サラダ油
サラダ油(サラダゆ、サラダあぶら)、サラダ・オイル (salad oil) は、精製植物油の一種で、指定された9種の原材料のうち、いずれかを用いた日本の食用油類の総称。 主流であるキャノーラ油を指してサラダ油と称される事が多い。
特徴
低温下でも長時間結晶化しないように精製されており、サラダドレッシングやマヨネーズのような製品の原料として適している日本独自の製品である。また、味や匂いにクセが無いことも特徴である。
サラダ油は日本農林規格(JAS)により定められている。従ってJAS規格のある原材料を用い、なおかつJAS認定工場で製造されたものでなければ「サラダ油」を名乗ることは出来ない。2007年6月現在、菜種、綿実、大豆、ごま、サフラワー(紅花)、ひまわり、とうもろこし、米(米糠)及び落花生にサラダ油の規格がある。また、二種類以上の植物油を混合して作られたサラダ油は調合サラダ油と呼ばれる。従って、オリーブ油や椿油のサラダ油は存在しない。ただし、これらの油を調合サラダ油の原材料として、規格の範囲で混合することは可能である。
油脂は多くの種類の脂肪酸を含み、その中で飽和脂肪酸がグリセリンの1、3位に付いたものは低温で固化しやすい。すなわち対称性が良い物は結晶化しやすい。サラダは比較的低温で供されるので、もしこのような分子を含む油脂であればザラツキ感を与える。従って精製した油を長期間冷蔵(ウィンタリング (wintering) という)し、固化した成分を分離し(この工程を脱蝋工程という)、出荷される。この現象は天ぷら油を一週間冷蔵庫に入れるだけでも簡単に観察できる。
JAS規格においては、定められた低温の条件下で一定時間放置しても凝固や白濁の無いことをサラダ油の条件としている(0℃の温度で5.5時間清澄であること)[1]。精製油の凝固はロウ分と上記の対称性の良い油脂が原因なので、サラダ油の製造にはこれらの除去が不可欠となる。
歴史
1924年(大正13年)に日清製油(現在の日清オイリオ)が「日清サラダ油」という商品名でサラダ油を販売したのが最初である[2]。当時欧米では、生野菜に酢と塩と油を和えて食べること(サラダ)が流行していて、透明度が高く冷やしても白濁しにくい油が求められた。日清製油は、このようなサラダ料理にも使える精製度の高い良質の食用油として「サラダ油」を販売した。
近年では主原料である大豆の価格高騰により、サラダ油の価格も高くなっている。
サラダ油の原料となる植物
全て種子を用いる。
- 菜種
- 酸化、熱に強い。キャノーラ油はカナダ原産のキャノーラ種から搾ったもの。
- 大豆
- 原材料が安価で最も一般的な原料の一つ。精製しても独特の匂いが残るため、他の油と混合することが多い。
- トウモロコシ
- 加熱、酸化に強いので炒め物に適する。独特の香りがある。
- ひまわりの種
- 淡泊な風味を持ち、多くの場合はドレッシングに使用される。
- ごま
- 通常ごま油と呼ばれる食用油はごまを焙煎してから搾油したものである。サラダ油の場合は原材料を焙煎せずに搾油した上で精製しているので、ごま油の香味は無い。精製していない非焙煎の油は「太白油」とも呼ばれる。
- サフラワー(紅花)
- リノール酸、オレイン酸の含有量が多い。
- 綿実
- サラダ油の王様といわれ、高価。非常にまろやかな味わいがある。
- こめ(米糠)
- ビタミン類が豊富で優れた抗酸化作用を持つ。サラッとしている。こめ油の項参照。
- ぶどう(グレープシード)
- 調合サラダ油
- 上記のサラダ油を混合したもの。