ブラジャー
ブラジャー(英:brassiere[† 1]。ケベック・フランス語:brassière[† 2])は女性が衣服の下に着ける下着である。略してブラ(英:bra[† 3])とも呼ばれる。
目次
概要
ブラジャーを着用するのは思春期・成年の女性が胸部に着用する下着で、乳房を支えることが基本目的である。また補正下着としても使用され、この場合、バストの形状を整えると共に、形が崩れることを防ぐ目的がある。身体にフィットしたブラジャーを装着することで姿勢がよくなり、身が引き締まって心身の健康によいという効果もある[1]。
なお、基本的に着物の下には着用しない。
ブラジャーの基本構成
ブラジャーはファウンデーションの一種であり、幾つかの部分に分かれる。左右の乳房を支え、補正するのが目的であるので、カップと呼ばれる、お椀の形の部分が、もっとも基本的な構成要素である。その他の構成要素は以下のようになる。
- カップ : バストを包み込む、お椀の形の部分。乳房に合わせて左右に1つずつで、2つのカップがある。
- ベルト : 基本的に、アンダーバスト部分を胸部を一周する形で囲む細い帯で、2つのカップを結び、更に背中まで回りカップが外れないように固定する役割を持つ。ヌーブラにはベルトが無い。
- ストラップ : 肩紐とも呼ばれる。通常、カップ部分の左右端からななめに伸びる、ゴム製の長さの調節できる紐で、肩を廻って背中でベルトと繋がっている。ブラジャーは、バストを下から支え、カップによって形を整えるようになっているので、ベルトでカップ部分が胸部に密着するようにする必要があると共に、ストラップで肩から支えカップを含めたブラジャー全体が、下にずれ落ちないようにする必要がある。そのためストラップで、肩よりブラジャーを吊している構造となっている。また、ストラップがないタイプとして「ストラップレス」タイプもものがある他、ヌーブラにはストラップ自体が無い。
- ホック : 通常、背中側にある。背中側にホックのある場合、ベルトは背中の部分で繋がっておらず、ホックを止めることでベルトを結び合わせる。ブラジャーの装着は、ホックを止めることで一応終わる。背中側ではなく、左右のカップの間にホックがありベルトが背中の部分で繋がったフロントホックの製品もある。また、ハーフトップ等と同様に頭からかぶるタイプなどホックを持たない製品もある。
これらの構成要素には様々なヴァリエーションがあり、ブラジャーの種類はそれに応じて、多様な種類のものがある。ブラジャーの種類は、サイズという基本的な種類と、形状という派生的な種類に二分できるとも言える。基本的な種類、サイズは、女性の胸部の身体形状を示す2つの変数で決まってくる。アンダーバストとトップバストと呼ばれる数値が、この2つの変数である。 そのうえで、乳房をどの程度覆うか、どのように支えるか、どのように固定するか、という形状について様々なヴァリエーションがある。
ブラジャーの装着
装着の手順は4段階に分かれる。
- ブラジャーのストラップを腕に通し両肩にかけて、カップ下を両手で持ち、ワイヤー部分がバージス(バストのふくらみのすぐ下)に当たるようにきちんと合わせる。
- 上半身を軽く前にたおし、カップのワイヤーを胸の下にあて、バストを下からすくいあげるようにしっかりとカップに収め、ぐっと持ち上げる。片手でブラジャーのアンダー部分を支え、もう一方の手でバストを脇からカップの中に寄せ集め、そのままの姿勢でブラジャーのホックを止める。
- 身体を起こし、少し引き上げるような感じでストラップを肩になじませながら、長さを調整する。ストラップを調節し、余分な肉が脇に流れていないか確かめ、余っていたらカップに収める。その際、前と後ろのアンダーラインが水平になっているか確認する。
- 上体を動かしてみてブラジャーが身体にフィットしているかを確かめる。動いてもズレなければ着用が完了する。
歴史
古代ギリシャにおいて、歩くときに乳房が動かないように、アポデズムという布製の小さな帯をアンダーバストに巻きつけた。やがて、アナマスカリステルやマストデトンと呼ばれる細いリボンを胸からウエストまでを巻きつけるようになった。[2]
共同通信社(2006年4月17日)によると、中国・内モンゴル自治区の赤峰市で2004年より発掘されていた遼代の墳墓から、精巧な刺繍が施され、現代のブラジャーと酷似した形態でベルトに相当する部分とストラップに相当する部分のある、女性が胸部に着用した絹製の下着が発見された[3]。
しかし現在のブラジャーの原型は、フランスで1889年にエルミニー・カドル が発明した「コルスレ・ゴルジェ」である。さらに現在の形に近いものが1913年2月12日にアメリカ合衆国でメアリー・フェルプス・ジェイコブ によって発明され、1914年に特許を取得した。[4]
