大阪通り魔殺人事件

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2012年6月16日 (土) 00:02時点におけるFromm (トーク | 投稿記録)による版

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大阪通り魔殺人事件

大阪通り魔殺人事件とは、2012年6月11日に大阪・ミナミで発生した、礒飛京三(いそひ・きょうぞう)(36)による2人の殺害事件である。

事件概要

大阪通り魔殺人事件

晴天の休日、大阪・ミナミの繁華街が恐怖に包まれた。6月10日午後1時ごろ、大阪市中央区東心斎橋1丁目の路上で、包丁を持った男に男女2人が腹などを刺され、搬送先の病院で死亡した。

大阪府警南署は2人を刺したとして、殺人未遂容疑で住所不定の無職、礒飛京三(いそひ・きょうぞう)(36)を現行犯逮捕した。府警は殺人に切り替え、南署に捜査本部を設置。礒飛者は「誰でもよかった」などと供述しており、同署は無差別の通り魔事件として調べる。

「助けてくれっ」「逃げろー」。日曜日でごった返す大阪・ミナミに悲鳴と怒声が轟いた。助けを求める男性に馬乗りになって、メッタ刺しにする礒飛。現場は昼時ともあって通行人らでパニックとなった。

死亡した男性は東京都台東区のソフト制作会社に勤務する音楽プロデューサー、南野信吾さん(42)=東京都東久留米市=で、同社が制作するゲームの楽曲づくりなどを担当。この日はライブツアーの同行で大阪に来ていた。もう1人の被害者は大阪市中央区、飲食店経営の佐々木トシさん(66)と確認された。

礒飛は飲食店前の路上で、南野さんを襲った後、約40メートル東に移動し、自転車で通り掛かった佐々木さんを刺した。ほどなくして再び南野さんのところに戻り、馬乗りで刃物を振り下ろしているところを駆け付けた警察官が発見。警察官の「伏せろ」との指示に従い、地面に手を付いた。

南野さんは首や腹など計約10カ所に傷があり、腹部に刃渡り約18センチの包丁が刺さっていた。佐々木さんは背中と腹など数カ所に傷があり、礒飛は左手にけがをしていた。

礒飛は「(覚せい剤取締法違反罪で服役した後)5月下旬に新潟刑務所を出所し、昨日(9日)大阪に来て知人の家に泊まった」と供述。栃木県出身とみられ、出所後、同県に立ち寄った可能性もあるという。

府警の調べに、同容疑者は「仕事もなく、住むところもない。通帳の金を20万円を引き出した。もうこれしかないのか、生きていくにはどうしたらいいのか、と思い、だんだん自殺しようと思うようになった」、「現場近くで包丁を買ったが、死にきれず、人を殺せば死刑になると思った。誰でもよかった」などと話している。

「知人に雇ってもらえず」自暴自棄で通り魔か

逮捕された無職礒飛(いそひ)京三(36)が、大阪府警の調べに、「仕事を探して大阪に来た。知人の会社で雇ってほしいと頼んだが、雇ってもらえなかった」と供述している。

府警は、仕事に就けずに自暴自棄になり、凶行を引き起こした可能性もあるとみて、当時の心理状態を詳しく調べる。

捜査関係者によると、礒飛は覚醒剤取締法違反で実刑判決を受け、先月末まで新潟刑務所に服役。出所後しばらくは、出身地の栃木県内にある薬物依存者の民間リハビリ施設に入所し、清掃関係のアルバイトをしていたが、自ら施設を出て、犯行時は住む場所もない状態だった。

礒飛京三

南署に移送される礒飛京三=2012年6月10日午後、大阪市中央区の南警察署

何の罪もない人々が犠牲になる通り魔事件が、また発生した。殺人未遂容疑で現行犯逮捕された礒飛京三は過去の無差別殺傷事件の容疑者と同様に「誰でもよかった。殺して死刑になりたい」などと身勝手な動機を淡々と供述した。

礒飛は覚せい剤取締法違反罪で服役していた、新潟刑務所から2012年5月下旬に出所したばかり。出身地の栃木県から知人がいる大阪市を9日に訪れ、「たまたまたどり着いた」という同市中央区で10日、事件を引き起こした。

「通帳の金を20万円引き出し『もうこれしかない。生きていくにはどうしたらよいか』と包丁を買った」と話し、自殺を図ろうとしたと説明。事件については「仕事も住むところもない。死ぬしかない」と出所後の生活苦を動機に挙げ、「人を殺せば死刑になると思った」と供述している。  

裕福な子供時代暗転

礒飛は子供のころ栃木県那須塩原市などで、材木商の父親のもと3人兄弟の末っ子として裕福な家庭で育った。当時を知る親類の女性(85)は「なついてくれて、良い子だった」と振り返る。

しかし、小学校に通い始めたころ母親が亡くなり、父親の材木店も倒産。家族は逃げるように同県下野市に転居し、生活は暗転。非行が目立つようになったという。女性は「なぜ、縁のない大阪でばかなことをしたのか」と声を震わせた。

暴走族総長・組員…

中学で1年後輩だった男性会社員(36)は「俗にいう不良。やっかいな先輩だった」と振り返る。礒飛は中学卒業後、地元の暴走族グループに入った。グループの後輩だった自営業の男性(34)によると、「総長」として約30人のメンバーを従えた。成人後は暴力団にも加入したという。

平成12年ごろ下野市へ戻り内装業を営んでいた時期もあったが、薬物事件で服役。男性会社員が最後に会ったのは18年ごろ。「因縁をつけられそうだったので目を合わせなかった」と話した。

