山形大学
山形大学は、山形県山形市小白川町1丁目4番12号に本部を置く日本の国立大学である。1949年に設置された。大学の略称は山大(やまだい)[1]。
目次
3日連続休むと学生に電話する大学…逮捕相次ぎ(2013年10月)
山形大は15日、授業を3日連続で休んだ学生に電話をかけて欠席理由などを確認する取り組みを始めると発表した。親に連絡する場合もあるという。同大生の逮捕事案が昨年度相次いだための措置だが、「過保護」という声も出ている。
生活習慣を整えてもらおうと、対象は1年生の約1700人。教室入り口の機器で学生証を読み取って欠席を確認する。欠席の理由が曖昧な場合には、悩みなどを聞いて、必要に応じてカウンセラーも紹介する。
昨年度、窃盗や器物損壊、公然わいせつなどの容疑で7人の同大生が逮捕された。大学では、「授業に出席する」というルールを守らせることが規範意識の向上につながると判断した。小山清人副学長は「昔の大学ならあり得ないが、時代が変わった」と話している。
概観
大学全体
山形大学は、1949年(昭和24年)に国立学校設置法により、山形高等学校、山形師範学校、山形青年師範学校、米沢工業専門学校、山形県立農林専門学校を設立母体として設置された。設立時に文理学部、教育学部、工学部、農学部の4学部が設置されたが、現在では人文学部、地域教育文化学部、理学部、医学部、工学部、農学部の6学部を有する総合大学となっている。学生数9,284名、教員数857名(非常勤除く)、職員数1,846名(非常勤除く)。
キャンパスを県内各地に有し、本部、人文社会学部、地域教育文化学部、理学部の位置する小白川キャンパス(山形市)、医学部、医学部附属病院の位置する飯田キャンパス(山形市)、附属小中学校、幼稚園の位置する松波キャンパス(山形市)、工学部の位置する米沢キャンパス(米沢市)、農学部の位置する鶴岡キャンパス(鶴岡市)に分かれる。
建学の精神 - 大学の理念・使命
「地域に根ざし、世界を目指す」をスローガンに、「自然と人間の共生」をテーマに掲げ、以上の理念のもとに、山形大学の使命として以下の三点を掲げている。
- 学生教育を中心とする大学創り
- 豊かな人間性と高い専門性の育成
- 「知」の創造
- 地域及び国際社会との連携
- 不断の自己改革
教育および研究
教養教育が重視されており、2010年度からは、少人数クラス編成での導入教育を行う新たな教養教育プランが始まる。学生支援では、学生と大学の関係を密接にすることを狙いとして大学が直接学生をスタッフとして雇用するインターンシップ制度が創設される見込みとなっている。ほかに、アドバイザーが新たな成績評価制度に基づいて個別の学生に指導・助言を行うYU-サポーティングシステム、ボランティアの学生サポーターと連携した就職支援事業なども進めている。研究面では世界レベルの若手研究者の育成を掲げるとともに、学部別では、医学部がグローバルCOEなどの競争資金の獲得を積極的に進めており、世界水準の高度先進医療の研究・教育拠点整備に取り組み実績を挙げているほか、工学部でも有機ELに関した世界的な研究拠点整備が予定されている。
沿革
大学設立 - 歴史と伝統を引き継いで
1949年に国立学校設置法により、新制山形大学が発足。山形高等学校、山形師範学校、山形青年師範学校、米沢工業専門学校、山形県立農林専門学校の長い歴史と伝統を受け継ぐかたちで、文理学部、教育学部、工学部、農学部が設置された。
山形高等学校は文理学部となった後に人文学部と理学部として小白川キャンパスになる。 山形師範学校は教育学部となった後に小白川キャンパスへ移動し、地域教育文化学部に改組される。 米沢工業専門学校は工学部として米沢キャンパスとなり、山形大学の中でもっとも大きな学部になる。 山形県立農林専門学校は農学部として鶴岡キャンパスとなり、本部から100km以上離れている。
当初は統合するつもりであったが、地元住民の反対などもあり立ち消えになった。 インターネットなど情報化社会の到来によって、遠隔地でも問題がなくなってきたこともあり最近では統合の話が出ていない。
入試過誤 - 山形大学アクションプランへ