1970年代初頭のウーマンリブ運動において、一部の活動家はブラジャーを「女性を拘束する象徴」として敵視し、ブラジャーを焼く、日常生活においてブラジャーを着用しない(いわゆるノーブラ)といった活動もみられたが、現在は沈静化している。
日本
大正末期から昭和初めにかけて洋装下着は除々に取り入れられていった。ブラジャーも「乳房ホルダー」、「乳房バンド」の名称で、婦人雑誌の広告にも登場しているが、衛生用品として薬局で売られることも多かった。[5]
1948年頃、アルミ線をらせん状にしたスプリングに綿をかぶせて布にくるんだブラパッドの作り方が『美しい暮らしの手帖』創刊号(1948年衣装研究所)紹介されている。これは洋服の裏に縫い付けて使用するものであった。同年、和江商事(現・ワコール)はブラパッドの独占販売権を取得し、大ヒットした。その後、パッドを入れる内袋のついたブラジャーを販売し、1952年よりワコール商標でナイロンブラジャーを発売する。[6]
サイズ
ブラジャーのサイズはアンダーバスト、あるいはトップバスト、及びカップサイズによって表される。 アンダーバストとは、直立で立った状態で、乳房のふくらみの下側を水平に通る周囲長である。トップバストは直立で立った状態で、乳房のもっとも膨らんでいる乳首の上を水平に通る周囲長である。
カップサイズは、トップバストとアンダーバストの差で、アルファベットで表示される。あくまで差分であり、「カップサイズが大きいほど胸囲の絶対値が大きい」訳ではない。[† 4]。
日本製
日本製のサイズはJIS L4006[7]に規定されており、アンダーバストと、カップサイズにより表現される。
アンダーバストのサイズはオーダーメイド製品でない限り、65cm、70cm、75cm、80cm のように5cm刻みとなっている。アンダーバストは、ベルトに付けられるホックによって±2cm程度の調整が可能である。
カップサイズは、トップバストとアンダーバストの差が10cmであるAを基準とし、2.5cm刻みで大きくなるほど、B、C、D、E……とアルファベットを割り当てる。Aよりも小さなカップサイズは、-2.5cm刻みで、AA、AAAと表わす。 カップサイズと、トップバストとアンダーバストの差の対応づけは、以下のようになる。
- AAA(5cm)、AA(7.5cm)
- A(10cm)、B(12.5cm)、C(15cm)、D(17.5cm)、E(20cm)、F(22.5cm)、G(25cm)、H(27.5cm)、I(30cm)、J(32.5cm)、K(35cm)……
カップサイズ | 意味 |
---|---|
AAカップ | バストとアンダーバストの差が約7.5cm |
Aカップ | バストとアンダーバストの差が約10cm |
Bカップ | バストとアンダーバストの差が約12.5cm |
Cカップ | バストとアンダーバストの差が約15cm |
Dカップ | バストとアンダーバストの差が約17.5cm |
Eカップ | バストとアンダーバストの差が約20cm |
Fカップ | バストとアンダーバストの差が約22.5cm |
Gカップ | バストとアンダーバストの差が約25cm |
Hカップ | バストとアンダーバストの差が約27.5cm |
Iカップ | バストとアンダーバストの差が約30cm |
Jカップ | バストとアンダーバストの差が約32.3cm |
Kカップ | バストとアンダーバストの差が約35cm |
日本のブラジャーは、欧米のものに比べるとカップ表記の基準がやや小さめである[† 5]。
元来、日本の女性は体格に相応してバストサイズも小柄で、Aカップが多数を占め、Cカップあれば巨乳の部類とされていたが、現在ではB~Dカップの割合がトップとなりつつある。近年はそれ以上のバストサイズの女性も多く、店舗にEカップ以上のコーナーを設けているのが普通になってきた。とはいうものの、現在でもGカップ以上の女性は少なく、商品数もCカップ以下に比べると乏しい。ちなみに、日本で市販されているブラジャーはJカップ(ルイ・グラマラス)、通販ではKカップ(セシール)まで。
アメリカ・イギリス製
なお、アメリカ製及びイギリス製の下着の場合、日本メーカーのブラジャーとはカップサイズが異なり、インチ・フィート法を基準とする。サイズの選び方は以下の手順を踏む。
- アンダーバストを計測して、偶数ならば4インチ足し奇数なら5インチを足した数がブラジャーバンドのサイズになる。
- 計測したトップバストのサイズから上述ブラジャーバンドのサイズを引く。引いた数が1ならばAカップ、2ならばBカップ、0ならばAAカップ、-1ならばAAAカップという具合にカップのサイズを割り出す。
