ベルセルク(漫画)

提供: Yourpedia
2009年4月12日 (日) 13:13時点における124.255.119.113 (トーク)による版 (新規作成)

(差分) ←前の版 | 最新版 (差分) | 次の版→ (差分)
移動: 案内検索
ベルセルク
[[Image:|0250px|]]
ジャンル ダーク・ファンタジー
漫画:
作者 三浦建太郎
作画
出版社 白泉社
その他の出版社
掲載誌 ヤングアニマル
レーベル ジェッツ・コミックス
発売日
発表期間 1989年 - 連載中
巻数 既刊33冊(2008年10月現在)
話数
その他
テンプレート使用方法 ノート
Logo serie manga.png
ポータル
日本の漫画作品
日本の漫画家
漫画原作者
漫画雑誌
カテゴリ
漫画作品
漫画 - 漫画家
プロジェクト
漫画作品 - 漫画家

『ベルセルク』(Berserk) は三浦建太郎作のダーク・ファンタジー漫画作品である。

1989年からヤングアニマル白泉社)にて不定期連載中。単行本は白泉社からジェッツ・コミックスのレーベルで刊行されている。

「ベルセルク」の題名は、北欧神話の「狂戦士」伝説に由来する。

作品概要

『ベルセルク』の原型となったのは三浦建太郎が本作の連載に先立つ1988年、白泉社の雑誌「月刊コミコミ」11月号に投稿した48ページの短編『ベルセルク』である。ストーリーはガッツの原型となる剣士が、邪神「ヴアナ」とその眷族を宿敵と定めて人外の化物と一戦を交すという筋であり、主人公の背負う過去や烙印の紋章の意匠など一部に相違はあるが基本設定や「暗い過去を背負い、大剣を持った隻眼の戦士」というキャラクターなどは共通している。このことから同名の短編は本作のプロトタイプと言える。

短編『ベルセルク』は第7回コミコミまんがスクール準入選作となり、翌1989年になって世界設定をほぼ共有した連載作品『ベルセルク』の第一作が「ヤングアニマル」の前身である「月刊アニマルハウス」1989年10月号に掲載された。ここから、武論尊の原作を得て『王狼』『王狼伝』『ジャパン』の各作を断続的に連載しつつ並行して『ベルセルク』の不定期連載が始まる。1992年以降は『ベルセルク』のみ専念するようになった。

『ベルセルク』は1990年代末になって次第に読者を増やしていき、現代漫画屈指の名作に数えられるようになる。2002年、『ベルセルク』は第6回手塚治虫文化賞マンガ優秀賞受賞。単行本は2008年時点で累計発行部数2300万部に達する大ヒット作となった。

更に『ベルセルク』は漫画のみならず、アニメ版「剣風伝奇ベルセルク」や、ゲーム版、トレーディングカードゲーム版など他媒体でも展開を見せている。海外にも英語イタリア語など複数の言語に翻訳輸出されている(2008年時点で海外版は累計発行部数400万部を記録)。ただ、出版事情の違いから描写は一部削除・修正されている。

連載が隔週誌(連載当初は月刊誌)という事もあり、ストーリー漫画では例が少ない長期間連載となっているが世界観は拡大の一途を辿り、一向に終結する気配を見せない事に加え、作者が諸般の事情で休載期間を多く取る様になっており完結を不安視する意見もある。事実、作者が中年期にあり、巻末コメントでも体調に関する不安を度々述べており、自身でも「死ぬまでに頭の中全て出せるのか」と語っていたことがある。

世界設定

『ベルセルク』の世界観は基本的には中世ヨーロッパを下敷きにしたオーソドックスなファンタジー世界「剣と魔法の物語」である。そこに住まう種族は人間が中心で世界各地に都市国家を築き勢力争いをしている。人間以外にも小妖精のエルフ、地妖精ドワーフなどもいるが人間世界から姿を消し始めている。一方、超常の力を持つ「使徒」と呼ばれる人外の化物が暴威を振るっており、その上位には神に近い守護天使「ゴッドハンド」と呼ばれる超越的存在がいる。ゴッドハンドたちは特定の場合以外現世に直接姿を現すことが出来ず、異次元の世界に身を置いている。

主な舞台となるのは覇王ガイゼリックによって建国された1000年の歴史を持つミッドランド王国で、物語の大部分はほぼ同国内を舞台とする。「ミッドランド(中つ国)」の名が示すように内陸国であるらしく、海の場面は前半は皆無。東にチューダー帝国と接し、百年戦争を繰り広げている。更に東の山脈を越えた向こうには、クシャーン帝国の広大な領土が広がっている。クシャーン帝国はインドの風俗と共通した文化を持つことから国名はクシャーナ朝、風俗はムガル帝国がモデルとして想定されている。ただし作中における『旧クシャーン領の都市ヴリタニス』にコルドバメスキータをモチーフとした建物が出てくるため、法王圏との関係はむしろ史実における西ヨーロッパと地中海沿岸のイスラーム諸国とのそれに近い。

技術的には大砲は既に開発されているが携帯用銃器類はまだ一部のみという段階で、戦闘は弓矢などが現主要武器。戦死者は実際には儀礼的な性格が強かったとされる中世ヨーロッパの戦争の実態に比べると遙かに多く、寧ろ第一次世界大戦的である。

魔法に関しては「断罪篇」まで皆無と言って良いほど出てこなかったが「千年帝国の鷹篇」以降、魔女と呼ばれる者が登場し、様々な魔法を駆使する。ただ、他のファンタジー作品に見られるような炎や雷撃を飛ばすなどといった形ではなく、幽界に干渉して精霊などを使役し間接的に現世に影響を与えるという呪術的なものが中心である。

ベルセルクのルーツ

『ベルセルク』には様々な先行作品の影響が指摘されている。もっともよく指摘されるのは悪魔と神の闘争を描いた永井豪の代表作『デビルマン』であり、両作品はしばしば並べて語られる。絵柄の面では重厚に線を重ねるスタイルが『北斗の拳』などに見られる原哲夫の筆致と共通している。尚、『北斗の拳』原作者の武論尊は、かつて『王狼伝』などで三浦建太郎ともコンビを組んでおり、彼自身「三浦の絵は原と同じくマッチョ系」という共通性を認める内容のコメントを出している。

