マクロス ゼロ
マクロス ゼロ | |
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ジャンル | ロボットアニメ、SFアニメ |
OVA: | |
原作 | |
監督 | 河森正治 |
シリーズ構成 | |
キャラクターデザイン | 齋籐卓也 |
メカニックデザイン | 石垣純哉、宮武一貴 |
アニメーション制作 | サテライト |
製作 | |
発売日 | |
発表期間 | 2002年12月 - 2004年10月 |
リリース日 | |
話数 | 全5話 |
その他 | |
コピーライト表記 | ©ビックウエスト マクロスゼロ製作委員会 |
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『マクロス ゼロ』(MACROSS ZERO)は、2002年から2004年にかけて制作されたOVA。全5巻。 テレビアニメ『超時空要塞マクロス』の前史に当たる作品である。東京国際アニメフェア2004において優秀作品賞OVA部門を受賞した。
目次
概要
作品
マクロスシリーズ生誕20周年記念として制作されたのが本作である。地球が異星人ゼントラーディ人との戦争(第一次星間大戦)に巻き込まれる7か月前、2008年の南海の孤島を舞台に、現代文明と伝統文明の相克、人類創生の秘密が描かれる。
『超時空要塞マクロス』の舞台となる近未来(2009年)を現実に迎えつつあることから、本作はそれまでの続編作品とは逆にシリーズの過去にさかのぼり、現実世界と架空のマクロス世界が交錯する過渡期の状況に焦点を当てた。F-14やMig-29という実在する兵器と、可変戦闘機やデストロイドという空想未来兵器が同世界の中に登場する。
監督の河森正治は当初、南の島を舞台にした戦記ものに可変戦闘機の開発エピソードを絡めた短編2本立ての物語を構想していた。しかしロケハン中にアメリカ同時多発テロ事件が発生し、ミリタリー的な作風を自粛するムードがあったため、民俗学を下敷きにした神話的作風へ方向転換することになった(この路線は次作『創聖のアクエリオン』にも反映される)。 また、近作の例にもれず本作でも自然との協調が唄われているが、これらの描写には以前の作品である『地球少女アルジュナ』で開発された生物を3DCGで描画するテクニックが随所に使用されている。このためなのか作品中にはアルジュナ自体の引用が見られる。
本作の設定について河森は「発表されているマクロスの基本年表には載っていない話」であるとしていた[1]。アメリカでは機密事項の公文書が50年経たないと公開されない場合があるという例を挙げ、本作は歴史から抹消されている前提のエピソードであり、物語の構成も後々に伝説として語られるというまとめ方に近いと述べている[2]。
2008年の『マクロスF』放送にあわせて改訂された基本年表[3]では、本作の事件が2008年7月に起きたとする記述が加えられ、この時代(2059年)には機密情報が公開されていることが示唆された。また、作中では本作の物語をシン・工藤氏の伝記とし、それを題材にした劇中劇も登場するなど[4]、一般市民にも広く知られた「物語」となった様子が描かれている。
この『マクロスF』内のエピソードが語るように、全てのマクロスシリーズに共通する『架空の世界(マクロスワールド)の歴史的出来事をモチーフにして後から作られた創作作品(フィクション)である』という設定(参照)は本作品においても例外ではなく、史実をモチーフに制作されたが、必ずしも作品内の事象が全てにおいて史実通りとは限らないという事である。本作では敢えて随所にそれを強調する演出が意図的に盛り込まれている[5]。
3DCG
本作はマクロスシリーズでは初めて全面的に3DCGを導入した。1994年制作の『マクロスプラス』では一部のみの使用だったが、その後『マクロス VF-X2』などのゲーム開発で経験を積み、本作ではメカ以外にも背景の立体的な空間表現などを試みている。
