Fラン
Fラン(えふらん)とはFランク大学の略称で、大学の入学試験において実質倍率が1.0倍以下の学部・学科のことを示す。ただし、実質倍率1.0倍以下であっても、たまたま受験生全員がその大学の入試合格基準を満たしている場合もあるので注意が必要である。これは、特に受験人数が少ないほど起こりえる現象である。また、Fランク大学と大学としてひとくくりにしてしまう傾向があるが、実際に学部・学科によって実質倍率には偏りがあり、その大学のすべての学部・学科で実質倍率1.0倍以下とは限らない点にも気をつけたい。
目次
由来
河合塾が「Fランク大学」(不合格者数が極めて少ない、または皆無なため、入試難易度を付けることが不可能な大学・学部)という分類を作ったことが始まりである。一部のインターネットの掲示板等でFランクは下流大学(上からアルファベット順にランク付けした場合のEの下)を指す代名詞として誤用されるなど、言葉そのものが独り歩きを続けている。そして、決して河合塾による用語ではないが、インターネット上のスラングでFランク大学は「Fラン」や「F大」などといわれている。河合塾が一般に公開している入試難易度表では、BFランク(Fランク)とされる入試難易度35未満の大学名の記載は行っていない。ネット上で「Fランク」と名指しされている大学が、必ずしもBFランク(入試難易度35未満)でないことも多い。
概要
以前は大学の数が現在より少なく、また大学進学希望者も少なかった。1990年代に入ると団塊ジュニア世代が高校を卒業していく時代を迎えた。大学進学希望者率自体は以前とさほど変化していなかったが、団塊ジュニア世代の人数が非常に多かったため大学受験者数も激増した。これにより、大学受験の世界ではいわゆる私大バブル期と呼ばれる時代に突入した。全国すべての大学に入学するのが困難となり、多数の浪人生を生み出す要因となった。また、この頃は浪人するのが当たり前で、大学に合格した後は受験特赦のようなものが暗黙のうちに与えられ、合格した学生は受験勉強から解き放たれると同時に、大学においては全く勉強せず遊び放題であっても卒業させてもらえていた(医歯薬理工系を除く)。このように大学総定員に対して志願者数が極めて多かったこが、新しい大学を次々に生み出す要因となった。私大バブル期は1995年頃にピークを迎えたが、次第に少子化傾向が強まった。大学入学志願者数率は年々増加し現在では50%程度と見られているものの、少子化の影響は大学入学志願者数率を上回る勢いで加速しており、私大バブル期に大学が大幅に増加したこともあり、大学入学が容易になった。すべての大学定員数が大学入学志願者数を上回り大学全入時代が来ると言われたが、現状としてはそうはならなかった。しかし、大学数の増加と少子化の影響から定員割れを起こす大学が次第に増え、受験生学生全員が合格となるケースも増加した。このように受験した学生が全員合格となるケースをFランというが、大学によっては受検生全員が合格となっていない学部・学科があるケースも多い。このようなFランではない学部・学科を持っている大学であっても、一つでもFランの学部・学科があればFランク大学と呼ばれる傾向にあるが、これは誤りである(もしFランと呼ぶのであれば、ある大学のある学部のある学科はFランというのが正しい)。さらに気をつけなくてはいけない点は、入学試験における実質倍率1.0倍以下というのは確かに全員合格であるものの、たまたま受験者全員が大学の合格基準を満たしていた場合もあるという点である。特に受験者が少数であるほど、受験者全員が大学合格基準を満たす可能性は確率的に高くなる。このため、実質倍率のみでFランと結論を下すのもまた誤りである。さらに、いわゆる自虐ネタ、煽りネタとしてFランという言葉を使うことも多く、例えば実質倍率1.5倍以上、入試難易度40以上のとてもFランとは言えない大学及び学部・学科に対して使われることもしばしばある。
特徴
入学試験
入学試験は基本的に、大学での学業に堪えられる基礎学力があるかどうかを審査するためのものとして機能している。このため、以下のような特徴がある。
- 英語
- 日本語のみの講義を行うため、基本的に白紙でも不合格とはしない。大学においても、英語教育は実施されてはいるが、中学校や高等学校と違って学習指導要領が定められているわけではないので、大学での英語の授業についていけるかどうかを審査する必要もない。かくして、Fランク大学での入学試験の英語の成績は、どのような英語の授業を行えばよいかを見るための資料として機能することとなる。