作中に登場する使徒や使徒もどき、ゴッドハンドら異形のクリーチャー造形は『エイリアン』などH・R・ギーガーの影響が強い。ゴッドハンドについては映画『ヘルレイザー』の登場人物がモチーフとも言われており、他にマティアス・グリューネヴァルトヒエロニムス・ボスエッシャーの幻想的な絵画の影響も見られると言われている。片腕が鋼鉄の義手になっている騎士は鉄腕ゲッツという異名で知られるゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンという実在の人物がおり、ガッツのものによく似た義手も現存している。また、その人物をモデルにゲーテの書いた戯曲鉄の手のゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンがある。

作者は栗本薫の大長編ファンタジー作品『グイン・サーガ』の熱心なファンであることを公言している。また、音楽アーティスト平沢進の熱狂的なファンでもあり、平沢はアニメ、ゲームともにベルセルク関連の楽曲を担当している。

ストーリー

身の丈を超える長大な剣を自在に操り、「使徒」と呼ばれる人外の化け物を屠る「黒い剣士」ガッツを主人公とする大河ファンタジー。ガッツはある宿命に憑りつかれて狂戦士のごとく大剣を振るい、闇に蠢く化物と死闘を繰り広げる。その目的は無為に殺された仲間たちの復讐と大切なものを護るということ。二つの重荷を背負い、5人の守護天使ゴッドハンドを探し求めるガッツはその下に従う人外の存在「使徒」との闘いの中で、運命に翻弄されつつも必死にあがく。


注意以降に核心部分が記述されています。

黒い剣士(1 - 3巻)

使徒狩りに奔走する「黒い剣士」ガッツは、5人の超越的存在ゴッドハンドを追い求めていた。ガッツはある町を荒らす盗賊から妖精パックを助けた。これを一つの契機として、ガッツはコカ城に君臨する蛇のような使徒の盗賊団首領や異教徒狩りを繰り広げる「伯爵」といった使徒と死闘を繰り広げる。この章でガッツとゴッドハンドの因縁が語られる。

使徒、烙印、ベヘリット、ゴッド・ハンドなど、ガッツの復讐の旅の一場面からガッツを取り巻く魔の存在やベルセルクの世界観が描かれる、ベルセルクの序章。

黄金時代(3 - 14巻)

序章から時を遡り、ガッツの幼年期から復讐の旅に出るまでを描いた長篇。

幼年期
ガッツは母の骸のもとでほとんど死にかけの状態の嬰児であったところを傭兵団に拾われ、虐待を受けつつも戦士として成長していく。ある事件をきっかけに傭兵団を出奔して一匹狼の傭兵となったガッツは、当時の戦いの世の中で伝説になりつつあった強力な傭兵団「鷹の団」の団長グリフィスと出会う。
百年戦争
ガッツが鷹の団に入団してから3年、鷹の団は百年戦争の渦中にあるミッドランド王国正規軍となり、屈強のチューダー帝国を相手に次々と戦功を挙げて行く。そんな中、ガッツは何の夢も目的も無く剣を振るう自身をもどかしく感じるようになる。
不死のゾッドの預言、プロムローズ館での出来事、「夢のかがり火」など、後の展開に係わる重要なシーンが数多く存在する。
ガッツを失った事で自暴自棄になったグリフィスは半ば強引に思いを寄せてくれている王女と一夜を共にする。その事で王の怒りを買って再生の塔へ幽閉されてしまい、そして鷹の団も逆賊として追われる事となる。1年後、鷹の団によってグリフィスは救出されるがその姿は拷問により変わり果て、再起不能になっていた。グリフィスは自身の夢が潰えた事を実感し、絶望する。
自身の夢を見つけグリフィスと対等になる為に鷹の団を抜けたガッツは、その晩に髑髏の騎士と対峙。そして彼から「蝕」の預言を宣告される。1年後、鷹の団に合流してグリフィスを救出したガッツは、ミッドランド王国からの追っ手との戦いのさ中に、その預言が本当であったことを実感する。

断罪篇(14 - 21巻)

ガッツは「蝕」を辛うじて生き延びた恋人・キャスカをリッケルトらに任せ、鷹の団を裏切ったグリフィスと因縁の対決を果たすために、使徒狩りの旅に出る。ここで1 - 3巻以降に時系列が移り伯爵を倒した後のガッツと使徒や使徒もどきとの戦闘が描かれる。時系列的には黄金時代→黒い剣士→断罪篇の順に話が繋がっている。

断罪篇は以下の3章、ロスト・チルドレンの章、縛鎖の章、生誕祭の章からなる。

ロスト・チルドレンの章
「蝕」の悪夢から2年後、伯爵を斬ったガッツは「霧の谷」近くで盗賊に捕えられていた少女ジルを助ける。ジルの住む村は「妖精」の大群に襲われ、家畜や人々が大勢喰われて困窮していた。ガッツとパックはその風貌から村を襲う真犯人と疑われてしまう。実はこの事件の陰には、かつて妖精にあこがれていた、ジルの幼な友達であるロシーヌが絡んでいるらしいのだが・・・ この章では”仲間外れのピーカフ” と言う、この村に伝わるフォークロア(民間伝承)が劇中で起こる事件と交錯して語られる。
縛鎖の章
霧の谷の一件が片付いたと思ったのも束の間、満身創痍のガッツのもとにファルネーゼ率いる法王庁所属の聖鉄鎖騎士団が介入してきた。彼らは子供の死体を見て異様の念を抱き、そしてその場に居合わせた最も怪しい人物であるガッツを「信仰にかかわる異端の存在」とみなし、捕縛しようとする。
生誕祭の章
飢饉、疫病にあえぐ世界中の人々が、同じ夢の中に予兆を見た。世界を覆いつくす真の闇の中に一筋、光り輝く鷹が闇を切り開き、希望を見せる。そして、「盲目の羊の集う聖地」に求めし者が来ると予言が残された。
ガッツは夢の中でキャスカが魔女狩りに遭い火あぶりにされるビジョンを見て危難を予感して「断罪の塔」アルビオン教会を目指し旅に出る。だが「血の経典」の異名を持つ悪名高い法王庁の異端審問官「モズグス」とその弟子達も同じ断罪の塔に滞在していた。

千年帝国の鷹(ミレニアム・ファルコン)篇(22 - 巻)

受肉したグリフィスが新生鷹の団を率いてクシャーンに蹂躙されたミッドランドの大地を駈ける。一方、ガッツはキャスカやファルネーゼらを引き連れつつ、グリフィス配下の強大な力を誇る使徒やクシャーン帝国の妖獣兵と死闘を繰り広げる。