例えば計測したサイズがアンダーバスト32インチ(約81cm)・トップバスト39インチ(約99cm)である場合に、計算から求めたサイズは36Cとなる。
サイズの選び方
ブラジャーのサイズ選びは、アンダーバストサイズ、トップバストサイズ、カップ容量で決まる。しかし、実際には、自分のサイズを正しく認識している人は少ない。
バストの変形や下垂などがある場合、直立した状態で正確なサイズとカップ容量を測ることができない。このため、これらの問題を抱える女性の中にはブラジャーのサイズを間違っているか、または苦しい、違和感がある、肩こりがあるなどの理由でつけることをやめてしまうと言う人もある。
カップの容量は、「カップ数を1つ上げ(下げ)、アンダーバストを1つ下げる(上げる)と、ほぼ同じになる」という関係にある[† 6]が、「カップ形状」は、メーカーごとあるいは同じメーカーでも製品シリーズで異なる。形状の異なる製品を比べて自らに適するものを選択すれば、自身のカップサイズを探し当てることはそれほど困難なことではない。しかしアンダーバストの場合、市販で売られているのは5cm刻みのみに限られている。個人によって形状に差のあるバストに比べ、アンダーバストとは端的に「胸囲」であるからして、アンダーバストの数字はバストの形状等とは無関係である[† 7]。アンダーバストの調節には、先に述べたブラジャーの要素である「ホック」部分が用いられる。ホックの固定位置を選ぶことで、ある程度の調節が可能となっている。ホックの間隔は1cm程度で、普通3列または2列に並んでいる。
ブラジャーのトラブル
- ストラップがずれる
- ワイヤーが当たって(食い込んで)痛い
- 市販のブラが合わない
- 自分に合うサイズが分からない
ブラジャーは身体に密着するため、他の下着と違い、僅かに胸に合わないだけでも締め付けられるような窮屈さだったり、時に痛みを覚えたりもする。身体に合わないブラジャーを着け続けると、こすれる部分に炎症が起きたり、将来的に胸の形が崩れたりする可能性もある。ブラジャーに違和感を覚えた場合は、恥ずかしがらずに購入した店の店員や、専門家に相談した方が良い。
百貨店などの下着売り場では、係員が採寸を申し出て(薄い洋服なら服の上からでも採寸可能)、客に適したサイズ、形状の製品を何点か示したうえで試着を勧める。 また、多少割高にはなるが、オーダーメイドのブラジャーをメーカーに作成して貰うのも一つの選択肢である。
形状
ブラジャーの種類には、サイズのほかに、乳房をどの程度覆うか、どのように支えるか、どのように固定するか、という形状について様々なヴァリエーションがある。
カップ
カップは構成要素として、もっとも複雑な部分で、それだけにヴァリエーションが多数ある。
- 乳房の形状
- まず、もっとも複雑なのは、カップの立体形状である。これは、バストは単純な半球形ではなく、複雑で微妙な曲面で構成された立体であるということによるものである。またこの形状は個人によって差が大きく、サイズ表現では同じB75であっても、乳房の形がまったく異なるということは珍しいことではない。
- 半世紀前、あるいは30年ほど前であると、カップはかなり乱暴で大まかな半球の形に構成されていた。しかし、女性の乳房は、両脇の辺りから膨らみがあり上下対称ではなく、当然ながら、左右のバストの一方だけを見ても、左右対称ではない。このため、「立体裁断」という、多数の布を縫い合わせて、現実のバストの形状に近い形が実現できる手法をとるが、これでも個々人のバストの形状に完璧に対応できるわけではない。
- サイズと形状
- アンダー70の人のCカップと、アンダー80の人のCカップが、同じ形である現状はいささかおかしいともいえる。
- 実際市販の既製品でも、カップ形状が異なっている(また、同じCカップなら、アンダー70の人のバストと、アンダー80の人のバストとでは、胸囲から見ても、身体の大きさから見ても、相対的に大きさが違って見える。また、実際にも形状が違っている)。
- カップのカバー面積
- ここで言うカップのカバー面積は、基本的には3種類である。ブラジャーを構成するバスト部分の布地が、どの程度バストを覆っているかで3つのタイプに区分される。
- フルカップブラ : カップがバスト全体をすっぽり覆うデザインで、安定感があり円錐形のバストを作るのに有効で、Cカップ以上のバストが大きな人向きとされている。
- 3/4カップブラ : フルカップブラのカップの上1/4をサイドからセンターに向かって斜めにカットしたデザインで、脇の肉を寄せ集めてバストにしてしまう効果があり、バストが離れていたりバストが薄い人向きとされている。
