浜矩子
浜 矩子(はま のりこ、1952年8月3日 - )は、日本東京都出身の同志社大学大学院ビジネス研究科専門職学位課程教授。批判することで生計を立てる、誰も幸せにしない、学者という肩書きのおばさんである。
左翼思想のため、民主党、テレビ朝日、TBSのお抱え評論家となっている。
目次
人物
東京都立戸山高等学校を経て、1975年一橋大学経済学部卒業。大学では山澤逸平ゼミナールに所属。1975年三菱総合研究所入社。1990年から98年まで、同社初代英国駐在員事務所長兼駐在エコノミストとしてロンドン勤務。帰国後、三菱総合研究所経済調査部長、同社政策・経済研究センター主席研究員を務め、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演を行っている。
2002年秋より同志社大学大学院ビジネス研究科教授に就任し、週1度京都に通い教鞭をとる。2011年には同志社大学大学院ビジネス研究科長に就任。2012年から財務省の財政制度等審議会臨時委員を務める。金融庁金融審議会委員、国税庁国税審査会委員、経済産業省産業構造審議会特殊貿易措置小委員会委員なども歴任。
主張
『2010年日本経済―「二番底」不況へ突入する!』(ISBN 978-4492395257)、『2011年日本経済-ソブリン恐慌の年になる!』(ISBN 978-4492395424)、『2012年資本主義経済大清算の年になる = 2012: The Year Capitalism Unravels』( ISBN 978-4492395608)、『2013年世界経済総崩れの年になる! = All Fall Down:The Year of the Great Collapse』(ISBN 978-4492395776)、『2014年 戦後最大級の経済危機がやって来る!』(ISBN 978-4492395943)など、日本経済が恐慌に陥ることを予言し続けている。
- 2011年1月に「2011年は1ドル50円時代が到来する」と予測し、『1ドル50円時代を生き抜く日本経済』を出版した。また、2012年1月にも「2012年は1ドル50円時代が到来する」と予測していた。2013年11月時点でも超円高予想は「全く変わっていない」としている。
- 円高について「日本は世界最大の債権国であり、円の価値が上がることは日本経済の成熟度の証にほかならず、当然の帰結といえる」と述べている。
- 通貨について「日本各地で地域通貨が誕生・定着すれば、日本を覆う閉塞感も相当に払拭される。いわば「小国の群れとしての日本経済」が成り立てば、活気があり、威勢のいい姿だ」と述べている。
- レーガノミクスはバラマキ型の需要大拡張政策であり、金融政策への便乗商法で、安倍晋三の経済政策「アベノミクス」は金融政策に対する恫喝商法と解説している。
- 2013年5月、アベノミクスにより円安が進み、「日本経済が復活した」と騒ぐのは許しがたい状況であると批判し、アベノミクスは作られたムードに踊らされている「アホノミクス」であると否定的な見解を示した。また「この政策で恩恵を受けるのは、株や不動産を持っているごく一部の富裕層だけである」「輸出企業の業績が上がっても、雇用が増える、賃金が上がるということに結びつくかどうかわからない。むしろ、円安を進めていくと、資源・材料などの企業の輸入コストが上がり、その中で価格競争力を維持しようとすれば労働者の賃金が下がることにもなりかねない」述べている。
- 日本経済について「日本に欠けているのは成長ではなく分配である」と述べている。
- 金融緩和や財政出動でデフレーション脱却はできないと主張している。
浜矩子教授はアベノミクスの本質を知らない
安倍晋三首相のアベノミクスの発動で、大きく上昇した日本の株価。だが、5月23日に日経平均株価は1143円もの暴落(1日の値幅としては歴代11位)を記録、その後も不安定な値動きが続く。
アベノミクスには、賛否両論が渦巻く。浜矩子・同志社大学大学院教授は「アホノミクス」が5つの悲劇を引き起こす!との、「アベノミクス批判論」を展開した。株価の暴落直後でもあっただけに、このインタビューには大きな反響があった。
アベノミクスは浜教授などが指摘するように、悲劇を生むような政策なのか。今回は、「アベノミクスは現在のところ、全く正しい政策」という立場をとる、村上尚己・マネックス証券チーフ・エコノミストに話を聞いた。
アベノミクスは世界標準の政策パッケージに過ぎない