聖魔戦記の章
受肉したグリフィスは不死のゾッドを引き連れ、リッケルトとガッツのもとを訪れた。両者は言葉と剣を交わしたのち去る。
グリフィスはクシャーン帝国に蹂躙されるミッドランド王国を救済するために、従属する使徒たちを率いて「鷹の団」を再編成する。破竹の勢いでクシャーンの軍勢を破り、グリフィスは救世主として崇められるようになった。
一方ガッツはキャスカの安全確保の為、パックの勧めで彼の故郷「妖精郷」を目指し旅を続ける。しかし、二人の贄が伴うことにより連夜の魑魅魍魎の襲撃も苛烈を極め、ガッツは精神的に疲弊していきついにキャスカを手に掛けてしまう。そのとき、ガッツを追ってやってきたイシドロやファルネーゼとセルピコが合流。更にトロール襲撃事件を機に魔女シールケも一行に加わり、ガッツは孤立無援の戦いに終止符を打ち再び新たな仲間を得ることになった。
ミッドランド王国の王都ウィンダムはクシャーン帝国の手に落ちて、霧が立ち込め奇怪な獣人の支配する魔都と化した。「恐帝」の異名をとるガニシュカ大帝は、魔の技術を用いたおぞましい人体改造の試みを繰り広げる。
鷹都の章
「ファルコニア」の章。「妖精郷」があるスケリグ島を目指すガッツ一行は、法王庁圏屈指の貿易都市ヴリタニスの城門を潜る。一行は船を求めるが、そう易々と手に入らない。そこでファルネーゼは船を手配するべく父のフェディリコの元へ向かう。
法王庁教圏連合軍の出陣前夜、ヴリタニスを陥落するべくガニシュカ率いる妖獣兵が襲い来る。また、ガニシュカを屠るべくゾッド率いる使徒も襲来、ガッツ一行、鷹の団、クシャーン帝国の三大勢力が激突する。

登場人物

詳細はベルセルクの登場人物を参照

ベルセルク用語集

世界

現世(うつよ)
肉体を持った生物が生活する物質世界。「この世」。本作の世界においては、幽界干渉が無い限り物理法則に逆らった事象が起こる事は無い。又、動植物も現実の世界に存在するもののみが生息、妖精や化物の類は全て幽界の存在である。
幽界(かくりょ)
現世と表裏一体となって存在する。死んだ人間の魂や想像上の動物などが住まう精神世界。「あの世」。幾層もの深みを持ち、同質幽体が寄り集まって出来た幾つもの領域が存在する。基本的に肉体を持って踏み込む事は不可能で魔術師は自らの幽体を肉体と遊離させる所謂「幽体離脱」の術を用いて幽界に入り込み、探索や術の行使を行う。
地獄
幽界の深層に渦巻く思念の渦。魔の存在や魔に係わった者が死んだ場合、魂はこの渦に囚われ永遠にこの渦の中を彷徨い続け個我を失い渦の一部となる。
闇の領域(クリフォト)
幽界の領域の1つ。夢魔や獣鬼などの暗鬱とした性質を持つ霊体が寄り集まって出来た領域。ゴッドハンド「スラン」が支配する領域。
狭間
現世と幽界が重なり合っている領域。幽界であり現世でもある為生きた人間も肉体を持ったまま踏み込む事ができる。狭間では精神の力が物質に作用し易い。通常、現世と重なり合うのは幽界の中でも最も浅い層に限られる。
生贄の烙印を刻まれた者は常にこの狭間に立たされる事となり、夜になると幽界の浅い層を彷徨う死霊が群れ集ってくる。
妖精郷(エルフヘルム)
伝説の大妖精「花吹雪く王」が治めるエルフの楽園。パックの故郷。シールケによると多数の魔術師も住んでいるらしい。スケリグ島と呼ばれる西海の孤島にあるが、この島自体が狭間であり普通の手段ではたどり着けない。パック曰く「花は咲きまくり鳥は歌いまくりエルフは踊りまくる」という

器物

ドラゴンころし
ガッツが所持する大剣で、製作者はゴドー。領主から「ドラゴンを撃ち殺せるような剣」の注文を受け、制作された大剣。結果、常人には持ち上げる事すら不可能な代物であった為、ゴドーは危うく注文主である領主から絞首に処されかける。そのため長らく倉庫に死蔵されていたが、ガッツが偶然に倉庫から発見、難無く振り回し、以来、最も多くの敵を屠ってきた主要武器となる。剣としての性能もさることながら、その大きさを活かししばしば盾としても使用される。そんな強靭な代物ではあるが、酷使され続けた為に一度ゴドーによって鍛え直された。又、悪霊を斬り続けた事により、霊体に対してもダメージを与える事ができる「妖刀」としての力を帯びつつある。ゾッドには「斬魔刀」と称された。
本作中において、巨大な武器を操る巨漢は多数出てくるが、その中でも一際巨大な武器。作中では「それは剣というにはあまりにも大きすぎた。大きく、ぶ厚く、重く、そして大雑把すぎた。それはまさに鉄塊だった。」と語られており、ガッツの、ひいてはこの作品の代名詞的存在といえる。ギャグシーンでは「鉄板焼きにも使える」「お好み焼き屋」と表現されたこともある。
大砲付き義手
ガッツが左腕に装着している義手。戦友でありゴドーの弟子であるリッケルトが、ゴドーの武器庫に置いてあった有り合わせのパーツを組み上げて製作した武器。小型大砲が内蔵され根元の紐を引く事で発射できる。又、鋼鉄製であるため盾の役割も果たし、人間相手なら撲殺可能。ドラゴンころしと並び、ガッツの主要武器となっている。尚、義手としての性能は肘部分にあるバネで関節機能を果たしている他、掌部分に磁石が仕込まれており、物を握る事も出来る。
ベヘリット
人間の眼や鼻や口が乱雑に配置された卵型の物体。「異界への喚び水」とも呼ばれる。ただの物体ではなく生きており、時々瞼や口を開いたり、ギャグシーンでは冷汗を掻いたり涙を流したりする。普段は貝のように無害だが所有者が現世の力ではどうすることも出来ない渇望に襲われた時、現世と幽界の深層を繋ぐ扉を開く鍵となり、ゴッドハンドを召喚する。また、この時のベヘリットは各パーツが正常な配置となり、完全な人間の顔になる。因果律によって選ばれた者が様々な形で手に入れ、たとえ紛失しても、その者が必要とする時には必ず手元に戻る。逆に因果律に選ばれていない者が入手しても、何も起こる事無くいずれ手元を離れていく。即ち、因果律に結ばれた者のみがベヘリットを手にすることでゴッドハンドを呼び出し、使徒に転生することができる。
通常のベヘリットを手にしたものは使徒に転生するが、216年に1度世に出る真紅のベヘリット「覇王の卵」は特別で、守護天使ゴッドハンドに転生する資格がある者のみが手にすることができる。
喚び水の剣
髑髏の騎士の切札。髑髏の騎士の甲冑内で精製したベヘリットが溶融した刀身となった異形の剣。髑髏の騎士は、この剣を作るために使徒の所有していたベヘリットを回収して口の中に放り込んでいた。一閃すると普通の方法では入る事のできない幽界への入り口を一定時間開く事が可能。また空間を斬り一種の瞬間移動の様な事も可能。剣名はベヘリットが「異界への喚び水」とも称されることに由来する。喚び水の剣は宿敵ゴッドハンドを葬るための切札として常々から準備されているもので、かなり便利な剣に思われるが、ゴッドハンドに察知されるのを避けるため多用を避けている発言が見受けられる。