- 1/2カップブラ(ハーフカップブラ、デミカップブラ) : フルカップブラのカップの上半分を水平にカットしたデザインで、下がったバストを引き上げる効果があり、バストのふくらみがみえるため小さめの胸もふっくら演出することができる。
- その他に、フルカップブラのカップの上3/4をカットしたデザインの1/4カップブラ(トップレスブラ)、オープンブラなどもあるが、これらはバストの大部分が露出するため、本来のバストを支え形状補正するというより装飾的な要素が大きい。
- ワイヤーの有無
- ブラジャーのカップ部分におけるワイヤーの有無で分類すると、ワイヤーの入ったアンダーワイヤーブラ とワイヤーの入っていないノンワイヤーブラの2種類がある。 ワイヤーは乳房を支え、理想的な形状に整えることが目的とされ、素材はおおむね金属製である。 カップのお椀形になった半球の底面部分、つまりはおおよそ胸と乳房の境界を示すバージェス・ラインに沿って、ベルト芯のような感じでカップ素材の布の中に縫い込まれている。サイズが大きくなるほど、バージェスラインも緩やかに(半球の直径が大きく)なる傾向がある。アンダーワイヤーブラにはワイヤーの硬いものと軟らかいものがあり、ワイヤーなしを含めてワイヤーの種類は大きく分けて3つある。
- ノンワイヤー : ワイヤーをまったく使っていないもの。
- ソフト・ワイヤー : ワイヤーが芯に入ってはいるが、かなり柔らかいもの。
- ハード・ワイヤー : ワイヤーが芯として入っており、柔らかさがないもの。
- ハード・ワイヤーのブラジャーは、バストの大きさや形状に合ったワイヤー形状である場合着用しても快適であり、乳房が安定しまた補正効果も良い。しかし形状が合わないと痛みを訴える場合がある。着用して跡がはっきり残ったり痛みがある場合、ハード・ワイヤーは避け、ソフト・ワイヤード・ブラジャーかノンワイヤーのブラジャーを選ぶことが望ましい。また、カップを1つ上げて(例:B→C)パッドで調整すると食い込まなくなる事がある。
- また、多くのメーカーで、形状記憶合金をワイヤーの素材として使用したものがある。
- その他
- これら以外に、カップを構成する布地が一重のものと、中にパッドを入れることができるように、内側にポケットが作られたもの、ポリウレタンなどを使って、カップ自体に幾らかの厚みを持たせ、弾力性を与えているものや、1cmか2cm程度の厚さのポリウレタンなどの層、いわゆる作り付けのパッドが付いているものなどがある。またカップの表は、レースまたはレース状の飾り布で覆われているが、これらの布が直接肌に触れないよう、なめらかな裏布を当てて、縫い合わせているのが普通である。
- 生地が一重であるシンプルなもの
- 表のレース飾りと、裏の当て布を縫い合わせて二重になっているもの
- 内側にパッド用の袋が準備され、二重になっているもの
- カップ自体にパッドが縫い込まれているもの
- Heidi Mayne 2007-09-22 5.jpg
- Brassiere3.jpg
- Keisha 1.jpg
- OAK05Queen.jpg
- Yoko Littner cosplayer at WonderCon 2009 3.JPG
- Jasmine Mai at Exxxotica 2008.jpg
- MartyBra.jpg
ベルト
ベルトはアンダーバストの位置でホックによって留められ、ブラジャー全体を固定する役割を持つ。
- ホックの位置
- 以下の二つのタイプがある。
- ホックが背中のほぼ中央に来るタイプ(通常)
- ホックがカップの間に来るタイプ(フロントホック)
- 市販のブラジャーの約9割はホックがそれぞれのカップから伸びたベルトの一番端につき、身体に装着して留めると、背中のほぼ中央、つまり背骨の位置に来る。しかし、フロントホックと呼ばれるタイプは二つのカップの間にホックがある。
- このタイプは後ろに手を回す必要が無い。ホックを留める作業がブラジャーの装着では一番重要で最も難しいため、体が堅かったりまだブラジャーを着けるのに慣れていない人に向いている他、リハビリ中の人や授乳中の人にも使いやすい。また一般的なブラジャーに比べて背中や脇から脂肪を集めやすいので、乳房の間に谷間を作りやすいという利点がある。反面、身体にフィットしていない場合は通常のタイプより違和感や痛みを感じることが多い。
- ホックの数
- ブラジャーのサイズは後ろに付いているホックの数と関係がある。表示を見なくてもホックの数を見れば、おおよそのサイズを推測することが容易に可能である。
- A~Dカップだとホックが2個、A以下だと1個もある。
- Eカップはホックが2個と3個が半々。