過去には同じように自暴自棄になり犯行に及んだ通り魔事件がある。平成11年に東京・池袋で2人を殺害した造田博死刑囚(36)や、20年に茨城県土浦市で8人を包丁で刺し1人を殺害した金川真大死刑囚(28)の2事件で、死刑願望もあったとされる。警察庁によると、通り魔による殺人事件などは平成5年以降、年数件~十数件で推移。20年が14件と最多で、21年4件▽22年5件▽23年6件となっている。

殺された2人

被害女性は着物が似合うスナックママ「きれいで優しい人」近所住人らショック

一夜明けた現場では花を供え手を合わせる人も=6月11日正午過ぎ、大阪市中央区東心斎橋

殺害されたスナック経営、佐々木トシさん(66)は、現場近くの分譲マンションに1人で暮らしていた。きれいで優しい人と評判で、知人や近くの住人らは突然の悲報にショックを受けていた。

60代の知人女性は「知り合いに病人がいれば、料理を作って持っていくとても優しい人だった」と振り返る。2日前に会っていたばかりといい、「最近、脱法ハーブの暴走事故など物騒な事件が起きているから気をつけよう、と声を掛け合っていたのに…。今も震えが止まらない」と話した。

佐々木さんと同じマンションに住む女性(56)によると、約10年前からこのマンションに住んでいるといい、「毎日、午前中はスポーツジムに通い、夕方から自分のお店に行っていた」という。

きれいな着物姿で店に出かけていた佐々木さん。周囲からは「元気で美しい人」と評判だったといい、女性は「笑顔のすてきな方だった。犯人は許せない」と声を震わせた。

死亡の南野さん、情熱ある音楽プロデューサー。ライブで大阪に

大阪・ミナミの通り魔事件で、南野信吾さんの勤務先、ゲーム企画会社「デジターボ」は、「ご冥福をお祈りするとともに、ご遺族には心よりお悔やみを申し上げます。」とのコメントをホームページに掲げた。

殺害された南野信吾さん(42)は音楽プロデューサーとして音楽へ熱い思いを持ち、アニメやゲーム音楽でも全力投球で作曲などに携わっていた。

南野さんは平成19年ごろアニメや音楽、ゲームの企画会社「デジターボ」(東京)に入社し、アニメやゲームの音楽を担当。ミュージシャンとしての活動歴もあり音楽に詳しく、仕事ぶりも真面目だったという。

音楽レーベルの運営も担当しており、今回はレーベルの5周年を記念して所属するアーティストを引き連れ、全国ツアーの最中だった。6月10日の大阪でのライブのため大阪入りしていた。

同社関係者は「ミュージシャン出身だけに音楽への造詣が深く、熱意のある人。レーベルの運営でも、CDを置いてもらうために地方のCDショップへと電話を掛け、営業活動していた。信じられないとしかいいようがない」と肩を落とした。

「勇気と元気与えてもらった」南野さんのファンらも黙祷

凄惨な通り魔事件から一夜明けた11日、大阪市中央区東心斎橋の事件現場には、2人が亡くなった場所に花束を添え、涙を流す人もいるなど悲しみに包まれた。音楽プロデューサー、南野信吾さんのファンも訪れ「こんなに突然亡くなってしまうなんて」と声をふるわせた。

南野さんのファンという大阪市天王寺区の男性会社員(28)は、取引先への営業に向かう途中で現場に立ち寄り、黙とうをささげ、「これからの日本に活力を与えてくれる人だったのに」を死を悼んだ。

ゲームやアニメが好きで、BGMで流れる南野さんの音楽に魅力を感じていた。事件現場は職場に近く、毎日通る場所だっただけに一層ショックが大きかった。「南野さんの音楽に勇気を元気を与えてもらった。感謝の思いを込めて手を合わせました」と語った。

また、通勤途中の男性会社員(40)は「もしかすると自分も被害に遭っていたかもしれない。無差別に人の命を奪うなんて許せない」と、怒りをあらわにした。

子煩悩だった南野さん「子供小さいので頑張らないと」

「信じられない、許せない」。大阪・ミナミの通り魔事件で犠牲になった音楽プロデューサー南野信吾さん(42)=東京都東久留米市=の自宅の様子を見に来た親族の女性(41)は11日、声を震わせながら心境を語った。

女性によると、南野さんは妻と6歳、5歳、2歳の3人の娘と暮らしていた。

子育てに積極的で子煩悩だった南野さんは、今週予定されている保育園の参観日を楽しみにしていた。子供がまだ小さいので「自分が頑張らないと」と夜遅くまで仕事に取り組み、出張も多く、年に数回は海外にも出掛けていた。

同じ保育園に子供を預けている40代の女性は「子供思いのいいパパで、育児についてよく一緒に話した。運動会や、お遊戯会にも積極的に参加していた。(容疑者を)絶対に許せない」と涙を流しながら話した。

「死にたいなら自分で死ね」―松井大阪知事

大阪府の松井一郎知事は6月11日、大阪・ミナミで男女2人が無差別に殺害された事件で逮捕された容疑者について、「死にたい言うんやったら自分で死ね。自分で人を巻き込まずに自己完結してほしいですね。どうしても行政の支援も受けずにこの世からいなくなりたいなら止めようがない」と語った。

府庁内で記者団の質問に答えた。容疑者は大阪府警の調べに対し、「人を殺してしまえば死刑になると思ってやった」などと供述している。 

関連項目