魔法の呪物

魔術師が製作する、精霊の力が宿った道具。魔術師でなくとも使う事が出来る物もある。
ゴーレム
魔術師の使役として用いられる泥人形。小さな人形を核にそれを覆い隠す様に泥が包み込み人の形を象っている。幾ら破壊されても地面から泥を注ぎ足して再生できるが、核である小さな人形を抜き取られたり破壊されたりすると崩れ落ちてしまう。
シルフェの剣・フード
風の元素霊シルフェの加護を授かった魔法の呪物。
剣は大鷲の羽と宿り木の柄で作られ、一見すると羽箒のようだが、旋風を巻き起こして離れた敵を切り裂くことが可能。フードは身に着けた者の周囲に風を起こすことで矢や投擲された武器を吹き払う。又、フードが巻き起こした風に乗って大きく跳躍する事もできる。霊樹の館でセルピコに授けられた。
サラマンデルの短剣
火の元素霊サラマンデルの加護を授かった魔法の呪物。
超高温の溶岩を魔術で短剣にしたもので刃に触れたものを燃やす事が可能。霊樹の館でイシドロに授けられた。
銀の鎖帷子・ナイフ
魔除けの力を持つ銀を使った魔法の呪物。
銀の帷子を身に付けた者には悪しき霊体は触れることは出来ず、銀のナイフで切りつけられた悪霊は深刻な傷を負う。霊樹の館でファルネーゼとキャスカに授けられた。
狂戦士の甲冑
鉱精(ドワーフ)の手によって作られた呪いの掛かっている甲冑。着用者は肉体の限界を超えた運動能力を発揮できる代わりに一切の痛痒が鈍磨、その代償として肉体は出血し著しく損傷してしまう。又、甲冑自身が禍禍しい意思を持ち着用者の激情を煽る気を宿し、甲冑の力に自我が飲み込まれた場合には殺戮を欲する狂人と化し敵味方の判別さえつかなくなる。更には骨折しても甲冑の内側から棘状の突起が飛び出して粉砕した骨を固定し甲冑が破損しても自動修復するため、着用者の心身状態に関係無く戦闘を続けさせる力を持ち、最悪の場合は、周囲を殲滅するか本人が絶命するまで戦い続ける事となる。また連用の代償として着用者には色覚異常、味覚障害、震戦、視野狭窄などの症状が表れる。
サイズは着用する者の体格に合わせ可変可能。義手とも一体化し、義手の大砲も使用可能。又、甲冑自体の形状も着用者の性質に合わせ変化する。劇中では頭部は元々髑髏の形状であったが、ガッツが着用してからは獣の形状に変化した。頭部と前腕の部分は普段はマントと一体化するような形で隠れており、甲冑の力を発動させると共に具現化し全身を覆う。
ガッツ着用以前はフローラの所有物であり、危険な呪物として厳重に封印され、シールケに託す際に護符を施した。また過去において骸骨の騎士が着用者であった発言があり甲冑の弊害を熟知していた。

建築

ドルドレイ城塞
ミッドランド国境付近の大要塞。二重の城壁は厚みも高さも通常の倍はあり、背後に断崖絶壁を控えるという立地から、難攻不落と謳われる。
かつてはミッドランド国境防衛目的に建造されたがチューダーに奪取されて以来、逆にミッドランドへの攻撃の最大拠点となっていた。物語の舞台となる時代では最強不敗の英雄と称されるボスコーン率いる紫犀聖騎士団を擁していた。しかし、グリフィス率いる鷹の団の奮戦により要塞奪還に成功し、「百年戦争」とまで呼ばれた長期間戦争は停戦という形で終結を迎えることになる。
再生の塔
ミッドランド王城にある塔。非常に古く、ミッドランド建国以前から建っていたとされる。現在は牢獄として使用され、罪人が留置されている。塔の内部は中空で内側が螺旋状の階段となっており、どの山よりも深いという縦穴の底には覇王ガイゼリックが築いた帝都が眠っている。帝都の廃墟、死都には生贄の烙印を刻まれた人間の古い死体が山と積まれていた。この塔は、呪われた過去を封印するために築かれたものという。
聖アルビオン寺院
法王庁の直轄領内にあり、ミッドランドとの国境に近い所に聳える古い巨大な寺院。ゴドーの鉱洞から北東に街道を徒歩で3日ほど行った所にある。かつて覇王ガイゼリックの時代、ここに幽閉されて拷問を受けていた賢者がガイゼリックへの天罰を願い続け、天使を降臨させたという言い伝えが残っており、それに由来する断罪の塔の別名をもつ。
ガッツ達の時代には、疫病を逃れてきた難民が集っていたが、この地に邪教徒が紛れ込んでいたことから法王庁の異端審問官が差し向けられ魔女裁判の場となっていた。
寺院の名「アルビオン」は、ローマ人によって呼ばれたグレートブリテン島の古名であり、ラテン語で「白亜の地」あるいは「白の国」を意味する。