――日経平均は昨年の安倍政権発足後、大きく上昇、今年5月23日には高値1万5942円をつけました。政権発足前の昨年11月14日の歴史的な党首討論(8664円)時から比較すれば、約84%もの上昇です。現在の価格(約1万4000円台)で見ても、60%以上も上昇しています。
アベノミクスの発動で、歴史的な株高と円安(円高是正)が、わずか半年で起きた。この資産市場の「劇的な変化」が、企業業績や雇用など、景気回復につながり始めている。 その一方で、アベノミクスについては、メディアなどでさまざまに評されているが、さしたる根拠もなく一方的に政策を批判しているものも多い。
――アベノミクスについては「賛成派」から、従来の日銀の金融政策などを支持する「慎重派」、さらには、単にバブルを起こしているだけなどとする「批判派」など、本当にさまざまですね。 同志社大学の浜矩子教授は、アベノミクスをセンセーショナルに論じていたが、どうしたいというのだろうか。
一般的な経済学の教えを踏まえれば、いま安倍政権が掲げるアベノミクスは、世界標準の政策パッケージというのが私の理解だ。それを「アホノミクス」と揶揄する浜教授の言説を、私は理解できない。
浜教授は、過去半年ほど続いている株高と、円高是正がもたらす経済への好影響を無視し、4月に国債市場で起きている金利の変動を指して、「アベノミクスの弊害であり、『国債神話』なるものが崩れる」と警鐘している。
しかし、景気回復が予想されれば、金利が多少上昇することは当然だ。名目金利が上がっているが、経済活動に本当に影響する実質金利は、かなり低い水準にとどまっており、黒田東彦日銀総裁の、一連の金融緩和政策は総じてうまくいっている。
――浜教授は、アベノミクスによって5つの悲劇が起こる可能性があるといっていますね。そのうちの一つは「デフレ下のバブル経済化が起きること」としています。
浜教授は、金融緩和の結果、株や不動産などの資産だけがバブルに沸き、アベノミクスで恩恵を受けるのは株や不動産を持っている、ごくごく一部の富裕層だけ、と指摘する。「最近の株高はバブルであり、一般の庶民は恩恵をほとんど受けられない」と喝破したいのだろう。だが、これは、野田佳彦前首相が、安倍現首相との討論で述べた発言と同じ、勘違いだ。
たとえば、われわれの年金原資は、株式でも運用されており、株高は年金制度の安定を通じて、大多数の人々の老後を豊かにする。株高の恩恵が日本人全体に及ぶ例は、これ以外でもいくらでもあるが、浜教授は、そうした常識すら知らないのだろうか。
(もっとも、世界標準というのは主にシカゴ学派の受け売りであるから、シカゴ学派が利権と無関係な立場から正しいことを主張しているかどうか十分な検討を要する。ジャーナリズムを総動員して注目を集めているこの学派は、さまざまな形で良識ある批判を浴びているが一顧だにしない)
浜教授は、金融政策を忌み嫌っているのか
――政策当局が、市場と「対話」することの危険性も、主張しています。
浜教授は、政府や中央銀行が行う「市場との対話」を通じた政策対応が、危険であるという思い込みを持っているようだ。そもそも「対話」の定義が不明だが、「グローバル化」や「複雑化」した金融市場とは、制御不能な代物であるらしい。きっと、経済活動にとって重要な金融市場を忌み嫌っているのだろう。しかし、米FRB(連邦準備制度理事会)が金融緩和策の効果を高めるために、市場との対話を重視しているのは、金融市場に携わる人間にとっては常識中の常識だ。
(「対話」の意味は、インフレターゲットのようにアナウンス効果を狙うことなのだが、この点は村上の不勉強と言わざるをえない。アナウンス効果を狙おうとしても裏づけとなる具体策が政府や中央銀行にないため、浜以外からも批判を浴びている)
さらに、米国を中心に経済学の世界でも、マクロ安定化政策を行う上で、市場の期待に働きかける手段として金融政策がより大きな役割を果たすようになっている点が、ホットなテーマになっている。
(浜は金融政策そのものを否定してはいない。ただ、他の学者からも従来の金融政策に疑問が提出される中、その効果を阻害している要因を調査して方法を修正する必要がある。それをせずに従来の金融政策を押し通すのは惰性的だと浜は主張している)
アベノミクスの本質は、まず金融緩和策強化で脱デフレを目指すことを「第一の矢」と適切に定めた政策パッケージということ。だから、アベノミクスは、標準的な経済学の視点から評価できる。思い込みだけで、経済事象を語る評論家の手に余るテーマと言えるのではないか。
