の主題歌や流行歌、さらにその選手の出身校のオリジナルヒッティングマーチなど)し、替え歌として歌われたものが多くあったが、しだいにほとんどの球団が私設応援団等が作曲・作詞した応援歌が作られるようになった。私設応援団の周りに陣取るファンには、歌詞表を見なくてもほとんどの選手別応援歌を普通に歌えるという人が多い。また、1つでも多くの歌詞を覚えようと、オープン戦では私設応援団が発行する選手別応援歌の歌詞表を見ながら歌うファンもいる。また、近年は応援団のサイトに応援歌の歌詞やメロディが掲載されている場合もあり、球場に通わなくても歌詞やメロディを覚えることが出来る。
逆に、球場にもよるが、内野スタンドは静かに野球を観る人が多数を占める為、こういった存在の人は煙たがられたりする場合がある。ただし、内野スタンドにも私設応援団のメンバーがいる阪神甲子園球場のケースでは、球場全体が外野のような雰囲気の為、逆に他球場の内野スタンドのように静かに野球を見ることすら困難である。日本の球場では、大変珍しい現象とも言える。埼玉県営大宮公園野球場ではスタンドが急傾斜になっているという構造上ライトスタンドでの応援ができないため、ビジター側は内野席の外野席よりの場所で応援することになる。
球団ごとの特徴
日本のプロ野球
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各球団の応援スタイルなども参照。
- 読売ジャイアンツ(応援スタイル)
- チャンステーマや得点時にタオルを回す。しかしこれは千葉ロッテの無断転用との指摘があるが、応援団側はアメリカンフットボールやメジャーリーグを参考にした物と発言している(アメリカンフットボール・メジャーリーグでのタオル回しは実際に行われている)。ただし時系列的には千葉ロッテマリーンズの方が先にタオル回しを始めている。勝利時の試合後の二次会では、『VIVA! GIANTS』に合わせてオレンジのタオルを回す(連勝が続いている場合はその回数分回す)。
- 東京ヤクルトスワローズ(応援スタイル)
- 得点時に東京音頭に合わせて傘を振る。その際、前奏・間奏(1番と2番の間)部分で相手球団とは無関係に一部のファンが「くたばれ読売」と歌詞を付ける(ヤクルトのラッキーセブンではヤクルトの対戦相手のファンの一部(当然巨人ファンは除く)も「くたばれ読売」歌詞をつけて一緒に歌うことがある。特に神宮球場での対阪神戦では阪神の応援団も積極的に参加して場内全員で大合唱する)。これは応援団主導でやっているのでは無く、一般のファンが独自に始めたものが広まった。しかし巨人ファンから「悪質だ」などの苦情が殺到したことから、最近は「東京ヤクルト」と連呼するようになった。詳細は 東京音頭#スポーツの応援歌 を参照阪神ファン#その他 も参照
- 横浜ベイスターズ(応援スタイル)
- オーソドックスなタイプだが、代打用のテーマが存在し、チャンステーマ時はメガホン等を使用せず手拍子で行う。チャンステーマはパチスロのBGMからの転用が多い。
- 中日ドラゴンズ(応援スタイル)
- 基本的にはオーソドックスであるが、9回相手チーム攻撃の2アウト時に「あと一人」「あと1球」コールが定番となっているが、ただ単に投げている投手の名前を連呼し、応援するというスタイルも存在する。東京ドームでの対読売ジャイアンツ戦で「かっとばせー○○」の後に「読売倒せーオー」とコールする。(かつては名古屋(ナゴヤ球場,ナゴヤドーム)でも行われていた)チャンス時には山本リンダの「狙いうち」を歌唱する。もともとは外国人選手のテーマであったが、チャンステーマとして定着。同曲の人気は高校野球などにも取り入れられた。
- 選手限定の応援スタイルとしては、井端弘和、小田幸平となっている。
- 阪神タイガース(応援スタイル)
- 桧山進次郎の応援、金本知憲の後半の応援部分には独特の振り付けが使用されている。
