平垣巨幹

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平垣 巨幹とは、インターネットチャットで知り合った太田佐知子さん=当時25歳を殺害した、埼玉県桶川市の51歳(2012年時点)である。

不倫関係を清算…エリート男の計画殺人、4年半越しで解決[編集]

栃木県内の山林で平成20年6月にスーツケースに入った女性の遺体が見つかった事件で、元交際相手の男が殺人罪で起訴された。男は平成19年9月、不倫関係を清算するために女性を殺害・遺棄したと供述。遺体発見から身元判明まで3年余。一度は迷宮入りも懸念された事件の全容が、犯行から4年半近い歳月をかけて明らかになりつつある。

遠距離の不倫[編集]

殺人罪で宇都宮地裁に起訴されたのは、埼玉県桶川市、元会社員、平垣巨幹被告(51)。平垣は平成19年9月18日午後11時半ごろ、東京都江東区のホテルで備え付けのタオルを使い、大阪府守口市の無職、太田佐知子さん=当時(25)=の首を絞めるなどして窒息死させた。

持参したスーツケースに遺体を押し込め、粘着テープやひもを巻き付け、車で栃木県塩谷町の山林に運び、遺棄した。

平垣は、平成13年から平成21年まで宇都宮市内の住宅販売会社に勤務していた。太田さんとはインターネットのチャットを通じて知り合い、「大阪と栃木」「20代と40代」という地理的、年齢的な距離を超え交際を開始。東京都内や愛知県内で逢瀬を重ねていた。

しかし、平垣は結婚しており、3人の息子の父親でもある。「太田さん以外にも複数の女性と交際していた」(捜査関係者)とされ、真剣交際を望んでいた太田さんとの心の距離が縮まることはなかった。

計画的な行動[編集]

「会社にも電話をかけられて、関係を続けるのが嫌になり清算したかった」

平垣は、不倫関係を清算するために太田さんの殺害を決意したと供述している。

平垣は遺体を入れたスーツケースのほか、粘着テープやひもなどをあらかじめ用意。機械を通じてチェックインするタイプのホテルを選び、東京に呼び出した太田さんと合流する前に、ホテルの部屋にスーツケースを運び込むなど、周到な犯行計画を練った。

遺棄現場についても「仕事の関係で土地勘があり、事前に遺棄する場所として目星をつけていた」(捜査幹部)。もくろみ通り、スーツケースは遺棄後9カ月近く、発見されないまま山林に放置された。

難航した身元特定[編集]

固く閉ざされたスーツケースの封が開けられたのは平成20年6月1日だった。中からは、ひざを抱えるように折りたたまれた遺体が見つかった。

県警は死体遺棄事件として捜査本部を設置。しかし、所持品はなく、白骨化した遺体からは死因も特定できなかった。頭蓋骨をもとに生前の顔を再現した“復顔”を作成し、関東地方を中心に情報提供を呼びかけたが、有力情報はなく捜査は難航した。

「不法入国の外国人ではないか…」との憶測も浮上する中、平成23年6月に死体遺棄罪の公訴時効が成立。県警は殺人事件も視野に捜査を継続したものの、事件は「コールドケース(長期未解決事件)」になるかと思われた。

事件が再び動いたのは平成23年10月。太田さんの家族から家出人捜索願を受理していた大阪府警の捜査員が、太田さんと復顔が似ていることに気付いたのだ。DNA型や歯形を照会し、太田さんと確定した。

そして、栃木県警と大阪府警が太田さんの遺族から提供を受けたパソコンを解析したところ、平垣が浮上。容疑を認めたため、平成24年1月24日、殺人容疑で逮捕した。

エリート人生の裏[編集]

大阪大学を卒業し、犯行当時は大手不動産販売会社で役職を得ていた平垣被告。販売会社の幹部は「真面目な人だった」と振り返る。しかし、不倫の末の身勝手な犯行からは、エリート会社員とは異なる一面が見え隠れする。

逮捕後は一貫して反省の態度を示し、調べにも素直に応じている。ただ、「時間がたっていて、裏付けが取れないことも多い」(捜査幹部)ため、2人の間に何があったのか詳細は定かではない。

裁判員裁判対象となるこの事件。裁判員は、被告の言い分をどう判断するのだろうか。

関連項目[編集]