国家

ミッドランド王国
1000年前伝説の覇王ガイゼリックが建国し、天使によって滅ぼされてから再建された大国。王家はガイゼリックの血統を引いているとされる。首都は城塞都市ウィンダム。最高位の騎士団には"白の称号"が与えられ、現在この称号を持つ騎士団は「白龍騎士団」と「白虎騎士団」の2つ。
本作中の中心となる王国。隣国のチューダー帝国と百年戦争を繰り広げたがドルドレイ城塞攻略戦における鷹の団の活躍により戦乱は終結。その後、病に臥せっていた国王が崩御、直後クシャーン帝国の侵攻に遭い国家存亡の危機に陥る。
チューダー帝国
ミッドランド王国の東にある大国。「チューダーの黒い悪魔」と恐れられる「黒羊鉄槍重装騎士団」やチューダー最強の「紫犀聖騎士団」といった強力な戦力を所有する。特にボスコーン率いる紫犀聖騎士団は大陸最強の武勇を誇り、ミッドランド二大騎士団の一方「白虎騎士団」を壊滅寸前に追い込んだ。騎士団は動物の名を象った甲冑を人馬が着用する。
ドルドレイ要塞をミッドランド王国から奪い侵攻、百年戦争を繰り広げミッドランド王国を脅かし続けた。ドルドレイ要塞攻防戦でガッツによってボスコーンを討ち取られ、鷹の団によって要塞を奪還されてしまうことで、ようやく休戦の運びとなった。また、帝国内では皇位継承を巡る内紛により混乱状態に陥って暫く表舞台には登場しなくなる。ミッドランド王国へのクシャーン侵攻に際して、法王庁教圏の国々と共に大軍勢を派遣。
クシャーン帝国
ガニシュカ大帝の統治するミッドランド王国東方の山脈の彼方に広がる大帝国。ガニシェカ曰く「地上で最も広大な版図を誇る」という。暗殺集団や呪術集団を配下に置く。
百年戦争時代は、暗殺集団のバーキラカを斥候に出すのみで表立って行動はしてこなかったが、ミッドランド国王崩御の虚を突き、戦象部隊を繰り出して侵攻。現在は首都ウィンダムを占拠するなどミッドランドを制圧しているが、新生鷹の団のもとに反抗勢力が集い、基盤が揺らぎ始めている。多くの部族を制圧し成立したクシャーン帝国も一枚岩ではなく、新生鷹の団の捕虜となったクシャーン兵からは新生鷹の団に恭順する者も現れている。
法王庁
地上における唯一の神の代弁者として、奇蹟認定や異端審問などを行っている。史実のローマ教皇庁に相当する。教皇庁がカトリック教会を統率しているのと同じく、本作の世界に広く信仰されている公認宗教の中枢となっている。
法王庁教圏には、主たる大国としてミッドランド王国とチューダー帝国、それ以外にはバルデン王国、モルガル公国、ワラトリア公国、ランデル共和国、ラーナ等パネリア同盟の諸国など多くの国々がある。
民衆の信仰を集める一方、異端審問官も所属しており史実と同じく過酷な魔女狩りや異端審問を繰り広げて恐怖の的にもなっている。信仰のシンボルは十字架に類似しており翼を広げた鳥と二重螺旋が組み合わさったものである。現在の法王は老齢であり、新たな法王の推挙に向けて既に水面下での動きがある。

勢力・組織

鷹の団
グリフィスが結成した「戦場の死神」の異名を持つ最強の傭兵団。最初のうちは盗賊紛いの寄せ集め集団に過ぎなかったがグリフィスの指揮と運営の元、次第に傭兵団として纏まって行く。数々の武勲を挙げ、戦場で名を馳せる勢力となり、戦場での活躍が認められ、ミッドランド王国正規騎士団として認められる。更に百年戦争終結時にはその戦功が讃えられ、"白の称号"を与えられ「白鳳騎士団」という名称に改められることになる。しかし、団長のグリフィスが王女と密通した事で国王は騎士団を逆賊として追放、1年を流浪と逃亡の中で過ごす。そして「蝕」ではグリフィスの夢の糧としてほぼ全員が贄として奉げられ、事実上消滅する。
新生鷹の団
現世に舞い降りたグリフィスが様々な国の人間や人外の使徒等で構成された兵団を作り、鷹の団を再結成、ミッドランド王国正規軍。
戦魔兵
受肉したグリフィスの率いる新生鷹の団の旗下でゾッドら幹部使徒の配下として指揮される使徒。使徒の中では雑魚に属する者も多く、「蝕」の時に居合わせた者もいる。不揃いの甲冑に乱杭歯が特徴。それぞれ「戦魔巨人兵隊」、「戦魔槍騎兵隊」、「戦魔長弓兵隊」で分かれる。
極めて狂暴で、人喰いを行っていたが「指導」でようやく獣の肉を選んで喰らうまでに落ち着いた。しかしまだ逸脱した行動が多く、ゾッドら幹部に力尽くで支配されている。
バーキラカ
クシャーン帝国に従う暗殺集団。暗殺を生業とし、数百年で1000人近い要人を暗殺して来たことから一万の兵をも凌ぐとして恐怖の象徴となっている。史実の、アサシンに相当する。クシャーン帝国侵攻以前には、ミッドランド国王に雇われ、グリフィス暗殺に差し向けられた者達もいた。元々はクシャーン帝国の王位争いに敗れた皇族に荷担していた一族であったため、追放されて奴隷階級に落とされたものらしい。
様々な武器を駆使するシラット、全身を極限まで鍛え上げた戦士ターパサ、追放されて新生鷹の団の幹部となったラクシャスもこの一員。
聖鉄鎖騎士団
法王庁直属の騎士団。団長は代々乙女と定められている。騎士団と言っても団員の殆どはステータスの為に入団した諸国の貴族やその息子が殆どで、実戦経験のある者はほぼ皆無。その為、「おぼっちゃま騎士団」と蔑称されることもある。聖アルビオン寺院でファルネーゼ、セルピコ、アザン、ジェロームの4人を除いて全滅する。