- オーソドックスなタイプだが、ファンの人数が多いことで拍子のメガホン音量が大きい。甲子園球場でのホームゲームでは内野席でも外野席と同様にメガホンが激しく叩かれるため、銀傘による反響もあって音量が特に目立つ。
- 広島東洋カープ(応援スタイル)
- 1993年頃からワンコーラス歌った後、ツーコーラス目以降は応援歌は歌わず選手名を連呼しながらのスクワット応援が行われる(因みに応援歌を歌うのがワンコーラスのみなので応援歌を覚えていない人もいる。また、汎用テーマなどはスクワットを行なわない)。
- 広島市民球場ではライト側レフト側にカープの応援団が存在し、トランペットを演奏するまでは別々に応援を行っていた。
- ファンファーレの有る選手は、廣瀬純・外国人助っ人
- 北海道日本ハムファイターズ(応援スタイル)
- 応援歌の1コーラス目はアカペラで歌うのが特徴(但し、田中賢介など応援歌に前奏がある選手の場合は1コーラス目からトランペット演奏あり。また、ビハインド時の最終回や延長戦の攻撃時に1コーラス目からトランペット演奏を行うことがある)。また、チャンス時には鳴子を使った応援を行う。昔はトランペットの他にトロンボーンも使用していた。
- 呼子笛を使った応援を最初に始めたのがこの球団の為、トランペットと一緒に鳴らす場合がある。
- 関東地域ではチャンス時に映画「チキ・チキ・バン・バン」、北海道で「ジンギスカン」が使用されている。
- また、稲葉篤紀のチャンス時の打席では、稲葉ジャンプと呼ばれるスタンドでジャンプをするという応援が行われている。このときテレビ中継を見ると画面が激しく揺れていることが多いが、これは揺れやすいようカメラを設置しているためで、実際はそれほど揺れるわけではない。
- 東北楽天ゴールデンイーグルス(応援スタイル)
- 本拠地・クリネックススタジアム宮城ではトランペット使用禁止のため、太鼓と声のみで応援を行う(ビジターならびに地方球場ではトランペットを使用)。
- 「かっ飛ばせー○○!」とは叫ばず、【(ドドドド)○○(選手名)!(ドドドド)○○!ォォォォオオオオ○・○・○!】という、「4・4・8拍子」と呼ばれる独特のリズムがある。
- ドドドドは手もしくはメガホンを叩く。ォォォォオオオオはせり上がるように手を下から上に持ち上げながら。
- 埼玉西武ライオンズ(応援スタイル)
- 得点時や勝利時に応援歌に合わせて旗(ビクトリーフラッグ)を振る。
- 「かっとばせー○○」の後に、「GO! GO! Let's Go ○○」と続ける(1994年から…1992年まではなし。1993年は選手名をもう2回連呼。1-9のときはなし。現在は廃止されている)。ただし、中村剛也の打席で、中村が本塁打を打った後は、「かっとばせー○○」の後、「GO!GO!Let's Go ○○」の代わりに「おかわりおかわりもう一杯」と続ける。
- 身体的に大きな動きを伴うものは少ないが、チャンステーマ2(旧清原応援曲)の場合は左右に大きく走り回る独特の応援スタイルや、フラッグを用いた応援などを持っている。
- 千葉ロッテマリーンズ(応援スタイル)
- サッカーなど他競技の応援と野球応援を融合させた独特の応援が特徴。ツインバット・メガホンは一切使わない。特定のリズムに合わせた手拍子や、歌詞のない応援歌、「かっとばせー○○」をあまり用いない応援パターンが多く見られる。韓国プロ野球の応援スタイルを取り入れた応援も見られる。一番の特徴は、ジャンプを取り入れた応援である。しかし危険な為か、大抵は右翼応援席のみでの使用となる。(稀に内野席でもジャンプする事ができる日がある。)
- オリックス・バファローズ(応援スタイル)
- チャンステーマを流す際にタオルダンスを行う。この応援は合併前の大阪近鉄バファローズで行われていた応援である。
- 「かっ飛ばせー○○」の前に「○○、○○」と選手名を2回コールする。この応援は合併前のオリックス・ブルーウェーブで行われていた応援である。ただし、タフィ・ローズは近鉄時代同様、「Go! Go! Let's Go ローズ、KO! KO!(相手チーム)」とコールする。またアレックス・カブレラ、駿太の応援歌は応援歌部分、コール部分のいずれにも選手名が一切登場しない特異なものとなっている。