制作の中心は河森が所属するサテライト。『地球少女アルジュナ』で実績のあるトゥーンレンダリングを使う予定であったが、『戦闘妖精雪風』など他作品との違いを明確にするため、新たにテクスチャマッピングによる質感の表現法を模索することになった。写真とイラストの中間イメージ的なテクスチャを描くため、ハセガワのマクロスシリーズ模型でボックスアートを手がけるイラストレーター天神英貴が参加し、色調やライティングの調整を行った。
戦闘機の3DCGは、アニメーションがキーフレーム間を自動補間するのではなく、通常のアニメと同じように全てのモーションを手打するという手法をとっている。
VF-0のメカ描写には、特に多くのカットが割かれ、説得力の有る変形シーケンスや、VF-1で物議を醸した、水平尾翼の無い機体の姿勢制御方式を、パイロットの両足をインターフェースとするベクタード・スラスト・ノズルによる表現により説明している。 また、標的を眼で追うだけで次々とロックオンしていく制御系は、以降のVFシリーズに継承され、VF-25等の最新鋭機にも採用されている事が『マクロスF』作中で描かれている。
特技監督の板野一郎がモーション監修を行い、3DCGでは軽く見えがちなメカアクションの演出を指導した。第一章では戦闘機形態(ファイター)の3DCGモデルから変形させたロボット形態(バトロイド)が華奢に見えたため、第二章以降は中間形態(ガウォーク)、バトロイドも別個に見映えのいいモデルを作り使い分けている。また、3DCGで迫力が描ききれない場合は通常の手描き作画で処理している(具体的にはVF-0リアクティブアーマー仕様やデストロイド・オクトス、劇中終盤に登場するプロトタイプ・モンスターの登場シーン)。
約2年間の制作期間中3DCG技術の試行錯誤は続き、その経験は『創聖のアクエリオン』『マクロスF』に生かされることになる。河森は本作のクオリティはテレビ画面では十分伝えきれないため、OVAよりは大画面・大音響むきの作品だったと振り返っている[6]。
ストーリー
1999年7月、後にマクロスと名づけられる監察軍の宇宙戦艦が地球へ落下した。この艦よりもたらされた様々なオーバーテクノロジーの奪い合いに端を発する争いは、やがて統合戦争と呼ばれる世界大戦に発展する。
戦争末期の2008年。統合軍パイロットの工藤シンは、反統合同盟軍の可変戦闘機SV-51に乗機を撃墜され、今なお伝説が生きる南海の孤島マヤン島に流れ着く。そこで彼が会ったのは島の巫女サラ・ノームだった。一方、落下した宇宙戦艦と同様のエイリアン反応を示す物体がマヤン島付近の海底に沈んでいることが判明し、統合軍と反統合同盟軍は新型可変戦闘機VF-0 フェニックスとSV-51を配備した回収部隊を派遣する。マヤン島を舞台に戦争が始まり、伝説に謡われた「鳥の人」が目覚めて「滅びの歌」を唄う時、世界は破滅の淵を覗うことになる。
登場人物
主人公、ヒロイン
- 工藤 シン
- 声 - 鈴村健一
- 18歳。統合宇宙軍少尉。日系2世のアメリカ人。幼い頃に監察軍の宇宙戦艦ASS-1(のちのSDF-1マクロス)の墜落を遠方より目撃する。その後勃発した統合戦争で両親を亡くし、統合軍に入隊後パイロットとなる。腕は優秀だが自分勝手な言動が多く、同僚達からは距離を置かれている。ノーラの駆るSV-51γと交戦し、その変幻自在の機動の前に撃墜される。一命をとりとめフォッカー指揮するスカル小隊に転属となるも、それまでとは勝手の異なる可変戦闘機への機種転換に手を焼く事となった[7]。物語冒頭ではF-14に搭乗し、その後VF-0D、VF-0Aへと乗り換える。左目の泣きホクロが特徴。サラやマオ、フォッカーたちとの触れ合いの中で、それまで閉ざしていた心を徐々に開いてゆく。マクロスFの劇中劇では主演俳優が演じる予定であったシンの海中スタントシーンを早乙女アルトが代役で演じている。[4]
- サラ・ノーム
- 声 - 小林沙苗
- 16歳。呪術師の家系に生まれ、マヤン島の古代文明を守る「風の導き手」。しとやかだが内に激しい気性を秘める。島に騒動を招いたシンを警戒していたが、徐々に心を通わせ惹かれ合ってゆく。マクロスFの劇中劇ではミスマクロス2059でグランプリに輝いたミランダ・メリンが演じている。[4]
- マオ・ノーム
- 声 - 南里侑香