種族

妖精(エルフ)
手のひらに乗るような小さな体に羽根を持つ小人。羽精の一種。「フェアリー」とも。
作中においては悪戯の好きな気紛れな存在で人を幸福にする力もあるとされる。しかし一部地域では害虫呼ばわりも。鱗粉には強力な治癒作用があり、魔を感じる能力も持つ。又、妖精の住処は霊的な加護を持ち魔の者も容易に近づけない。
鉱精(ドワーフ)
呪物「狂戦士の甲冑」を作った種族。手先が器用で細工・工芸に秀で、掘削も得意で地中もしくは鉱山の坑内に住むとされる。作中では直接的には登場しておらず姿不明。
ゴッドハンド
真紅のベヘリットに導かれた者が転生する、幽界の最深奥に存在する「何者か」の意志を執行する存在。「魔王」「守護天使」「渇望の福王」とも。ボイド、スラン、ユービック、コンラッド、フェムトの5人から構成される。常に幽界の深層に身を置いており、それぞれ好みのセフィラに身を浸している。人間が使徒に転生する「降魔の儀」の際に集合する。
使徒と違い物理的な肉体を持たない巨大な思念体であるらしい。よって通常空間にはそのままの姿で現れる事は無く、何らかの物体に憑依するなどの手段で降臨する事がある。5人目のゴッドハンド「フェムト」となったグリフィスは嬰児に受肉という手段で現世に戻った。
能力は様々で異空間中ではほぼ無敵と思われる。彼らは、現世に間接的に影響を与えている存在というより、心や現象の一部であり、現世の何処にでも居るとも居ないともいえる存在であるらしい。ガッツと髑髏の騎士が倒す目標としているが、通常現世には現れない為、捜索すら殆ど不可能な状態である。作者曰く「最初に登場したゴッドハンドはボイドで5人目のフェムトで完了する」そうである。
使徒
降魔の儀によって転生した人外の化物。ゴッドハンドが「守護天使」と呼ばれるのに対応して、その下で活動する下位の魔物といった位置付けである。外見や能力共に千差万別であり、人間より力が強い程度の者から天候を操れるほどの者までいる。一部の使徒は普通の人間を「使徒もどき」とする事も可能である。ほぼ全ての使徒が人間に近い姿に戻る事が可能で、普段は人間社会に溶け込んでいる者も多い。人間形態時でも常人より高い能力を持つが、使徒形態ではさらに強力な能力を発揮する。ほとんどの使徒は、使徒形態でも身体の何処かに人間の身体の一部がある。行動の制限は特に無く、「望むままを行う」というのが唯一の戒律である。よって行動は使徒それぞれで違う。
基本的には不老だが不死ではない。しかし、ほぼすべての使徒が強力な再生能力をもっており、生命力も高い。頭部などの重要な部分を破壊するか、再生が追い付かないほどの重傷を与えなければ倒せない。
本作の世界では、生物は死んでも輪廻の輪の中に入っており人や別生物に生まれ変われるらしいが、使徒に転生した者が死んだ場合はこの輪から外れ、未来永劫生まれ変わる事は無く永遠に幽界の最深部で渦巻く思念の渦の一つとなる。故に人間以上に死を恐れている。
使徒もどき
ゴッドハンドが人を使徒に転生させるように、使徒の力によって人外の魔物に変えられた者。この能力を持つ使徒はごく一部に限られるらしく、また使徒ごとにその手法は異なる。死ぬと直ぐ人間の姿に戻る。実力は使徒以下で自我を持たず主人の命令に従うだけの存在だが偶に明確な自我を持つ使徒もどきもおり実力が使徒並みか以上の使徒もどきもいる。
怨霊
怨念や無念を残して死に、幽界の浅い層を彷徨っている幽体。夜になると活発になり、生贄の烙印に集る。烙印を押された者に取り憑こうとする事もあれば、周囲の生き物や亡骸、自然物などに憑依して襲い掛かる事もあり、悪霊に憑依された生き物は普段からは考えられないような力を出す。
夢魔(インキュバス
一つ目のタコのような姿をした、人に悪夢を植え付けその恐怖を喰らう悪霊。怨念を残して死んだ人間の血と性液が混じりあって生まれる。
ガッツに刻まれた『烙印』の力が彼らを引き寄せ、ガッツを苦しめていた。しかしシールケが『護符』を施してからは、烙印によって彼らが引き寄せられることはなくなった。リアル描写では醜怪な風貌の「彼」だが、パックにちょっかいを掛けているギャグパートもある。
獣鬼(トロール
エルフの郷へ向かうガッツ一行が遭遇した異形の種族。外見は直立した獣で、簡単な道具を使う程度の知能はある。極めて貪食で、人や獣を襲う他、倒れた仲間を喰ったり共喰いなどを日常的に行っている。洞窟の中など暗い所を棲家とし、人間の女を攫い繁殖する。オーグルと共にゴッドハンド・スランの支配する領域「クリフォト」を棲家とし、彼女の意のままにいくらでも産み出される。
巨鬼オーグル
顔面が異様に前方へせり出し、男根のような形状をしている。トロール同様いくらでも生み出すことが可能。通常は現世に姿を現すことはなく幽界に身を置いている存在。
川馬(ケルピー
馬の身体にカエルのような顔をしている中位の水妖。水を自在に操る能力をもつ水妖で旅人を川で溺れさせるという。通称「ウマガエル」。

精霊

あらゆる自然物を司る幽界の存在たち。四大元素を司る元素霊をはじめ、その土地土地に宿る様々な精霊が存在する。又、方角や戦場などと言った抽象的な存在を司る精霊も存在する。上位の幽体は同族の元素霊を従える事ができ、更に上位の幽体はその支配権を奪い取る事が可能。
元素霊(エレメンタル)
地水火風の四大元素を司る精霊。自然物の働きは全て彼らの働きに共鳴しており、この世界のどこにでも存在する。明確な個我は持たない。
シルフェ
風を司る元素霊。羽虫の様な姿をしている。羽精(ピスキー)の祖先に当る。
サラマンデル
火を司る元素霊。トカゲの様な姿をしている。
ウインデイヌ
水を司る元素霊。人魚の様な姿をしている。
四方の王
幽界の深淵に存在する強力な力を持った4体の霊体。法王庁の教典に記されている「四方の守護天使」は彼らを指している。風と東を司る「風の王」、火と南を司る「南の王」、水と西を司る「西の王」、地と北を司る「北の王」の4体。魔女は彼らの力を借り、悪霊を滅却する結界「四方の王の陣」を張る事が出来る。
水底の貴婦人
イーノック村の近隣を流れる川の精霊。数世代前まではイーノック村で祀られていた存在だったが、法王庁の教えが広まった事でいつしかその存在は忘れ去られ、彼女を祀った神殿も教会を建てる為に取り壊された。トロール退治の一件で、現在は新たに彼女を祀る祠が建てられた模様。
腐根の主
イーノック村付近の雑木林に住まう、枯れ木と汚泥の精霊。
炎の車輪
戦場に宿る炎の精霊。