- 数学
- 文科系なら、数学など不要なので、基本的に白紙でも不合格とはならない。それ以前に、文科系なら数学を選択する奇特な受験生など殆どいないから、試験さえ実施されないことも珍しくない。
- 一方理科系でも、面倒な計算は電子計算機に任せればよいので、やはり白紙でも不合格とはならない。
- 国語
- そもそも、日本では既に義務教育で基本となる会話力や文章表現力は学んでいるはずであり、大学でもそれほど高度な国語力は求められていない。従って、名前さえ正しく書けさえすれば、解答欄が空白となっていても、不合格となる恐れはない。
- 公民
- みんな現代社会の中で生きているので、現代のことはよく知っているはずであり、当然ながら最低限守るべきルールもわかっているはずである。従って、試験中に騒がず静かにしたまま過ごすことができれば合格となる。
- 地理
- 明確に試験という形で実施されていることは少ないが、実際は暗黙のうちに実施され採点されているのが実情である。そもそも大学の講義を受けるには大学へ来る必要がある。大学の所在地を理解し、各種交通機関を利用して通学する地理能力がなければ大学を卒業することは出来ないのである。すなわち、地理の試験は試験会場となる大学へ来れた時点で満点を貰えるようになっている。なお、折角大学まで来れても帰りに迷子になってしまった場合は減点されてしまうので注意が必要である。Fランク大学の入学試験は、家に着くまでが入学試験です。
- 化学
- 物質の性質を理解し、正しく活用出来ているかをこれまた暗黙のうちに採点していることが多い。特に鉛筆の性質についての理解を確かめる場合が多く、答案用紙に何か鉛筆を用いて書かれていれば合格点を貰えるようになっている。さらに訂正箇所を線描ではなく消しゴムを利用して消してあればさらに追加点が得られる。
- 調査書もしくは高認成績証明書
- 高校から発行される調査書、もしくは文部科学省から発行される高認成績証明書については、特に気にしない。調査書を数値化する、それ以前に調査書を開封する作業で既にコストがかかること、及び大学での学業に堪えられないような生徒であれば卒業させることさえあり得ないと考えられることが理由として挙げられる。
- 受験会場
- やたらと全国各地に試験会場を設けているところがある。これは、遠くの試験会場まで出かけるのが面倒な人や頭が悪いけど都会に出たい人のことを考えて実施している。
- 合格発表
- とりあえず、大学の講義についていける事が確認出来れば合格となるため、不合格者数は非常に少ない。このため、合格者ではなく不合格者の受験番号を掲示する大学が多い。それでも該当者がいないことも珍しくなく、その場合には受験を辞退した者の受験番号や実際に該当者のいない架空の受験番号を不合格者として掲示する場合もある。
講義
講義の特徴は、試験の結果をもとにして決められる。
- 英語
- 一般に大学においては、第一年次及び第二年次で外国語の講義を行うこととされているが、入学試験のところで述べた通り、指導要綱が細かく定められているのではないため、よりフレキシブルに対応できる。例えば、あるFランク大学では、以下のような講義が行われたという。
- アルファベットの書き方
- 日常での簡単な挨拶
- This is~で始まる簡単な構文
- 念のために書いておくが、この内容は大学の講義の内容であり、決して中学校一年の英語の授業のメニューではない。
- 第二外国語
- イッヒ リーベ ディッヒ が理解できればA
- イッヒ フンバルト モレル ゲ リーベン が理解できればA+
- 一般共用
- 一般教養は、大学の第一年次及び第二年次に強要することとされている、「大学の共用空間の使い方講座」のようなものである。これについては実はあまり非Fランク大学との差は見られないようである。
- 専門科目
- 専門科目については、研究者になるというならともかく、そのような志のある者を対象とはしていないので、中学生でも理解できるような平易な講義とするようにつとめている。
学内の様子