- 得点時・出塁時のファンファーレは近鉄出身の選手は近鉄時代の、ブルーウェーブ出身の選手はブルーウェーブ時代の、その他の選手は合併後に作られたものがそれぞれ使用される。
- オリックス・ブルーウェーブ
- 基本的には、阪急ブレーブス時代の応援を元に応援していた。イチローがメジャー行きを決める2000年頃までは「かっ飛ばせー○○」コールが主流だったが、その後、「かっ飛ばせー○○」の前に「○○、○○」と選手名を2回コールする形に変更していた。特にブルーウェーブ晩年の応援歌に関してはファンから高評価の応援歌が少ないのが特徴で、選手の履歴、個人的希望、要望といった応援が多く、合併後同じ曲を使用している平野恵一選手の歌詞がブルーウェーブの頃よりも合併後の歌詞のほうがカッコ良くなっているなど晩年のブルーウェーブの応援レベルの低下は著く、他球団のファンから『下手なトランペット吹くな!』と野次られる事も多々あった。また「かっ飛ばせ」の後に「××倒せーオー」とコールしていた時期もあった。(1995年日本シリーズでは「ヤクルト倒せーオー!」とコールされていた)
- アウトコールは阪急時代にはオバケのQ太郎の曲が使われた。またブルーウェーブになってからは複数のコマーシャルソングを組み合わせたものになり、歌詞も作成された。
- 大阪近鉄バファローズ(応援スタイル)
- 本拠地が藤井寺球場の時代には、藤井寺球場では鳴り物が使えずアカペラでの応援を余儀なくされた。(日生球場やビジターゲーム、地方でのホーム開催時には鳴り物応援は行われていた) その頃は「かっとばせー○○」のあとに選手ごとに決められたコールを続く形をとっていた。(例:かっとばせー新井、我らの猛牛 新井)
- 本拠地が大阪ドームに移転した時に本拠地でも鳴り物が使えるようになり、その頃から「かっとばせー○○」の後に「××(相手球団名)倒せ!オー!」とコールするようになった。但し相手投手が松坂大輔(西武)の場合「松坂倒せーオー」となる。外国人選手に対する応援の時は「Go! Go! Let's Go ○○、KO! KO! ××」となる(同様に松坂の時は「KO! KO! 松坂」となる)。
- チャンステーマは5つまで作られ、シチュエーションにより使い分けがされた。チャンステーマ1(暴れん坊将軍の曲)には扇子を使った振り付け、チャンステーマ2にはタオルを使った踊りがあった。
- 藤井寺球場時代の得点時・出塁時のファンファーレは、「8時だよ!全員集合」のオープニングの曲を使用していたが、本拠地の大阪ドーム移転この曲はフォアボールで出塁した時のファンファーレに転用された。移転後の安打出塁のファンファーレはHelloweenの「Guardians」を使用した。
- 相手選手をアウトにした時のアウトコールには「笑点のテーマ」が使われた時期がある。この曲も本拠地の大阪ドーム移転でオリジナルに変更された。
- 福岡ソフトバンクホークス(応援スタイル)
- 応援歌を流す際に、メガホンダンスを行う(メガホンダンス振付DVDも販売されている)。選手ごとに違う。メガホンダンスが主流なため、応援歌を歌っていないファンもいる。
- 相手投手交代時には「線路は続くよどこまでも」の1コーラスが、試合・攻撃開始時、勝利での終了時および打者の出塁や、犠打・得点の際には同曲のサビの部分が演奏される。これはかつてのチームの親会社が鉄道会社(南海電気鉄道)であったことに由来しており、親会社変更後(ダイエー→ソフトバンク)も引き続き使用されている。
- アウトコールには歌詞があり、南海時代に作られた当時の大阪を歌っている。アウトコールは1~3アウトまでの3種類存在する。
- 中日ドラゴンズ同様、東京ドームでの対読売ジャイアンツ戦で「かっとばせー○○」の後に「読売倒せーオー」とコールする。この時のリズムは大阪近鉄バファローズ調。