- Fカップ以上のサイズになるとホックは3個。
- ベルトの太さ
- ベルトは太い方がブラジャーがずれにくいが、一方で胴が曲げにくくなるために窮屈な感じを受けやすくなる。この窮屈感を「アンダー圧」と言い、ボーン(下記)の有無・ベルトの太さや伸縮性などによって左右される。リラックスしたい時には、このアンダー圧が低いタイプが適している。
- ホック1つで留まる太さ : 国産Cカップ以下で、補正力の強くないタイプ。
- ホック2つで留まる太さ : 国産D以上、またはストラップ無しで使用できるタイプ。
- ホック3つで留まる太さ : 国産EないしはF以上のグラマー用。
- ホック4つで留まる太さ : ロングブラジャー。ホックは10個を超えることもある。
- 一般的なブラジャーは1cm~2cm位の太さでホックも1つ(ベルトの長さを調節するため、2~3個横に並ぶ)だが、国産ではDカップ以上でベルトが太くなり、ホックも縦に2つないしは3つ並ぶことがある。これはカップが大きくなるとブラジャーにかかる重量も増し、アンダー圧を多少上げてでもブラジャーをしっかり固定する方を重視するからである。同様の理由で、補正力の強い物やストラップを外した状態で使用できる物は、ベルトが太くなる傾向がある。特にベルトの太いタイプを「ロングブラジャー」と言い、補正力が高いためにドレスを着用するのに適しているとされる。ロングブラでホックの位置がベルトの下部のみのタイプは、背中の開きが大きなドレスでもベルトが出にくい。
- ベルトの形状
- ベルトの幅にあまり変化が無い一文字タイプ : 補正力の強くないタイプに多い。バックシルエットに癖がなく、一般によく見られるタイプ。
- ストラップからU字型(アーチ型)を描いているタイプ : 補正力が強いタイプに多い。女性は機能面から選ぶことが多いが、一部の男性からは好奇の目で見られる。
- ボーンの有無
- 肉質が柔らかい、あるいは乳房が大きい場合、乳房が脇の方に流れやすく、着用感が悪くなったり形崩れを起こしたりする原因となる。そこでカップから3cm位の位置に、ボーンと呼ばれる芯が入ることがある。
- 補正力が強いタイプに入っていることが多いが、ベルトが縦に曲がりにくくなるため、人によっては窮屈な感じを受ける事がある。ロングブラジャーなどの補正力を特に重視するタイプでは、ボーンの数も増し、窮屈感も増す。
ストラップ
乳房は、形状や大きさに個人差があると同様、胸郭前部のどのあたりに位置するのかでも個人差がある。発達期の少女のバストは脇に寄っており、乳房の形状も外向きに発達しているが、成人すると、バストは胸郭の前部に近寄って来る。しかしバストの底面が、胸郭前部の広がりのなかでどの辺りに位置するか、個人で差があり、肩・鎖骨に比較的近く高い位置にある人と、鎖骨と乳房上部のあいだにかなり距離があり、比較的に低い位置にある人がいる。
- ストラップの長さ
- このようなバストの上下での個人差を調整するため、ストラップには通常アジャスターが付いている。乳房の位置が高い人は、ストラップの長さを短くすることで、カップの位置を実際のバストの位置に合わせることができ、反対に低い位置にバストがある人は、ストラップの長さを長く調節することで、カップとバストの位置を合わせることが可能になる。どちらも慣れないうちは少々難しく、ある程度の練習が必要。普通は、ブラジャーを購入した後、最初に装着するときストラップの長さを決めると、あとはそのままで使用できる。
- アジャスターの有無(通常付いている)
- アジャスターの連続調整限界としてのストラップの最大長さ
- アジャスターの位置
- 通常ストラップには左右一つずつアジャスターが付けられている。装着した後でもストラップの長さを調節し易いように、アジャスターは前部に付いているのが通常である。前述のようにアジャスターによるストラップの長さ調節は通常一度で完了するものであるが、アジャスターが背面に付いている製品もある。その理由としては、ストラップ前面に(リボンなどの)装飾があり前面にアジャスターを付けられない場合や、正面から見たときの美観のためなどが挙げられる。
- ストラップ・アジャスターが胸部前面にあるもの(通常)
- ストラップ・アジャスターが背面にあるもの
- ストラップの前面結合位置
- ストラップは両肩を通る通常幅1cmほどの平たい布の紐であるが、カップ部分の布と結合具で繋がっている。ストラップにはカップのどの辺りで繋がっているのかなど、ブラジャーのカップ設計と関係したヴァリエーションがある。基本的で古典的なものは、乳房のほぼ中心を上に延ばした位置に、ストラップの結合部分が来るものである。バストの重みを支えるために最適のバランスを求めた結果だと思われる。