特に荒れていることはなく、共通して学生に覇気がなく目に力がない。授業中は私語どころか携帯電話の通話で大声を上げる者もいるが、大半は静かにメールをしているか携帯ゲームをしている。また、学内にはなぜか、学問をする気のなさそうなDQNが見られるが、恐らく近所の珍走団が学生からカツアゲするために紛れ込んで来たんだろうから、近づかなければよい。なお、これらはFランク大学のみに当てはまるわけではなく、非Fランク大学にも当てはまるので留意されたい。
卒業後の進路
Fランク大学の卒業後の進路も、非Fランク大学のそれと同様に多岐に渡っている。
専門学校との比較
文部科学省によれば、2010年度の専門学校の就職率は74.7%で、100%近い就職率の専門学校も存在する。ただし、専門学校は元々就職を最終目標としたものであり、大学というものは本来就職が最終目標ではない点に注意されたい。しかし、近年大学であっても就職率が高くなければ人気下降の原因ともなりかねず、就職率の底上げに尽力している大学は多い。
増殖したFランク大学がもたらしたもの
大卒がエリートとされたのは団塊ジュニア世代前後までであり、この頃の大学進学率は20%~30%程度に過ぎなかった。特に団塊ジュニア世代が大学受験に差し掛かった1990年頃から1995年頃までは、過去大学受験生が最も多かった時期で私大バブル期とも言われ、私立大学の人気が非常に上がり、私立大学を中心に大学合格は困難を極めた。また2浪、3浪という多浪も当たり前で、6浪、7浪している主人公を設定したテレビドラマも存在したほどである。このため、この頃はとにかくどのような大学でも入れれば「花の大学生」などと言われ憧れの眼差しを集めた。その後10数年で大学数は半世紀で3倍に増え、少子化の影響から受験生も減少したため、大学というものが身近になり、また入学もしやすくなった。これにより大学進学率が50%程度にまで上昇した。一方で大学に入学しやすくなった影響もあってか、学生の基礎学力不足が懸念されるようになってきた。このような学生の基礎学力向上や就職後のケアが重要な課題になっている。
Fランク大学と思われているがそうでない系統・大学
系統別
- 芸術系、デザイン系、音楽系 - 実技はペーパーテストってレベルじゃねーぞ! なので、難易度が測定不能。実際、芸術・デザイン系大学のみを対象とした予備校もある。
- 体育系 - これも体育実技が素人にはペーパーテストってレベルじゃねーぞ! 勿論、体育系大学のみを対象とした予備校さえある。アスリートらの推薦入学もある。
- 家政系 - Fランクであっても、国家試験などに合格した学生はFランクを脱している。
- 薬学系 - Fランクであっても、国家試験に合格した学生はFランクを脱している。
- 医学系、歯学系 - 実質Fランクと言える裏口入学などもあるかも知れないが、国家試験に合格した学生はFランクを脱している。
- 理学系、工学系、医療系 - そもそも入学後の学生がFランクのままでは到底卒業できない。したがって、見事卒業出来た学生はFランクを脱している。
- 文学系 - 多数のFランクが存在し、Fランクのまま卒業できる場合もあるが、基本的に卒業できた学生はFランクを脱している。
- 経済系、経営系、商学系 - 多数のFランクが存在し、在学中遊びまくっても卒業できてしまう場合がある。また、入学時にFランクであってもなくても、前述の理由から卒業時にはFランクとなっている可能性が高い。ただし、資格試験に合格しているなどFランクを脱するものも少なからずいる。
- 法学系 - 経済系に準じるが、資格試験に合格しているなどFランクを脱するものも少なからずいる。
- 国際系 - 語学習得という修行があるため、卒業できた学生はFランクを脱している。
- 学祭系、総合系 - 分野が多岐に渡るため一概には論じられない。文理融合型または理系型であれば卒業はなかなか難しく、卒業出来た学生はFランクを脱している。文系型であれば、経済系に準じる場合が多い。
- 宗教系 - なみなみならぬ修行を積まねばならなため、卒業できた学生はFランクを脱している。
大学別
- 東淀川大学 - 入学試験を行わないため、Fランク大学の定義に反する(代わりに、抽選で入学者を決定する)。
- バカ田大学 - 意外にも競争率は非常に高く、従ってFランク大学の定義に反している。但し、バカ田大学を対象としている予備校は存在しない。
- イオンド大学
- 暴君ハバネロ大学
- 麻雀大学