台湾のプロ野球
台湾のプロ野球では、日本のプロ野球よりも多種多彩な道具を使って応援する。応援団はトランペットの他にもトロンボーン、太鼓、和太鼓を使い、応援団長はハンドマイクでコールする。 日本の球団では「かっとばせ~!(選手名!)」と叫ぶが、台湾では応援団長が安打啦安打(アンタラアンタ)と言った後にファンが選手名をコールする。この他にもコールの種類は多種多様である。 応援歌はオリジナルよりも台湾の民謡や最近のポップス、または日本の球団のものが多い。
メガホンダンス、ビッグフラッグ、風船回しなどの応援方法がある。また、2006~08年まで在籍したティルソ・ブリトーの打席では個々のメガホンを繋ぎ外野の方向へ向けていた。汎用テーマにロッテの西岡剛のテーマが使われるなど、日本の応援歌がよく使われている。
陳金鋒の打席には三部構成の応援歌が使われており、黄龍義には(龍義・イチバン・easy×2ホームラン)のコールをするなど独特の言い回しが多い。
3-3-2-3拍子など独特の応援が多い。彭政閔のコールは「安打!全塁打!彭政閔!」である。
トランペットよりも、応援団長の言い回しの方が強い応援になっている。
主な鳴り物応援の制限
- クリネックススタジアム宮城 - トランペット、各イニングのメインリーダー先導時の笛の使用が禁止。勝利チームの応援団による勝利後の2次会については、原則15分以内に全てを終わらせる。
- 福岡Yahoo!Japanドームでの勝利チームの応援団による2次会は、球場外のコンコースで行われていた。しかし、近隣の病院や通行人からの苦情は絶えず場合によっては警察が出動する場面も現実にある。因みに、2011年シーズンより勝利チーム応援団による球場外での2次会はセパ合わせて禁止となり球場内のみとなった。
- 明治神宮野球場 - ナイトゲームにおける太鼓禁止
- 太鼓を中心とした楽器類の使用制限には時間や状況に応じて複雑な対応状況にあるので、詳細については球場の記事を参照の事。
- 22時以降(札幌ドームは23時以降、大宮球場では21時30分以降) - トランペット、太鼓、笛等全ての鳴り物禁止。
- ナゴヤドーム、福岡ドーム、千葉マリンは時間による制限なし。
- 過去には藤井寺球場でも鳴り物の応援が禁止されていた。また、東京ドームでも2006年までパリーグの球団の主催試合では太鼓の使用が禁止されていた。
- 鳴り物応援の制限がある場合、制限がある場合用に特別に使用する応援を用いる球団もある。
- WBCのような日本代表として野球の試合を行なう場合は、鳴り物の応援は禁止されている。但し、鳴り物応援が許可されている国で行なわれる本大会出場の為の予選の試合では許可される場合がある(例:2009年WBC アジア予選(日本で開催、2006年では日本で開催されたが禁止された)、2008年北京オリンピック アジア予選(台湾で開催))。
鳴り物応援の賛否
中日スポーツの神谷不二のコラムや、週刊ベースボールのコラム「豊田泰光のオレが許さん!」などで、鳴り物応援が批判されている。批判派の意見には次のようなものがある。
- 打球音などを聞くことができないため、臨場感が味わえない。
- ただ騒がしいため、選手がプレーに集中できない。
- 球場の近隣の住民に迷惑である。
- ファンが静かに観戦しているMLBに倣うべし。
- 一般的に鳴り物応援が行われている外野席において静かに観戦したい人もいるはずなのに、応援を強要させられるケースがある。
- 応援していることだけに夢中になっており、きちんとプレーを見ていない。
- 野次やブーイングの方が悪質という意見があるが、プレーに対してのものであり、きちんと見ている証拠である。それに、野次こそ選手に緊張感を与え、球場の雰囲気を醸し出してくれる。
しかし、これらの批判には主にファン側から次のような反論が出ている。
- 打球音などは草野球でも聞けるが応援はそうはいかない。応援もファンのひとつの表現方法である。
