マブチモーター社長宅殺人放火事件
マブチモーター社長宅殺人放火事件(マブチモーターしゃちょうたくさつじんほうかじけん)は、2002年8月5日午後、千葉県松戸市にて発生した殺人放火事件である。犯人らはこの事件以外に2件の殺人事件を起こしており、一連の事件は警察庁広域重要指定124号事件に指定された。
事件概要
マブチモーター社長宅にて社長の妻が1階で、長女が2階で絞殺され、家屋も放火された。 放火に使用された燃料缶は、主に草刈機等に使用されるガソリンとエンジンオイルの混合燃料のものだった。
一部、貴金属製品は盗まれたが金庫等は荒らされておらず、多数の宝石類や現金などが残されていた。そのため捜査開始当初は、犯人の目的が金品強奪なのか怨恨なのか絞り込まれなかった。
事件の解決
2005年1月18日、群馬県での窃盗容疑で2人の男が逮捕された。この後、男と服役中に知り合い、強盗に誘われた者が警察に情報を提供、問いつめた結果、同年9月24日、当該事件への関与を自供した。2人は刑務所で服役中に知り合い、今回の事件の計画を練っていたという。
また、他にも、2002年9月24日に東京都目黒区にて歯科医を殺害し現金を強奪、同年11月21日に千葉県我孫子市で金券ショップの経営者ら2名を殺害、現金を強奪するという、老人ばかりを狙った連続強盗殺人事件への関与も認め、10年ぶりに警察庁広域重要指定事件(広域重要指定124号)に指定された。
多数の金品が残されていた理由については、長女に金品の場所を聞きながら物色したが発見できずにそのまま2人を殺害、金庫の開け方も詳しくなかったためとされる。
従犯の被告には2006年10月6日、主犯の被告(以下小田島鉄男)には2007年3月22日、それぞれ千葉地裁で死刑が言い渡されている。 主犯の小田島鉄男は、2007年11月1日付で東京高裁への控訴を取り下げ、死刑が確定した。 従犯の被告Bについては、「主犯とは従属的立場にあり逃れられなかったこと」「死刑は憲法違反である」などを理由に控訴を行ったが、2008年3月3日、東京高裁は、「従属していたとはいえない」として、4人のうち2人の殺害は従犯の被告の独断で、共謀は成立しないとし、一審千葉地裁の死刑判決を支持し、弁護側控訴を棄却した。その後最高裁に上告したが、2011年11月22日に上告が棄却され、従犯Bについても死刑が確定した。
被告人の経歴
小田島鉄男
1943年誕生。窃盗罪で少年院に収容される。その後も、窃盗・傷害等の前科有り。
従犯B
1950年10月17日誕生。1983年、有印私文書偽造等の罪で、懲役10ヶ月執行猶予3年が確定。1986年に窃盗罪で懲役1年4ヶ月、1989年に殺人・窃盗罪で懲役12年が確定し、服役している。
事件後
当該事件の犯人逮捕に結びつく有力な情報を提供した4人には、遺族らが結成した「事件の捜査に協力する会」から当初の約束どおり謝礼金250万円ずつ、計1000万円が提供された。
事件後、遺族により事件現場は更地にされ松戸市に寄付された。防災拠点として地域に役立てられることになり、その建設費用は遺族と市が折半をして負担した。
関連書籍
- 『最期の夏 「マブチモーター事件」強盗放火殺人犯 死刑囚獄中ブログ』小田島鉄男著(ISBN 978-4-81-302089-9)