- 11歳。[8]。サラの妹。元気一杯だが、姉と違い島内の生活には退屈気味。文明人のシンに興味を抱き惹かれてゆくが、姉の想いとの間で揺れ動く事となる。最終話ではシンを勇気付ける重要な役割を担った。マクロスFの劇中劇ではランカ・リーが演じている。マクロスFの時代ではドクター・マオと呼ばれ、ランカが演じたことでランカとの間に因縁めいた繋がりを暗示させている。[4]
統合軍
- ロイ・フォッカー
- 声 - 神谷明
- 26歳。統合宇宙軍少佐で空母アスカ艦載機隊を率いるエースパイロット。指揮官用のVF-0Sに搭乗。大空と酒と女をこよなく愛する、部下思いのパイロットの鑑の様な人物。実戦訓練においては、シン達可変戦闘機の操縦に不慣れな若年パイロット達のアグレッサーを務める。
- エドガー・ラサール
- 声 - 小森創介
- 18歳。陽気な統合宇宙軍レーダー士官。シンと常にコンビを組み、F-14及びVF-0Dの後部席に搭乗する。
- アリエス・ターナー
- 声 - 進藤尚美
- 26歳。文化人類学者。フォッカーのかつての想い人で大学時代の先輩。統合軍の嘱託として空母アスカに乗艦する。
- 中島 雷造(なかじま らいぞう)
- 声 - 有本欽隆
- 69歳。空母アスカの技術班長。熟練の技でパイロット達から厚い信頼を集める。
- ケイティ
- 声 - 朴璐美
- 統合軍海兵隊員。男性隊員以上に卓越した格闘術を身に付けており、武器を携えたシンでさえ全く相手にならない程の戦闘能力の持ち主。
反統合同盟軍
- ノーラ・ポリャンスキー
- 声 - 高山みなみ
- 25歳。反統合同盟軍の女性パイロット。階級は大尉。ワインレッドのSV-51γを駆る凄腕で、2度に渡りシンを撃墜する。シンに執着するあまり鳥の人の射線上に入ったことに気がつかず、エネルギー波の直撃を受け戦死した。
- D.D.イワノフ(ディーディーイワノフ)
- 声 - 大友龍三郎
- 反統合同盟軍のエースパイロット。乗機は黒いSV-51γ。機体の黄色い花のマークから、パイロット仲間には「デイジー・イワノフ」と呼ばれている。戦場を渡り歩く傭兵で、統合軍のテストパイロット時代はフォッカーの教官だった。最終決戦でフォッカーと熾烈なドッグファイトを繰り広げたが、ノーラを殺害されたことに逆上し鳥の人に挑どむも、鳥の人の圧倒的な力の前に敗れた。
- ハスフォード博士
- 声 - 野沢那智
- アリエスを指導した学者。プロトカルチャー干渉仮説を提唱する。
マヤン島
- ヌトゥク
- 声 - 大木民夫
- 鳥の人伝説を語り継ぐマヤン島の長老。
メカニック
統合軍
- F-14 トムキャット(のMOT改修型)
- VF-0 フェニックス
- VF-0A (一般兵士用)
- VF-0S (指揮官用)
- VF-0D (複座型)
- 追加装備:リアクティブアーマー、ゴーストブースター
- UH-60(軍用機)
- デストロイド・シャイアン
- プロトタイプ・モンスター
- 空母 CVN-99 アスカ-II
- 空母 イラストリア
反統合同盟軍
- MiG-29 フルクラム
- SV-51
- SV-51α(一般兵士用)
- SV-51γ(エースパイロット用)
- 追加装備:ツインブースター
- デストロイド・オクトス
- 強襲潜水艦 アゥエルシュテット
スタッフ
- 原作・監督・メカニックデザイン: 河森正治
- 脚本: 大野木寛
- キャラクターデザイン・作画監督: 齋藤卓也
- 特技監督: 板野一郎
- メカニックデザイン: 石垣純哉
- 鳥人デザイン: 宮武一貴
- 音楽: 蓜島邦明
- 美術監督: 太田大
- 美術設定: 平沢晃弘
- 色彩設計: 海鉾重信
- 音響監督: 三間雅文
- 撮影監督: 前田庸生
- 編集: 竹内康晃
- メカニックアート: 天神英貴
- アニメーション制作: サテライト
- 製作: ビックウエスト、バンダイビジュアル
主題歌
メインテーマ
- 『ARKAN』
- 作詞 - Holy Raz/作曲・編曲 - 蓜島邦明/歌:Holy Raz
- (第1話エンディングテーマ)
エンディングテーマ
- 『Life Song』
- 作詞・作曲・編曲 - 蓜島邦明/歌 - 福岡ユタカ(Yen Chang)with Holy Raz