2001年5月、工学部が1997年度以降5年間の入試において、計428人の本来合格であるべきであった受験生をセンター試験の傾斜配点集計ミスが原因で誤って不合格にしていたことが発覚した。このため大学はそれらの受験生に謝罪し、合格とした。工学部への年度途中入学を認めたのはもちろん、過去の受験生で他大学に入学してしまっていた場合には希望に応じて編入を認め、さらに浪人や他大学入学に伴う学費を負担するなど、数億円に及ぶ救済措置を行うとともに、当時の「遠山プラン」を背景として噂されていた「大学解体の危機」に対して「山形大学アクションプラン」を教員と職員が一体となって作成し乗り切った。
なお、この事件を発端に他大学でも類似のミスが続々と発覚し、個別の大学を単位とした入試制度のあり方自体を問う議論へと発展した。また、これを受け大手予備校(河合塾など)は、大学・短大からの入試問題作成委託を公言し、大きな反響を呼んだ。
教育学部存廃問題 - 地域教育文化学部への改組
2001年の「国立の教員養成系大学・学部の在り方に関する懇談会」で少子化を見据え教員養成系大学・学部の再編が養成されると、山形大学でも宮城教育大学、福島大学教育学部と再編統合の協議が行われ、山大は「教育学部の主たる教員養成を宮城教育大学にゆだねる」との提案を行った。しかし、この提案は「教育県山形」を謳う県民挙げての反対運動にあって頓挫。大学側は「教員養成機能を残した学部」への改組に踏み切り、2004年に教育学部は地域教育文化学部へと改組され、3学科の1つ地域教育学科だけが教員養成を中心に行うことになった。
しかし、これを契機として、県、市、大学が一体となった建設的な取り組みが始まり、数多くの副産物も生まれた。たとえば、教職大学院の設置に向けた検討が早くから県民の意思によって行われ、また、存続運動の中心的な役割を担った「山形大学教育学部を存続・支援する会」や「存続を求める関係団体連絡協議会議」などに寄せられた資金や県と市からの財政支援を基にして「やまがた教育振興財団」が設立された。財団は奨学金貸与事業などを進めている。
2007年学長選挙 - 文科省前事務次官が学長に
2007年9月、学長選挙学内意向投票では工学部の小山清人が378票で1位、医学部、地域教育文化学部が推した文部科学省前事務次官の結城章夫が355票で2位となった。しかし、意向投票の翌日に行われた学長選考会議の結果、14票中10票を集めた結城章夫が学長に就任した。学長就任に際しては、全国初の事務次官天下り学長と注目を集め、学長選挙の不明朗な経緯も含めて一部新聞に批判的な記事が掲載された。事務次官在任中に山形大学関係者と接触したことは、天下りを制限した国家公務員法に抵触する可能性も指摘された。また、山形大学学長選考規則は現職の国家公務員には学長候補者の資格がないと明記しているが、この点も瑕疵があったのではとの指摘もなされた。
しかし、9月に発足した新理事会には「天下り」反対派であった小山、中島勇喜(農学部)が参加し、全学的な体制が敷かれた。そして、学長就任後4ヶ月を経たころには、教職員からの評価ははやくも急上昇したと報じられている。その後も結城は、独自の「結城プラン」を掲げ、教職員とともに大学改革を進めている。
年表
- 1949年 国立学校設置法により、新制山形大学が発足(文理学部、教育学部、工学部、農学部を設置)
- 1954年 工業短期大学部併設
- 1964年 大学院工学研究科(修士課程)設置
- 1967年 人文学部、理学部、教養部設置(文理学部を改組)
- 1970年 大学院農学研究科(修士課程)設置
- 1973年 医学部設置
- 1975年 養護教諭特別別科設置
- 1979年 大学院理学研究科(修士課程)、大学院医学研究科(博士課程)設置
- 1983年 工学部にBコース増設
- 1985年 工業短期大学部廃止
- 1993年 大学院教育学研究科(修士課程)、大学院工学研究科(区分制博士課程)設置(工学研究科(修士課程)を改組)
- 1996年 教養部廃止
- 1997年 大学院社会文化システム研究科(修士課程)設置、大学院医学研究科を大学院医学系研究科に名称変更
- 1999年 大学院工学研究科を大学院理工学研究科に名称変更(理学研究科を廃止)
- 2004年 国立大学法人法により、国立大学法人山形大学へ移行
- 2005年 教育学部を地域教育文化学部に改組
- 2006年 人文学部総合政策科学科を法経政策学科に改組
- 2010年 工学部Bコース(夜間主)を廃止しシステム創成工学科(フレックス)へ改組、新しくバイオ化学工学科を設置
基礎データ
所在地
- 小白川キャンパス:山形市小白川町一丁目4-12
- 飯田キャンパス:山形市飯田西二丁目2-2
- 松波キャンパス:山形市松波二丁目7-2