- ブラジャーはバストを支えると同時に、乳房の形や位置を補正するファンデーションでもある。ブラジャーは設計によっては、脇の下部分辺りより皮下脂肪を集め、乳房全体を胸部のより前へ、またより高く持ち上げるように、カップやベルトの形状が構成されているものがある。この場合、ストラップとカップの結合位置は、バストの中心の上ではなく、両脇にかなり寄った位置になる。両脇から上に持ち上げることで、乳房全体をより大きく、より胸部前方へと押し出す役割を持つのである。このようにして、自然な状態では明瞭でない「乳房のあいだの谷間」を構成することができる。
- ストラップとカップの連結位置が、乳房中心上部近くに来るもの
- ストラップとカップの連結位置が、左右の脇寄りとなっているもの
- 背面でのストラップ
- ストラップはブラジャーのカップと繋がっていて、背中でそのままベルトと結び合わされる。しかし、これにも色々なヴァリエーションが存在する。ストラップは幅1cmほどの布紐が基本であるが、ファンデーションとしての安定性を高めるため、背面では幅が広くなり、ベルトと一体化しているものがある。
- また、背中のベルトと恒久的に固定されているものと、留め具で結合位置を変えることができるものがある。女性でなで肩の人は、ストラップが肩から滑って外れることがあり、とりわけ、ストラップが胸部前面で左右脇に寄っていると、滑る可能性が極めて高くなる。これを防ぐため、ストラップのベルトとの結合位置を、より背中の中心に近い位置に調整できるようになっているものがある。クロスブラ、またはバッククロスと呼ばれるストラップは、ストラップが背中でクロス形で交差している。この場合、なで肩の人でもストラップの滑り外れは起こらない。更に、ファッション性を重視して、ネックで回してストラップを一本にし、背中のベルトと結ばないスタイルのものもある。
- 通常の背中でストラップがベルトと結ばれるもの
- ベルトと結ばれる位置で、ストラップの幅が広がったり、ベルトの幅が上向きに広がり一体化するもの
- 背中のベルトで、ストラップを結合する位置が選択できるもの
- ストラップがバッククロスとなっているもの
- ストラップがネックを回り、一本となっているもの
- ストラップの取り外し
- ファンデーションとしてのブラジャーのストラップは、バストを支え、また補正のためのカップ形状の設計などに応じ、上に引き上げることで力を加える目的がある。しかしブラジャーを構成する生地素材の発展とファッション性を求めて、ストラップを外すことが可能なようになっているブラジャーがある。ストラップがなくとも、ベルトやカップの素材や設計で、ブラジャーがずれることがないような場合は、ストラップはなくてもよいということにもなる。
- また、ストラップがなくともよいというのなら、必ずしもバストを支える目的のためでない、ファッションとしての見栄えを考えたストラップでも構わないことになる。色々な素材のストラップが考えられ、肩を露出させても目立たないシリコン製の半透明のもの(夏などの暑い季節に便利)、敢えてストラップを見せるおしゃれとして使用できるアクセサリーチェーンなども販売され始めている。これらのファッション・ストラップは単独で販売されており、手持ちのブラジャーのストラップと交換して楽しむことができる。
- 取り外し可能ストラップ
- ファッション・ストラップ(各種素材で別売)
- 透明ストラップ(ビニール製)
- ストラップレス
- 生地素材や設計により、ストラップなしでもブラジャーの機能が果たせる場合、ストラップは最初から必要がないとも言える。これらは広い意味で、「ストラップレスブラ」ということになる、ストラップレスブラは、最初からストラップがないことを前提に設計されており、これはストラップの取り外し可能ブラとは、また種類が異なっている。トポロジー的に円筒となるため、チューブとも呼ばれる。
- ストラップレスブラに、ファッション性のため飾り目的でストラップが取り付け可能になっている場合があるが、この場合のストラップ取り外し可能ブラとの相違点は、取り外し可能ブラは、ストラップを前提に設計されているという点であると言えるだろう。取り外し可能ブラの場合は、個人によっては、ストラップを外すとブラが安定しないなどの問題が起こり得る。
- ストラップレスブラ(ファッション・ストラップの取り付けが可能なもの)
- 純然たるストラップレスブラ
ブラジャーの選び方
ブラジャーの選び方には、主に2通りある。
- デザイン、色、レースなどの素材やデザインを重視
- 下着自体をファッションととらえる風潮が一般的となっている。特にブラジャーは多岐にわたる色やデザインのものが存在し、好みの色や、レースデザインなどに加え、よりシンプルな無地タイプがある。好みや、着けたときの肌触り、TPOに合わせて、複数そろえる人が多い。