魔導生命体

魔術士が使役する使い魔の一種。動植物に何らかの霊体を宿す事で生み出される。宿った霊体の影響で異形化しているものもいるが、死ぬと元の姿に戻る。
妖獣兵(ピシャーチャ
二足歩行し武器を扱う鰐や象の獣人、牙が前面にせり出した巨大な虎など、様々な動物から生み出された妖獣兵が存在する。
鬼兵(ダーカ)
頭部に角を持つ妖魔。「魔子宮」を用い、人間の女の体内に魔を宿らせることで生み出していた戦闘部隊。
海獣(マカラ
鯨から生み出された魔道生命体。他の妖獣兵や鬼兵に比べて極めて巨大で、象を思わせる長い鼻と耳を持つ。動き、霊的感受性は極めて鈍いが、巨体故に攻撃力は高く、1匹で軍艦10隻をも撃沈可能な上、水陸での活動が可能。
塒神(クンダリーニ)
白い大蛇を憑代とする水妖。川馬とは同族にあたるが、その力は桁外れのもので、港一帯の海水全てを自らの支配下に置く程の霊力を有する。水の竜巻や水圧を利用したウォーターカッターのような攻撃が得意。又、自らの体の回りに蛇を象った水の巨体を纏い、その中を自在に泳ぎ回ることで敵の攻撃も届かない。クシャーン妖獣兵団最強の魔獣とされ、仙将ダイバによって直接使役される。
飛獣(ガルダ
翼竜を思わせる姿をした巨大な翼をもった魔獣。
棘の蛇
棘の蔓の先端に袋が括りつけてあり、蛇の顔の様になっている。直接相手を殺傷する様な事はできないが、捕縛が可能。棘の指輪と対になっており、この指輪の持ち主を主として行動する。

事象

降魔の儀
人間が使徒、又はゴッドハンドに転生する為の儀式。ベヘリットによって因果律が紡がれ開かれた異次元空間で、ゴッドハンドが執り仕切って行われる。
降魔の儀において人間が使徒かゴッドハンドに転生する為には「自らの半身とも呼べる最も大切なもの」を生贄に捧げる必要があり、その代償として生贄を捧げた人間は自らの渇望を満たす為の力を得る事ができる。生贄として差し出された者には「生贄の烙印」が刻まれる。
降魔の儀において生贄が求められるのは最も大切なものを自ら捨てる事が「人間らしさを自分で放棄する」事に繋がり、それが魔の存在に転生する上で必要だからである。人間らしさを捨てる事で超常的な魔の力を得、その力を持ってゴッドハンド召喚の元となった渇望を満たす。ただし、この儀式によって満たすことが出来るのはあくまでもゴッドハンド召喚の元となった渇望のみである。もし同時にその他の精神的なしがらみが存在した場合はそれを晴らすことは叶わず、また得た力をもってしてもそのしがらみから解き放たれるようになるとは限らない。
216年に一度、因果に結ばれてゴッドハンドに転生しうる者が出てきた時に繰り広げられるゴッドハンド生誕の儀式。真紅のベヘリット「覇王の卵」を手にした者が強烈な欲求、あるいは絶望の感情に堕ちたとき、日蝕と共に異世界の扉が開き、そこでゴッドハンドに転生する為の降魔の儀が執り行われる。蝕で執り行われる降魔の儀には多数の使徒も立ち会い、ゴッドハンド降臨の生贄に捧げられた者たちは襲い来る使徒に食い殺される。
蝕における生贄は人間に限っておらず抽象的なものも生贄として捧げる事が出来る。
模蝕
1000年に一度蝕が模されてゴッドハンドの1人が受肉し、この地上に降り立つという現象。聖アルビオン寺院において、ガッツ、キャスカという贄の烙印を押されながら生き延びた人間が2人同時にいたことから、それに触発されて起きた。ゴッドハンドとおぼしき影が現われるが、いずれも悪霊が形を模したものである。
光の鷹の夢
全世界の人間の大多数が同時期に見た夢。世界の理が変化する兆しで夢で光の鷹を見た者はその「自身が求めたもの」として直感した。

象徴

生贄の烙印
降魔の儀において生贄として捧げられた人間に刻まれる烙印。烙印を刻まれたものは「闇に捧げられた供物」として現世と幽界の「狭間」の領域に立たされる事となり、常に悪霊に付け狙われる様になる。降魔の儀からの生還は極めて稀で気を抜けば悪霊に取り殺されてしまう為、烙印を刻まれたものは夜も満足に眠る事が出来ない。又、「魔の存在」に感応する性質があり使徒や悪霊が接近すると痛みを伴い流血する。その痛みは魔の存在のレベルに比例し、ゴッドハンドの場合は常人であれば失神に至る程の激痛に襲われる。
護符
いわゆるお守りだが、魔術師の護符は気休めではなく、退魔の力が宿る。
フローラが獣鬼退治と引き換えにガッツたちに拵えた護符は、生贄の烙印の力を抑制し悪霊を寄せ付けない働きがある。また、護符は狂戦士の甲冑にも刻まれており、着用者の精神が甲冑に取り込まれる事を防ぐ役割も果たしている。
又、シールケが仲間に加わって以来、ガッツの烙印には直接シールケによる護符が施されている。この護符も悪霊を寄せ付けない働きを持つ。ただし有効期間はフローラの護符に比べ遥かに短く1~2日程度。キャスカには退魔の首飾り。

単行本未収録話

単行本化の際、第83話「深淵の神・2」は本来収録されるはずであった第13巻からは外されている。

アニメ版

剣風伝奇ベルセルク

1997年10月7日から1998年3月31日まで日本テレビにて、深夜アニメ枠で放映された。全25話。DVD・ビデオは全7巻。レンタル用のプロモーションの0巻の他、限定DVD-BOXもある。

日本テレビは本作を「世界戦略アニメ」と位置づけ、日テレグループ全額出資で製作。衛星放送、海外セールスを前提とした作品になっている[1]