- (第2話)
- 『yanyan』
- 作詞・作曲・編曲 - 蓜島邦明/マヤン語協力:河森正治/歌 - 南里侑香
- (第3話)
- 『Forest Song』
- 作詞・編曲 - 蓜島邦明
- (第4話)
関連商品
CD
ビクターエンタテインメントより発売。
- 「マクロス ゼロ ORIGINAL SOUNDTRACK 1」 2003年1月22日発売 (VICL-61042)
- 「マクロス ゼロ ORIGINAL SOUNDTRACK 2」 2004年11月10日発売 (VICL-61518)
DVD
バンダイビジュアルより発売。
- 「マクロス ゼロ 第一章『海と風と』」 2002年12月21日発売 (BCBA-1332)
- 「マクロス ゼロ 第二章『地上の星』」 2003年05月23日発売 (BCBA-1333)
- 「マクロス ゼロ 第三章『蒼き死闘』」 2003年11月28日発売 (BCBA-1334)
- 「マクロス ゼロ 第四章『密林』」 2004年05月28日発売 (BCBA-1335)
- 「マクロス ゼロ 最終章『鳥の人』」 2004年10月22日発売 (BCBA-1336)
Blu-ray
バンダイビジュアルより発売予定。
- 「マクロス ゼロ Blu-ray Disc BOX」 2008年08月22日発売予定 (BCXA-0062)
脚注
- ↑ 「Great Mechanics 6」 2002年 双葉社 p66
- ↑ 「Great Mechanics 15」(2004年 双葉社 ) p84
- ↑ 「メガミマガジンクリエイターズ Vol.11」(2008年 学習研究社) p11
- ↑ 4.0 4.1 4.2 4.3 マクロスF 第10話「レジェンド・オブ・ゼロ」 - シン・工藤氏の伝記を原作とした映画『鳥の人』として、本作を題材にした劇中劇が登場する。
- ↑ 「海面近くの戦闘シーンにおいて、機体がカメラ前をかすめた直後、飛び散った水滴がレンズに付着する」、「VF-0が本来使用不可能なはずのピンポイントバリアパンチを一瞬だけ放つ」等。
- ↑ 「Great Mechanics 15」(2004年 双葉社) p88
- ↑ あくまで凡人として描くという監督の意図のもと、所謂「バルキリー乗り」としての操縦センスは「中の上、柿崎速雄よりは下」と位置づけたと雑誌インタビュー等要出典で語っている。
- ↑ マクロス公式サイト及びDVD版での表記。マクロスゼロ公式サイトでは13歳くらい
参考文献
- 天神英貴 (2005) 天神英貴 [ VALKYRIES 天神英貴マクロス画集 ] 光文社 2005 ISBN 978-4334901240
- (2002) [ GREAT MECHANICS 6 ] 光文社 2002 ISBN 4-575-46409-0
- (2004) [ GREAT MECHANICS 15 ] 光文社 2004 ISBN 4-575-46425-2
関連項目
外部リンク
マクロスシリーズ(カテゴリ) | |
テレビアニメ | 超時空要塞マクロス - マクロス7 - マクロスF |
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OVA | Flash Back 2012 - マクロスII - マクロスプラス - マクロス ダイナマイト7 - マクロス ゼロ |
アニメ映画 | 愛・おぼえていますか - マクロスプラス MOVIE EDITION - マクロス7 銀河がオレを呼んでいる! |
ゲーム | VF-X2 - トゥルーラブソング - M3 |
漫画 | VF-X2 - マクロス7 トラッシュ - マクロス ダイナマイト7 ミレーヌビート |
ラジオドラマ | マクロス・ジェネレーション |
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関連項目 | ゲーム一覧 - スタジオぬえ - 河森正治 - 毎日放送 |
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