- コーディネートとして、白のブラジャーなら白のパンティー、黒のブラなら黒のパンティーと、ブラとパンティーは色とデザインを統一するのが基本である。下着売り場ではコーディネートできるよう、ブラとそろいの色、デザインのパンティーが上下に並べられている。
- 用途を考慮した、機能性重視による選び方
- バストアップ ブラ :バストを大きく見せることを目的とされたブラ。実際にバストが大きくなるのではなく、カップに厚みをもたせたり、パッドを挿入することで大きく見せるブラジャーがたくさん販売されている。
- Tシャツブラ : Tシャツに代表される体にぴったりとフィットするアウターを着用する際、ブラの形状が外側から目立たないようにデザインされたもの。多くはシームレスブラ(モールドカップブラ)である。
スポーツブラなど、色々な種類のブラジャーについては#特殊用途のブラジャーを参照。
特殊用途のブラジャー
- ソフトブラ
- 着心地を重視し、ワイヤー、パッド、ホックなどを省略した締め付けないタイプのブラジャー。
- 思春期用(ジュニアブラ)
- 思春期で乳房が成長中(途中で初経を挟む約4年間[8])に着用するブラジャー。母親に連れられてブラジャーを購入する光景がある[9]一方、乳房が成長中なのにブラジャーを着けない(ノーブラ)人が初経の1年以上前では69%(正しい時期にファーストブラを着け始めた人は全体の約3割)、初経前後で44%。初経の1年後以降になるとノーブラの人は10%になるが、ブラジャーを着用するものの大人用のブラジャーを着ける人が57%いる[8]。初経の1年以上前を中心にノーブラの者が多かったり、初経の1年後以降で大人用のブラジャーを着けてしまう背景には学校でブラジャーについて学ぶ機会が殆ど無く、学校の健康診断で胸囲の測定が廃止され先生が児童・生徒の胸の発育を把握する機会が減ったことや乳房の成長段階に合わせてブラジャーを着けることの大切さが母親らに十分に浸透していないため、子供とブラジャーの話をはじめるタイミングを逃してしまうことなどが上げられている[10][11][12]。そこで、1/2成人式(10歳)を迎えたら母娘で話して一緒にファーストブラを買うよう勧めているメーカーがある[13]。初経の1年以上までノーブラの場合は衣服の上から乳頭が目立ったり(胸ポチ)、乳頭と衣類がこすれてかゆくなる場合がある。初経の1年前後でノーブラの場合はバストが揺れたりして痛みや動きにくさを感じる。初経の1-3年後で大人用のブラジャーを着けるとバストを圧迫したり、きれいにフィットしない等のトラブルが生じる[14]。
- 乳房は乳房の成長の順で成長していくため、各成長段階に対応したブラジャーが市販されている。メーカーごとに各成長段階対応ブラジャーの市販状況が異なり、特に成長初期段階では市販されていないメーカもある他、初経頃以降の思春期全般を対象とするなど上記とは対象時期がずれるメーカもある。[† 8]
- ジュニア用のスポーツブラ[† 9]・体育ブラ[15]やソフトブラもある。
- メーカーによってはティーンズブラ(着用時期がプレティーン・ティーンエイジャーの場合が多いことから)やファーストブラが市販されているが、それらもジュニアブラの一種である。
- サイズは成長初期段階はトップバストのみで決まり、成長後期段階になるにつれて成人用と同じく、アンダーバストサイズ・トップバストサイズ・カップ容量のサイズで決まり、サイズの種類はメーカーによって異なる。[† 10]
- 産前・産後用
- 結婚式用
- 上にドレスを着用するため、補正力が高く、ストラップの取り外しが可能なタイプが一般的。背中の開きが大きなドレスに対応した、バックレスと呼ばれるタイプもある。
- 一般的に色は純白だが、一部に青が入っていることがある。これは、「Something Four」と呼ばれる、花嫁が式の際に身に付けておくと幸せになれるという4つのアイテムの言い伝えの中に、「Something Blue(何か青い物)」があるため。ブラジャーだけでなく、結婚式の際に花嫁が着用するのに適した機能を持つ下着を総称して、「ブライダルインナー」とも呼ぶ。
- 乳癌経験者用
- 乳癌などで乳房の一部または全部を切除した人、または治療で乳房の片方だけサイズが大幅に減少した人を対象にしたブラジャー。大きなパッドでも入れやすいパッド受けがつき、手術痕にブラジャーが触れないようにデザインしてあるなどの工夫がなされている。
- 装飾用
- カップレスブラ またはトップレスブラといわれ、乳房の上半分や乳首が露出したものをいう。スリットブラは中心部に切れ目があり、乳首が視覚的に閲覧できる状態となっている。