- 米沢キャンパス:米沢市城南四丁目3-16
- 鶴岡キャンパス:鶴岡市若葉町1-23
象徴
現在の山形大学のロゴマークは、2001年に学生、卒業生、教職員などの大学関係者を対象に行われた公募で選定されたデザインが補作の上採用されたものである。山形大学の「山」の字をモチーフにデザインされ、色は緑豊かな山形をイメージした「常盤色(ときわいろ)」を採用している。ほかに、「みどり樹に」という学生歌があり、入学式など様々な式典で歌われている。
編入学
工学部・農学部・人文学部で編入学を受け入れている。
就職実績
本社所在地が東北・関東の企業が多い。関東の企業が多いのは上場企業の本社が東京にあるからであって、配属先ではない。 東北地方への就職では金融・製造業・公務員・サービスなど多岐にわたるが、人文学部においては公務員が全体の三割を占めている。
小規模大学であるが医学部・理学部・工学部・農学部など比較的就職が良好な分野の学部が多く、就職率は高い。(他の国公立同様に大学院進学率も高い) 地域教育文化学部は教員や栄養士などの就職、人文学部は金融や公務員が多い上に、比較的就職が厳しいといわれる文系学部であっても就職率が高い。
平成21年度の就職率ランキングでは、人文学部の中で一位であった。就職売り手市場であっても人文学系の学部で就職率が良いのはめずらしい。
教育および研究
組織
学部
- 人間文化学科
- 共生人間学コース
- 文化環境学コース
- 法経政策学科
- 法律コース
- 経済・経営コース
- 公共政策コース
- 地域教育学科
- 実践教育コース
- 社会臨床コース
- 文化創造学科
- 音楽芸術コース
- 造形芸術コース
- スポーツ文化コース
- 異文化交流コース
- 生活総合学科
- 食環境デザインコース
- 生活環境科学コース
- 生活情報システムコース
- 数理科学科
- 物理学科
- 物質生命化学科
- 生物学科
- 地球環境学科
- 医学科
- 看護学科
- 工学部は日中の授業を履修するAコースと主に夜間の授業を履修するBコースに分かれ、修業年数はともに4年である。
- 機能高分子工学科
- 物質化学工学科
- 機械システム工学科
- 電気電子工学科
- 情報科学科
- 応用生命システム工学科
- 生物生産学科
- 生物資源学科
- 生物環境学科
大学院
- 社会文化システム研究科
-
- 文化システム専攻
- 社会システム専攻
- 教育学研究科
-
- 学校教育専攻
- 教科教育専攻
- 理工学研究科
- 理学系
- 工学系
- 医学系研究科
- 農学研究科
-
- 生物生産学専攻
- 生物資源学専攻
- 生物環境学専攻
-
- 生物生産科学専攻
- 生物資源科学専攻
- 寒冷圏生命システム学専攻
- 生物環境科学専攻
別科
- 養護教諭特別別科
附属機関
- 附属機関
- 地域共同研究センター
- 大学院ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー
- 学術情報基盤センター
- 遺伝子実験施設
- 国際センター
- 高等教育研究企画センター
- 教職研究総合センター
- 外国語教育センター
- 放射性同位元素総合実験室
- 環境保全センター
- 保健管理センター
- インフォメーションセンター
- 理学部裏磐梯湖沼実験所
- 医学部附属動物実験施設
- 医学部附属実験実習機器センター
- 農学部附属やまがたフィールド科学センター
研究
世界レベルの若手研究者の育成を掲げるとともに(スタートアップ研究資金の支援、海外派遣プログラム、テニュア・トラック制による)、学部別では、医学部がグローバルCOEなどの競争資金の獲得を積極的に進めており世界水準の高度先進医療の研究・教育拠点整備に取り組み実績を挙げているほか、工学部でも有機ELに関した世界的な研究拠点整備が予定されている。
21世紀COEプログラム
21世紀COEプログラムとして、1件のプログラムが採択されている。
- 平成15年度(2003年度)採択
- 地域特性を生かした分子疫学研究(医学系、拠点リーダー・河田純男医学部教授)
グローバルCOEプログラム
グローバルCOEプログラムとして、1件のプログラムが採択されている。
- 平成20年度(2008年度)採択
- 分子疫学の国際教育研究ネットワークの構築(医学系、拠点リーダー・嘉山孝正医学部長)
教育
