関越バス事故
関越バス事故(かんえつばすじこ)とは、2012年4月29日午前4時40分ごろ、群馬県藤岡市で発生した交通事故である。
概要
関越自動車道上り線藤岡ジャンクション(JCT)付近で、千葉県印西市のバス会社「陸援隊」が運営する針生エキスプレスのツアーバス、乗員乗客46人が道路左の防音壁に衝突、大破した。群馬県警によると、乗客45人のうち7人(うち女性6人)が死亡、残る38人がけがをして病院へ運ばれ、うち3人が重体、9人が重傷。運転手の河野崋山も負傷した。
死者
運転手
詳しくは河野崋山を参照。
河野崋山(男性、事故当時43歳)は、1993年(平成5年)に来日した中国残留孤児の子弟で、翌年に日本国籍を取得したが、日本語が不自由であり、簡単な会話しか理解できないため、逮捕後も通訳を必要としたほどだった。
バスの運行会社
バスを運行した陸援隊は、事業用バスを19台保有し、観光バス業務を営業している。今回の事故では、ハーヴェストホールディングスと陸援隊の間に2業者が介在し、赤字にもなりかねない往復15万円で受注していた。社長は、事故を起こした運転手について、「休みを与えており、過労運転ではなかった」との認識を示した。
事故を起こしたバスは、大型連休中の増発便であり、その影響で通常は発注していない陸援隊により運行されたものだった。
また、先述のように陸援隊は事故を起こした運転手に名義を貸し、無許可営業をさせていたことが発覚したため、同社の社長も運転手とともに5月28日に道路運送法違反(名義貸し)により逮捕された。
事故後に国土交通省関東運輸局が陸援隊に対して実施した特別監査では運転手の日雇い、シートベルトの整備不良、運行指示書を作成せずにバスを運行したことなど28項目の法令違反が発覚し、違反点数は242点に達した。事業許可取り消しとなる基準点の81点を上回ったため、陸援隊は6月22日に貸切バス事業許可を取り消された。
参考文献
- "バス衝突7人死亡 ツアー客ら39人負傷" 2012年(平成24年)4月30日付 朝日新聞朝刊(大阪本社13版)1面
- "バス競いすぎた格安" 2012年(平成24年)4月30日付 朝日新聞朝刊(大阪本社13版)2面
- "「いつか起きると」別の運転手「交代の人必要」" 2012年(平成24年)4月30日付 朝日新聞朝刊(大阪本社13版)26面
- "潰れた車内「助けて」未明の衝撃 連休悪夢" 2012年(平成24年)4月30日付 朝日新聞朝刊(大阪本社13版)27面
- "バス衝突7人死亡 関越道、運転手「居眠り」" 2012年(平成24年)4月30日付 日本経済新聞朝刊(大阪本社12版)1面
- "バス大破、真っ二つ 「助けて」うめき声" 2012年(平成24年)4月30日付 日本経済新聞朝刊(大阪本社13版)35面
- "指示外の遠回り なぜ" 2012年(平成24年)5月1日付 朝日新聞朝刊(大阪本社13版)26面
- "防音壁10メートルめりこむ" 2012年(平成24年)5月1日付 朝日新聞朝刊(大阪本社13版)27面
- "ツアーバス基準見直し 国交省方針 200社を重点調査" 2012年(平成24年)5月2日付 朝日新聞 朝刊(大阪本社13版)1面
- "走行ルート「記憶なし」関越道バス事故 運転手が供述" 2012年(平成24年)5月2日付 朝日新聞 朝刊(大阪本社13版)26面
- "安全態勢を本格捜査 関越道事故 過労運転疑いも" 2012年(平成24年)5月2日付 朝日新聞 夕刊(大阪本社3版)9面
- "安全義務違反 10件超す" 2012年(平成24年)5月3日付 朝日新聞 朝刊(大阪本社13版)35面
- "運行指示書 作成せず バス運行会社 法令違反2桁に" 2012年(平成24年)5月3日付 日本経済新聞 朝刊(大阪本社13版)38面
- "運行会社30超法令違反か" 2012年(平成24年)5月4日付 日本経済新聞 朝刊12版 30面
外部リンク
- 2012年4月29日関越道にて発生した事故について - この事故のツアーバスを主催したハーヴェストホールディングスのこの事故に関する説明。