「黄金時代篇」が中心だが、オリジナルエピソードもある。後半はかなりの急展開で、漫画の多くの部分がカットされている。音楽担当の平沢進は、原作者が指名した。

登場キャラ・声の出演
スタッフ
  • オープニングテーマ:PENPALS「TELL ME WHY」
  • エンディングテーマ:Silver Fins「Waiting So Long」
  • 劇中歌:平沢進「BERSERK~Forces~」
全話タイトル(英語版)
  1. 黒い剣士 - The Black Swordsman
  2. 鷹の団 - Band Of The Hawk
  3. 初陣 - Baptism of Fire
  4. 神の手 - Hand Of God
  5. 剣風 - Sword of Wind
  6. 不死のゾッド - Zodd the Immortal
  7. 剣の主 - The Sword Master
  8. 陰謀 - Conspiracy
  9. 暗殺 - Assassination
  10. 貴きもの - Nobleman
  11. 合戦 - Battle Engagement
  12. ふたり - Two People
  13. 決死行 - Suicidal Act
  14. 夢のかがり火 - Campfire of Dreams
  15. 決戦 - The Decisive Battle
  16. 勝利者 - The Conqueror
  17. 栄光の瞬間 - Moment of Glory
  18. 炎の墓標 - Tombstone of Flames
  19. 別れ - Parting
  20. 火花 - The Spark
  21. 告白 - Confession
  22. 潜入 - The Infiltration
  23. 前夜祭 - Eve of the Feast
  24. 蝕 - Eclipse
  25. 永遠の刻 - Perpetual Time

ゲーム版

千年帝国の鷹篇 喪失花の章 (DC)

ドリームキャスト版アクションゲーム。株式会社ユークスが開発し、株式会社アスキーから1999年12月に発売された。

原作の漫画のキャスカ救出後を舞台としており、「断罪篇 生誕祭の章」(17-21巻)と「千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章」(22-27巻)の間に位置し、オリジナルストーリーを展開している。シナリオは原作者である三浦建太郎が担当。 ゲーム発売当時、原作は18巻までしか発刊されていなかったため、「断罪篇」の後をネタバレするという意味で話題となった。

土から引き抜こうとすると恐ろしい悲鳴を上げ、それを聞いた人間は死ぬと言われている植物「マンドラゴラ」。 その伝説の植物の名を冠せられた奇怪な植物が夜な夜な歩き回り、人間に取り憑いて正気を失わしめるという。

主題歌
  • オープニング「ForcesII」 歌:平沢進
  • エンディング「INDRA」 歌:平沢進
キャラの声優

千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 (PS2)

PlayStation2版アクションアドベンチャーゲーム。ゲーム化第二作で、サミーから2004年10月7日発売。発売時にはCEROレーティング18歳以上対象だったが、2006年の規制強化によるレーティング見直しにより、18歳未満販売禁止ソフトとなった。

「千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章」(22-27巻)にオリジナルシナリオを追加した内容である。

主題歌
  • 「Sign」 歌:平沢進
キャラの声優
  • ガッツ:神奈延年
  • パック:渕崎ゆり子
  • キャスカ:宮村優子
  • シールケ:ゆかな
  • イシドロ:吉野裕行
  • セルピコ:水島大宙
  • ファルネーゼ:後藤邑子
  • イバレラ:田村ゆかり
  • グリフィス:森川智之
  • ゾッド:内海賢二
  • グルンベルド:玄田哲章
  • ジュドー:石田彰
  • ピピン:天田益男
  • コルカス:西村朋紘
  • ボイド:石塚運昇
  • スラン:田中敦子
  • ユービック:茶風林
  • フローラ:島本須美
  • シャルル:豊口めぐみ
  • 髑髏の騎士:磯部勉

フィギュア版

『ベルセルク』のキャラクターの公式フィギュアは、株式会社謙信 ART OF WAR が製作している。

ベルセルクシリーズ一覧

トレーディングカードゲーム版

『ベルセルク』世界を元にしたカードゲームで、コナミから発売されている。

ゲームの概要は、プレイヤーが傭兵隊長として様々なキャラクターを仲間にし、都市に傭兵を差し向け攻略したりすることで、都市を占拠して戦利品を得ていくという内容になっている。自分の国を手に入れることもできる。

関連書籍

単行本
  • 『ベルセルク』 (1~33巻) 三浦建太郎 (白泉社ジェッツコミックス)
公式本
  • 『画集ベルセルク』 三浦建太郎 (白泉社) ISBN 4592731387
  • 『ベルセルク ポストカードブック WAR CRY 雄叫び』(白泉社) ISBN 4592731522
  • 『Berserk剣風伝奇完全解析書』 ヤングアニマル編集部 (白泉社) ISBN 4592731573
アニメ版公式ガイドブック。
  • 『ベルセルクビジュアル&ストーリーFILE―千年帝国の鷹篇喪失花の章』 (白泉社) ISBN 4592731697
ゲーム版公式設定資料集。
評論
BSマンガ夜話の内容をまとめたもの。『ベルセルク』と、ゆうきまさみ機動警察パトレイバー』の2作を取り上げている。
  • 「三浦建太郎特別インタビュー」
藤本由香里『少女まんが魂 現在を映す少女まんが完全ガイド&インタビュー集』白泉社、2000年12月、ISBN 4592731786 所収
謎本
  • 『「ベルセルク」の謎』 「鷹の団」再建委員会 (文化創作出版 ) ISBN 4893871633
  • 『ベルセルク 正気と狂気の構造』 水出弘一 (フットワーク出版) ISBN 4876893454
  • 『ベルセルク深層心理分析書』 渡辺水央 (フットワーク出版) ISBN 4876894558
  • 『ベルセルク病巣解析書―罪深き欲望と憎悪』 大沼孝次 (フットワーク出版) ISBN 487689292X
  • 『ベルセルク完全解析書―異常心理とダークな刺激の世界』 大沼孝次 (フットワーク出版社) ISBN 4876893462
ゲーム攻略本
  • 『ベルセルク公式ガイドブック―黒き剣士の道標』 (アスキー) ISBN 475720647X
  • 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 オフィシャルガイド』 (光栄) ISBN 4775802364
  • 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 公式パーフェクトガイド』 (エンターブレイン) ISBN 4757720769
CD
  • 『剣風伝奇ベルセルク オリジナル・サウンドトラック』
  • 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 喪失花の章 オリジナルゲーム・サウンドトラック』
  • 『ベルセルク千年帝国の鷹篇 聖魔戦記の章 オリジナル・サウンドトラック』

脚注

  1. マーチャンダイジングライツレポート1997年11月号

関連項目

日本テレビ系アニメ

外部リンク

公式サイト