(浜の著書は様々な理由で読みづらく、論者によっては思い込みで書いているように見えることもあるが、そうではない。ただし、往々にしてグローバルな視点に偏る浜の主張は、強引な不良債権処理に端を発した国内のクレジットクランチにあえぐ一般の日本人には身近な問題として感じることができないし、誤解さえしなければ研究の必要がないように思える)
出演
TV
- 時事放談
- 新BSディベート
- キャスト - 月曜
- 報道ステーション - 不定期
- BSフジLIVE プライムニュース - 不定期
著書
- 『分裂する欧州経済 - EU崩壊の構図』(日本経済新聞社、1994年)
- 『最新EU経済入門 - 迷走するマーストリヒト後の欧州』(日本評論社、1995年)
- 『ネクタイを締めた海賊たち - 「元気なイギリス」の謎を解く』(日本経済新聞社、1998年)
- 『経済は地球を回る - エコノミストの見方・考え方』(筑摩書房・プリマーブックス、2001年)
- 『ユーロランドの経済学 - 政治の思惑・通貨の力学』(PHP新書、2001年)
- 『超・常識塾(政治・経済編)迷える日本を生き抜くわたしたちのために』cafeglobe.com 編(実業之日本社、2003年)
- 『グローバル恐慌 - 金融暴走時代の果てに』(岩波新書、2009年)
- 『スラム化する日本経済 4分極化する労働者たち』(講談社+α新書、2009年)
- 『ザ・シティ金融大冒険物語-海賊バンキングとジェントルマン資本主義』 毎日新聞社 2009
- 『死に至る地球経済』2010 岩波ブックレット
- 『ドル終焉 グローバル恐慌は、ドルの最後の舞台となる!』ビジネス社 2010
- 『浜矩子の「新しい経済学」 グローバル市民主義の薦め』2010 角川SSC新書
- 『ユニクロ型デフレと国家破産』2010 文春新書
- 『ユーロが世界経済を消滅させる日 ヨーロッパ発!第2次グローバル恐慌から資産を守る方法』フォレスト出版 2010
- 『1ドル50円時代を生き抜く日本経済』朝日新聞出版 2011
- 『EUメルトダウン 欧州発世界がなくなる日』朝日新聞出版 2011
- 『恐慌の歴史 "100年に一度"の危機が3年ごとに起きる理由』2011 宝島社新書
- 『ソブリンリスクの正体』フォレスト出版 2011
- 『誰が「地球経済」を殺すのか 真相を読み解く七つ道具』実業之日本社 2011
- 『「通貨」を知れば世界が読める "1ドル50円時代"は何をもたらすのか?』2011 PHPビジネス新書
- 『グローバル大恐慌時代の世界経済を読む』毎日新聞社 2012
- 『財政恐慌 ついに金融と財政の死に至る無限ループに突入した』徳間書店 2012
- 『誰も書かなかった世界経済の真実 地球経済は再び斬り刻まれる(2時間でいまがわかる!)』アスコム 2012
- 『中国経済あやうい本質』2012 集英社新書
- 『「通貨」はこれからどうなるのか』2012 PHPビジネス新書
- 『新・国富論 グローバル経済の教科書』文春新書、2012
共著
- 『ヘビーデューティーの経済学』高橋乗宣共著(平凡社、1986年)
- 『ドルは甦るかドル興亡史に何をみるか』高橋乗宣共著(日本評論社、1992年)
- 『日本人のまっかなホント』ジョナサン・ライス,嘉治佐保子共著 小林宏明訳 マクミランランゲージハウス 1999
- 『2009-2019年 大恐慌 失われる10年』高橋乗宣共著(フォレスト出版、2009年)
- 『2010年日本経済―「二番底」不況へ突入する!』高橋乗宣共著 東洋経済新報社 2009
- 『2011年日本経済ソブリン恐慌の年になる!』高橋乗宣共著 東洋経済新報社 2010
- 『2012年資本主義経済大清算の年になる = 2012: The Year Capitalism Unravels』高橋乗宣共著 東洋経済新報社 2011
- 『成熟ニッポン、もう経済成長はいらない それでも豊かになれる新しい生き方』橘木俊詔共著 朝日新書 2011
- 『2013年世界経済総崩れの年になる! = All Fall Down:The Year of the Great Collapse』高橋乗宣共著 東洋経済新報社 2012
- 『2014年 戦後最大級の経済危機がやって来る!』高橋乗宣共著 東洋経済新報社 2013
関連項目
外部リンク
- 同志社大学大学院ビジネス研究科
- 浜矩子(@hama_noriko)- Twitter