教養教育が重視されており、2010年度からは、少人数クラス編成での導入教育を行う新たな教養教育プランが始まる。学生支援では、学生と大学の関係を密接にすることを狙いとして大学が直接学生をスタッフとして雇用するインターンシップ制度(アドミニストレイティブ・アシスタント制度)が創設される見込みとなっている。ほかに、学生の修業支援として、アドバイザーが新たな成績評価制度に基づいて個別の学生に指導・助言を行うYU-サポーティングシステム、ボランティアの学生キャリアサポーターと連携した就職支援事業なども進めている。
- 現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)
- 平成16年度(2004年度)採択
- 生涯医学教育拠点形成プログラム -包括的地域医療支援機構創設-(地域活性化への貢献)
- 連携・共有する教養教育プログラムの開発 -県内高等教育の向上を目指して-(他大学との統合・連携による教育機能の強化)(山形県立保健医療大学、東北公益文科大学、山形県立米沢女子短期大学、羽陽学園短期大学、山形短期大学と共同で採択)
- 平成18年度(2006年度)採択
- 体験と実習を礎とする職業観形成法の確立(実践的総合キャリア教育の推進)
- エリアキャンパス未来遺産創造プロジェクト -大学の初年時教育と地域の人材育成を相乗的に活性化していく現地体験型授業-(地域活性化への貢献(広域型))
- 社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム
- 平成19年度(2007年度)採択
- 里山保全と中山間地域活性化を相乗的に具現化する里地里山活動プランナーの実践的養成(理工農系)
大学生活
部活動・クラブ活動・サークル活動
140を超す学生サークルが、季節感あふれる山形の自然を舞台に、日本海でのスキューバダイビングや天体観測、原生林の紅葉狩り、樹氷のなかでのスキー、スノーボードなど、多彩な課外活動を行っている(教育や研究の場面でも、同様に、さまざまな野外実習や蔵王でのスキー教室などが行われている)。
学園祭
毎年秋に小白川キャンパスでは「八峰祭」を開催。米沢キャンパスでは米沢女子短期大学と合同で「吾妻祭」を開催。
大学関係者と組織
大学関係者一覧
キャンパスと施設
小白川キャンパス
- 使用学部:人文学部、地域教育文化学部、理学部
- 使用研究科:社会文化システム研究科、教育学研究科、理工学研究科(理学系)
- 使用附属施設:附属図書館中央図書館、附属博物館、インフォメーションセンター、SCITAセンター
- 交通アクセス
山形大学の中心となるキャンパス。工学部Bコースを除く全学部の1年生と人文・地域教育文化・理学部の2~4年生が在籍。
飯田キャンパス
- 使用学部:医学部
- 使用研究科:医学系研究科
- 使用附属施設:医学部附属病院、附属特別支援学校、附属図書館医学部分館 など
- 交通アクセス
- JR山形駅東口3番バス停から大学病院行バスで大学病院前下車(所要時間約15分)
医学部医学科の2~6年生と看護学科の2~4年生が在籍。隣接地に医学部附属病院と附属特別支援学校がある。
松波キャンパス
- 使用学部:なし
- 使用研究科:なし
- 使用附属施設:附属小学校、附属中学校、附属幼稚園
- 交通アクセス
- JR山形駅東口4番バス停から山形県庁行バスで附属学校前下車(所要時間約10分)
附属小学校、附属中学校、附属幼稚園がある。
米沢キャンパス
- 使用学部:工学部
- 使用研究科:理工学研究科(工学系)
- 使用附属施設:大学院ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー、附属図書館工学部分館 など
- 交通アクセス
工学部Bコースの全学年と工学部Aコースの2~4年生が在籍。キャンパス内にある旧米沢高等工業学校本館は国の重要文化財に指定されている[2]。
鶴岡キャンパス
- 使用学部:農学部
- 使用研究科:農学研究科
- 使用附属施設:附属図書館農学部分館 など
- 交通アクセス
- JR鶴岡駅から徒歩約15分
農学部の2~4年生が在籍。
対外関係
他大学との協定
- 山形県内の10の高等教育機関と放送大学山形学習センター、山形県が組織している連合組織。各教育機関が単位互換協定を結んでおり、「ゆうキャンパス単位互換」という単位互換制度を実施している。
国際学術交流
国際・学術交流等協定校
部局間学術交流等協定校
- 人文学部
- 医学部
- 工学部
- 農学部