- 騒がしいと感じるのは個人差の問題であり、鳴り物を好む選手もいる(中畑清など)。応援団から与えられる選手別応援歌を自分のステータスとして捉えている選手も多い。
- 球場の立地条件などによっては応援団にも配慮がある。また、マナーについては、各応援団で改善を行なっている(試合後の清掃など)。
- 鳴り物応援は、日本のプロ野球の一番の特徴であり、応援を目的に観戦に来ている人も少なくなく、アメリカのやり方と同じにする必要はない。外国人プレイヤーにも日本式応援を好意的に見る傾向もあり、「アメリカのファンは汚い野次ばっかりだ」と言われることもある。また、オークランド・アスレチックスでは外野席で鳴り物応援を行っている集団もいる。
その他、賛成派からは以下のような意見がある。
- 一時期球場で無法状態であった一部の暴徒化したファンや悪質な団とは異なり、現在では集団で応援するには球団に許可をもらっている団でないと入場できない。悪質な団は追放されている。
- どのような応援でもきちんとプレーを見なければきちんとした応援ができない。プレーを見ていないという批判は当たらない。
- 球団ごとに応援の仕方が異なることに触れていない。特に東北楽天ゴールデンイーグルス・千葉ロッテマリーンズの応援方法のように独自性の強いものもある。
- 批判の対象となるのはあくまでプロ野球の鳴り物応援であり、高校野球、大学野球、社会人野球などの鳴り物応援が批判の対象にならないのはおかしい。高校野球ではブラスバンドが大規模に行っており、こちらの方が騒音などでは酷いが、この問題については触れない(これらの意見に対して、アマチュア野球は応援団と選手が一体となって行っているものであり、プロ野球とは別の話だという反論がある。なお、豊田泰光は社会人野球等での鳴り物についても批判している。)。
なお、各応援団の取り組みとして鳴り物応援への批判に対する独自の改善を行なっているが、マスコミがあまり大きく取り上げないこと、(賛成派にしろ反対派にしろ)観客席で観戦するファンの側に立つ評論家が少ないことから、本質的な問題の解決には至っていない。
一方では、一時期(2000年前後)、主催者側が「球音を楽しむ日」と称して鳴り物禁止の日を設けたこともあるが定着には至らず、現在ではほとんど行われていないという現実も存在する。応援擁護派側にとっては、この現実をもってして、「野球ファンの多くはMLBのような静かで自由な観戦を望んでいる」というのが必ずしも的を射ているわけではないとする論拠の一つにもなっている。
- 2011年3月東日本大震災の影響により、震災発生後に行われたオープン戦、12球団によるチャリティーマッチでは鳴り物応援が自粛された。尚、応援団がリード(音頭)をとる事は容認されていたみたいだが、一部チームの応援団はリード(音頭)も自粛した。この際、試合前に応援団代表がスタンドの観客に説明し理解を得たが、試合が始まると一般ファンが自発的にコールや応援歌を歌うなどの現象が各地で発生し、もはや自粛の意味が無い状況になっていた。この現象から、日本のプロ野球では鳴り物応援が定着し、鳴り物応援自体を取り払ってメジャースタイルにする事が非常に難しいと思われる。
- また、この年の第83回選抜高等学校野球大会でも吹奏楽や太鼓、ポンポンなどの鳴り物楽器類は使用が禁じられた(但しチアガールの配置、メガホンやバルーンスティックを使った応援は認められた)
実例
台湾で2002年5月14日に行われた福岡ダイエーホークス対オリックス・ブルーウェーブの試合では、規定の騒音レベルを3度超えたため、招致した台湾大聯盟が台北市から罰金処分を受けたことがある。
脚注
- ↑ スポーツ観戦・応援において人間の肉声以外のものを利用して応援効果をあげる手法を考案した起源については、現状は確証的な研究や言及は特別なされてはいない(見受けられるいずれの説も 「~だろう」的なもの)が、概ね「何か特別なものの影響」というより自然発生的・突発的なもの。