- 近年ではカップを省略した、ノーカップ(カップレス)ブラという新たなるブラジャーも出回っている(この場合、乳房の大部分が露出となる)。
- 男性用
- メンズブラを参照
日本シェア
日経「2002年主要商品・サービス100品目シェア調査」より。
その他の会社に、ルシアン、ピーチ・ジョン、千趣会などがある。
脚注
注釈
- ↑ イギリス英語発音: ˈbræziə(r)1 ˈbræziə(r) [ˈbræziə(r)] ブラーズィア、アメリカ英語発音: brəˈzɪr1 brəˈzɪr [brəˈzɪr] ブラズィーア
- ↑ brasjɛːr1 brasjɛːr [brasjɛːr] ブラッスィエール。※注:カナダではアメリカ文化の影響で brassière はいわゆる「ブラジャー」を意味するが、フランスで brassière と言えば「(長袖で丈が短い)べビー用シャツ」「救命胴衣」「負い紐」の意味になる。
- ↑ brɑː1 brɑː [brɑː] ブラー
- ↑ 「Bカップの女性の胸囲がCカップの女性よりも大きい」という場合もある。
- ↑ テンプレート:独自研究範囲
- ↑ 例えば、A80、B75、C70、D65は、いずれも概ね同等のカップ容量である。Library Body Navigation(ワコール)
- ↑ 故に、アンダーバストの数字が変わってくると、前述の「カップサイズ」の数値が自ずと変わってくる(、「トップバストとアンダーバストの差」である為)。
- ↑ 例えば、ワコール(フェアリーティアラ)では各成長段階を3段階(Step1-3)に分けていて、成長最初期段階のStep1でもブラジャーが市販されている(Step1は初経の1年以上前・Step2は初経前後・Step3は初経の1年後以降→バストと初経のヒミツの関係)。一方、グンゼ(ピエクレール)も各成長段階を3段階(STAGE1-3)に分けているが、成長最初期段階のSTAGE1のブラジャーは市販されておらず、キャミソール・タンクトップ・ハーフトップなどで代用している。対象時期がずれる場合としてワコール(プリリ)で、こちらは初経頃以降の思春期全般(初経の3年後以降も含む)を対象としている反面、初経の1年以上前は対象外。
- ↑ ワコール(フェアリーティアラ・スポーツインナー)の場合STEP1に対応したスポーツブラジャーが無い(STEP1は運動時、バストが激しく揺れる心配が無く、運動時でも通常のSTEP1のブラジャーの着用で問題が無い為)。
- ↑ 例えば、ワコール(フェアリーティアラ)では、Step1・2はトップバストのみで決まり、Step2・3は成人用と同じくアンダーバストサイズ・トップバストサイズ・カップ容量のサイズで決まる。サイズはstep1でトップバスト65-87cm、step2で65-94cmまたはA-Cカップ、step3でA-Fカップ。一方、グンゼ(ピエクレール)ではSTAGE2以降の全ブラジャーで成人用と同じくアンダーバストサイズ・トップバストサイズ・カップ容量のサイズで決まる。サイズはSATGE2でファーストブラはAカップのみ、スポーツブラ・体育ブラはA-Cカップ、STAGE3でA・Bカップ。
出典
- ↑ 立花、5頁
- ↑ セシル・サンローラン、22-23頁
- ↑ (2006-04-17) 1千年前の女性下着発掘 中国、ブラジャーそっくり 新華社 共同通信 [ arch. ] 2011-09-17
- ↑ 立花、19-20頁
- ↑ 立花、54、55、57頁
- ↑ 立花、62、67、70、71頁
- ↑ 7.0 7.1 (1998-02-20) 日本アパレル工業技術研究会 [ ファンデーションのサイズ ] 日本工業標準調査会 1998-02-20 JIS L4006
- ↑ 8.0 8.1 ワコール探検隊|「少女」から「おとな」へ約4年間で変化する成長期のバスト
- ↑ 初めてのブラワクワクお買い物レポート
- ↑ ワコール探検隊|実は…お母さんも自信がないはじめてのブラ
- ↑ ワコール探検隊|はじめてのブラは出会うタイミングが大事
- ↑ ママのための初ブラ講座 ファーストブラの選び方
- ↑ 1/2成人式を迎えたら、母娘で話そう、いろんなこと。一緒に買おう、ファーストブラ。
- ↑ ワコール人間科学研究所|ジュニアのからだの変化|ワコール
- ↑ グンゼ(ピエクレール・体育ブラ)など
参考文献
- セシル・サンローラン著、深井晃子訳 『女の下着の歴史』文化出版局、1981年
- 立花律子『下着選びは誰のため』KKベストセラーズ、2010年
関連項目
外部リンク
- excite - 日本女性のブラジャーの平均サイズ